インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
一夏の成長速度が作者にも予測できなくなってきました・・・
「セシリア!?」
「行かせない・・・!」
「更識・・・!」
春雷を放って、睦月の攻撃によってダメージを受けたブルーティアーズの援護に向かおうとする織斑君を止める。
今、睦月の元に行かせるわけにはいかない。
織斑君のペアを相手する際厄介なのは、ブルーティアーズによる援護というのは睦月が言っていた。
オルコットさんの射撃精度は日に日に増しているし、ビットの操作技術も精密さに磨きがかかっている。下手に放置したらビットによって動きを制限されて、白式の零落白夜によって落とされかねない。
だからこそ。
「セシリアを先に狙ったのか・・・!」
「ご名答っ」
夢現と雪片弐型をぶつけ合う。薙刀である夢現でリーチには勝るけど、出力の差か押されてしまう。
この操作技術の上がりよう・・・本当に初心者なの・・・?
夢現を手繰り、雪片を弾いて距離を開きながら春雷を続けて撃ち込む。
「距離は・・・」
二発の荷電粒子砲を避けて、白式が力を溜め込む動作を見せる。
・・・マズイ!
「開かせねぇ!!」
瞬時加速によって開かれた距離を文字どおり一瞬で詰めた白式が零落白夜の蒼いエネルギー刃を振り降ろす。
夢現による防御はさっきの攻撃で無理だと解った。
・・・一か八か、やってみるしかない!
刹那、私は夢現を手放し、白式の腕の側面に向かって右腕をを伸ばす。
睦月に貰ったこの武器(ちから)、今こそ使う!
「パルマ・フィオキーナ!!」
「なっ!?」
蒼白の閃光がシールドエネルギーに威力を減衰されながらも白式の装甲を焼く。
その衝撃によって零落白夜の軌道がずれ、左肩の非固定武装を切り裂いた。
「かすっただけでこの威力・・・一撃必殺は、ウソじゃない、か」
【残りシールドエネルギー 204】
一瞬前まで500はあったシールドエネルギーがごっそりと無くなっている。
使えなくなった非固定武装をパージ、残った右の非固定武装を背中に移動して何とかバランスを保つ。
これで山嵐は使えなくなった。それにスラスターの数も減ったから機動力も落ちた。
でも、
【白式、残りエネルギーシールド 196】
後がないのは織斑君も同じだ。戦闘機動しながら零落白夜を使えるのは後一度が限度の筈。
「つっ・・・掌からビームって、とんでもない武器だな」
「睦月が造ってくれた、大切な武器だから」
「アイツ、IS用の武器まで造れんのかよ・・・ハイスペック過ぎだろ」
「織斑君には言われたくないと思う」
入学早々、代表候補生に模擬戦で勝利して、クラス代表トーナメントでは謎のISを撃破しているだけで十分過ぎる。
むしろそれで平凡だと言うならこの学園の大半のIS操縦者は凡人以下になってしまう。
『簪、瞬時加速行けそう?』
『一回なら。やっぱり白式と戦いたい?』
『男の子だからね』
ブルーティアーズの相手をしていた睦月からプライベートチャネルで通信が入る。
私としても、このままパルマだけで白式と戦うのはキツい。
幸い、ブルーティアーズは私と同じく非固定武装の一つを破壊されている。
『了解、タイミングは睦月に任せる』
『・・・ありがとう』
了承の意を伝え、私は織斑君に気づかれないように瞬時加速の準備に入る。
バレてしまえば作戦は破綻するし、対応されてともすれば私達が負けてしまう。よく睦月はこれを実戦で使おうと思ったなぁ。
『カウント。アイン』
睦月がカウントダウンを始める。
瞬時加速は準備を完了し、ヘイズルとの相対距離も確認した。
『ツヴァイ』
後はーー、
『ドライ!!』
突っ込むのみ!!
【瞬時加速 起動】
「なっ、睦月!?」
「さっきぶり、一夏」
ほんの一瞬の間隙を突いて簪との位置を換え、一夏の前に立つ。
一夏からはいきなり僕が現れたように見えるだろうね。
「箒達との試合で使ったヤツか・・・」
「簪命名、『取り替え子(チェンジリング)』だよ」
ヨーロッパの伝承にある、妖精の逸話から取ったらしいけど、成る程ピッタリな名前だと思ったよ。
さて、と。
「悪いけど、倒させてもらうよ。一夏」
「はっ」
ロングブレードライフル、ブレードモード起動。
灼熱のその切っ先を向けると、一夏も鼻で一つ笑って雪片を構えた。
「残念だが、倒れるのはそっちだぜ」
一秒にも満たない沈黙。
そして、
「「勝つのは僕(俺)だ!!」」
急加速を持って互いの武器をぶつけ合う。
白式の残りエネルギーを見ても、零落白夜はここぞと言うとき以外は使えないだろう。だからこそこうやって何の懸念もなく刃を交わすことが出来る。
「お前との真剣勝負、そういやこれが初めてか、っと!」
「何だかんだ、そうかもっ、ね!!」
攻守を入れ換えながら火花を散らす。
やはり近接特化なだけあって此方のダメージが大きくなってしまう。
でも、白式のシールドエネルギーも確かに削っている。勝てなくはないだろうけど、油断は出来ない。
「また近接戦上達したんじゃないか、睦月」
「毎度の訓練で一夏と戦ってないからね」
数にして三十合打ち合って、鍔迫り合いに持ち込む。
その時、視界にメッセージが表れた。
『打鉄弐式 撃破 ブルーティアーズ 撃破』
・・・相討ちに持ち込んだのか、簪。
ハイパーセンサーで確認すると、僕に向かって簪がサムズアップしていた。
『睦月、頑張って』
プライベートチャネルで、そう伝えられる。
ああ、この勝負。絶対に負けられないな。
【ロングブレードライフル ジェネレータ出力上昇】
「全力全開!!」
「白式!!」
灼熱の刃が更に赤く染まり上がったのを見て一夏が弾かれるように後退した。
感付かれたか・・・。零落白夜を展開していない雪片弐型は言ってしまえば少し頑丈なただの刀なのだ。だから無理矢理溶断しようと思ったんだけど。
「恐ろしい事考えてたろ、今」
「何の事やら。それより一夏、気づいてる?」
【ロングブレードライフル 冷却開始 エネルギーカートリッジ リロード】
「何をだ・・・っ!?」
【左腕 シールドブースター起動】
ヘイズルから矢継ぎ早に情報が送られてくるなか、一夏が自分と僕との距離に気付いたが、もう遅い!
【シールドブースター ロック解除】
「飛べぇ!!」
殴り付ける様に左腕から起動したシールドブースターを射出する。
直ぐ様ロングブレードライフルの照準をシールドブースターに合わせ、シールドが一夏の直近に至った瞬間、トリガーを引いた。
「しまっーー」
放たれたビームによりシールドブースターが爆発。あの距離だ、確実に爆発に巻き込めた。
【白式 残りシールドエネルギー 47】
でも、ここで諦める一夏じゃない。
爆炎の尾を引きながら雪片を構えた白式が真っ直ぐに突っ込んでくる。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「これで・・・!!」
即座にロングブレードライフルを投げ、右腕のシールドブースターを点火。殴り付けるのと同時に『瞬時に展開された零落白夜』の刃が振り上げられた。
「「終わりだ!!」」
轟ッ!!
装甲を潰す音と切り裂く音が響き、アリーナが静まり返る。
【ヘイズル 残りシールドエネルギー 7 】
【白式 残りシールドエネルギー 0 】
「僕の、勝ちだよ」
「ああ、悔しいな・・・」
力尽きたのか、凭れかかってきた一夏を受け止める。
左肩には、その機能を停止した雪片が突き刺さっていた。
観客達に見えるように右腕を天高く突き上げる。
【battle end】
その瞬間、沸き起こる歓声がアリーナを揺らした。
こうして、公式戦初の男性IS操縦者同士の対決は幕を閉じた。
これにて対一夏ペアは終了です。
休憩話を挟んで、次は遂に決勝戦です。
次回もお楽しみに‼
P.S. この作品をお気に入り登録して下さった方々、又、評価をして下さった方々、本当にありがとうございます。
これからもどうかこの作品をよろしくお願いいたしますm(__)m