インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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影が薄いだなんて言わせない(迫真




#14 VS鈴&箒

大会二日目、昨日の予選では専用機組は全員見事勝利を勝ち取った。

そして今日の準々決勝第一試合は・・・

 

「こうして戦うのは初めてね、睦月」

 

「よろしく頼む」

 

僕、簪ペア対箒さん、凰さんペアである。

初っぱなから専用機持ちとですか・・・昨日の試合じゃ龍砲の面制圧と箒さんの剣技によって相手に手を出させずに勝っていた。

手を抜いて相手をすることなんて出来ないな、ここからは。

 

「お手柔らかに頼むよ、凰さん」

 

「鈴でいいわよ。呼びにくいでしょ?」

 

「じゃあ、鈴さん」

 

「なんか他人行儀っぽいけど、まあ良いわ。悪いけど、全力で行くからね!」

 

ビシッと甲龍を展開した指をこちらに向けて、鈴さんは不敵に笑った。

それとは対照的に箒さんは口を真一文字に結んで、真剣そのものだ。

 

『箒さん』

 

『なんだ?』

 

『例の件は気にせず、楽しもう』

 

プライベートチャネルで箒さんにそう話し掛ける。何か緊張してるみたいだしね。

 

『・・・そうだな。わかった』

 

一つ頷いて箒さんは肩の力を抜いて打鉄の刀を構えた。

敵に塩を送るみたいだけど、ほっとけないのは性分だから仕方ないよね。

 

「簪、今回から連携やるよ」

 

「了解、睦月となら出来る」

 

「心強いね」

 

「パートナーですから」

 

ニヤリと笑いあって、僕は両手のビームライフルを、簪は夢現を構える。

さあ、準備万端。始めようか。

 

 

 

【battle start】

 

 

 

 

 

 

 

 

「のっけからハイスピードだな・・・」

 

「相変わらずふそっちの機体は見た目によらず速いね~」

 

試合開始直後からシールドブースターの面目躍如と言わんばかりの超高速戦を繰り広げるヘイズルを、一夏達専用機組と合流した布仏は観客席から見ていた。

見ていた、と言っても目で追うのがやっとである。

 

「鈴さんも対処しにくいでしょうね」

 

「狙おうが狙うまいが攻撃が当たらないのではな」

 

「あの機動は相手にしたくないなぁ・・・」

 

セシリアの言葉に、冷や汗を流しながらラウラとシャルロットが試合から目を逸らさず思っていることを口にする。

 

「ん、更識が動いたぞ」

 

「箒さんもですわね・・・」

 

正に嵐の如きヘイズルの攻撃の最中に二機の打鉄が突入、互いの刃をぶつけ合う。

銃声と剣戟の音が鳴り響き、四機のISのシールドエネルギーを減らす。

そして簪対箒、睦月対鈴音の構図になるかと、一夏達の誰もが思ったその時、

 

「は?」

 

「何が起きたの・・・!?」

 

簪が鈴音に、睦月が箒へと攻撃を加えていたのだ。

一瞬の出来事にラウラが目を見開いて驚愕を口にする。

 

「あの一瞬で互いの立ち位置を変えたのか・・・!」

 

「ありえんのかよ、そんなの・・・」

 

睦月と簪との距離は目測で凡そ二十メートルは離れていたのだ。シールドブースターを起動しているヘイズルはまだしも、打鉄弐式が戦闘機動を行いながら一瞬で移動するのは難しい筈だ。

 

「まさか、瞬時加速ですの?」

 

「予備動作も無しにか?出来るのかそんなの」

 

瞬時加速は機体外部に溜め込んだエネルギーを爆発させ、一気に加速するという、ISを使う上での高等技能とされる。

エネルギーのチャージ、進行方向へのスラスターの微調整、減速にかけるエネルギーの演算等々をコンマ数秒の世界で行わなければならない。

それらを一切感付かせることなくやる等、恐らく三年生でも出来るのは数人だけだろう。

 

「鈴さんと箒さん、押されてるね・・・」

 

「戦う相手が急に替わったんだ、無理もない」

 

「二人ともああいった搦め手は苦手そうだからね~」

 

そう言い合っている傍から、鈴音と箒はヘイズルと打鉄弐式による攻撃によって完全に包囲されてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なのよ今の!?」

 

「やりにくいな、流石に」

 

背中合わせに立つ鈴さんと箒さんの相対しながら、ビームライフルのカートリッジを交換する。

立ち位置の高速切り換え、何とか上手く決まってよかったよ。

 

「貴女達は完全に包囲されている、大人しく出てきなさーい」

 

「もう出てるわ!!」

 

簪のボケに律儀に鈴さんがツッコミを入れる。

どうにかこっちに有利な状況に持ってこれたけど、流石にもう油断も無いか。

 

「扶桑、さっきの入れ替わり・・・」

 

「僕と簪が考えた作戦だよ」

 

箒さんの問いに油断なく銃口を向けながら答える。

位置替えの度に簪が瞬時加速を使わないと行けないし気づかれないようにしないといけないから、多用は出来ないけどね。

左手のビームライフルをブルパッブマシンガンに切り換える。

 

【残りシールドエネルギー 568 パートナー、残りシールドエネルギー 429】

 

簪のシールドエネルギーがそろそろ心許ないか・・・鈴さんと箒さんがアイコンタクトしてるし、油断は出来ないか。

 

『簪』

 

『わかってる。無茶しないでね』

 

『二人がどう動くか分からないから、確約しかねるかな』

 

プライベートチャネルで簪にそう言って、動き始めた二人へと加速しながら弾をばら蒔く。

 

「ちぃ!!しつっこい!!」

 

「謙虚じゃ居られないからね!!」

 

ブルパッブマシンガンの弾幕が簪へと向かおうとする甲龍のシールドエネルギーを削る。

ビームライフルで箒さんの動きを牽制しつつ、注意を此方に向け、二人の動きを制限する。

 

「くっ・・・衝撃砲は、やっぱりキツいなぁ・・・!」

 

お返しとばかりに弾幕を掻い潜って放たれる龍砲の攻撃がヘイズルのシールドエネルギーを削っていく。

箒さんも順応してきたのか距離を詰め始めている。

よし、二人の注意が僕に集中している。これなら・・・!

 

「睦月!!」

 

「了解!」

 

簪の掛け声に呼応してシールドブースターを下向きに起動、瞬時加速ばりのスピードで急上昇を行う。

そしてそれと入れ替わるように上空から数多のミサイルが降り注いだ。

 

「全弾、着弾を確認。・・・どっちかを仕留め損ねた」

 

ヘイズルのセンサーにも、反応が一つ検出されている。さて、どっちが来る・・・?

油断なく爆煙を見ていると、銀色の何かが煙の中を切り裂いて打鉄弐式の非固定武装に突き刺さった。

 

「くぅ!?」

 

「打鉄の・・・刀?」

 

ヘイズルのカメラアイがその姿を捉える。

紛れもなく、先程まで箒さんが握っていた打鉄の刀だ。

簡単に箒さんが武器を投げるとは思わない。だとしたら残ったのは・・・!

 

「鈴さんか!」

 

「ご名答!!」

 

背後から降り下ろされた二本の青龍刀を振り向きながら右腕のシールドブースターで何とか受け止める。

それなり以上の重量を持つ刃に、シールドの装甲が音を立ててひしゃげる。

 

『睦月、ごめん!バランサーがイカれた・・・戦闘機動できそうにない』

 

『了解・・・!』

 

シールドブースターから火花が見えたので直ぐ様パージして後退するが、鈴さんがそれを薙ぎ払って爆発の余波を使って肉薄してくる。

そう簡単に距離を開けられないか・・・!

 

「こちとら負けられない理由があるのよ!」

 

「それは僕も同じだ!」

 

抜き放ったビームサーベルと青龍刀が幾度もぶつかり合う。

 

【残りシールドエネルギー 314】

 

近接戦闘の得手不得手の差か、気付けばかなり削られてしまった。

横薙ぎに振るわれた青龍刀を左腕のシールドブースターで弾いて無理矢理に距離を開ける。

ビームサーベルを格納し、ロングブレードライフルを展開。ヒートサーベルモードで起動させる。

 

「ご自慢の射撃はやらないのかしら?」

 

「最後はそっちの得意距離でやろうかなってね」

 

距離を離したと言ってもほんの少しだ。鈴さんならこちらがビームライフルを構える前に踏み込んでこれるだろう。

ロングヒートサーベルを肩に担ぐように構える。

それに答えるように鈴さんも青龍刀を連結して構える。

 

「「いざ!!」」

 

掛け声とともに背中のシールドブースターを出力全開で起動、一気に距離を詰め、渾身の力を持って刃を叩きつけるーー!!

 

斬!!

 

「く、うぅ!!」

 

超高熱の刃は受け止めようとした青龍刀の刃ごと、甲龍のシールドバリアを溶断した。

鈴さんが溜め息まじりに声を出す。

 

「私たちの負けかぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

【battle end】

 

 

 

試合終了の合図と同時に盛大な拍手がアリーナに響き渡った。

 





二組だからといって甘く見てはいけない(戒め

次はいよいよVS一夏ペアです

次回もお楽しみに‼
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