インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
ゴールデンウィーク?
ああ、そんなのもあったね・・・(白目)
『ーーああ、その事なら私達も把握している』
「そうですか・・・何か対応策は」
『講じてはいるがな。事が事だ。下手に動けば国際問題に発展しかねん』
「ふむ・・・」
まず最初に電話をかけたのは織斑先生だ。流石に教師陣はシャルロットの事については調べていると思ったからだ。
結果は予想通り。でも学園側も手を出しかねている様子。
織斑先生の言葉通り、下手をすれば国際問題に発展、学園の存続にも影響を及ぼすだろう。
『・・・まあ何とかするさ。お前達は事が収まるまで大人しくーー』
「一人、どうにか出来そうな人が居ます」
僕の言葉に電話越しに息を飲む音が聞こえる。思い当たる節があるのか一夏も目を見開いて固まってしまった。
ホントはあんまり迷惑かけたくないんだけどね・・・
『扶桑・・・お前まさか』
「出会って数日ですが、大事な仲間です。あらゆる手段を使いますよ」
『あの天災(バカ)がそう簡単に動くと思えんがな・・・』
「ははは、大丈夫です交渉材料はありますから・・・では、夜分遅くにすいませんでした。失礼します」
『おい待て学園外の人間を巻き込むのはーー』
何か言われる前に通話を終了。
取り敢えず確認は出来た。案の定ややこしい問題だ。
「睦月、何とか出来る人ってまさか・・・」
「一夏の予想通りの人だよ」
硬直から抜け出した一夏に淹れ直したお茶を飲みつつ答える。
天災にして天才、あらゆる法に縛られない規格外の存在。
「もしかして・・・篠ノ之束博士?」
「ご名答、シャルロット」
あっさりとそう返すとシャルロットは口元を手で押さえて言葉を失ってしまった。
僕の唯一にして最強のコネクションだ。
「で、でも僕なんかの為に睦月がそこまでしなくても・・・」
「シャルロット、次そんなこと言ったらヘイズルでデコピンするからね」
戸惑った様子のシャルロットに指を突き付け言葉を遮る。
僕なんかとは何だ。
「シャルロットは俺たちの仲間なんだ。『なんか』じゃない。そうだろ、睦月」
「そういうこと。さて・・・改めて聞くよシャルロット。君はどうしたい?」
そう、僕はどうにか出来る手段を持っているが、そこにシャルロットの意志がなければ意味がない。
これは彼女自身が決めるべきだ。
「僕は・・・」
瞼を閉じ思案するシャルロットを見ながら一夏と共に静かに答えを待つ。
「睦月、一夏」
そして何時間とも思える沈黙を破り、シャルロットが目を開く。
その目には先程までの諦めきった暗さは無かった。
「僕は、ここに居たい。皆と一緒に居たいんだ」
「だってよ、睦月」
「オーケー、なら一つやりますか」
にんまりと一夏と笑いあって、僕は再び携帯を弄る。電話の相手は篠ノ之束。
「シャルロット、一つ注意というか覚悟しておいて」
「穏便に済むかわからないんでしょう?大丈夫、覚悟なら出来てる」
「なら安心だね」
シャルロットの強い頷きを確認して、通話ボタンを押す。
『いつもニコニコ、むっくんの頭上に、忍び寄る天才篠ノ之束っです!!』
「ごめん、シャルロット別の方法を考えよう」
「「ちょっと待って!!」」
いや、まさかワンコールで出るとは思わないし、久々の会話の始めが某這い寄る混沌のパクりってどうなのさ。
さっきまでの真面目な空気が消えてなくなっちゃったよ。
『にしてもむっくんから掛けてくるなんて珍しいねぇ、それも私が付けた『秘匿回線』を使ってなんてさ』
「僕の手には負えない問題がありまして・・・」
『ふぅん・・・あぁ成程ね、おk把握』
少しキーボードを叩く音が響いたと思うと納得した声がスピーカーから聞こえた。
『ヘイズルのコアネットワークから情報は貰ったよ。成程確かにむっくんの手じゃ処理できないね。規模が大きすぎる』
「えぇ。・・・それで束さんに電話したんです」
『ほむほむ・・・でもむっくんの為ならまだしも、そこらの有象無象じゃなぁ・・・束さんやる気起きないよ~』
電話越しにぶーたれる顔が簡単に想像できる声音で束さんが気だるそうに言う。
そういうと思ってたさ。だから、ここで切り札(ジョーカー)を切る!
「箒さんのエプロン姿の写真約二十枚」
『はっはっはぁー!この天才に万事お任せあれぇ!!』
オッケー、言質確保。黛先輩に頼んでおいて良かったよ。代償は大きかったけどね・・・僕が女装した写真なんて需要無いでしょうに。
シャルロットと一夏にサムズアップすると二人とも安堵の息を漏らした。
「それで、頼みたいことがあるんですけど・・・」
『何でもバッチコイ!物理的に消すならファイバーにダンディライアンとバイザック載っけて突っ込ませられるよ!』
「魅力的な提案ですけど、出来れば穏便に済ませたいんです。それでですねーー」
丁重に断りながら、僕は束さんと話を続けた。
「ーーはい、ありがとうございます。クロエにも宜しく伝えておいてください。・・・それじゃあ、お休みなさい」
何点か頼み事をして通話を終える。これで後は待つだけだ。
携帯をポケットに入れて一息つくと、一夏とシャルロットが顔をひくつかせていた。
「睦月・・・お前意外とえげつないな」
「まさか、お父さんじゃなくて社長婦人の方を狙うなんて・・・」
「ああ、その事?」
シャルロットの言葉に軽く返して僕は自分の考えを言う。
「最初にシャルロットから話を聞いた時点で疑問だったんだよ。なんでわざわざ愛人の娘なんて使おうと思ったのかってね。幾らIS適正が高くても、デュノア社長からすれば隠蔽しておきたい、いわば弱点じゃない?バレればスキャンダルって事で間違いなく報じられる。一大企業の社長がそこまで考えないわけ無いと思ったんだ」
「それで社長婦人か」
「そ、簡単に束さんに調べてもらったけど、社長婦人の方はどうにも『使えない』らしいからね。それでいて婦人の方が社内を牛耳っているみたい」
女尊男卑の風潮・・・それ故にデュノア社長も上手く動けないのだとしたら。そこを突けばどうにか出来るかもしれない。
「まあこれで社長婦人が白で、デュノア社長自身が黒だったとしても内容は変わらないけどね」
シャルロットの立場を考えれば、デュノア社はこのまま存続した方が良いのだ。何かと理由をつけて学園に在籍させる事が出来るし。
他国亡命も考えたけど、それは最後の手段だ。
「何か・・・スゲェ大事だな」
「当然。ともすれば欧州IS業界のバランスを崩しかねないんだから。最初に言ったでしょ?僕らだけで背負える問題じゃないって」
僕らだけでどうにかしようとしたところで所詮は学生。出来ることは限られてるし、やったところで揉み消される。
「兎に角、現状やれることはやった。後は束さんの結果次第だね」
「その間、俺に出来ることってあるか?」
「そうだね・・・いや、何時も通りで大丈夫だよ。寧ろ下手に隠そうとすればバレやすいからね」
「了解だ。まあ幾分か肩の力を抜いてやってみるさ」
そう言って一夏がぐいとお茶を飲み干すと、シャルロットが小さく手をあげた。
「あの・・・」
「何か質問?シャルロット」
「ラウラには伝えた方が良いのかな・・・?」
「「あ」」
しまった、あの天然軍人を忘れていた・・・っ!!
変な所で勘が良いからシャルロットの変化にも気付きそうだし・・・
「あー・・・どうしよう」
僕は頭を抱え、ボーデヴィッヒさんへの対処に頭を悩ませるのだった・・・
シャルの問題はやっぱり難しい・・・
次回はラウラをメインに置く予定です
次回もお楽しみに‼