インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
ついに来たぜ福音戦!
『・・・作戦開始十分前。ミッション内容を再確認するぞ』
通信を通して織斑先生の声が耳に入る。
いよいよか・・・。
真上へと登った太陽が照らす砂浜にヘイズルを展開して僕は立っていた。
僕の右には一夏が。左には簪とオルコットさんが立っている。
『今回、篠ノ之束博士の協力により僚機としてTR-5 ファイバーが織斑とオルコットを作戦領域まで運搬、戦闘に参加する』
上空にMA形態で待機するファイバーが答えるようにくるりと回転する。
『また、最終防衛ラインとしてTR-6 ウーンドウォートも作戦に参加することとなった。だが、この機体が動くということは最早大勢が決した状況だ。・・・詰めを誤るなよ』
『皆様、よろしくお願い致します』
旅館上空に静かに佇むウーンドウォートが一礼する。
織斑先生曰く、ファイバーはまだしもウーンドウォートが世界に認知されるのは不味いらしい。まあオーバースペックの塊だし仕方ないか。
『作戦内容だが、福音に対し織斑が懐に入り込み零落白夜による一撃必殺とする。扶桑、更識、オルコット、ファイバーは福音を包囲、織斑の援護に回れ』
「「「「了解」」」」
『では織斑とオルコットはファイバーに乗り込め。扶桑、更識は高速戦の用意をしておけ。・・・頼んだぞ』
「「「「はいっ!」」」」
織斑先生の言葉に応え、一夏とオルコットさんは飛翔し、ファイバーユニットの懸架スペースに入り込む。
「簪、大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない」
「その回答は若干不安になるなぁ」
隣に立つ簪を見ると何ともキリッとした表情で返され逆に不安になる。
展開された打鉄弐式の非固定武装は今までと違い、大きな青い翼に変わっている。
高速戦闘用追加パッケージ『運命の風(ゲイルオブデスティニー)』。倉持技研で開発された武装を僕と簪、そして布仏さんで(魔)改造した大型スラスターだ。
名前の通り見た目はデスティニーガンダムの背中の翼、それを青く塗ったモノで、機能もほぼ同じだ。
翼を展開し、虹翼を発動させればISのハイパーセンサーを瞬間的に欺瞞出来る残像を作り出すことが出来る。
ただし、打鉄弐式の持ち味である山嵐、春雷が使えなくなってしまうのが欠点だ。
なので今回打鉄弐式の装備は専ら手持ち武器と腰に増設されたウェポンラッチに懸架された小型のガトリングとなっている。
「ねえ、睦月」
「ん?」
「必ず・・・勝とうね」
「当然、簪となら勝てるさ」
不安げな簪の言葉にサムズアップして答えると、簪は「うん、そうだね」と微笑んだ。
さて、そろそろかな・・・。
飛翔して、ファイバーと高度を合わせる。
『第二防衛ライン、配置完了。皆、頑張りなさいよ!』
『こちら、ボーデヴィッヒ。・・・勝ってこい、それだけだ』
『同じくデュノア。ミッション、成功させようね!』
旅館から離れた位置に展開した鈴さん達からエールが送られる。
これは、本当に・・・失敗できないな。
『作戦領域の人払いは済ませてある。・・・命令は一つだ。必ず生還しろ。いいな?』
「「「「了解(ヤー)!」」」」
【シールドブースター 最大出力準備完了】
【強襲形態に移行 スラスターコントロール、オールグリーン】
【エネルギーシールド 巡航モード 展開】
ブースターに熱が入る。機体を傾け襟元のフォアグリップを握りしめる。
さあ、行こう。
『ミッション開始』
織斑先生の宣言と同時に僕達は音の壁を越えた。
超高速飛行を開始して数分後、作戦領域に到達するのと同時に遠方に白い影を捉えた。
ハイパーセンサーで前方をズーム。・・・間違いない、ターゲットだ。
「目標確認。一夏、準備を」
「了解だ」
「ファイバー、目標の有効射程侵入と同時に敵の足止めを」
「ーー!」
「オルコットさんは展開したら周辺状況を確認しながら一夏の援護を。僕と簪で左右を抑えます」
「了解ですわ」
指示をそれぞれに飛ばすと、高機動パッケージ『ストライクガンナー』を装備したブルーティアーズが視界の隅で構えるのが見えた。
白い機影、ハッキリとその姿を見た瞬間僕は叫んだ。
「有効射程、各機行動開始!」
「「「了解!」」」
「ーー!!」
僕と簪が左右に別れ、福音を挟むように動きだし、ファイバーが変形しながら一夏達を射出。すぐさま拡散粒子砲とロングブレードライフルを撃つ。
「raa♪」
唄うような音を出しながら急停止した福音は銀の鐘から数多のエネルギー弾を発射し迎撃に移る。
奴の足が止まった・・・今!
『一夏!』
『ぶった斬る!』
弾幕の真上から飛来した白式が福音へと肉薄し零落白夜を展開した雪片を降り下ろす!!
「ちっ・・・!」
「ra,rara♪」
しかし福音は小さな挙動で一撃を避けると、反撃を加えようと銀の鐘を動かす。
「睦月!」
「わかってる!!」
一夏の声に応え、ロングバレルに換装した両手のビームライフルの引き金を引いて、動きを阻害する。反対側からも、簪がアサルトライフルを撃ち始める。
その隙に乗じて零落白夜を停止した一夏がバックブーストで一度離脱する。
暴走してるとはいえ、あの奇襲を避ける機動性、どうにか抑えないと・・・!
「動きを牽制します、フライルーさん手伝ってくださいまし!」
「!!」
全長2メートル超のロングライフル『星屑の射手(スターダストシューター)』を構えたオルコットさんがファイバーユニットを格納したフライルーと共に福音へと攻撃を開始する。
「a,aaaa!!」
高密度の十字砲火に流石の福音も回避出来ず、シールドエネルギーを減らし、装甲を黒く煤けさせる。
行けるか・・・!?
「一夏ぁ!!」
「ーーーー疾!!」
スターダストシューターの一撃を受け、福音が大きく姿勢を崩した瞬間、瞬時加速の踏み込みをもってして一夏が懐に飛び込み、会心の一撃を放とうとした。
その時。
「何だ!?」
「上空2時の方向に敵影!?何時の間に!」
突如飛来した青白い閃光に場が凍り付く。
閃光が放たれた方向。そこには、ヘイズルと同じ、『本来居る筈のない』機体が浮かんでいた。
赤と黒の塗装で印象こそ違うものの。
スカートアーマーの無い脚部装甲、巨大な肩アーマー、そして何処かスポーツカーを思わせるインテーク・フィンがついた特徴的な頭部。
「S(スペリオル)ガンダム・・・!?」
最優と称されたガンダムが、その蒼い双眼を光らせた。
現れた存在しない筈の機体、一体睦月たちはどうなってしまうのか!
次回もお楽しみに‼