インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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ラウラを妹に欲しいと思ったのは私だけじゃないはず。




#03 歩行演習

【左腕、残弾 四十パーセント。シールドエネルギー残数 三百】

 

「やっぱり、キツいってこれ・・・っ!」

 

模擬戦開始から四分が経過した。やはりブランクがあっても元代表候補、当ててくる。

七百あったシールドエネルギーもあっさりここまで削られた。

実戦経験があったとしても、そこには経験の長さの差がある。

経験の大半を無人機を相手にしている僕にとって、対人経験豊富な山田先生の動きは読みにくい。

 

「ここに来て自分の癖が分かるとはねっ!」

 

マシンガンの弾をシールドブースターで防ぎながら右手のビームライフルで反撃する。

相手がフライルーやバイザック等の無人機なら動きの解析は容易だった。束さん特製のAIと言っても隙は見付けやすかった。

寧ろ慣れすぎてしまったんだろう。

だからこそ、

 

「やり辛い・・・」

 

柔軟性の高い山田先生の戦闘方に合わせにくい。

決めるなら一気呵成に、山田先生が此方に合わせる前に終わらせるーー!

 

「これはどうですかね!」

 

「っ!スモーク!?」

 

多目的ランチャーからスモークグレネードを発射し、空中で炸裂させる。

ISのハイパーセンサーをある程度誤魔化す事が出来る代物だ。

即座にロング・ブレード・ユニットを右手のビームライフルに装着、砲身を展開して煙幕の中にいるラファール・リヴァイヴに向かって照準を合わせる。

 

【ロックオン】

 

「当たれ!!」

 

ロング・ブレード・ライフルの砲身から桜色のビームが放たれ、煙幕を突き抜けて地面に穴を穿つ。

ハイパーセンサーはまだ反応を拾ってる。さあ、どう来る・・・っ!

 

「こっちです!」

 

「なんとおぉっ!!」

 

右側から煙幕を突き抜けてきた山田先生が何時の間にか持ち替えていたアサルトライフルを射ってくるが、身体を捻りながらスラスターを動かして回避する。

この距離・・・なら!

 

「突っ込む・・・!」

 

ロング・ブレード・ライフルを投げ捨てて、背中にあるビームサーベルを抜き放つ。

背中のシールドブースターを起動し桜色の刀身を持つそれを構えて山田先生へと突撃するーー!

 

「っ、させません!」

 

ラファール・リヴァイヴの右手に持たれたショットガンが近付けさせまいと撃たれるが、ヘイズルの機動性を抑える事は出来ない。

 

「これで!」

 

「くっ!」

 

横凪ぎに振るったビームサーベルをライフルの銃身で持ち手ごと弾かれる。

その反動を生かしてその場で回転し、左手のライフルを向けるのと、山田先生がショットガンの銃口を此方に合わせたのは同時だった。

 

「「・・・・・・」」

 

「二人とも、そこまでだ」

 

メガホンを携えた織斑先生の言葉にお互いに武器を下げる。

見ると、一夏や皆がポカンとした表情で僕を見ていた。一体どうしたんだろう?

 

「扶桑君、すごいですね!私、ちょっと熱くなっちゃいました!」

 

「え、あれでちょっと・・・?」

 

元国家代表候補恐るべし・・・あれでまだ本気じゃないのか・・・。

山田先生の全力を想像して戦慄を覚えつつ、ゆっくりと地面に立つ。

織斑先生が呆れ顔で近付いてきた。

 

「二人揃ってこれが授業なのを忘れていたな?全く・・・見ろ、皆呆然自失しているぞ」

 

「「あ」」

 

途中から戦いに集中しすぎて、授業の一環というのを忘れてた。どおりで皆ポカンとしているわけだ。

山田先生もやっちゃっいました・・・と呟きながら申し訳なさそうにしている。

 

「煽ったのは私だが、まさか山田先生までヒートアップするとはな・・・まあ、生徒たちにも良い刺激になったろう」

 

そう言い残して皆の所に戻って指示を出し始める織斑先生を見て、僕と山田先生は顔を見合わせて苦笑いした。

今度から、ヒートアップし過ぎないようにしないとね。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、なんでこうなるの?」

 

今僕の目の前には二十人程の女子が妙にキラキラした目で立っている。

先ほど織斑先生が実際にIS(打鉄、ラファール・リヴァイヴ)を使っての歩行演習をするとの事で、専用機持ち・・・一夏、オルコットさん、凰さん、デュノア君、ボーデヴィッヒさん、そして僕の所に行くようにと言った途端この状況である。

回りを見ると、一夏とデュノア君も似たような感じだった。

もう一度目の前の女子達を見る。・・・って、

 

「何でボーデヴィッヒさんが此方に居るのさ!?」

 

「む?」

 

グレーの専用ISスーツに身を包んだボーデヴィッヒさんが何故か僕の前に立っていた。

いやホントに何故。

ボーデヴィッヒさんの所に行ってた人達もキョロキョロしてるし。

 

「先程の戦闘が見事だったので、ついな」

 

「ついって・・・ダメでしょ?織斑先生に怒られるよ?」

 

「それは困るな。戻るとしよ・・・ふみゅっ!?」

 

「残念ながらもう遅い」

 

何時の間にやらボーデヴィッヒさんの背後に立っていた織斑先生の出席簿が炸裂して、ボーデヴィッヒさんは頭を抑えた。

そんな彼女をよそに、織斑先生は溜め息一つして回りを睨む。

 

「何時までもぐずぐずするな。各クラス、出席番号順に専用機持ちの所に行け・・・次は無いぞ」

 

一瞬で綺麗にそれぞれの場所に皆向かった。ボーデヴィッヒさんもである。

うん、滅茶苦茶怖いです先生。

身体が震える程ですよ、マジで・・・。

 

「全く、最初からそうしろ。扶桑、手間を掛けたな」

 

「あ、いえ。ありがとうございます」

 

立ち去る織斑先生にお礼を言ってから、六人程に減った女子生徒達に向き直る。

当然だけど、さっきまでのキラキラした目はなりを潜めている。

うん、これなら落ち着いてやれそう。

 

「えと、それじゃあ歩行演習、始めましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、そう。その感じ。ISの手足を自分の身体の延長だと思って」

 

「身体の延長・・・」

 

たまにアドバイスを言いながら両手足だけを部分展開したヘイズルで打鉄の歩行をサポートする。

皆飲み込みが早くて助かるよ。これでもう最後の六人目だ。

 

「うん、これだけ出来るなんてスゴいよ、葛木さん」

 

「あ、ありがとう!」

 

「それじゃあ、降りよっか」

 

葛木さんが打鉄の片膝を着いて停止させ、降りる。よし、これで全員かな。

他のところを見るとまだ終わってないみたいだ。さて、どうしようか。

 

「扶桑の班は全員終わったみたいだな、なら他の班のところを見て回ってこい。それと扶桑はボーデヴィッヒの班を手伝ってやれ・・・」

 

織斑先生の言葉に、ボーデヴィッヒさんの班を見るとまだ最初の一人目だった。どうやら、ボーデヴィッヒさんの説明が上手く伝わってないみたいだ。

 

「・・・アイツは根っからの軍人気質でな。昔よりはあれでもマシなんだ」

 

僕だけに聞こえる声量で織斑先生はそう言った。あれ以上にガチガチだったらもはやお通夜みたいな雰囲気になってたろうね・・・。

僕の肩をぽんと叩いて「頼んだ」と一言残して織斑先生は他の班を見に行ってしまった。

仕方ない、頼まれたからにはやらなきゃね。

 

「ボーデヴィッヒさん、手伝うよ~」

 

 

手を振って呼び掛けながら僕は小走りでボーデヴィッヒさんの班へと合流した。

 

 





という訳で二巻目序盤です。暫くは日常パートが続く予定です。

次回もお楽しみに‼
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