僕は築く、邪神系女子によるハーレムを‼︎ 作:グリムリッパー02
更新は遅いですが完結までお付き合いくださると嬉しいです
僕という男は実に変わっている。
そう思ったのはいつだったか。
動けば邪魔者扱い、喋れば罵倒を浴び、気づけば一人だった。
だからと言って傷つくわけもなく。いや、違うね。傷つきまくったけど気にすることなく、普段通り適当に過ごしていた。
そう、今日この日まで過ごしていたんだ。
死んだ。結構簡単にぽっくりと。義務という名の苦行。学校という名の牢獄に向かう途中、背中を刺されて死んだ。
殺したのはいつも僕を虐めていた奴だった。
虐めていた奴が普段通りに過ごしてるの見てキレて殺人犯すとか今時の若者のキレやすい性格を大幅にこしちゃってマジウケるなんて感じだけど、そんなこと言えるわけもなく痛みは徐々に消えていく。というか感じなくなって最終的になんにも感じなくなった。
さて、乗っけから読者を絶望の淵に落とし込むような語りから入った訳だけど、皆様不思議に思ってるのではないだろうか。”なぜお前は死んでいるのに語っているのか”と──
何故と聞かれたら答えてあげるのが世の情け、ぶっちゃけそれが前世での出来事だからです。
ハイ!転生しました(笑)
いやぁ、あるもんだねこういうの。
あの後神とやらにポンと他の世界に転生させられた。あ、因みに特典とか無いよ。そんな大それたものを持てるほど僕は善行を積んでないし。
というわけで、只今第二の人生を満喫しております。転生してから早十数年、二度目の学園生活というわけだね。
これまで劇的に何かあるわけでもなく、普遍的に変わらないぼっちライフを満喫してきた。この世界はどうやら悪魔が出てきたり超能力を持てたり、ましてや艦隊が女の子になる世界では無いらしいというのはこれまでの人生で分かった。
では何の世界なのか?それは───
「デュエル実習の時間よ。生徒の皆んなは体育館に集まって」
遊戯王の世界
この世界ではデュエルこそ全て。
学校ではデュエルの授業を行いデュエルによって成績がつけられる。
社会では面接はデュエルを通して行われデュエルによって昇進する。
デュエルのデュエルによるデュエルのための世界。それがこの世界だ。
笑えねー。こちとらデッキは作ってても友達いなくて碌にやったこと無いんだよ。やったとしたら一人デュエルしかないよ。え?みんなもやったことあるでしょ?一人デュエル。
そんな僕だが、この世界に来ても相変わらずのぼっちだった。
友達はいない、知り合いもいない。結果、授業でやらされるデュエルくらいしかしたことがない。それでも前世よりもやる回数は増えたけど。
だがこれも辛い。何が辛いってまず僕とデュエルをしたがらない奴が多いことだ。よくドッチボールとかする時、リーダー格がお互い選手を取り合って最終的に残る奴みたいな?お互い「そっちにやるよ」みたいな感じで物凄く申し訳なくなる。
そんな状況な訳だ。
まぁ他にも理由があるといえばあるんだけどね。
そんな感じで今日も一人余った僕は、壮絶なジャンケン大会で負け涙を流すクラスメイトの男子とのデュエル実習に挑む。ようこそ君が今日の生贄さ
「よろしく」
「………」
目に見えて落ち込んでいる男子。何故かごめんと謝りたくなる。
まぁ、そんなことよりもそろそろ始めなければ、先生の目もきつくなってきた。
「それじゃ始めようか。デュエル」
「……デュエル」
掛け声とともにデュエルディスクはガシャガシャと音を立てライフポイントである4000の文字を表示する。
「…先攻は譲るよ」
「そうかい?それじゃドロー」
デッキからカードを一枚取る。さて、どうするかな…ってこの手札じゃこれ以上の展開は望めないか……
さて、このデュエルどうなるのかな?
少し口元をニヤケさせカードをディスクにセットした。
「ありがとうございました」
「………クソッ」
結果は僕の勝利で終わった。これが二つめの理由。自分で言うのもなんだけど僕はある程度デュエルに強かったりする。
と言ってもこの世界、打点ばかりを気にする脳筋が多いせいで詰めが甘いのだ。そんなの僕の元いた世界じゃ通用しない。いや、どうかな?少なくとも僕には通用しない。他の人とやったことないからわかんないや。
ま、そんなわけで脳筋プレイは漬け込みやすく、こんな僕でも安々と勝てるほどだ。それが僕に対する敵意に拍車をかけ僕の立場は孤立している。
とはいえ負けるわけにもいかない。
さっきも言ったようにこの世界はデュエル至上主義だ。負ければそれだけで将来に対する見通しが狭まることになる。とはいえ自分がどこかに雇われるとは到底思えはしないのだけどね。
まぁ何はともあれ此処での僕は『嫌われ者だけどデュエルは強い。なにそれむかつく』というポジションなのだ。嬉しくねー。
そうして今日も1日が終わり帰宅時間となる。前世ならこの時、何かしらの嫌がらせがあったのだが、この世界は違う。デュエルが弱い者は強い者に反抗出来ない。デュエル至上主義はこういった面にも影響を及ぼしている。良くも悪くもデュエル至上主義なのだ。
そうして通学路を帰る。今日はどうしようか、家に帰るかそれともショップによるか…最近何かと物騒らしいし、遅くなる前に帰ったほうがいいかもしれないな…
そうやって家を目指すこと数分、僕はピタリと歩みを止めた。理由はわからない。何故かは知らないけど、なにか、呼ばれたような気がしたからだ。
「後ろ…は誰もいないか。というか僕の名前知ってる奴なんているの?クラスの奴らですら覚えてないのに」
言ってて悲しくなってきた。そろそろ日も暮れそうだし、さっきのは空耳だったんだろう。
『──けて──』
そうして一歩踏み出した後、また聞こえた。それもさっきよりはっきりと。僕はキョロキョロと辺りを見回しながら耳を澄ませる
『──すけて──』
まだだ。まだ小さい。もう少し、もう少し。
『──たすけて──』
聞こえた。確かに、たすけてと誰かが言っている。僕はその場から走り出す。声の聞こえた場所へ。不思議と声の主はこっちにいると、そう思った。
そうして裏路地の方へ入っていく。そこを右に曲がれば───
「え?」
その場所には一枚のカードが置かれていた。何の変哲も無いカードだ。テキストは……無い。あるのはイラストだけ…それも真っ黒な球体が────
「そこで何をしている」
突然後ろから声をかけられ振り向いてしまう。そこには2メートルもあるだろう巨体の黒ずくめの男が。え?なにこれ!?
「──!貴様、そのカードは!?」
しまった。咄嗟にカードを隠すももう遅い。男の目つきは殺気を帯たおのへと変わる。
「フフフ、成る程そんな所にあったのか。手こずらせおって…小僧、そのカードをこちらに渡せ」
「断る」
「なんだと?」
自分でも驚く程即答していた。このカードは渡さない。何故かそう強く思ってしまう。
「……そうかならば仕方ない。力づくと行こうか」
ガシャガシャとデュエルディスクをセットする男。こんなとこでもデュエル脳かよこの野郎。だがそんなデュエル受けるわけがない。幸い足には自信がある。常日頃逃げ足の特訓だけは欠かしたことが無いからね!
そうして足に力を込め
「おっと動くなよ」
銃ぅ!?What?!なんでそんなもん出て来るの!?そんな物あるならそれ使って止めればいいだろッ!
やっぱこの世界馬鹿なんじゃねぇの?
ってそうじゃないよ!こんなのどう転んでも死亡エンドじゃなかッ‼︎
「デュエルを受けなければ死んでもらう」
そんなにデュエルがしたいかよ!クソッ、いいさやってやる。僕はデュエルディスクを構える。そしてさっきのカードをデッキに入れた。あれ?なんで今デッキに……
「さぁ、始めようか」
「え、あっ!ちょっと…」
「デュエル!」
男LP4000
僕LP4000
男の声でデュエルは始まってしまう。こうなったらやるしかないか。
「先攻は貰うぞ!ドロー」
男はそのカードを見るとニヤリと口の端を釣り上げた。僕は彼の手にキーカードが揃っていることを確認しつつ出方を見る。
「俺は神獣王バルバロスを召喚!」
初手でバルバロスか…前世でもかなり高価値なカードだった。
神獣王バルバロス/効果モンスター
星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200 (1):このカードはリリースなしで通常召喚できる。 (2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。 (3):このカードはモンスター3体をリリースして召喚する事もできる。 (4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。
「妥協召喚の効果で攻撃力は1900に下がる。俺は更にカードを一枚伏せてターンエンドだ」
さて、こっから俺のターン。
「ドロー」
幸先一発、カードを引く。
「魔法カード、手札抹殺を発動。お互いカードを捨ててその分ドローする」
…伏せカードの発動は無しか。お互いにカードをドローし引く。僕は5枚、男は3枚だ。
「俺は手札から捨てられた暗黒界の狩人 ブラウの効果を発動。デッキからカードを一枚ドローする。更に暗黒界の策士 グリンの効果で場の罠、魔法カードを破壊するよ。」
破壊されたカードはミラフォ。流石はミラフォ、仕事しない。
とはいえ当たれば怖いからな。
「そして墓地の暗黒界の武神 ゴルドの効果を発動。このカードを特殊召喚する」
暗黒界の武人 ゴルド効果モンスター
星5/闇属性/悪魔族/攻2300/守1400
このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、
このカードを墓地から特殊召喚する。
相手のカードの効果によって捨てられた場合、
さらに相手フィールド上に存在するカードを2枚まで選択して破壊する事ができる。
「俺はフィールド魔法、暗黒界の門を発動。効果により悪魔族の攻守は300ポイントアップする」
暗黒界の門 フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する 悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。 1ターンに1度、自分の墓地に存在する 悪魔族モンスター1体をゲームから除外する事で、 手札から悪魔族モンスター1体を選択して捨てる。 その後、自分のデッキからカードを一枚ドローする。
「バトルフェイズ。ゴルドでバルバロスを攻撃」
ゴルド2300+300=2600
バルバロス1900
男LP4000→2300
「くっ、だがこのくらいならば!」
「僕はカードを一枚伏せターンエンド」
これで一巡した。初手としては幸先が良いだろう。手札に恵まれた。さて、これからどうなるか。
「ふむ、様子見としていたが成る程。認められるだけのことはあるな」
「認められる?なんの話だ」
「しらばっくれるな。あのカードに認められた事は承知している。確かに貴様は強い。そこらのデュエリストとは大違いだ」
そうしてカードをドローする男。こいつは何を言っている?
「ならば俺も本気を出さなくてはな」
瞬間、空気が変わる。男から発せられてるオーラがより濃厚に、いやもはや別次元のものになる。これは…ちょっとやばくないですかね?
「俺は六武衆-イロウを召喚」
な!六武衆だと?!さっきのバルバロスが丸々ブラフじゃないか!
「場に六武衆がいるとき六武衆の師範を特殊召喚、更に魔法カード、二重召喚を発動!、六武衆-ザンジを召喚する!」
「なっ…!」
場に三体のモンスターが一度に並んだ。これはまずい
「魔法カード月の書を発動。ゴルドを裏守備表示に変更。バトル!イロウでゴルドに攻撃、効果発動、ダメージ計算を行わず破壊する」
ゴルドが破壊され場はガラ空きになる。
「続けて六武衆の師範でダイレクトアタック!」
僕LP4000→1900
「くっ!トラップオープン。ダメージコンデンサー。手札を一枚捨て、喰らったダメージ以下の攻撃力を持つモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する!僕はクリッターを捨て暗黒界の斥候 スカーを守備表示で特殊召喚」
「ならばザンジで攻撃だ」
「スカーの効果を発動!戦闘破壊で墓地に送られた時、レベル4以下の暗黒界と名のつくカードを手札に加える。僕は暗黒界の術師 スノウを手札に加える」
「フフフ、よく耐えたな。だがそのちっぽけなライフで何が出来るかな?カードを一枚伏せターンエンドだ」
…ったく盛大に負けフラグ立ててくれちゃって…だが確かに何が出来る。相手の場にはモンスターが三体。こっちは0。逆境ってのはこんな事を言うんだろうな。
「…ハハハ」
「何がおかしい」
「いやなに、最近の僕は意外と生温い場所に居たんだなと思ってね」
「なんのことだ?」
そうさ、僕はいつもこうなくてはならない。周りは全て敵だらけ。いつ負けようとも知れない逆境の中。背水の陣を引いて生活する。負け戦こそ僕の土俵だ。
だからこそ嗤う。それこそ狂った様に。
『成る程、貴方様なら私を扱うに相応しいですね』
突然声が聞こえる。その声はどこまでも僕の中に響き、溶けていく。さながら闇の様に。どこまでも聞き入っていたくなる声だ。
『さぁ、私を引いてください。この勝負、勝ちますよ』
その声に導かれ、デッキからカードを引く。
「……へぇ、そういうことか」
ニヤリと口元が吊りあがりる。確かに僕にピッタリのカードかもしれない。
「それじゃあ行こうか。僕は暗黒界の門の効果を発動。墓地のベージを除外し手札の暗黒界の導師 セルリを捨てる。続けてセルリの効果を発動!相手のフィールドにセルリを特殊召喚する!更にカードを一枚ドロー!」
「俺の場にモンスターを召喚するだと?馬鹿め!血迷ったか」
「鉄板のセリフをどうも。セルリは召喚に成功した時”相手”の手札を一枚捨てさせる。その相手ってのは僕のことなんだ」
「なんだと?!」
「僕は手札の暗黒界の術師 スノウを捨て効果発動。暗黒界と名のついたカードを一枚手札に加え更に相手の墓地からモンスターを一体特殊召喚する。僕は暗黒界の取引を手札に加えバルバロスを特殊召喚」
「な、俺のバルバロスが!」
「まだだ!暗黒界の取引を発動!互いにカードをドローし手札を一枚捨てる」
捨てるカードは暗黒界の尖兵 ベージだ。
「ベージの効果で特殊召喚。更に手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地から手札抹殺で捨てたダブルコストンを召喚!」
こちらも一度に三体のモンスターが並ぶ。この展開力には男も目に見えて驚愕していた。だがこれでは終わらない。終わらせない。
「最後だ。ダブルコストンは闇属性モンスターのリリースに使用するとき2体分として扱う。僕はベージとダブルコストンをのモンスターをリリース」
「三体分をリリースだと?!まさか!!」
「来い!邪神アバター‼︎」
その黒は全てを飲み込む。そう光ですら。光の反対は影だ。これは言うならば闇。闇は光すら飲み込み喰らう。
人はそれをなんと表現するだろう。絶望?悪夢?最悪?その全ての頂点、邪神アバターが今ここに降臨した。
「ア、バター…本当に…」
男は絶句している。この闇は常人が見ればそこまで飲み込まれる。
僕はこの存在を知っている。といっても前世での知識だが。
前世でもそのチートぶりからOCG化する際、劣化された怪物性能を誇る、三幻神と対をなす三邪神の一体、その頂点。
テキストを見れば、
邪神アバター効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?
このカードは特殊召喚できない。
自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。
相手ターンで数えて2ターンの間、相手は魔法・罠カードを発動できない。
(2):このカードの攻撃力・守備力は、「邪神アバター」以外の
フィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+100の数値になる。
どうやらOCG版らしい。だからこそダブルコストンを使用できた訳だけどね。
「アバターの効果を発動。アバターの攻撃力はフィールド上で一番攻撃力の高いモンスターにプラス100される。この場で最も攻撃力が高いのは神獣王バルバロス。バルバロスの攻撃力にプラス100されて3,100だ。バトル、セルリに攻撃!」
「ならばリバースカードオープン!攻撃の無力化!……!なぜ発動しない!?」
「アバターは召喚されてから相手ターンから数えて2ターン罠、魔法を発動できない」
「な、なんだと!?」
「これで終わりだ」
男LP2300→0
「な、私が…」
男は地に伏した。ゲームは僕の勝ち。とはいえ危なかった。アバターがいなければどうなるかは分からなかった。
僕はもう一度アバターのカードを見る。先程とは違い確かにテキストが書かれていた。どうやら僕は主人として認められたらしい。
「……認めぬぞ」
ふと、下から声が聞こえる。見れば男が憤怒の形相でこちらを見ていた。
「…認めぬ!断じて認めぬ!この様な敗北で俺の運命が終わるなど断じて!」
そう言い銃を取り出す。しまった!デュエルのことばかりで銃の事をすっかり忘れていた!
「死ねぇ‼︎」
バンッと放たれた音に目を閉じる。が痛みはいつまでたってもやってこない。いったい何が…
目を開けたそこには、黒い闇が球を防いでいた。球は下に落ちることも無くドップリと飲み込まれていく。
『まったく…デュエルで負けて尚逆ギレするなんて…諦めの悪いお方ですね』
後ろから聞こえる声に振り向けば、黒い髪に黒い巫女服を着た女の子が…歳は僕と近いくらいだろうか
「私も痛くないわけじゃないんですけど…いや、それも割とありなんですが…」
状況が飲み込めない僕をほっとき一人でブツブツと喋り始める女の子。
「なんだこれは!なぜ当たらん!」
男は弾を連発するがその全てが僕に届く前に闇に飲まれていく。
「いつまでもこうして楽しんでいたいんですが、貴方は少々やり過ぎました。この辺でおさらばといたしましょう」
そう呟けば彼の周りに闇が蔓延る。来るな来るなと叫んでいるが闇は静かに彼の体を包み込みそして
「───ご馳走様でした」
飲み込んでしまった。先程まで彼がいた場所には跡形もなく、ただ闇が広がっている。
「さて、マスター。これでゆっくりお話ができますね」
「…そうだね、アバター」
「あら気づいてましたか」
そりゃアレだけの奇想天外な状況を見せられれば邪神の仕業であるのは一目瞭然だろう。
「分かっているのなら話がはやい!こ存知の通り私はアバター。三邪神の一角を担うものでございます」
「はぁ、それはどうも」
「つきましては、今回を機にマスターである貴方様の使い魔、奴隷、精霊としてお側にいる事となりました」
「はぁ、成る程……って、は?」
「は?って…私の呼びかけに応え私を使役してくださいましたではありませんか!」
アバターはぐい!と顔を近づける。近い!近すぎますよアバターさん!年齢=友達居ない自分にとってこの距離感はもはや未知に等しい。
というか、僕がマスターってそれは正気か?
「私は長い間私を使役する方を夢見ておりました。ですがその頃の私は封印中の身、夢を馳せても実現などできません。しかしこの度何故か封印から解放され外へと飛び出しました!こうなればいざ外の生活エンジョイ!と担い手を探していたのですがどれもこれも私を扱うには魂が弱すぎて喰われてしまうのです。カードはデュエリストがいなければ力を発揮できない。次第に私の力も弱くなっていきました。そんな時私の近くに貴方様が通りかかったじゃありませんか!しかも極上の狂気を持って!これはもう貴方を生涯のマスターとしてお使いするしかない!と此処まで及び申し上げた次第です」
熱弁するアバターはどこか邪神だということを忘れる程、なんというか変な奴だった。
「それで、僕はどうすればいいのかな?」
「どうすればとは?」
「いや、邪神の主人となって僕はやっぱりさっきみたいな奴に狙われることになるのかなと」
「うーん、そうですね。ですがご安心を!私のマスターは世界一のマスターですのでどうぞ誇りを持ってくださいまし!」
この自信はどっから来るのだろうか、とは言え彼女の好意は素直に嬉しかった。
今まで向けられたものといえば嫌悪感と敵意、それから殺意が殆どだ。だからこういった純粋な好意は初めてで……嬉しかった。
「私はこの一生をマスターに捧げます。誠心誠意、マスターに尽くさせてもらますね。えーと」
「おっとそう言えば名前言ってなかったね。僕の名前は隈ヶ谷 夕斗《くまがや ゆうと》って言うんだ。よろしく」
「はい!よろしくお願いします!夕斗さま!」
そうして握手する。こうして僕は邪神と出会う。この出会いが後に世界を震わせるきっかけになるとはこの時は僕も、ましてやこの邪神だって知らないことだ。
それでもこの時の僕は、初めて触れた温もりに心を震わせる事しか出来なかった。
第1話目なのであまり主人公の外道っぷりは出していませんが見ての通りかなりトチ狂っています。
因みにアバターさんですが、黒髪ポニーテールの黒巫女服を来た少女という容姿です。いつかキャラクター紹介も付けたいですね。
ここまで見てくださりありがとうございました。