僕は築く、邪神系女子によるハーレムを‼︎   作:グリムリッパー02

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 邪神とは、なんだろうか。

 

 神でありながら災いをもたらす神。

 

 しかしながらこの災いをもたらさせるのは人間である。つまり、邪神とは人の立場から見た神の一つの姿なのだ。

 簡単に言ってしまえばクラス内のいじめられっ子がいじめられっ子とレッテルを貼られた瞬間、気持ち悪がられるのと同義で、他人からの客観的な押し付けが本人の意思に関係なく表に出ている訳だ。

 

 だが人と神は違う。神とはいわば祈りの集合体。「こうであってほしい」という意思の集合体こそが神そのものなのだ。

 だから邪神と言われてしまえば邪神なのである。元がどうであれ、それは邪神なのだ。

 

 そう、邪神…人に災いをもたらす最悪の象徴……なのだが…

 

『マスター、今日はなにが食べたいですか?』

『俺はお姉様の肉じゃがが食べたいぜ』

『それはこの前も食べたでしょ。それに今はマスターに聞いているんですよ』

 

 なんだこれは…キッチンに邪神がエプロン姿で立っている。

 しかも肉じゃがって…邪神なのにそんな庶民的なものが好きなのか?というか君達食事必要なのか?

 ツッコミたいことは沢山あるが、これはもう既に日常の風景と化している。この僕、隈ヶ谷 夕斗の日常はこんな非日常的な物なのだ。

 

「今日は魚な気分かな。あ、でもアバターの肉じゃがも食べたいよ?アレ美味しいから」

『だよな!流石夕斗さん!話がわかるぜ!』

『もうっ!褒めても何も出ませんよ!』

 

 ルートが仲間になって数日と過ぎた。僕達は何気ない食卓を囲みいつも通りな生活を送っている。

 前回意味ありげにイレイザーの居場所を突き止めた僕達だが未だに向かっていない。

 というか、行けないのだ。何故かって?理由は簡単。僕は既に新入生の時期を逃してしまったからね。

 デュエルアカデミアはデュエリストにとってまさに憧れの名門校。当然進入試験は厳しいものだ。筆記そしてそれを越えた先に実技となる訳だが、それは正規の新入試験のみ。

 後からの編入となると筆記も実技も難しく、そして何より編入に見合うだけの功績が必要となる。

 当然僕にそんなものは無い。筆記や実技はどうとでもなっても功績が無ければ門を叩くことすらできないのだ。

 

『にしても困りましたね。イレイを取り戻すのにこんな障害があるなんて』

『夕斗さんは頭が硬ェんだよ。バッと入ってバッとバトルしてくりゃ良いんだ』

「そんな事すると僕の来歴に傷が付いちゃうでしょ。僕が刑務所なんて入れられたらそれこそ君達ともおさらばなんだよ?」

『うっ…確かに…』

 

 まぁ、正直な所あの学園で邪神の力を使うと後々目をつけられそうで怖いんだけどね。っていうのが正直な理由だったりする。いくら原作とは違うとはいえ何が起こるかわからない。現に理不尽と不条理、非現実の塊である邪神が目の前にいるんだから。

 

 〈〈ピンポーン

 

『あ、はーい。今出まーす』

「君じゃ出れないでしょ。僕が行くから。あと一応実体化は解いておいてね」

 

 当然のようにチャイムに出ようとするアバターを止めて玄関へと向かう。出るまでの動作が自然過ぎるでしょ、僕も止めるのが遅れちゃったよ。

 それにしても何の用かな?まぁ大方新聞かセールスマンの押し売りだろうし適当に流せば───

 

「ハロー、ナイストゥーミートゥー、夕斗ボーイ」

 

 ガチャカチッ

 

『夕斗さん?どうしたんだ?』

「ありえない、ありえないありえないありえないありえない‼︎」

『ちょ、マスター?!本当にどうしてしまったのですか!?』

 

 ハッ!とっさのことで意識がgetawayしてしまったようだ。

 とにかくこれはなんとしても早急に事態を収拾せねば…

 

「マッタク、酷いではアーリマセンカ、夕斗ボーイ?閉め出した上にドアをロックしてしまうなんて」

「なっ!?」

 

 先程閉めたはずの鍵が開けられ先程の男が中に入ってくる。

 

「これでも私はそれなりの権力を持っていマース。唯の一般家庭のスペアキーを作ることなんて容易いのデース」

 

 高らかに笑う変わった日本語を話す男、ペガサス・J・クロフォード。デュエルモンスター創造主は堂々と不法侵入して来た。

 

 ★

 

「ンー。夕斗ボーイは紅茶を淹れるのが上手なのデスネー」

「……どうも」

 

 笑顔で紅茶を飲むペガサスに僕は皮肉を込めて返すがきっと届きはしないだろう。

 彼はデュエルモンスターズの創造主にしてインダストリアル・イリュージョン社の名誉会長。この世界で最も影響力を持った人間といっても過言ではない。

 そんな人間がどうしてこんな所に?考え付く理由は一つしかない。

 

「それでどうしてこんな所に?」

「ノンノン、焦りは禁物ですよ?夕斗ボーイ。今はティータイムを楽しみましょう」

 

 この軽薄な表情には何を隠しているか分からない。が、何が目的かは察しがついている。

 

「ところで夕斗ボーイ、貴方のペアレントは一体どこにいるのデスカ?先程から姿が見えませんが」

 

 これも、分かっていてるのだろう。

 

「親はいませんよ。姿を見せなくなったきりあっていません」

「おや、そうでしたか…これは失礼な事を聞きました…お詫びします」

「いえいえ、別に。気にしていませんので」

「そうですか…しかしキッズ一人で生活する事は大変でしょうね。特にマネーなんかは…」

「………」

 

 ペガサスは飲んでいたカップを一度置き、真剣な表情になる。

 

「つい先日、ここの近くのバンクで盗難事件があったそうデース。しかし誰も犯人を見ることは無かった。大量のマネー達は一斉に消えたそうデース。監視カメラにはまるで『闇がマネーを飲み込んだ』様な映像が映し出されていました」

「………」

 

「貴方がやったのですね?邪神の力を使い」

 

 彼の眼光は鋭く、凄まじいプレッシャーを感じる。しかし…

 

「はい、僕がやりました」

 

 僕は微笑みながら答える。こんな視線は日常茶飯事、慣れたものだ。

 それに、相手がその気ならこちらもその気になる。こと口八丁で負け組()に勝てる者はいない。

 

「…隠す気は無いのデスカ?」

「隠す必要がありますか?その左目の千年眼(ミレニアム・アイ)にはどんな嘘も効かないんでしょ?」

「─っ!?」

「あ、今はもう無いんでしたね…とはいえ貴方に嘘が通用するとも思えませんし…なら本当の事を話すほうが得策でしょう」

「ユー、それをどこで?」

 

 ペガサスの顔は驚愕の色を隠しきれていない。ダメだなぁ、そんな顔をしたら、漬け込みやすくなってしまうじゃないですか。

 

「どこって、貴方はどうして僕の所に来たんですか?僕が普通じゃない事なんて当然知ってるんでしょ?」

「……邪神ですか」

「まぁそれもハズレではあるんですが、それに近い物ということです」

 

 笑みを絶やさず会話していく。僕が転生者で、前世知識でその事を知っているなんて話しても信じはしないだろう。だったら話す必要は無い。幸い千年眼が無いなら心を読まれる心配も無いのだから。

 二人の間に沈黙が続く。時計の針だけはチクタクチクタクと時を刻む。その間も僕はふてぶてしい笑顔を絶やさない。

 

「貴方はどうするつもりデスカ?」

「?、どうって?」

「邪神を集め、何をしようとしているのかということデース」

「何をしようだなんて、僕にはそんな少年みたいな夢なんて持ち合わせていませんよ。僕は彼女達姉妹を再び合わせてやりたいだけです」

「姉妹?」

「どうやら封印が解かれてもバラバラになってしまったようなので。せっかくの姉妹が一緒にいれないなんて悲し過ぎる。だからこうして彼女達に協力してるんです」

 

 嘘ではない。彼女達のためにも僕は邪神探しをしている。勿論、他にも理由はあるけどね。それはここで話すべきじゃないだろう。

 

「それより、こんなくだらない話はやめにしましょう。貴方もこんな話をする為にこんな所まで来たわけじゃないでしょ?不毛なお喋りも嫌いじゃありませんが貴方が僕なんかの為に地味なデスクワークをする時間を削る必要はありません。本題に入りましょう」

 

 上からなのか下からなのか、そんなよく分からない提案をする。ペガサスは最初こそ目を細めていたが次第にフッと笑った。

 

「貴方はかなり良い性格をしているようデスネ」

「貴方にも劣っていないと自負していますよ」

 

 両者下衆の笑み。子供が見たら泣く事間違いなしだ。

 

 ペガサスは「それでは」といい鞄から一枚の書類を取り出す。

 

「これはデュエルアカデミアの入願書類デース。そこには私名義で貴方の編入を推薦する内容が書かれていマース。貴方はデュエルアカデミアに行きたいのでしょう?」

「どうしてそれを?と、聞くのは野暮ですね。しかし良いんですか?僕が邪神を集めることを許可しても」

「寧ろお願いしマース。今日見て分かりました。貴方は邪神を許容している。ならば暴走するものより貴方が持つ方が安全というものデース」

 

 ペガサスが提示したデュエルアカデミアの入願書類。それは言い換えれば僕に最後の邪神を捕まえてこいということだ。

 邪神の力は強大だ。それこそ三幻神を抑制する為に作られたその力は人知を超える。暴走しない為に預けるというならばそれは最善の手だろう。

 

「それとこれにも目を通してください」

「これは…」

「君とは別の邪神を狙う集団デース。名をウロボロス。彼の無限を司る龍の名前デース」

「ウロボロスか…それはなんとも厨二精神溢れる名前ですね。それで?そのウロボロスは邪神を捕まえて何をしようって言うんですか。まさか僕みたいに姉妹を一緒に暮らさせるなんて事じゃ無いんでしょ?」

「えぇ、彼らの目的は世界征服だと我々は考えてイマース」

 

 世界征服とは、これまた随分と鉄板なネタで来たものだね。飽きて呆れたを通り越して新鮮で感心するよ。

 

「それで?貴方達からの依頼はそのウロボロスの解体って事になるのかな?」

「理解が早くて助かりマース」

「ふーん、それで?僕らのメリットは?」

「はい?」

「メリットだよ。いくら貴方達が僕をデュエルアカデミアに入れてくれるのは邪神を集める為のメリットだ。僕にはウロボロスなんて関係無いし、もしかしたら僕がそちら側に寝返る可能性もある。そんな僕に貴方達はどんなメリットを与えてくれるのかな?」

 

 こちらとしては、デュエルアカデミアに入学するまでの関係でいたいというのも本音の一つだ。便利道具の一つなんて考えられたら面倒だしね。

 しかしペガサスは笑いながらこう言った。

 

「フフフフ…貴方は一つ思い違いをしていマース」

「…なんのことかな?」

「これは交渉では無いということデース。これは命令、夕斗ボーイに拒否権はあーりません」

「命令?それはまた穏やかじゃないね。なんだい?罪の黙認でもするつもりかい?」

「ノンノン、ナンセンスですよ夕斗ボーイ。我々が提示するのは貴方達の身柄。もし夕斗ボーイが応じなければ貴方ごとカードを封印しマース」

「─!?……へぇ…」

 

 つまりは彼は、「お前を生かしてやるんだからその分働け」と言ってるわけだ。それはなんて、なんて

 

「なんて僕好みの取引だ。良いね気に入ったよ。分かった、言われた通り僕はウロボロスと敵対しよう。これからは僕の身柄は君らのものだ」

 

 そうして握手を求める。ペガサスは嫌な顔一つせず応じた。

 

「夕斗ボーイとは良い仕事仲間になれそうデース」

「えぇ、本当に」

 

 そうして、ペガサスは帰って行った。

 ペガサス・J・クロフォード…成る程。確かにあの若さであれだけ成功してるのも頷ける。僕みたいな敗者とは大違いだね。

 

「と、二人ともそろそろ出てきてもいいよ」

 

 ペガサスが帰ったのを確認して何もないところに声をかければ、まるで空間に着色するかのように泣いた美少女が姿を現し…え?泣いた?

 

『マスター‼︎』『夕斗さん‼︎』

「おっとと、どうしたの二人とも、そんなに目を真っ赤にさせて」

 

 抱きついてきたアバターとルート(泣き虫ver)を受け止める。彼女達が泣いた所なんて初めて見た、というよりも美少女のガチ泣きを初めて見た僕にとっては内心焦っているどころの騒ぎじゃなかった。

 

『だってぇ、だってぇ…』

『マスターが私達の為にあのペガサスと対立してくださったことが嬉しくて…悔しくて…』

 

 ああ、なんだそんなことか

 

「気にしないでよ。アレは僕が好き好んでやったことだ。それに僕が君たちを守るのは当たり前じゃないか、君達は僕を独りから救ってくれた。ずっと冷たかった世界から暖かな闇へと連れ出してくれた。僕にはもう返しきれないほどの借りがあるんだよ」

『そんな!借りだなんて』

『そうですよ!夕斗さんとはいつまでも一緒です〜‼︎』

「うん…ありがとう」

 

 二人を抱きしめる。暗く沈み続ける闇、それが僕には心地よかった。

 ここは彼女達の世界。僕の世界。ならばこの世界を守ろう。何があろうともそれが、僕にできる彼女達への恩返しだ。

 

『でも本当に良かったのですか?もしものことがあればマスターも封印されるのですよ?』

「あれ?ルートはともかくアバターさんは分かってなかったの?あの条件の裏の意味」

『裏の意味?』

「ペガサスは僕ごと封印するって言った。ということは、僕には封印されるだけ、もっといえば彼らにとって邪神と同等の価値が存在するってことになるでしょ?」

『?はい』

「ウロボロスが僕を嗅ぎつけるまでそう遠くない。きっと理不尽なデュエルを申し込まれると思う。でもそれはペガサスのところに居ようと居まいと同じなんだ。彼らが僕を見つければ僕は正当防衛なデュエルをする羽目になるからね。そうなるとあの条件自体意味を見出せなくなる。後に残るのは僕には封印されるだけの価値があるということだけ」

『!成る程、そういうことですか』

「僕はそれが知れただけで満足さ。これである程度無茶をしても向こうがもみ消してくれるだろうしね。ペガサスが気づいてるかどうかは知らないけど、十分なメリットだよ。これは」

 

 そう説明すればアバターの顔も晴れ晴れとした物に変わる。これでも伊達に負け続けの人生を送ってる訳じゃない。負けても勝てるようなやり方は熟知してるんだ。

 

「さ、ご飯にしよう。さっきので疲れちゃってペコペコだよ」

『ハッ!そうだ!飯だ飯ィ‼︎お姉様!早く早く!』

「ハハハ…ルートのこの変わりようにはやっぱり慣れないね」

『そうですね。でも少しづつ慣れていけば良いのですよ。私達はいつまでも一緒なのですから』

「…うん。そうだね」

 

 こうして、思わぬ出会いを迎えた今日は終わりを告げる。

 何度でも言おう、これが僕の日常だ。そして、次からは新しい非日常(日常)が始まる。

 僕は新たな気持ちを胸にアカデミアへの切符を握りしめた。




ペガサスの口調は難しいですね。ちゃんとペガサスだと分かるか心配です。
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