インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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最近作ったガンプラの置き場に困り始めた作者です。
・・・いっそ倉庫でも作るか・・・




#12 無自覚な鬼畜

「苛烈な攻撃はしないんじゃなかったの、睦月?」

 

「え、序の口でしょ?」

 

「「いやあぁぁぁぁぁ!!」

 

ガン=カタの真似事をしながら二人同時にビームライフルで攻撃する。

連射速度を絞ってるし、リロードも隙を見せてる。それに両腕のシールドブースター装備してないからかなりハンデなんだけど。近接攻撃してないし。

 

試合開始からはや三分。こちらはノーダメージだ。

相手ペアは残りシールドエネルギー二桁ってところかな。

 

「私動かなくても十分なんじゃない?」

 

「まさか。山嵐の牽制がなかったらこうはならなかったよ」

 

開始直後に打鉄弐式の山嵐によるミサイルでの牽制。そこからヘイズルのビームライフルで削っていく。

作戦も何もなく、自然とこの形になってしまった。

 

「チェックメイト」

 

「くぅっ!」

 

「何も出来なかった・・・」

 

左右同時にトリガーを引き、打鉄とラファールのシールドエネルギーを零にする。

 

【第一試合終了 勝者 扶桑・更識ペア】

 

終わりを告げるサイレンとアナウンスが流れ、僕達はお互い一礼してピットへと下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「睦月、絶対お前腹黒だろ」

 

「相手に手を出させずにノーダメージ勝利・・・凄いと言うよりえげつないね」

 

「そんなバカな」

 

ピットに戻った僕と簪を迎えてくれたのは一夏とシャルロットだった。

いやいや手加減したよちゃんと。普段の訓練よりも手抜きだったよ。

 

「睦月は時折すごく鬼畜になる」

 

「ならないよっ!?」

 

鬼畜って・・・そこまで酷いことした覚えはないんだけど。

 

「シールドブースターで壁に固定して零距離でビームライフル連射したのに?」

 

「わざわざセシリアさんの武装全部潰してから相手の苦手な接近戦しかけたのに?」

 

「スタングレネードで麻痺した所にありったけの武装叩き込んだことあるのに?」

 

「うん、僕が悪かったです」

 

上から一夏、シャルロット、簪とそれぞれ言われる。

どれも訓練、というか模擬戦中にやった事だ。

あれ、僕って結構ヤバイ?

 

「何にせよ、勝った。・・・次は、織斑君試合?」

 

「だな。相手が量産機でも油断はできねぇ、全力でやるさ」

 

拳をぐっと握りしめ、一夏がそう意気込む。

ほぼ毎日放課後に訓練してたんだ、早々遅れは取らないだろう。オルコットさんのブルーティアーズも居るから白式もかなり動きやすい筈だ。

 

「一夏、勝ってきてね」

 

「応!」

 

拳と拳をコツンとぶつけ合う。

何て言うか、青春っぽくていいなこれ。

 

「睦月、先に観客席に行ってるね」

 

「了解、少ししたら僕も行くよ」

 

別のピットへと向かった一夏に次いで、携帯片手に簪が出ていった。布仏さんに呼ばれたみたいだね。

二人を見送ってから、待機用のベンチに置いたタオルを手に取り顔を拭く。短い試合だったとは言え、汗の量は凄いことになっている。

ベンチに腰かけたシャルロットの隣に座る。

 

「ねえ、睦月」

 

「うん?」

 

「その・・・ありがとう」

 

不意にシャルロットがじっと僕を見ながらそう言った。

突然の事に思わず腕を拭いていた手が止まる。

 

「僕の事、助けようとしてくれて。ありがとうって・・・変なタイミングだけど、言っておきたくて」

 

「ああ・・・」

 

言葉の意味に納得して僕は頷いた。

何と言うか、その律儀さに笑みを浮かべてしまう。

 

「どういたしまして、かな。僕自身は大したことやってないけど」

 

「篠ノ之博士を動かしただけでも凄いと思うんだけど・・・」

 

そうだろうか?僕としては家族にちょっとしたお願いをした感じなんだけど。・・・お願いの規模がデカいのは自覚してるけどね。

置いておいたスポーツドリンクの入った水筒を開け、一口飲む。

 

「仲間を信じ、仲間を助けよ」

 

「え?」

 

「前に読んだライトノベルの台詞でね」

 

中々面白い内容だったから印象に残ってたんだよね。武偵格好いいし。

かつての世界で高校時代の愛読書だったなぁ。

 

「シャルロットはもう僕たちの友達だ。だから何があっても助けるよ。大切、だからね」

 

「・・・・・・」

 

「何も返されないと流石に恥ずかしいんだけ・・・ど」

 

沈黙したシャルロットに視線を向けると、目が合った。

その瞳からは涙が流れていた。

 

「シャルロット?」

 

「ごめん・・・何だか、嬉しくて・・・睦月?」

 

はにかみながらそう言うシャルロットの頭を撫でる。

安心させるようにゆっくりと。

 

「大丈夫だよ」

 

「うん・・・ねえ睦月。少し、こうさせて・・・」

 

撫でていた手を握ってシャルロットが僕に寄りかかってきた。

 

「わわっ、シャルロット、今の僕汗臭いよ!?」

 

「シャル」

 

「え?」

 

「僕の愛称、そう呼んで?」

 

至近距離から上目遣いでそう言われ心臓の鼓動が早くなる。

握られた手が熱く、これが現実だと思い知らされる。

 

「・・・シャル」

 

「うん・・・・・・睦月」

 

噛み締めるようにゆっくりと僕の名を呼んだシャルロット・・・シャルは満面の笑みを浮かべ、それを見た僕の心臓の鼓動はさらに早さを増す。

 

「え、と・・・その〔カシャッ〕・・・・・・カシャッ?」

 

「え?・・・あ」

 

不意に鳴ったシャッター音、その方向に顔を向けると・・・

 

「いやぁ、第一試合終了インタビューしようと来たけど、思わぬベストショットが撮れちゃったよ~」

 

カメラ片手に超爽やかな笑顔をした黛 薫子先輩がピット入り口のドアに立っていた。

今の状況・・・端から見れば男同士が抱き合っているような状態。あ、これヤバイね。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・じゃ、まだ写真撮る系の仕事があるのでこれで!」

 

「一夏の寝顔写真!!」

 

ダッシュでピットから去ろうとした黛先輩を叫んで止める。この『ネタ』、彼女が止まらない筈がない・・・!

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

振り向いた先輩と睨み合うこと数秒、先輩がにこやかな笑顔とともに親指を立てた。

 

「オーケー、この事は秘密にしよう!」

 

「データは後で送ります・・・」

 

「毎度ありぃ~、じゃ!」

 

陸上選手もかくやと言わんばかりのスピードで黛先輩は駆けていった・・・ごめん、一夏。君の犠牲は忘れない。

 

「なんだか変な感じになっちゃったね?」

 

「また汗が出ちゃったよ・・・冷や汗が」

 

試合とはまた違った疲労感から思いきり溜め息を吐く。

こんな調子で大丈夫だろうか、今回のトーナメント・・・・・・。

 

「ところで、シャル」

 

「何?」

 

「まだ離れないのかな?」

 

「ごめんもうちょっと」

 

 

 

 

 

 

 

後日、寝顔写真集が秘密裏に売買されている事に気付いた一夏の悲鳴が学園に響き渡るが、それはまた別の話。

 

・・・購入者には黒いスーツの教師が居たとか居なかったとか。

 





おかしい、書き終わったと思ったら部屋の壁に幾つも穴が空いていた・・・

次回もお楽しみに‼
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