インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
ペイルライダー、プラモ一般販売しないかなぁ(遠い目
様々な色の閃光が、さながらイルミネーションのように戦場を彩る。
観客席がその光景を見て沸き立つが、果たしてその中にどれだけの人がこの光景が、常人を一瞬と経たずに消し去れる『死』の舞踏だと気付いているだろうか。
「貴様の相方は、馬鹿げた機動力だな」
「それがウリみたいだから」
放ったブレードワイヤーの悉くを弾かれ、ラウラは舌を巻く。
更識 簪。日本に来る前に見たデータではあまり良いと言える戦績では無かった。それ故に他の代表候補よりもマークが薄れていた。
(己の未熟さが腹立たしい・・・!教官の言う通り、データなど当てにした所で意味などなかった!)
内心、己自身に苛立ちを覚えながらも冷静に打鉄弐式から撃たれる荷電粒子砲の閃光を回避する。
同じ中距離戦を重きに置いた機体同士、A.I.C.が有る分ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンの方が有利に思える。
だが、相手にとっては同じ中距離戦機体だからこそ近付く必要もないのだ。A.I.C.の有効射程は全開出力で精々2メートル弱。ならばその範囲外から攻撃を加えれば良いだけの話なのだ。
現に試合開始から簪は一切接近戦を仕掛ける事なく、A.I.C.の有効射程にギリギリ触れない距離から攻撃している。
(しかし、奴の切り札であるミサイルは封殺できるのが救いか)
A.I.C.は実体を持ったものなら如何なる物も停止させる。それ故、簪は山嵐を撃つことが出来ない筈だ。撃ったところで停止されては意味がない。
そう思いつつもラウラは不安感を捨てきれないでいた。
(まだ奴には何か有る・・・確実に)
簪の挙動に注視しながらラウラは非固定武装に搭載されたレールカノンを起動させる。
相手が中距離戦を望むなら、その誘いに乗ってやる。
不安を払拭するためにそう意気込んでラウラは笑った。
『ーーーーチカラガ、ホシイカ?』
戦いの騒音の中、そんな声が小さく聞こえた気がした。
「山嵐が使えないのはやっぱりツラいな・・・」
襲い来る6本のブレードワイヤーを夢現で弾きながらそう呟く。
第三世代兵器A.I.C.・・・厄介なことこの上無い。山嵐のマルチロックを使っても、弾頭を止められてしまっては容易に突破されてしまうだろう。
かと言ってこのまま春雷だけで戦おうにも相手の方が手数が上。削られきってお仕舞いだ。
【残りシールドエネルギー 573】
【シュヴァルツェア・レーゲン 残りシールドエネルギー 614】
こんな時、睦月ならどうするだろうか。
ハイパーセンサーで睦月の戦いを確認すると、鈍重そうな見た目からは想像できないスピードでデュノア君を圧倒していた。
「余所見をしている隙があるか!」
「ちっ!」
ブレードワイヤーの間隙を縫って放たれたレールカノン〔ブリッツ〕の一撃をサイドロールで回避する。危ない・・・ボーデヴィッヒさんの言う通り、余所見している隙はない。
でもどうする?遠距離武装の山嵐はA.I.C.で対処されるだろうし。かといってこのまま中距離戦をしていてもジリ貧だ。
『ならいっそ、突っ込んでみれば?』
「え・・・?」
唐突に聞こえた睦月の声に私は目を見開いた。
ハイパーセンサー越しにヘイズルが武器を携えた片手を上げた。
・・・そうか、いつの間にか安全策に逃げてたんだ、私。
『睦月!』
『うん』
『私、暴れるからよろしく!』
【瞬時加速、エネルギーチャージ。 山嵐マルチロック。春雷稼働用エネルギー、各種用にブースターに転換】
何かもう、色々吹っ切ろう。
・・・守ってたら負ける、攻めろ!
『オーケー、二人で大暴れだ!』
「「イグニッション!!」」
瞬時加速によって一気に距離を詰めながら山嵐を全弾頭を一斉発射。
「バカなっ!?」
ボーデヴィッヒさんの声が聞こえるのと同タイミングで計48発のミサイルが着弾、土煙を巻き上げる。
そこに躊躇なく突入し、側面を取って夢現をブーメランのように投げつけた。
投げたその先にデュノア君が落下し、夢現の追撃が入る。
更に上空から煙を晴らすかのような弾幕が降り注ぎ、二人のシールドエネルギーを削りながらヘイズルが下降。
【ブースターエネルギー、春雷に一部転換 バレル展開 瞬時加速チャージ開始】
「睦月!!」
「受け取って!」
使用制限を解除されたロングブレードライフルをすれ違い様に受け取って両手で槍のように構える。
その間にも春雷を連射して二人を追い込む。
ハイパーセンサーで睦月の位置を確認。ちょうど二人を挟み込む位置に立ったみたいだ。
【エネルギーチャージ ジェネレーター出力安定】
睦月みたいに出来るかわからないけど・・・やってみせる!
「「ファランクス!!」」
瞬時加速のスピードに乗せてロングブレードライフルがシュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーに突き立てる。
そして、
「「シュートォ!!」」
トリガーを引いた。
「く、そぉ・・・!!」
「ラウラ!」
【残りシールドエネルギー 103】
エマージェンシーのアラートが視界を埋め尽くす。
シャルロットの声すら届かず、ラウラは呆然としていた。
一瞬。正に一瞬でグリーンゾーンにあったエネルギーがレッドゾーンに突入し、最早ゼロになろうとしていた。
脳裏に浮かぶのは敗北の二文字。諦観しきった心がそれを受け入れようとする。
「まだだよ!!」
「っ!」
しかし、寸での処でシャルロットの声に弱りきった目が光を取り戻す。
そうだ、まだだ。試合はまだ『終わっていない』・・・!
【レールカノン〔ブリッツ〕使用不可能 ブレードワイヤー 四基破損 A.I.C.出力不安定 レーザー手刀 使用可能】
【限界使用回数 2回】
「ああ、そうだーー」
肘から手先にかけてレーザーによって構築された刃が具現する。
突き刺さった刃を気にもせず、ブースターを起動させ、距離を詰める!
「私はまだ、戦える!!」
「くっ・・・!」
桃色の光刃が打鉄弐式の装甲を焼き斬り、シールドエネルギーを削る。
続けて使えるブレードワイヤー全てを放ち、打鉄弐式の非固定武装に突き立て、動きを固定する。
「逃がす・・・ものか・・・!」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
レーザー手刀を突き立てんと腕を伸ばし、同時に簪が開いた右手を伸ばしたその瞬間。
『オマエニ、チカラヲ、クレテヤロウ』
『タタカイニ、ショウリスル、チカラヲ』
「ーーーーーーえ?」
【Valkyrie Trace System standby】
ラウラの視界は暗闇に染まった。
というワケで例のシステムが起動しました!
どうなるラウラ!どうする睦月!
次回もお楽しみに‼