インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
ヒャッハー!キャラ崩壊だー!(殴
前回に引き続き、簪のキャラが崩壊しております。
あと、水一滴程度のラブコメな話です。
・・・バルバトス、カッコいい
あれから一通りレゾナンス内を見て回った私達は、お昼時というのもあり、レゾナンスの近くにあるカフェテリアで昼食を食べていた。
このカフェは私が前に来たいと言っていた場所で、睦月はそれを覚えていたらしい。・・・ニクい事をしてくれる。
まぁ、でも。
「はぁ~、ここのパンケーキ美味しいねぇ♪」
こうも幸せそうな顔を見れたので満足。
メインを食べ終わりデザートのパンケーキを頬張る睦月はそれはもう癒される。
何というか小動物チックというか・・・
小さく盛られたパフェを口に入れながらそんな事を考えていると、睦月の口の端に生クリームが付いているのを見つける。
それを見て私は思わずーー
ヒョイパクッ
「へ?」
それを指で取って舐めた。
「・・・クリーム付いてた」
「あ、ああうん・・・ありがと」
・・・・・・・・・。
何をやってるんだ私はあぁぁぁぁぁぁ!!?
表情にこそ出さないが最早私の脳内は地獄絵図と化していた。
クリーム付いてるよ、とでも教えるだけで良かったのに何て事をしてるんだ無意識の私!でもグッジョブ!
誤魔化すようにアイスティーを飲みつつ、恥ずかしそうにはにかむ睦月のレアな表情を眺める。
「?まだクリーム付いてる?」
「ううん、何でもない」
首を傾げる睦月にそう答えて、私はカップをテーブルに置いた。
「午後はどうする?」
「んー、街中をブラブラ歩いてみよっか。良さげなお店があったら入る感じで」
「賛成」
睦月の提案に異もなく頷く。ぶらつく事で面白いお店などを見つけられるかもしれない。
・・・模型店とか見つかればいいなぁ。
デザートを食べ終えた私達は会計を済ませ、なお熱くなる炎天下の街へと繰り出した。
面白いお店が見つかればいいなと確かに思ったけど・・・。
「え?睦月に簪!?」
「何だとっ!?」
こうなるとは流石に予想は付かなかったなぁ・・・。
驚愕の表情で固まる執事服のシャルとメイド服のラウラを見て私は小さく、本当に小さく溜め息を吐いた。
睦月が興味本位で入ったこのカフェで、まさか二人に遭遇するとは・・・。
時刻はお昼時をとうに過ぎ、時計の針は14時半を指している。
だというのに私達が今いるこのカフェはかなりの人が入っている。
それと言うのも、十中八九目の前にいるシャルとラウラが原因だろう。
執事服を着こなすシャルはまさに美少年と言っても過言ではなく、女性客の心を掴んでしまっている。
ラウラは・・・
「水だ」
「オムライスだ」
「パフェだ。・・・注文はこれで全部か?」
メイド服は似合ってるんだけど口調は普段通りだ。
だというのに男性客は・・・
「すいません、罵ってください!」
「小柄Sっ娘メイド・・・ありだ・・・」
「そうだ、この感じだ!私が求めていたのはこれなのだ!」
何か毒されていた。
いや腐っていた。ここにはマゾの男性しか居ないのだろうか。睦月を除いて。
店内を眺めていた視線を正面に戻すと、これまた幸せそうにミルフィーユを食べる睦月を捉えた。
「どうしたの簪?」
「いや、繁盛してるなぁ、と」
「確かにねぇ。まあ凡そ、シャルとラウラの事が口コミで広がったんじゃない?」
「かもね」
そんな他愛の無い話をしている最中だった。
「全員動くな!!」
「下手な真似をしたら撃つぞ!」
突然、覆面を被った男達が現れそう叫んだ。それぞれの手にはアサルトライフルが握られている。
私と睦月は即座にテーブルの下に身を潜めた。
他の客らは恐怖からか硬直したままだ。
シャルとラウラは・・・よし、視認できる範囲にいる。
「睦月、大丈夫?」
「問題なし。・・・どうやら連中、近くの銀行で強盗した犯行グループっぽいね」
「・・・怖くないの?」
「荒事なら二年前に経験済みさ」
睦月が見せてきた携帯の画面には確かに付近で銀行強盗があったというニュース速報が映っていた。
にしても家の事情でこう言った事に耐性が出来てる私やシャル達ならいざ知らず、睦月まで冷静でいられるとは驚きだ。
「さって、どうしよっか」
「警察は来てるみたいだけど・・・このままだと動けないかも」
「ふむ・・・」
対面式ソファに寄りかかり、小声で話し合う。
耳がカフェの外から聞こえる幾つものサイレンの音を拾う。
けど、通常武装の警官じゃ今の状況はどうしようもないだろう。
「数は・・・この空間に三人。あとは出入口付近に一人、か」
「ちょうど四人、シャルとラウラも混ぜて鎮圧する?」
「簪はやれるの?」
「私だって、慣れてるから」
心配そうな睦月に笑顔で答える。
そう、慣れてるのだ。それに、こういう時の為の更識の格闘術。使わない手はないだろう。
睦月は未だに不安そうながらも頷いてくれた。
ハンドサインでシャルとラウラに作戦を伝えると二人も賛成のようだ。
「タイミングは?」
「僕がこのナイフを投げたらで」
「了解」
開始の合図を決めて、座席の両端に配置に着く。
店内は混乱による小さな声すら消え、侵入してきた男達の呼吸音と、外から聞こえるサイレンと雑多な声だけが耳に入る。
睦月と視線を合わす。
ーー行ける。
睦月がナイフを男達の前に投げつけた瞬間、私達は一気に駆け出した。
私と睦月、ラウラでフロア内の連中を。シャルは出入口の奴へと向かう。
「なっ!?」
「・・・遅い」
三人の内の一人・・・面倒だ、Aと呼ぼう。
Aの懐に入り込んだ私は鳩尾に肘鉄を放つ。
苦痛によりAの身体が『緩んだ』タイミングで片腕を掴んで引き寄せながら顎に掌底を打って頭を揺さぶり、少し離れたところで最後にもう一度鳩尾に蹴りを打ち込む。
「」
「ふう」
ソファ席に座り込むように気を失ったAを確認して一息吐く。
横を見ればーー
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
睦月が華麗なカラテジツでリーダー格であろう男をフルボッコにしていた。
何あれ一瞬千撃?私とそう大差無い体躯から放たれているとは思えない重い一撃を連発で加え、睦月はリーダー格を私と同じようにソファに叩き伏せた。
「強盗死すべし、慈悲はない」
そう言ってから睦月はリーダー格から銃を取り上げ、さらに着ていたジャケットを脱がした。
私もAから銃を取り上げながら睦月に訊ねた。
「ジャケットまで脱がせるの?」
「これ見て」
睦月がジャケットを裏返すと、びっしりと導線に繋がった爆弾が取り付けられていた。
最終的に自爆でもするつもりだったんだろうか。
強盗犯らから銃以外の武器(ナイフや火炎瓶)を取り上げていると、シャルとラウラが残りの二人を引き摺って来た。
「そっちは、終わったみたいだね」
「二人とも怪我はない?」
「あの程度、怪我をすることなどない」
「流石だなー、憧れちゃうなー」
「それほどでもない」
そんな会話をしながら手早く強盗犯達を爆弾を取り除いたジャケットや、ライフルに付いていたベルト等で縛り上げる。
念のために強盗犯の履いていた靴から靴ヒモを取って手足を縛っておく。これで大丈夫だろう。
「よし、それじゃあ逃げよっか」
「「「逃げる?」」」
「このままだと警察行って事情聴取とかされて夜になっちゃうし。何より夕方のアニメに間に合わなくなる」
「成程、それは重要だな」
「「えぇー・・・」」
明らかに後者のアニメが目的なその台詞にラウラが同調する。
でも睦月の言ってる事情聴取を受けるということも確かなのでささっと準備する。
折角のデ・・・デートをこんな事で終わらせたくないし。
「それじゃ二手に別れて逃げよう。固まってると怪しまれるしね」
そう言ってシャルはラウラの手を引いてフロアの奥へと歩き出す。
一瞬だけ振り替えって、私に向かってウィンクしてきた。・・・貸し1つ、ということなんだろう。
「簪、僕たちも行こう。そろそろ警察が入ってきそうだ」
「う、うん」
睦月に手を引かれ、立ち上がる。
その暖かい掌の温度を感じながら、私達はカフェの外へと駆け出した・・・。
あ、ちゃんと代金はテーブルの上に置いてきたから大丈夫・・・多分。
「ふぃ~、逃げた逃げた!」
夕日が沈み始める時間、私と睦月は臨海公園に来ていた。
あれからここまで走ったり歩いたりを繰り返してどうにか事なきを得た。
ベンチに並んで座り、自販機で買ったジュースを飲む。
あぁ、染み渡る・・・。
一息ついて落ち着いていると、街灯に明かりが灯り始める。
携帯を取り出してみれば、時刻は18時をとうに過ぎていた。
「睦月、アニメ始まっちゃってる」
「ん?あぁ、いいよいいよ」
「?」
アニメ見たいからそそくさと逃げたのではないのだろうか。
そう思い睦月を見ると、彼は私の目を真っ直ぐ見つめながら、
「あれは口実。・・・簪と居る方が大事だよ」
「ーーっ」
微笑みながらそう言ったのだ。
身体が熱くなる。思考回路がショートしたかのようにまともに働かない。
真っ白どころか真っ赤だ。
心臓の音は早くなり、百メートル走を全力疾走したかのように脈打つ。
「簪?どうかしーーわっ!?」
「・・・・・・バカ」
気付けば私は睦月を抱き締めていた。
・・・今の私の顔を見られたくないから。
「簪?」
「ねえ、睦月」
「?」
「また、一緒に出掛けようね」
「・・・うん!」
太陽が完全に沈み、星が瞬き始める。
また一緒に出掛ける。口約束だけれど、きっとこの約束は叶うと、睦月の体温を感じながら私はそう、思った・・・。
「ところで簪」
「?何」
「胸、当たってる」
「!?」
いい最終回だった(違
今回でデート回は終了です。後は一夏の家で騒いで夏休み編は終了となります。
次回もお楽しみに‼