インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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インレがキット化したらパーツ数やばそう(小並感




#07 戦いの予兆

ーーーーハワイ沿岸部ーーーー

 

「主任!ダメです止まりません!」

 

「内線からの介入すら受け付けんだと・・・!」

 

本来なら穏やかな波が打つハワイの蒼海。その中に浮かぶ一隻の巨大な船、その船内は度を越える喧騒に包まれていた。

かの船に課せられた使命は新型のISの試験監察であった。

しかし、

 

「何故急に暴走した・・・!」

 

突如として試験対象のISが暴走、一切のアクセスを受け付けなくなってしまったのだ。

焦りながらも船長である男は受話器を取ると『本土』へと連絡を取った。

アメリカとイスラエル共同開発の『軍用IS』。それが力を振るえばどうなるかなど、想像に難くなかった。

 

「聞こえるか!テスト中の機体が暴走し逃走。行き先は・・・・・・」

 

 

ーーーー日本。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい慌てっぷりじゃねぇか」

 

太平洋上空、暴走したISを『従えた』赤髪の男がほくそ笑む。

彼の耳にはハワイ沿岸に浮かぶ船の内部の様子が聞こえていた。

 

『ヴラド』

 

「あん?」

 

そんな喧騒を遮って通信が割り込む。低い、女の声だった。

聞き覚えのあるその声にヴラドは片眉を上げる。

 

「ハンニバルか。何の用だ」

 

『釘を刺しに来た、とでも言っておこうか』

 

「ちっ・・・上の差し金か」

 

『そういう事だ。よかったな心配されてるぞ?』

 

皮肉混じりのハンニバルの答えにヴラドは舌を打つ。

一度出会ってからというものハンニバルという女はどうにも人をバカにしたい人間らしい。

 

『お前が開発したその機体、現状お前以外は扱えんからな。大切に扱えよ』

 

「それも上からの命令か?」

 

『私がお前の心配をするとでも?』

 

「テメェにそんな期待なんざするかよ、クソ女」

 

毒を吐きつつ後方に飛翔する暴走したとされるISを見やる。

暴走、と船長は言っていたが、厳密には違う。ステルスを張った状態でISのシステムにアクセスし、敵性体及びIS学園の生徒のみを狙うようにハッキングしたのだ。

 

『その機体にはまだ『システム』を積んでいない。無理は禁物だぞ』

 

「んなもん理解してる。上も一々煩ぇな」

 

いっそ殺してしまおうか。

そんな言葉が出掛かったがどうにか抑える。今ここで言った処で詮無い事だ。

 

『・・・まあいいさ、精々暴れてくれ。上も二、三人は殺して構わないといっている』

 

「上等だ。スコールなんかよりも解ってるじゃねぇかよ」

 

獰猛な笑みを浮かべ、ヴラドは目を細くする。

その様子はまさに血を求める獸だった。

 

『お前が確かめたいことが何なのかは知らんが、データ取りだけは怠るなよ。バートリーの機嫌を取るのは面倒なんだ』

 

「ハッ、了解だ・・・」

 

血のような赤色をした全身装甲のISが加速する。

その額には 小さく『Superior』の文字が刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員、作業を一旦止めろ。緊急事態だ」

 

束さんが去って数十分、唐突に織斑先生がそう言った。

新たに届いたパッケージの換装や武装の確認を行っていた僕達はその言葉に顔を上げた。

 

「緊急事態、何かあったんですか?」

 

「詳細は後で説明するが・・・簡単に言おう。暴走した最新鋭のISがこちらに向かってきている」

 

一瞬で場の空気が変わる。

暴走状態の最新鋭ISが此方に来るか・・・どうにもヤバそうだねこれは。

 

「ここに居る全専用機持ちは現時点より一時的に軍事作戦に入る。パッケージの換装等を終え次第ブリーフィングを行う・・・急げよ」

 

そう言い残して織斑先生は山田先生を連れて足早に旅館へと戻っていった。

残された僕達はというと、換装途中の人は全速力で換装に取り組み、武装確認だけの僕と一夏は紅椿を片したクロエを連れてすぐさまISを解除して旅館へと足を向けた。箒さんはどうやら先に行ってしまったみたいだ。

 

「なあ、睦月。これって結構ヤバイよな・・・ドイツ軍に居たときに感じた感覚に近いんだが」

 

「その見解で概ねOKだよ。普段の試合じゃない・・・戦いになるよ」

 

「そうか・・・」

 

ある程度の安全が確保されたアリーナでの試合ではなく、命が掛かった戦いとなる。

幾らISに絶対防御があると言っても、エネルギーが切れれば丸裸も同然だ。そうなればあるのは『死』だ。

まして相手は暴走したIS、待ったなんて効かないし、シールドエネルギーが切れた時点で都合よく止まるはずもない。

 

「不安?」

 

「あぁ、不安だな。睦月は?」

 

「僕も不安かな」

 

只の学生だった人間に戦場に赴く覚悟なんてそう簡単に出きるものじゃない。

多分、ラウラ以外の皆も覚悟しているとは言えきっと不安を持っている。

でも、

 

「やらなきゃね」

 

「睦月・・・」

 

見えない敵を睨むようにして、僕は旅館へ進む足を速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、これよりブリーフィングを始める」

 

大広間に機材という機材を押し込んで作られた即席の作戦室で、巨大なモニターを前に織斑先生はそう言った。

僕達専用機持ちはそれぞれ座って先生の話を聞く体勢を取る。

 

「今から一時間ほど前、ハワイ沖にてテスト飛行中だったアメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が暴走。停止させようとしたアメリカ軍のISを振り切って逃走、現在こちらへと真っ直ぐ向かってきている。アメリカ、日本両政府より要請があり、我々はこれを迎撃、搭乗者であるナターシャ・ファイルスを保護する」

 

そこで一度言葉を区切り、横に移動するとモニターに福音のスペックが表示された。

特徴的な頭部に白式とはまた違った純白の全身装甲。機体性能は正に最新鋭といった性能。しかも搭載武装がかなり特殊だ。

 

「複合兵装『銀の鐘(シルバーベル)』、中々に厄介ですわね・・・」

 

「機動力は一夏の白式と同等に近く、火力も充分。骨が折れそうね」

 

「折れるだけで済めば良いがな。リミッターが外れているかもしれないんだ、ともすれば・・・な」

 

オルコットさんの言葉に鈴さんとラウラが嘆息する。

銀の鐘、大型スラスターにエネルギー弾を放つことが出来る広域射撃武器を内蔵した第三世代の武装。その砲門の数は36もあり、実質的に死角が無い。

更にスラスターをスタビレーター代わりにも使用でき、瞬時加速に匹敵するスピードでの急加速を安定して行える。

 

広域殲滅という文字をそのまま形にしたかのような機体だね、全く・・・。

 

「スペックは確認できたな?では作戦を説明する」

 

画面が切り替わり、作戦領域の地図が映し出される。

 

「作戦領域はここから150㎞ほど離れた海上となる。このまま馬鹿正直に突っ込んでくれば後二時間ほどでこの場所にヤツは現れる。専用機部隊はこれを袋叩きにしろ・・・と言いたいが、出撃時間も考えるとスピードに優れた機体で一撃を与え、後続の部隊で福音の機能を停止に追いやるのがベストだろう」

 

画面の中央で福音を表した赤い矢印と僕達を表した青い矢印がぶつかり合う。

スピードに優れた機体・・・となると。

 

「第一陣は僕と一夏になりますね」

 

「・・・そうなるな。純粋なスピードとなるとお前たち二人が最優だ」

 

「俺が・・・第一陣」

 

強襲形態のヘイズルなら並のISよりもスピードは出せるし、元より高速戦向きの白式なら福音に接敵するのは容易だ。

でも白式は零落白夜のせいで継戦能力は高くない。

 

「白式の機体特性上、やるなら一撃で仕留めなくてはいけない。扶桑はその援護となる」

 

それを解っているからか、織斑先生はそう作戦を提案した。まあ確かにそれしか方法は無いだろう。

だが、

 

「呼ばれて飛び出て束さーん!って痛い!」

 

このタイミングでこの人が出ないはずが無かった。

そして先生にアイアンクローされるのもまあ解ってた。

 

「何しに来た束。今は作戦会議中だ・・・下手なことを言ったら千切るぞ」

 

「いやいや、ちょっと御手伝いをね?真面目だからね?だから離してくれると大変嬉しいんだけど」

 

「手伝いだと?」

 

「そう。高速戦を行える『足』が欲しいんでしょ?ならさ」

 

そこで言葉を切って束さんはニヤリと笑う。

 

 

 

 

 

 

「ーーーーファイバー、貸そうか?」

 

 





姉さん、事件です!(違

という訳で原作と色々違う福音事件が始まりました。
どうなる睦月!

次回もお楽しみに‼
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