インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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最近になってザクタンクの格好よさに気づいてる作者です。




#17 黒兎と白兎

準決勝が無事終わり、お昼休み。

皆と軽く食堂で昼食を食べた後、僕は校舎裏に一人移動して、ある人に電話をかけた。

 

「もっしー、束さんだよー!!君はー!」

 

「もっしー、睦月だよー!って何言わせるんですか!?」

 

「いやぁ、むっくんなら私のボケに乗ってくれると信じてたよ!」

 

「もう・・・」

 

そのある人とは、天災科学者 篠ノ之 束さんである。

何故、束さんに電話したかというとシャルロットの件で現状気になる点があるからだ。

 

「気になってるのはデュノア社の事だよね?」

 

「はい・・・『動いて』ますか?」

 

「ちょっち待ってね~」

 

カタカタと、携帯のスピーカーからキーボードを叩く音が少し聞こえた後、束さんが何処かニヤついた声を上げた。

 

「動いてる動いてる。今デュノア社の監視カメラと情報ハッキングしたんだけど、かなり楽しい事になってるよ。只の凡人だと思ってたけど、中々に面白いじゃないか」

 

束さんがこういう声音で話す時は決まってえげつない事が起きている。つまり、デュノア社社長、アレックス・デュノアさんは相当な事をしているんだろう。

 

「一体、どうしてるんですか?」

 

「今IS学園(そっち)にいる塵・・・社長夫人、だっけ?ソイツの裏情報あったじゃん。あれの証拠かき集めて、裁判起こそうとしてる」

 

ん?その話だと特に普通だと思うんだけど・・・

疑問に思っていると、束さんが続きを話してくれた。

 

「それで私が面白いと思ったのがここからなんだけど。その社長夫人、別の国に新型の開発データを売ってたって情報、あったでしょ?デュノア社は衰退仕掛かってるとはいえフランスIS企業の顔みたいなモノ。それに泥を塗ったとして国に直訴。元からそうしようって考えてたのか、あっさりと通ってね」

 

「つまり?」

 

「社長夫人の国籍、裁判の結果がどうあれ無くなる」

 

・・・・・・うわぁ・・・うわぁ。えげつない。

結果がどう転んだって社長夫人に未来は無いと決まってるとか。

 

「所得財産も社長が全部引き取って、違法なモノは国に返すんだってさ。社長夫人が空港に着くのと同時に畳み掛けるつもりみたいだね。ふふ、この社長楽しませてくれるじゃないか」

 

束さんがクックッと笑う。

電話で会話した時は穏和そうな人だと思ったけど、だいぶ苛烈な事をするんだな・・・いや、それだけ鬱憤が溜まってるのか。

 

「良いもの見せて貰ったお礼にちょっとだけ手伝っちゃおうかなぁ」

 

「はい?」

 

なんかサラリとヤバイことを束さんが言った気がする。手伝う、って・・・

 

「いやさ、このまま見てても良いんだけど。でもこのまま行くと女性権利団体とか言うアホな連中に絡まれるじゃん?今は私が偽の情報流してとめてるけどさ」

 

「もしかしなくても、フランスの女性権利団体を」

 

「社会的に消えてもらおうかと♪そうすればデュノア社は自由に動き回れるからね」

 

「・・・・・・」

 

突拍子すぎて言葉が出ない。確かに束さんの言う通り、フランスの女性権利団体が無くなればデュノア社は大手を振って夫人を排斥する為に行動することが出来る。

でもその場合、ともすれば束さんが裏で動いているのがバレ易くなってしまう。

 

「なぁんてね、消すのはウソだよ」

 

「え?」

 

「あんまり動き過ぎるのは良くないしね~。精々が諸々の処理が終わるまで今みたいに動きを制限する程度だよ。飽くまでデュノア社の問題だし、そこまででしゃばる気は無いよ」

 

僕の内心を読んだかのように束さんがそう言った。

よかった・・・もしも実行して束さんの存在がバレてしまったら大問題になってしまう。デュノア社どころじゃなくなるのは確実だ。

僕のわがままで束さんにそんな迷惑はかけたくない。

 

「むっくんは優しいねぇ」

 

「そんなんじゃ・・・」

 

「いんや、優しいよ。十分過ぎる程に。こんな私にも心配してくれてるんだしね」

 

「心配するのは当たり前です。・・・大事な人ですから」

 

「・・・ふぁ!?」

 

唐突に束さんが素っ頓狂な声を上げた。急にどうしたんだろう?

 

「束さん?」

 

「ああ、いやうん、えとそのあああありがとう!?」

 

「ど、どういたしまして?」

 

「あー、えーと、くーちゃんに変わるね!」

 

「へ、え?」

 

言うだけいって束さんは携帯をくーちゃん・・・クロエに渡したのかがそごそと音が鳴る。

暫くそんな物音がしたあと、クロエの声がスピーカーから聞こえた。

 

「もしもし。お久しぶりですね、お兄様」

 

「久しぶり、クロエ。束さんどうしたの?」

 

「ちょっとエラーが発生してるみたいです。暫くしたら治まると思います」

 

「そ、そう」

 

エラーて・・・何だか毒舌になってるなぁ。

因みにお兄様っていうのはクロエからそう呼んできて、それが定着しただけであって、僕が呼ばせてる訳じゃない。断じて無い。

というかクロエとは実際同い年なんだけど、どうしてかそう呼びたいらしい。

 

「そっちは元気だった?」

 

「はい。相変わらず束様は研究詰めです」

 

「はは、あんまり根詰め過ぎないように言っておいてね」

 

「わかってます。・・・そういえばお兄様、義足のメンテナンスはちゃんとしていますか?」

 

「・・・・・・あ」

 

クロエの一言に身体がぴしりと固まる。

 

僕の両足はこの世界に来る前にあった交通事故によって無くなってしまっている。今こうして歩けているのは束さんが造ってくれた義足のおかげだ。今つかっているのは二代目で、人口皮膚を使っているから、第三者からみれば普通の人間の足に見えるだろう。現にバレてないし。

 

・・・確か、最後にメンテナンスしたのって入学前日だったような・・・・・・

 

「はあ・・・お兄様は妙なところで天然、というか抜けていますから、そんな事だろうと思ってました」

 

「あ、あはは・・・面目ない」

 

兄として恥ずかしい限りだ。

面と向かって話している訳じゃないのに、思わず頭を下げてしまう。

 

「そうですね・・・え?その日は・・・わかりました」

 

「どうかした?」

 

「いえ、お兄様は確か五月に臨海学校がありましたよね?」

 

「うん、確かにあるね」

 

「束様がその時にメンテナンスしたいと言っているのですが」

 

「ん、わかったよ」

 

「ではそのように。・・・くれぐれもメンテナンスの時までは無茶な行動は控えてくださいね?」

 

「うん。善処するよ」

 

善処するとは言ったけど、臨海学校までそう期間は無いんだし、無茶をする事なんてそうは無いと思うけど。

ここは妹の言葉を素直に受け取っておこう。

 

「それではそろそろ切りますね。・・・決勝戦、頑張って下さい。応援してます」

 

「・・・ありがとう、またね」

 

携帯の通話終了のアイコンを押して、ジャージのポケットにしまう。

クロエからの応援・・・次の決勝は何がなんでも負けられないな。

 

「よしっ」

 

決意新たに校舎裏を出る。そろそろ準備をする時間だ。

最後なんだ、派手に決めたいね。

 

 

 

決勝戦の相手はボーデヴィッヒさんとシャル。

かつてボーデヴィッヒさんに言われた通り、全力で戦おう。

 





次回は遂に決勝戦!
激戦に・・・出来るよう頑張ります(白目

次回もお楽しみに‼
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