インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
サブタイはδ(デルタ)と読みます。
デルタと聞いてR-TYPEが出た人は私とナカーマ
「さ、ついたよ」
「おおー」
「すごく・・・大きいです」
「「ラウラ、それは何か違う」」
フランスの工業地帯、その一角にあるデュノア社のIS研究施設を見て僕とラウラは感嘆の声を上げる。
空港からシャルの自宅(正に豪邸、社長がプレゼントしたらしい)にて仮眠をとり、お昼前にここに到着した。
しっかし、本当に大きいな・・・建物もそうだけど、敷地も広い。
まわりの工場より二倍近く広さが違う。流石、欧州最大手。
おのぼりさんよろしくキョロキョロしていると、正面のゲートから一人の男性が現れた。
「ようこそ、デュノア社へ。ムツキ・フソウ君、ラウラ・ヴォーデヴィッヒさん。そして・・・おかえり、シャル」
「ただいま、父さん!」
「今日は宜しくお願いします、デュノア社長」
「そう畏まらないでくれ。君は私の恩人なのだから」
シャルに抱きつかれながらもそう答えるこの男性こそ、デュノア社社長、アレックス・デュノアである。
今まで雑誌なんかで顔くらいは見たことあるけど、何と言うか、出来る人オーラが滲み出てる。
「恩人、と言われましても・・・実際に行動したのは僕の保護者ですから」
「切っ掛けを作ってくれたのは君さ。本当にありがとう」
「・・・お言葉、ありがたく頂戴します」
あまり謙遜しても嫌みに聞こえるだろうから、感謝の言葉を受け取る。
アレックス社長は僕から視線をずらすと、隣に立つラウラを見た。
「君が、シャルの友人だね?いつも仲良くしてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ。シャルのおかげで、色々助かっているので・・・」
「そうか、それは良かった。さ、中に入ろう。私が内部を案内しよう」
そう言い、歩き始めた社長の背に続き、僕達は工場内へと入っていった。
工場見学、スタートだ。
「フソウ君。ISの開発において最も重要視されるものは何だと思う?」
先進的な造りの、ガラス張りの廊下の左右から見える、忙しなく動くロボットアームと人の姿を見ていると、社長が唐突にそう聞いてきた。
「ISの開発において、ですか・・・」
ISの性能、であれば火力だとか機動力だとかが答えになるんだろうけど。開発時点で重要視されるべきことか。
・・・ああ、なるほど。
「情報を漏らさない、機密性ですね」
「正解だ」
「今日のことは、口外しないと確約しましょう。ええ、只の『工場見学』です」
そう答えると、社長は満足げに頷いた。
今日の予定には、デュノア社念願の第三世代ISの見学もある。
ようは、ちゃんとしたお披露目をするまでバラすなと言いたいんだろう。
まあ、こっちに来る前に幾らか情報操作と隠匿を束さんを買収してやって措いたし、大丈夫だとは思う。
「ボーデヴィッヒ嬢も、宜しいかな?」
「もとよりそのつもりです。私はただ、付き添いできただけですから」
しかし、そうまで秘匿させてまで見せたい機体って何なんだろうか。
ISのマニピュレータの組み立て行程を歩きながら見ていると社長が説明を始めた。
「我が社の代表的な機体は知っているね?」
「ええ。ラファール・リヴァイヴ、ですね」
「そう、しかし代表的と言っても結局は量産機。諸外国の専用機と比べられてしまえば見劣りしてしまう。それ故に新型の開発に躍起になっていたんだが、まあ君も知っての通りだ」
社長夫人の横暴か。
束さんに詳細を教えて貰ったときは、人はここまで腐るものかと思った程だった。
会社資金の横領、豪遊、浮気その他諸々、夫人のそれらの行動と女性権利団体によってデュノア社は窮地に立たされた。
そしてシャルのIS学園への転入。後から束さんから聞いた話だと、シャルを転入させたのは厄介払いも兼ねていたらしい。今更、それについて詳しく調べる気もないけれど。
「しかし、それも過去の話だ。今回、無事に第三世代機を開発出来たのも君のおかげだ。改めて、ありがとう」
「いえ・・・」
「さて、その新型についてだが・・・我々はδ計画(デルタ・プラン)と称して、既に三機の建造に成功した」
「δ計画、ですか」
「うむ。といっても最初の一機は凡そ戦闘に向いたモノでは無くてね。今から見てもらうのは2号機と3号機となる」
社長が一つの扉の前で止まる。地下7階、その最奥にある分厚く、威圧感を放つそれの横にある端末を操作し、ロックが解除される。
「さあ、お披露目だ。特とご覧あれ」
空気の抜ける音と共に扉が左右に開いて行く。
暗い部屋が明かりに照らされ、その中に鎮座する機体をあらわにする。
「わぁ・・・!」
「これは・・・凄いな」
明るくなった部屋に入りながら二人が感嘆の声を上げる中、僕は動けなかった。
方や白と明紫に彩られた機体。方や黒と灰色に染め上げられた機体。どちらも全身装甲である鋼の躯体を堂々と見せている。
・・・僕は、この機体を知っている。
「δ計画2号機、デルタ・プラス。そして、シャル。お前の為に開発したδ計画三号機にして究極。デルタ・カイだ」
機動戦士ガンダムUCの高機動MS、MSN-001A1 デルタ・プラス。
そして、δ系列機体の最終到達点と呼べる機体、MSN-001X デルタ・カイ。
その二機体が今、ISとなって僕の目の前に存在した。
「デルタ・プラスは量産機として開発し、先発として既に四機生産している。デルタ・カイは大元となる機体、デルタとデルタ・プラスの試験、戦闘データをフィードバックして完成した機体で・・・我が社の現状持てる全てを注ぎ込んだ究極の機体だ」
機体に近付きながらそう言った社長は振り向いてシャルを見る。そして、
「このデルタ・カイをシャル、お前の新たな専用機とする。良いな?」
そうシャルに問い、シャルは頷きを持って答えた。
「はい、必ず使いこなして見せます」
再臨の疾風が、蒼炎の凶鳥へと生まれ変わろうとしていた・・・。
というわけでシャルに新機体が登場!
アンケートの結果、デルタ・カイになりました。
ついでにデルタ・プラスも量産機の位置で出してみました。
・・・デュノア社、成長早いな・・・。
次回もお楽しみに‼