インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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まさかの四千字近く・・・

すまない、今回も碌なオチは無いんだ。本当にすまない。




#08 夏の終わり

「ちょ、そんなコンボありか!?」

 

「虹ステ有能よね!」

 

「ところがギッチョン」

 

「ナイス更識って俺まで巻き込んだ!?」

 

「私まで巻き込むな!?」

 

夏休みも終盤に近付いてきた8月20日、僕や簪、一年生専用機持ち全員、一夏の家に集まっていた。

それと言うのも特に示し合わせた訳でもなく、既に住所を教えてもらっていた一夏の家が気になったからだ。

まあ・・・ある三人はそれだけが理由じゃないだろうけど。

ソファに座り、よく冷えた麦茶を飲みながらテレビ画面の中で繰り広げられるバトルを見る。

IS EXTREMEvs、何処かで聞いたような名前のこのゲームは第一世代から第二世代までのISを使った2on2のバトルゲームで、機体選択の時に武装を好きなように選べるのが特徴だ。

 

「最後まで立っていた者こそ勝者」

 

「「「これは酷い」」」

 

今やっているのは一夏、簪ペアvs鈴さん、ラウラペアという珍しい組み合わせだ。

と言っても簪の独走状態何だけれど。

ことゲームに関して簪はかなり上手い。いや、飲み込みが早いとも言える。

このゲームだってプレイするの今日が初めての筈なのに無双してるし。

 

「織斑君が突っ込んで攪乱してくれるから、大技狙いやすい」

 

「俺はデコイか何かか!?」

 

「言いえて妙だね」

 

「否定しろよ!」

 

一夏のツッコミ冴え渡ってるなぁ・・・。

そんな事を思っていると、隣にシャルが座った。

 

「楽しそうだねぇ。僕はあの手のゲーム苦手だから羨ましいよ」

 

「今から教えようか?簡単な動きならシャルだったらすぐ覚えるよ」

 

「ん~、それはまた今度、かな。今は・・・」

 

シャルはそこで言葉を切って、僕の腕に抱き付いた。

・・・え、ちょ、何ぃ!?

視線をずらしてシャルを見ると悪戯っぽい笑顔で僕を見ていた。

 

「こうしてる方が良いかなぁ、なんて」

 

「「ーー!」」

 

「ひぅ!?」

 

シャルの言葉と同時に簪とラウラから謎のオーラが発せられる。何だあれは・・・殺意の波動だとでもいうのか・・・。

それと一夏、何『苦労するなぁ』的な視線で僕を見てるんだ。あと箒さん達も『その方法があったか!!』みたいな、天啓を得た顔してないで助けてくれませんかねぇ?

 

 

「「「「無理」」」」

 

「デスヨネー」

 

救援要請が通らないという事実に絶望していると、簪とラウラがおもむろに立ち上がる。

そして、シャルの反対側である右側に簪が僕にくっつくように座り、ラウラは僕の膝の上に座った。

 

「あの・・・簪?ラウラ?動けないんですが」

 

「「むぅ」」

 

「いや、むぅって何さ、むぅって」

 

「ははは、睦月は鈍感だなぁ」

 

『一夏が言うな』

 

「おおぅ」

 

全く、一夏に言われたくはなかったよ。

箒さん、鈴さん、セシリアさん(名前呼びで良いと言われた)の三人以外にも言い寄られてるのに気付いてないし。

・・・でも一夏に言われるほど僕って鈍感かなぁ。

 

「「「鈍感だね(だな)」」」

 

「三人揃って心を読まないで!?というかラウラはあんまり動かないで!」

 

「ん?何故だ、別に重くは無いだろう?」

 

「いやうんそうなんだけど違くてね」

 

さっきからお尻が当たってて中々にヤバイんですが。しかも両腕にもやわらかい感触がががが・・・

 

「・・・」

 

「あれ?睦月大丈夫なの、これ」

 

「気を失ってますわね・・・」

 

「お前ら・・・やりすぎだ」

 

「悪のりが過ぎた」

 

「あはは、まさかこうなるとは」

 

「睦月は何故気を失ったんだ?」

 

「自覚ないんかい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ、気を失うとは」

 

織斑家のキッチン(かなり広い。全員入っても余裕がある)にて、フライパンで野菜を軽く炒めながら唸っていると、隣でパスタを茹でていた一夏が苦笑いを浮かべた。

 

「意外とウブなんだな睦月って」

 

「意外とは何さ。僕の人生の中で女の子と関わったのなんて中学の頃に一人だけだよ」

 

当然、その一人とは雪穂の事だ。

中学三年生の時だけだったけど、まぁ今の僕を形造ったのは間違いなく雪穂だろう。僕をアニメ(特にロボット)オタクの道に引きずり込んだのも彼女だが。

 

「へぇ、付き合ってたのか?」

 

「「「ガタッ」」」

 

「へ?ああ、付き合っては居ないよ。同い年だけど、何て言うんだろう・・・姉さん、みたいな人かな。一夏にとっての織斑先生みたいな感じ」

 

「「「ホッ・・・」」」

 

さっきから後ろが何だか騒がしいな。気になるけど今は調理に集中集中。

炒めた野菜を一度皿に移して空いたフライパンに麺を投入する。

ここまでやれば分かるが、今作っているのは塩焼きそばだ。因みに鈴さんのリクエスト。

ホントは素麺にでもしたかったんだけど、たまには食べたいそうで。セシリアさんも気になってたみたいだしで作ることになった。

一夏は軽めが良いと言った箒さんとシャルに合わせてシーフードパスタを作っている。

 

「まあ、初恋の人でもあるね」

 

「へぇ・・・ってマジか」

 

「そういう一夏は初恋の人いたの?」

 

「あー、俺は無いかなぁ。小学校の頃も何だかんだ遊んでばっかだったし」

 

「・・・その遊びの最中に何人落としたのやら」

 

「?」

 

「何でもないよ」

 

確実に何人か落としてるよね、一夏。今でさえイケメンと称して相違ないのだから、幼少期もさぞモテたんだろう。本人にその自覚は無いみたいだけど。全く、ラノベかマンガの主人公かと思うよ。

っと、そろそろいいかな。麺の中に先程の野菜を再投入してよく混ぜる。そしてそこに塩を少し入れて味を整えて完成だ。

 

「よしっ、出来た」

 

「お、美味そうだな」

 

「摘まみ食いはダメだよ?」

 

「わかってるっての」

 

軽く言い合いながら皿に分けていく。分量は鈴さん達に合わせて軽めによそる。それなりの量は作ったし、足りなかったらおかわりしてもらおう。

 

「皆、出来たよ~、って簪にシャルとラウラはどうしたの?」

 

皿を持ってリビングに戻ると三人が真っ白になっていた。

テーブルに皿を置きつつ疑問符を浮かべているとセシリアさんが苦笑いしながら答えてくれた。

 

「少し打ちひしがれていると言いますか、ショックを受けていると言いますか・・・」

 

「まぁ、少ししたら戻ると思う、気にしないで良いぞ」

 

箒さんにもそう言われ、気になりながらも三人について聞くことを止める。

ホント、どうしたんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黄色リバース」

 

「黄色ドロー2」

 

「続けて青のドロー2」

 

「更に黄色ドロー2」

 

「バカなッ・・・!」

 

昼食も食べ終わって暫く。

僕たちは鈴さんが持ってきていたUNOに興じていた。

因みに今ラウラがドロー六枚の犠牲になった。

八人でのプレイだからドローカードのお祭り具合が悲惨になっている。

 

「ちぃっ・・・」

 

「黄の3で」

 

「黄の3から青の3ですわ」

 

順番はラウラから時計回りに一夏、セシリアさん、箒さん、シャル、鈴さん、簪、僕の順番だ。

 

「赤の3を二枚重ねだ」

 

「カラーチェンジ、緑の1で」

 

「うぐ、パスよ」

 

鈴さんが小さく唸って山札から一枚引き、そのままうなだれる。

さて。次は簪だけれど・・・。

 

「カラーチェンジ、ドロー4」

 

なん・・・だと・・・ここに来てドロー4!?

 

「色は赤・・・」

 

即座に自分の手札を見る。残り枚数四枚、あった!

 

「続けてカラーチェンジ、ドロー4!色は青!」

 

危ない、取っておいて正解だった・・・さぁ、ラウラはどうする?

ドロー4の合計枚数は四枚、内一枚はゲーム開始直後に箒さんが使った。

そして今、簪と僕が使った事でそれぞれの手札、或いは山札には残り一枚・・・さぁ、どうする!?

 

「フ・・・悪いな一夏」

 

「何?・・・まさか!」

 

ラウラが手札から一枚のカードを場に置く。

その瞬間、一夏の顔がムンクの叫びへと変貌した。

 

「カラーチェンジ、ドロー4。色は・・・黄色だ」

 

「Nooooooooooooooo!!」

 

ラウラのドヤ顔宣言により、一夏は天を仰いで慟哭の叫びを上げる。

元々一夏の手札は7枚。そこに合計十二枚ドロー・・・もはや勝負は決まった。

 

 

 

 

「くそぅ、何だよドロー十二枚って鬼畜すぎんだろ」

 

結果、一上がりはなんとラウラとなり、ビリは一夏となった。

まあ、リバースとスキップを使いに使って一夏の手番を遅れに遅らせたんだけどね。

テーブルの上にカードを置いて、息を吐く。

いやぁ、楽しかった。

 

「流石にこの大人数だと、1ゲームの長さも結構するわね」

 

「初めてこのUNOをやりましたけど、中々に楽しめましたわ」

 

鈴さんとセシリアさんが麦茶を飲みながら感想を言う。

外を見ればもう夕方だ。

お開きにするには良い時間だろう。

 

「さて、と僕はそろそろ帰るとしようかな」

 

「ん?おぉ、もうこんな時間か」

 

麦茶を飲み干し椅子から立ち上がると、一夏が時計を見て驚いた。

 

「じゃあ私も。睦月に送り狼してもらう」

 

「「じゃあ私(僕)も」」

 

「言葉の意味わかって言ってる!?」

 

簪の言葉に呼応するようにシャルとラウラが立ち上がる。

うん、シャルは分かって反応したよね確実に。ラウラは・・・よく分かってないみたいだ。

そんな僕らのやり取りを見て箒さんは笑う。

 

「では責任をもって睦月は皆を送らないとな」

 

「箒さんまで・・・もぅ」

 

「んじゃあ睦月、しっかりエスコートしなさいよ?」

 

「分かってるよ鈴さん。それじゃあ三人とも荷物纏めて」

 

「「「はーい」」」

 

やけに揃った返事をしてそれぞれ荷物を纏める。

僕は傍に置いておいた小さな鞄を持ち上げ、中に財布と携帯を投げ込む。

三人の準備が終わったのを確認して口を開く。

 

「それじゃあ、今日はありがとう。また遊ぼうね」

 

「おう、またな!」

 

「道中、お気を付けて。夏休み明けまたお会いしましょう」

 

「まったねー」

 

「またな、三人とも」

 

残る皆からの声に手を振って織斑家を出る。

外に出て空を見れば鮮やかな茜色に染め上がっていた。

 

「さ、それじゃ帰ろっか」

 

「「「送り狼?」」」

 

「しないよ!」

 

三人にからかわれながらも歩み始める。

宵闇が近付き、空に星が瞬く。

 

ーー不意に吹いた涼風に、夏の終わりを感じた。

 

 





今回で夏休み編は終了です。一夏と箒の夏祭りデート?
原作通りです(丸投げ)

次回から遂に二学期。ようやく楯無会長が本格参戦です(ヒロイン話)

それでは次回もお楽しみに!
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