インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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最近、サンボル版ジムが格好よく思えるフォールティアです。



#05 敵

「しっかしまぁ、部活かぁ」

 

「言われてみれば僕ら以外皆入ってたもんね」

 

ガンッ!と空中に火花を散らしロングヒートブレードと雪片弐型をぶつけ合いながら二人で昼休みの事を思い出す。

生徒会室に呼び出されたその日の放課後、僕と一夏は第三アリーナでISを展開して打ち合っていた。

幾ら文化祭の準備期間とはいえ、こういった特訓は怠れない。現に文化祭で使う第一アリーナを除く他のアリーナも軒並み予約で埋まっている。

因みに僕と一夏以外は皆部活かそれぞれの用事で居ない。

簪がに関しては布仏さん・・・じゃなくて本音(本人にそう呼ぶよう強制された)が着いているし、笹桐さんも事情を聞いて監視にあたってくれている。

 

「っと!」

 

「考え事か、睦月!」

 

鋭い横一閃を背面飛びの要領でスラスターを吹かして回避する。

危ない、今のは直撃コースだった。

 

「考えてんのは、部活の事か?」

 

「いや・・・まぁ、それもあるけど」

 

昼休み、生徒会室に呼び出されて早々に言われたのは部活についてだった。IS学園では全生徒が最低一つは部活に入る決まりらしいのだが、僕と一夏はそんな事を露知らず、どの部活にも属していない。

なので暫くの間、学園内の部活を見て回って入りたい部活を決めてきてほしいらしい。といっても今は文化祭の準備期間中、部活動らしい活動を行っているのは少ないだろう。というか行きづらい。

場合によっては何処にも属さない、云わば助っ人的な事をやるかもしれないらしい。

 

【パッケージ換装 ラー第2形態】

 

「シュート!」

 

「ちっ!」

 

距離が空いたタイミングを使ってパッケージを換装、アドバンスドからラー第2形態に変更し、即座に腰のクロービームキャノンと両手のロングブレードライフルを連射する。

 

「それもあるけどって事は、更識の事か?」

 

「・・・正解」

 

直撃しそうなビームを切り払いながら問われる一夏の言葉に、コクりと頷く。

この場合の更識とは簪の事だ。

どうにも、あの昼休みの行動が気になってしまう。

 

バチィッ!

 

距離を詰められ振るわれる雪羅の爪撃を、両腰のクローアームから発生させたビームサーベルを交差させて防ぐ。

発生する膨大な熱量によって火花に混じって視覚化したプラズマが散る。

それに目もくれず左手にビームサーベルを拡張領域から顕現させ逆袈裟に切り上げる。

それをクイックターンを用いた回転で危なげなく一夏は回避して、今度は氷桜を使った抜刀術を放ってきた。

 

「やっぱり気になって、ね!」

 

「ぐ、ぉーー!?」

 

刃が最高速に乗る瞬間を狙って右手のロングブレードライフルを雪片に叩きつける。

不意を突かれた形になった一夏は大きくその体勢を崩す。

そんなチャンスを逃すわけがない。

 

【パッケージ換装、ギガンティックアーム】

 

背部から顕現した巨腕を使い、白式の非固定武装を掴む。更にフロントスカートに増設されたサブアームユニットを展開、両腕を拘束する。

これから僕がどうするのか見当がついたのか、一夏の顔が引きつったものになる。

 

「おい、ちょっと待て、それはヤバイというかもはや模擬戦のレベルじゃないっつーか命の危険を感じるんだけどぉ!?」

 

ロングブレードライフルのユニットをパージ、通常のビームライフルに戻す。

更に左手のビームサーベルを拡張領域に戻し、新たにショットガンを呼び出す。

肩のウェポンラッチに載せたマシンキャノンが起動し銃身を回し始める。

いよいよもって一夏の顔が真っ青になる。

まあ、容赦しないけど。

 

「じゃ、頑張って耐えてね♪」

 

「こんの鬼畜ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーー!!」

 

轟く銃声の最中、一夏の叫びがアリーナ中に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、今日も動いた動いた」

 

「死ぬ、マジで死ぬ・・・もう無理」

 

アリーナを出て、夕日が照らすなか二人で寮への帰り道を歩く。

隣を歩く一夏は何か真っ白になっていた。うん、僕のせいだね。ゼロ距離フルバーストは流石にやり過ぎたか。

 

「睦月、あれは絶対他の皆にはやるなよ?トラウマになるからな?」

 

「流石に女の子相手にやろうとは思わないよ。一夏なら大丈夫かなと思って試したんだし」

 

「俺はモルモットかよ!?」

 

「ははは、まさか・・・ん?」

 

とりとめのない会話をしていると、道の先に人影を見付けた。

 

「どうした、って誰だ?見ない顔だな」

 

「・・・バートリーさん。先週、簪のクラスに転入してきた人だよ」

 

話を続けながらも歩みを止めず、遂にバートリーの目の前まで来た。

彼女は腰に当てていた手をだらりと下げると閉じていた瞼を開く。

 

「ご機嫌よう、扶桑睦月君に織斑一夏君」

 

その碧い目を見た瞬間、ゾワリと総毛立った。

 

同じだ・・・この目は彼と同じだ・・・!

 

身体が、心が、警鐘を鳴らす。

 

関わるな、目をそらせ、会話するな。

三つの言葉が矢継ぎ早に繰り返される。確かに逃げたいし怖い。彼女は秋人と同じ『人を玩具にする人間だ』。

 

「睦月?」

 

故に、逃げるわけにはいかない。彼女は簪と既に関わっている。なら寧ろ話すべきだ。

 

「何でもないよ、一夏。それで、こんな所でどうしたのかな、バートリーさん?」

 

頭を振って一夏に答えた後、バートリーさんを真っ直ぐ見据えて問う。

小さく目を動かせば、視界の隅に笹桐さんを捉え、直ぐに戻す。

一夏が疑問符を浮かべているが、悪いけど付き合ってもらおう。いざとなったら彼女を拘束しなきゃいけないし、ね。

 

「あら、ツレないのね。こんな美少女が待っていたっていうのに」

 

「生憎と美少女なら間に合ってるんでね」

 

戯れた言葉に笑顔でもって返す。実際、この学園には美少女と呼べる人ばかりが居るし。教師も殆んどが美人という有り様だ。

そんな中で半年も過ごせば嫌でも目が慣れるというものだ。今更そんな事言われてもだからなんだとしか返しようがない。

 

「それで?美少女なバートリーさんは何でここで僕らを待っていたのかな?」

 

「ふふ、面白いわね。貴方、本当に面白い・・・待っていた理由なんて、どうということは無いわ。世界で『たった二人』の男性IS操縦者に挨拶しておきたくてね」

 

「・・・そう」

 

たった二人。そう言った瞬間皮肉げに細められた目に僕は確信する。彼女は・・・

 

「フィーリス・E・バートリー。宜しくね、『福音事件の英雄さん』?」

 

 

ーー僕達の、敵だ。

 





いよいよ雲行きが怪しくなって参りました・・・睦月達の運命や如何に!

次回は束さんが暴走する予定です

次回もお楽しみに!
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