インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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ラウラかわいいよラウラ



#09 兎の話し合い

「ん?扶桑か」

 

「ボーデヴィッヒさんも飲み物買いに?」

 

「うむ、のどが喉が乾いてしまってな」

 

シャルロットの今後について話し合った、その翌日。

昼休みの中庭の自販機前でボーデヴィッヒさんとばったり会った。

買ったマウ○テ○デューを取り出し口から取ってボーデヴィッヒさんに場所を空ける。

 

「すまないな」

 

「気にしないで。なに飲むの?」

 

「これだ」

 

小銭を入れてボタンを押した指先には、『夏期限定!コーンポタージュソーダ』があった。

・・・いや、コーンポタージュソーダって何だ。冬の定番飲み物を何故ソーダにした?

絶対不味いよねそれ・・・

 

「これが中々に旨くてな」

 

「飲んだことあるんかい!!」

 

「一口どうだ?イケるぞ」

 

「いや、止めておくよ・・・」

 

丁重にお断りしてから、近くにあるベンチに二人で座る。

ボーデヴィッヒさんと二人きりというのは今回が初めてになるのかな?

缶のプルタブを開け、一口飲む。

 

「扶桑、聞きたいことがある」

 

「ん、何?」

 

「お前のヘイズル。あれは数年前ドイツで確認された機体に類似・・・いや、同一に見えるが、何か知っているか」

 

やっぱり聞いてきたか・・・。

ドイツ軍関係者だから、どこかで聞いてくるとはおもってたけどね。

さて、どう誤魔化したものか。

 

「束さんが作ったヘイズルの試作機だよ、僕が束さんに会う前に別の人を呼んでテストしてたみたい」

 

「・・・その人物について何か知っているか」

 

「全く。前任者がいたとしか教わってないからね」

 

嘘は吐いてない。実際、あの時のヘイズルは(第三世代型)試作機だし。

前任者は完璧に嘘だけどね。

 

「・・・そうか。つまらないことを聞いたな。すまない」

 

しゅんとするボーデヴィッヒさんを見て頭を撫でたくなる衝動に駆られるが何とか抑え、別の話題を出す。

 

「謝らなくていいよ。・・・それより、『シャルル』の事、お願いね」

 

「ああ、その事か・・・問題ない。秘密は守るさ」

 

コンポタソーダを飲んでそう答えるボーデヴィッヒさんを見て僕は安堵の息を吐く。

昨日の夜の内に部屋にボーデヴィッヒさんを呼び出し、事情を説明したのだ。

シャルロットとはトーナメントでペアになっているから、何処かで気付かれてしまうより、先に話して秘密にしてもらった方が都合がいい。

 

「そう言ってもらうと助かるよ」

 

「男であれ女であれ、『シャル』はシャルだ。そこに変わりはない」

 

腕を組んで自信満々にそう言い切ったボーデヴィッヒさんに僕は笑みを浮かべてしまう。

 

「・・・扶桑、何を笑ってる?」

 

「いや、何時の間にやら愛称で呼ぶほど仲良くなったんだなぁって」

 

「んなっ!?シ、シャルがそう呼べと言ったからだ!な、仲良くなど・・・って頭を撫でるな!」

 

「ボーデヴィッヒさんは可愛いねぇ」

 

なんというか庇護欲が沸いてしまうのだ。

う~、と唸りながら睨み付けてくるけど全然怖くない。

と、我慢が効かなくなったのか、手を払ってボーデヴィッヒさんが立ち上がった。

 

「わ、私は可愛くなどない!あまりからかうな・・・」

 

「う~ん、本当なんだけどなぁ、っと」

 

言いつつ飲み干した空き缶を専用のゴミ箱に投げ入れる。

むすっとした顔のボーデヴィッヒさんがそれを見ながら口を開いた。

 

「トーナメントの時は覚えていろ・・・」

 

「もしも当たったらお手柔らかにね」

 

「断る。元代表候補と渡り合える奴に手加減など出来るものか。全力で戦う」

 

そう言ってコンポタソーダの空き缶を僕と同じようにゴミ箱に投げ入れたボーデヴィッヒさんは背中を向けて歩きだした。

 

「一回戦落ちなど認めないからな・・・勝ち抜いて私と戦ってもらうぞ」

 

そう言い残してボーデヴィッヒさんは校舎の中へと入っていってしまった。

 

やれやれ、当日は不様な戦いは出来ないな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドイツの冷氷が、大分丸くなったな」

 

「きょうか・・・織斑先生、驚かさないで下さい」

 

中庭と校舎を結ぶ廊下の角でラウラは千冬に話しかけられ、息を吐く。

壁に寄りかかった千冬はラウラのそんな様子を見てふと笑う。

 

「それに私は丸くなった覚えはありません」

 

「そういうのは、得てして自覚が難しいものだ」

 

難しい顔をするラウラにかつて『冷氷』と呼ばれたほどの無感情さはない。

 

あの三年前の事件の後、千冬がドイツ軍に一応の恩を返すために特別教官として入り、訓練を施した最初の頃のラウラは機械的だった。

人工生命として産まれた彼女は幼年期にはトップクラスの実力を持っていたが、その後に行われた『実験』によって力が激減、一気に落ちこぼれのレッテルを張られてしまった。

締観と焦りがない交ぜになり、機械的になっていたラウラを何とか感情を表に出せるようにしたのが、千冬と、本人に自覚は無いだろうが一夏なのである。

 

「ボーデヴィッヒ」

 

「何でしょう?」

 

「お前から見て、扶桑はどう思う」

 

千冬の言葉にラウラは顎に手を当て考える。

感情表現が上手く出来るようになったラウラがこの学園に来て一段と明るくなった。

その要因の一つとして千冬が考えたのが、睦月の存在だった。

若干男性恐怖症を起こしていた簪と何時の間にか仲良くなっていたり、口下手なクラスメイトと賑やかに話したりと、千冬ですら不思議なヤツだと思ってしまう人間なのだ。

故に、ラウラについても彼が関わっていると思い、訊ねたのだ。

 

「何と言ったら良いのでしょうか・・・妙な安心感を持った人間、そう思えます」

 

「安心感、か」

 

「油断すれば何でも話してしまいそうになる。それほど自然体な奴です。とても同年代とは思えない位に」

 

そう答えてラウラは口を閉じる。

同年代とは思えない・・・その言葉に成程なと千冬は内心頷いた。

年頃の男子らしい一面があるかと思えば、昨日のように妙に落ち着いた雰囲気を出す。

見た目は幼く、しかし内面は大人びている。

どこの名探偵だと思わず千冬は鼻で笑ってしまう。

 

「織斑先生?」

 

「いや、何でもない」

 

かぶりを振って返し、千冬は寄りかかっていた壁から背を離す。

 

「さて、そろそろ昼休みも終わる。教室に戻るぞ」

 

「はい、教官先生」

 

「・・・前から思っていたがその呼び方はどうかと思うぞ」

 

「クラリッサがやっていたゲームではそう呼んでいたので真似てみたのですが・・・」

 

「アイツは・・・今度会ったら説教だな」

 

溜め息混じりに千冬が放ったその言葉に、遠いドイツの地で一人の女性が身震いした。

 





次回は訓練になりそうです。
二対二・・・上手く書けるかな・・・


次回もお楽しみに‼
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