インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
久々にアーマードコア(ps)をやったらラストでボコられまくった作者です。
やっぱりブランクは辛いな・・・
カタカタと、薄暗い部屋に音が響く。
微かに見える部屋の様子は、一言で言えばガラクタの山だった。
その山をどこからか現れたロボットアームが回収しては隅の方へと音も立てずに整理していく。
「ふむ・・・白式のデータはこんなモノか。後はっと~」
そんな中、機械のウサミミを揺らして篠ノ之束は鼻唄混じりにキーボードを叩く。
彼女の目線の先にあるモニターには、ISの設計図が映し出されていた。
それを見て束は口端を吊り上げた。
「完成すれば正式『第四世代型IS』一号機かぁ。胸が熱くなるね!あ、むっくんにも伝えないと。箒ちゃんには・・・サプライズでいっか!」
言いながら束は端末を取り出すと、日本に居る睦月へと電話をかけた。
「遂に出来たよ、正式第四世代型IS一号機!」
電話に出て開口一番、束さんから言われたのはそんな一言だった。
第四世代型ねぇ・・・。
ちらっと右腕のシルバーブレスレットを見る。
「あれ?意外と驚かない?」
「まあ、ヘイズルも試作とは言え第四世代型ですし・・・今回は何作ったんですか?TRシリーズ」
「うんにゃ、今回はTRじゃないんだよね~」
「じゃあ通常のISですか」
通常、とは見た目の話だ。性能面なんて普通じゃないのは分かりきってる。この人が凡庸な機体を造るわけがない。
「今、失礼な事考えなかった?」
「いえ、何も」
「・・・ま、いっか。それでね、名前も決めてあるんだ!名付けて『紅椿』!」
「紅椿、ですか」
和風な名前だ。打鉄みたいな武士じみた外装なんだろうか。
刀に鎧!みたいな感じで。
「あ、今パソコンつけてる?」
「はい、電源入ってますよ」
寮の部屋で艦これやってました。
ブラウザを閉じてデスクトップに戻ると、メールが送られてきた。
ウィルスチェックの後、メールを開くと・・・
「オーバースペック過ぎる・・・」
メールに添付されたファイルには紅椿の設計図入っていたんだけど。
エネルギーゲインや各駆動系に始まり、ありとあらゆる性能が現行機をぶっちぎっている。
機動力ならリミット無し、シールドブースター全搭載のヘイズルでギリギリ対等になれそうだけど・・・。
「これ、どうするつもりなんです?」
「箒ちゃんにプレゼント!」
「・・・・・・はい?」
今なんと仰ったんだろうかこの天災は。聞き間違いじゃなきゃ箒さんにプレゼントとか宣ったような気がするんだけど。
「だーかーらー、箒ちゃんにプレゼントしようかなっ、てさぁ」
「はあぁぁ!?」
聞き間違いじゃなかったよ・・・。
あまりの事に声を荒げてしまい、驚いた簪がこっちを見る。
ジェスチャーで何でもないことを伝えると簪は首を傾げながらもテレビに視線を戻してくれた。
「プレゼントでIS渡すような人がどこに居るんですか」
「ここにいるぞ!」
「解る人がいるか分かりにくいネタは良いですから。・・・はぁ、また何でそんな事を?」
三國志でもマイナーなネタを言う束さんに若干呆れつつも話を促す。
プレゼントにしてはあまりにも大きすぎるし、重すぎる。
「箒ちゃんの誕生日がそろそろでね。臨海学校の時って学園の束縛が緩むから、その時にでも渡そうかなって・・・」
「それで仲直りしたい、って感じですか」
「・・・うん」
成程なぁ。
束さんがISを用いて十年近く前に『白騎士事件』を引き起こしてから、篠ノ之家は日本の要人保護プログラムによって一家離散。束さんは世界に追われ、家族とも離れ離れになった箒さんはずっと一人で生きてきたらしい。
だからか、箒さんは束さんに対して嫌悪に近い感情を持ってしまっている。
僕が束さんの事を箒さんと話すことでその感情をある程度緩和出来ているかも知れないけど、嫌悪感を払拭するにはまだ遠い。
・・・今回の件、下手をすれば束さんも箒さんも傷付く展開になってしまうかもしれない。
紅椿を渡すのは最早決定事項だろう。束さんがそうそう止まるとは思えないし。
一応、確認はしてみよう。
「紅椿を渡すのは決定事項なんですか?」
「うん!・・・でも、タイミングは多少ずれるかも。むっくんに報告してたら緊張がヤヴァい」
「だったら、渡すのは別の日とかにすればどうでしょうか」
「え?」
「何も出来たからって直ぐに渡さなくても良いじゃないですか。それに、いきなりIS渡されても箒さん困っちゃいますよ?」
困るどころか大喧嘩に発展する未来しか見えない。
そしてそれを止めに織斑先生が入って最終戦争が始まりかねない。
「なので、紅椿が出来たことだけ伝えて、プレゼントは何か別のものにしてみたらどうです?」
「うーん・・・別の物って言っても研究所(ここ)で出せるものなんて限られてるよぉ」
「オーケー、まずは外に出るという考えを持ちましょう」
なに引きニートみたいな事言ってるんだこの人は。
「クロエ連れてアメリカなり何処かの国でプレゼント買えば良いじゃないですか。クロエならセンスあるから間違えませんし」
「私にセンスが無いって言いたいのかなむっくん!?」
「IS以外は、壊滅的に」
「がーん!」
見た目はホントに美人なのに服装がちぐはぐなコスプレにしか見えないし。
一人ふしぎの国のアリスとか、どう考えれば思い付くんだそんなの。
「兎に角、変装なりなんなりしてプレゼントを買って渡した方が良いと、僕は思いますよ」
「うぅー・・・わかったぁ、くーちゃんに相談してみる・・・それじゃ、またねぇ」
「そうしてください。それでは」
通話を終えて、ため息を吐く。
クロエがいるなら突拍子もない物を買う心配もないだろうし、これで大丈夫だろう。
「睦月、誰から?」
「束さんから」
紅椿の設計図が表示されたファイルを閉じて、簪に答える。
「そう・・・あ、そうだ。睦月、このマップ手伝って」
「何?・・・うげ、ネオグランゾン四体倒すやつか・・・難易度は?」
「最高難度(ジェノサイド)」
「Oh...」
せめてマトモなプレゼントをクロエが選ぶと信じつつ、僕は簪と一緒にスパロボ無双をやり始めた。
・・・ホントに大丈夫だよね?
今回でゴールデンウィーク編は終了となります。
次回からは臨海学校編に突入です!
果たして一夏はどうなるのか!(棒読み
次回もお楽しみに‼