インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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今回はトーナメント後の裏話です。

MGヘイズルが何時か出ると、私は信じています。



#24 裏話

「・・・もしもし?」

 

「久しぶりだな、『シャルロット』」

 

「うん、久しぶりお父さん」

 

ゴールデンウィークを目前に控えたある日の放課後、人気の無い校舎裏でシャルロットは父であるアレックス・デュノアと電話をしていた。

 

「諸々の処理が済んでな、漸く電話が出来る程度には落ち着いた」

 

「そうだったんだ・・・よかった」

 

シャルロットはアレックスの事をそれほど嫌悪していない。寧ろ好いている方だ。かつては自分を見捨てたと思い込んでいたが、睦月に本当の事を教えられその考えを改めた。

近況について話すアレックスの言葉は軽快で、人柄の良さが滲み出ている。

彼自身、コミュニケーションを取れなかった時間を少しでも埋めたいのだろう。

 

「そう、扶桑睦月君、だったか?彼とは仲良くしているかね?」

 

「え、まあ・・・うん。クラスに上手く馴染めるよう、手伝ってもらってる」

 

「そうかそうか、それは良かった。恐らく、彼のおかげで我が社は生き残れたのだからな」

 

どうやら、あの時・・・シャルロットが睦月に助けを求めた時の電話一つで色々察したらしい。

確かにあれだけの裏情報を何のてらいもなくデュノア社に送りつけ、女性権利団体を止められるのは天才、篠ノ之束くらいなものだろう。そして現状その天才に近しく、動かせるのは睦月しか居ない。

 

「今度、内密にだが、礼を言わなければな」

 

「本当に、感謝してもしきれないよ」

 

社長婦人は帰国後何の準備も出来ぬまま裁判に挑み敗北。そのまま情報漏洩の罪に問われ国籍を剥奪。最低限の金品だけ持たせて国外追放され、今頃はどこか辺境の地で生きている事だろう。

女性権利団体もその活動の苛烈さを問題視され、政府の命により解体を余儀なくされたらしい。

つくづく『都合が良い』流れと言える。

何よりもアレックスが喜んでいるのは、

 

「お前とこうしてゆっくり話せる事が、一番幸せなんだ」

 

「・・・僕もだよ」

 

これまでは夫人の存在が邪魔をして、会話という会話が出来なかった二人にとって、他愛の無い話が出来るというのは、これ以上無い幸せであった。

 

「そうだ、シャルロットにも伝えておかねばな」

 

「何を?」

 

「第三世代機、開発の目処が漸く立った」

 

「え?」

 

唐突にアレックスが告げたのは社会的にも大きな衝撃を与えるものだった。

あまりの事にシャルロットの思考が一瞬止まる。

 

「お父さん、それ本当!?」

 

「ああ、もとよりフィーネが居なければちゃんとした開発に着手出来る段階まで進めていたからな」

 

「すごい、すごいよ!」

 

はしゃぐシャルロットに電話越しにアレックスは笑みを浮かべる。

 

「そちらが夏休みに入ったら一度戻ってきて欲しい。お前にも見せてやりたいからな」

 

「うん・・・うん!」

 

年頃の少女らしい笑顔で、シャルロットはそれからも父と日が沈むまで話続けた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けたたましいアラームが鳴り響く。

異常事態を知らせる赤いランプが至るところで明滅する最中、白衣を着た人々が慌ただしく廊下を駆け回る。

 

 

時はタッグマッチトーナメントを終え、日本では月曜日。

ドイツのある山奥での出来事である。

 

 

「バカな・・・なんで研究所(ここ)がバレた!?最新の隠蔽処置を施したはずだろう!」

 

アラームと人が走る不協和音の最中、一人の研究者が使いなれたデスクを殴り付ける。

彼はここの責任者であり、同時に『VTシステム』の生みの親でもある。

・・・そう、彼こそがラウラのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』にシステムを取り付けた張本人である。

 

「ありえないありえないありえない!こんな処で終わるだと?冗談じゃない!」

 

キーボードをガチャガチャと叩きながら嘆きの声を上げる。

見つかることなど、あるはずが無いと思い込んでいた。

名を騙り、戸籍を偽り、ありとあらゆる手を尽くしてドイツ軍に忍び込み、最新鋭機であるレーゲンにシステムを組み込んだ。

そしてトーナメントの時、搭乗者の危機を察知して、システムによって敵を破壊。システムの優秀さを世に知らしめる・・・筈だった。

 

「捕まってたまるか・・・私の作り上げたシステムこそ至高なんだ!こんな・・・こんな処で終わってたまるか!」

 

冷静になって考えれば、そんな計画が成功するわけが無いと考えが至っただろう。

しかし、今の彼にはそんな冷静さなど微塵も無い。あるのは小さなプライドと自己顕示欲だけだ。

一心不乱にモニターに向かう彼の耳に、雑踏とアラームに混じった、本来こんな場所で聞こえるはずの無い音が聞こえた。

 

「そんな・・・もう、軍が着たのか?」

 

爆発音だ。

それは何度も何度も彼の耳を叩きながら段々と近付いてくる。

紛れもない『死』の存在に、指が止まる。目は焦点が合わず、歯は噛み合わず音を鳴らす。呼吸の間隔は短くなり、頭痛がいやに増す。

 

そして。

 

「あ、あぁ・・・!」

 

『ミツケタ』

 

鉄の軋む音を立てて扉がひしゃげながら開かれ、彼にとっての『死神』が姿を現した。

気付けばアラームの音も、雑踏も、悲鳴も消えていた。

非常灯だけが薄暗く照らす部屋の中、『死神』は研究者の前に立った。

 

『VTシステムの開発者、アラン・クラディウス。貴方には、ここで果てていただきます。理由はおわかりですね?』

 

少女の声で冷酷に、死神は宣告する。

 

それはISだった。純白の全身装甲の手足は細く、その右手には杖とも、剣とも、銃とも、楯にも見える不可思議な武器が握られていた。

丸みをおびた頭部にある『ツインアイ』が研究者を冷たく見据える。

 

「い、いやだ!私はまだ・・・」

 

『残念ですが、貴方に選択肢はありませんし、拒否権なんてものはありません』

 

嘆く研究者に死神が右手の複合兵装を躊躇なく向ける。

恐怖心が最高潮に達した研究者は頭をかきむしりながら失禁する。

 

「いやだ、いやだいやだいやだぁああぁ!!」

 

『さようなら。哀れなジーニアス』

 

あくまで淡々と、死神は引き金を引いた。

視界が光に染まる最中、研究者が最後に見たのは、『白い兎』のエンブレムと、『TR-6』の文字だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、一つの研究所が歴史から消え失せた。

死者を一人も出さずに。

 





というワケでトーナメント後のデュノア社の対応とVTシステム研究所破壊でした。

TR-6、白い兎のエンブレム、複合兵装・・・一体何者なのか!(棒読み)

次回からゴールデンウィーク編です!お楽しみに‼
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