僕は築く、邪神系女子によるハーレムを‼︎ 作:グリムリッパー02
今回の話は主人公の性格を良く出せたと思います。ぜひ「うわぁ…」という気持ちでみてください!
デュエルアカデミア、デュエルのなんたるかを学ぶ孤島に建設された学園、という名の隔離施設。彼らは卒業と退学以外、この門から出る事はない。例外として留学があるがそれはこのデュエルアカデミアにおいても一握りの天才にのみ与えられる。
そんなデュエルアカデミアを象徴すする場所、デュエル場にて、一つのデュエルが行われていた。
「ラストだ。トラファスフィアでダイレクトアタック」
「う、うわぁぁぁぁぁあ」
ダイレクトアタックを決められ少年のライフは0となる。ソリッドビジョンは”坂東義一”の勝利を告げた。
「オイオイ、幾ら何でも弱すぎるだろォ…もちっと俺を楽しませてくれよォなァ‼︎」
「ひっ、ひぃぃぃい!そ、そんなこと言ったて坂東君が勝手にデュエルを申し込んで来たんじゃ…」
「あァ!?坂東様だろうがよォ‼︎誰が馴れ馴れしく君なんて呼んでんだコラ‼︎」
怒声を効かせた彼の口調に対戦相手の男の子はビビりまくりである。
それを見た坂東は更に口の端を吊り上げ「良いこと思いついた」と呟いた。
「おぉ、お前のデッキよこせよ」
「え!?でもそれアンティールールじゃ…」
「はぁ!違ぇーよ、借りるだけだ。俺が飽きるまでな。それともお前は俺に逆らうのか?」
「い、いや…でもデッキは…」
「どうなんだよ!!渡すのか渡せねぇのか‼︎」
「わ、渡します‼︎」
それを聞くと坂東は無理やり彼のデュエルディスクからデッキを抜き取る。
彼の行為は立派なアンティールール。デュエルアカデミアの校則に違反する物だ。当然周りの人間も黙っていない─── と言うわけでわ無かった。彼の行為を周りは静観で突き通す。誰も止めようとしない。
彼、坂東義一は大手企業、坂東グループの御曹司だ。それこそインダストリアルイリュージョン社や海馬コーポレーションと比べればワンランクもツーランクも下ではあるが、それでも社会に対する影響力は絶大な物だ。そして、デュエルアカデミアは坂東グループに経済援助を受けている。たとえ先生だろうと彼には逆らえない。
少年は涙を堪える事しか出来ない。デッキを取られて悔しい。取って行ったコイツが憎い。助けてくれない皆んなが憎い。誰かコイツを懲らしめてくれ。そう願うしか無かった。
「いやぁ、凄いね。実に素晴らしいよ」
そんな少年の気持ちを知ってか知らずか、静まり返っていた空間に拍手が鳴る。
大袈裟な速い拍手でも馬鹿にしたようなゆっくりとした拍手でも無い。早過ぎず遅過ぎない拍手。だがそれが妙に気持ち悪い。得体の知れない物がべっとりとこびりつく様な気配がして、坂東は音の主へと顔を向けた。
そこに立っていたのは一人の少年。
黒い学ランに黒い髪。全身黒づくめの彼は、良く言えば特徴が無い。悪く言えばモブと言った容姿だった。
だが、常人でも分かるその異質性は何よりも人として拒みたい衝動に駆られる。
坂東は知らず知らずの内尻込みしていた。それでも坂東は引き下がらない。内容はどうあれ彼は自分を褒めたのだ。坂東は彼から発せられるオーラを気のせいだと言い聞かせた。
「へぇ、随分と話のわかる奴がいるじゃねぇか。お前新入りか?」
「うん。僕は隈ヶ谷 夕斗って言うんだ。今日からこのデュエルアカデミアに転校して来てね。どうぞ一つよろしく」
そうして手を差し出す。坂東としても自分の取り巻きが増えることは大いに嬉しいことだ。当然その手を握るのだが、
「ん?どうしたの?」
とっさに離した。彼の指先に触れた瞬間、身体が全力で拒否した。坂東には何がなんだか分からない。
対して、握手を拒否されたは少年は気にした様子も無く手を引っ込めた。
「い、いやなんでもない」
「そう、それにしてもさっきのは凄かったね。僕は感動したよ」
大袈裟に腕を広げ身体で表現する。初対面の人間にここまで言われるのは初めてな坂東はちょっとした優越感と羞恥心に駆られる。しかし、尚も彼は続ける。やれ、素晴らしいと、君は天才だと続ける。
そして、
「あぁ、素晴らしいよ。本当───
満足に外道にも慣れないクズだなんて、ほーんと君は最低だ」
最後の一言でそれら全てを台無しにした。今まで褒め続けた言葉を全て嘲笑う言葉へと変えた。
「……は?」
坂東は反応が遅れた。今までベタ褒めにされていたのだ、信じられないものを見たといったように目を丸くした。
「だってそうだろ?あんなぬるいやり方で、さも自分は強いとアピール。しかもその力は親の力。僕だったら恥ずかしくて立ってられないよ。皆んなもそう思うでしょ?」
夕斗はデュエル場に居る生徒達に同意を求めれば、ポツポツと同意の声が上がる。一度ついた火の粉は周りに燃え移り、最終的にはデュエル場の生徒、そして教師全員が夕斗の言葉に同意し炎を巻き上げた。
坂東は理解した。隈ヶ谷夕斗は初めから自分を辱める為にあんな回りくどいやり方をしたのだと。理解したと同時に憤怒した。こんな屈辱を与えられたのは初めてだ。坂東はプライドが高い。そのプライドをここまでコケにされたのだ、坂東は怒りに顔を歪めた。
「そこで怒るのが君の限界さ。君に『負』は重いよ。その重さにすら気づけないようじゃまだまだ三流さ」
夕斗に堪えた様子はない。幾ら坂東が怒りを、殺気を飛ばそうともそれを何事も無かったかのように受け流す。彼の顔には笑みが浮かばれている。常人なら考えられない状況だ。
「だから教えてやるよ。本当の外道、本当の邪悪、本当の理不尽、本当の嫌われ者の
夕斗はデュエルディスクを展開する。だが、坂東にとってこれは好機だ。自分を辱めた相手を完膚なきまでに叩きのめし威厳を取り戻す。こいつの悔しそうな顔を踏みつけ笑ってやる。後悔してももう遅いと教えてやる。
「上等だァ!テメェのデッキも奪って二度と部屋からでれないようにしてやる」
「登校初日にそれは困るね」
怒声を込めた罵声も軽く受け流す。それが気に入らない。目障りだ。
前の障害は叩き壊す。それが代々受け継がれる坂東の血の原点だ。
「デュエル‼︎」
二人の宣言によりソリッドビジョンが展開。デュエルが始まる。
「先行は俺が貰うぜ、ドロー‼︎俺は裏守備表示でモンスターをセット、カードを二枚伏せターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー…僕は暗黒界の番兵 レンジを守備表情で召喚。ターンエンド」
「そんな壁モンスターいくら並べたところで意味ねぇんだよ!。ハッ!大口叩くからどんだけのもんかと楽しみにしてたがそんなもんか?」
「君こそ少しは静かにしたらどうだい?弱い犬はなんとやらって言うけど、君を犬扱いしたら犬が可哀想だね」
皮肉を言えば皮肉で返される。今すぐにでも殴ってやりたいが、それは後でいい。坂東は気持ちを落ち着かせる。どうせ奴がこちらの伏せカードを破壊しなかった時点で奴の負けだ。そう思いカードを引く。
「いいカードだぜ。リバースカード二枚をオープン。グラヴィティバインド–超重量の網–を発動!フィールド場のレベル4以上のモンスターは攻撃出来ない。もう一つは魔封じの芳香だ。このカードがフィールド場にある限り互いに魔法カードをセットしなければ発動することは出来ず次の自分のターンでしか発動出来ない」
「出た!坂東さんのロックコンボだ!」
「これであいつは攻撃出来ないし魔法カードも上手く使えない!」
坂東のプレイングに取り巻き達が湧く。しかし、以前として夕斗は平気そうな顔をする。それが坂東には気に入らない。
「その顔、今すぐ苦痛に歪ませてやる。俺は裏守備表示のBF–精鋭のゼピュロスをリリース!トラファスフィアを召喚‼︎こいつにトラップは効かねぇ。これで俺は攻撃出来る」
トラファスフィア/効果モンスター
星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守2000
このカードをアドバンス召喚する場合、
リリースするモンスターは鳥獣族でなければならない。
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り罠カードの効果を受けない。
「トラファスフィアでそのチンケな壁を破壊だ‼︎どうだァ?手も足も出せずやられる感覚は…こんなもんじゃすまさねぇ。テメェはきっちり壊し尽くしてやる」
「言ってることが小物臭いよ。僕のターン、ドロー。カードを三枚伏せてターンエンド」
「ハッ!どうした怖気ずいたか?攻撃してこいよォ」
「君が出来なくさせたのによく言うね。ほら、君のターンだ」
側から見れば完全に坂東の優勢だ。攻撃を封じられ、魔法カードもロクに使えない。夕斗は劣勢は明らかなものだ。
それでも、彼の顔は飄々としている。まるでこうなることが当たり前かのように、苦しい顔一つせず黙々とデュエルを続ける。
デュエル場にいた生徒はその姿に飲まれていった。なぜ?どうして諦めないのか。それが彼らには分からなかった。分かるわけもない。彼にとって劣勢とは普段通りの事で、絶対絶命とは当たり前だということを。
「俺のターンだな。ドロー、俺はリバースカードオープン。ビッグバン・シュートをトラファスフィアに装備‼︎これでコイツは攻撃力を400ポイント上げ貫通効果を得る!そのままトランファスフィアでダイレクトアタックだァ!」
トランファスフィア 2400→2800
夕斗4000→1200
「オイオイどうしたァ!?そんなもんかよ味気ないな!もっと面白くしてくれよ、それともお前は口だけだったのかァ!!」
「…別に、大したことじゃ無いさ。それよりまだ、君のターンだよ?」
「チッ、生簀かねぇな。俺は一枚伏せてターンエンドだ」
(俺が伏せたのは暴君の威圧、これで俺のモンスターはグラヴィティバインドの効果を受けつかなくなった。次のターン、奴がモンスターを出してきてもゼピュロスを復活させて止めをさせる)
誰もが坂東の勝利を確信した。ここまで徹底的なロックをされ、夕斗の場にはモンスターが0…残りライフは次のターンで削られる。その上相手のライフは一つも削られていない。圧倒的なまでの差が坂東を慢心させた。夕斗に感じた恐怖も忘れていた。アレはやはり勘違いだったんだと納得した。
ゾクッ
瞬間、またあの気配がする。身体中から汗が吹き出る。得体の知れないものが這い上がってきて動きを拘束する。そんな感覚。
ふと、前を見る。先程まで自分が勝っていたはず。いや、今も勝っていることには変わらない。しかし、勝てない、心のどこかでそう思った。
目の前には笑った夕斗がいた。闇の中で輝く赤い三日月、今の彼を表現するならそれが最適な言葉だろう。
「あ〜ぁ、せっかく猶予があったんだからその間に削りきれば良かったのに…残念だね」
「ま、負け惜しみか!?このライフ差で何が出来る!お前は負けたんだよ‼︎」
「デュエルは何が起こるか分からないから楽しい。成る程、確かにそうだね。今の僕なら歴代主人公達の言葉の意味が分かるよ」
何を訳のわからないことを言っている?坂東の頭は彼の言動でパニックになっていた。既に彼は闇にその手足を縛られている。彼は逃げる事も出来ない。
「それでも、やっぱり僕は彼らとは違うね」
「な、何を…」
「残念だけどこれで終わらせるよ。僕はリバースカードオープン。成金ゴブリン。相手のライフを1000ポイント回復させカードを一枚ドローする」
坂東LP4000→5000
「なんだァ?諦めちまったのかァ?だらしねぇなぁ」
「まだ終わってないよ。二枚目のリバースカードオープン、活路への希望。1000ポイントライフを払うことで互いのライフの差2000ポイントにつきカードを一枚ドローする僕のライフは200、キミのライフは5000。二枚のドローだね」
「チッ、往生際が悪いな。消える時くらい綺麗に消えろよ胸糞悪い」
「そうだね。消える時くらい綺麗に消えて欲しいものだね。ところで言い出しっぺの君はきっと綺麗に消えてくれるんだろうね」
「…なんだと?」
「慢心して中途半端に終わらせる。だから君は甘いんだよ。お世辞にもロックデッキを語るならモンスター効果も無効にするべきだったね……僕は最後のリバースカードオープン。手札抹殺。手札を全て捨てその枚数分カードをドローする。僕は7枚のカードを捨てて7枚ドローする。さて、それじゃ始めようか」
「忘れたかァ?テメェは満足に攻撃も出来なきゃ魔法すら使えないんだぜ?そんな状態で何が出来る!」
「君こそ忘れたの?僕はこれで終わらせるって言ったんだ。僕は手札から墓地へと捨てられた暗黒界の鬼神 ケルト、闘神 ラチナの効果を発動。自信を特殊召喚。更に暗黒界の龍神 グラファの効果を起動。相手フィールド上のカードを破壊する。破壊するのは魔封じの芳香だ」
「クラヴィティ・バインドじゃ無いのか?!」
「これで魔法カードを発動出来るね。手札から魔法カード 魔法石の採掘を発動。手札を二枚捨てて墓地の魔法カードを手札に加える。僕は手札抹殺を手札に加える。さて、後は分かるよね?手札抹殺を再び発動。そして手札から捨てられた暗黒界の策士 グリンの効果を発動、フィールドの罠、魔法カードを一枚破壊する。グラヴィティ・バインドを破壊。そして同じく手札から捨てられた暗黒界の武神 ゴルドの効果を発動。捨てられたゴルドは効果で特殊召喚される。更にフィールド魔法暗黒界の門を発動。このカードの効果で悪魔族モンスターは攻・守共に300ポイントアップ。そしてもう一つの効果。墓地の悪魔族モンスターを除外して手札の悪魔族モンスターを墓地へ捨てる。この効果で暗黒界の軍神 シルバを捨て、特殊召喚」
「な、なんだと…」
坂東は目の前の状況に唖然とした。たった一ターン。ライフ200のゴミがたった一ターンで自分の布陣を破壊し、しかも最上級モンスターを4体揃えた。
坂東には4体の魔神を操る夕斗が、それ以上の何か、邪神に見えた。
「僕はまだ通常召喚を行っていない。手札から暗黒界の騎士 ズールを召喚し墓地にいるグラファの効果を発動。場の暗黒界を手札に戻しグラファを特殊召喚する」
「そ、そんな…」
坂東の手札がバラバラと地面に落ち膝をつく。目の前に見えているのはなんだ?地獄か?この世の終わりか?
圧倒的なまでに覆されたゲーム盤、その中央には変わらない夕斗の笑みがある。
「本当に情けないね。少し逆転されたくらいで戦意を喪失するなんて。まぁ、手品まで使ったのにこれじゃ心が折れても仕方ないのかな?」
手品の言葉に坂東の肩はビクッと震える。その目はもうやめろと告げていた。しかし夕斗はやめない。口元をさらに吊り上げ彼の希望を残らず打ち壊す。
「皆んなはおかしいと思わないかい?二回続けてデュエルして、こうも簡単にロックが揃う。随分と運が良いんだね。なーんてそんなの不可能さ。前のデュエルと全く同じ展開、手札にするなんてどんなプロデュエリストでもやれっこない。不正してたんだよ。積み込みってヤツだね」
次第に会場がざわつく。と同時にある疑問が生まれた。そんな事出来るのか、とデュエルディスクは学園から配布されているもの。そう安々と不正出来るものだろうか。改造するにしても一般人の学生には出来ない芸当だ。
そう、一般人の学生には
「彼って坂東グループの御曹司なんでしょ?だったらデュエルディスクの改造くらい会社の力を使えば出来るんじゃないかな?」
夕斗の一言に周りは信じられないと坂東の顔を見る。
夕斗は知っていたのだ。彼が坂東グループの御曹司、坂東義一だということも、彼が不正して手札を自分の良いように仕向けているのも、知った上で彼を挑発しデュエルを行った。
本来なら坂東としても二回続けてのデュエルは本望では無かった。場合によっては気づかれる恐れがある。しかし夕斗の言動に血が上った坂東にそんな冷静な判断をする余裕は皆無であった。
結果、まんまと夕斗の策略に嵌ったのだ。
「言っただろ?これが嫌われ者のデュエルだ。僕は
──ようこそ、敗者の世界へ──
★
夕斗の勝利で幕を閉じたデュエル場で坂東は項垂れていた。その目には気力のかけらもなくただデュエル終えたの天井を見続けている。
「どうだい?満足できた?」
開始前と変わることなく、笑みを絶やさない。坂東からは先程までの威勢も感じられない。アレだけ場を整え完全な勝利への流れを作ったのにも関わらず全てを台無しにされしかも不正の事実すら発覚された。
坂東の心には虚無感だけが残る。
「どうして、俺は負けたんだ…」
「これはデュエルだ。だとしたら勝敗がつくことは当たり前じゃないか。君は負けて僕は勝った。それだけの事だ」
そう、ただそれだけの事なのだ。なのに自分はそれだけで全て奪われたかのような気分になる。
夕斗の言葉は人を闇へと引きずり込む。
坂東はもうその言葉を聞きたくは無かった。
「…持ってけ」
差し出したのは少年のデッキと坂東のデッキ。もうプライドなんて関係ない。早く逃げ出したい。その一心でいっぱいだった。デッキを渡せば逃げられる。最初からこんなデュエル、受けなければ良かった。いや、デュエルなんてやらなければ良かったとすら思った。
しかし──
「何を言っているんだい?僕が君に構ってやるとでも?オイオイ冗談はよせよ。僕が君ごときに構うわけないじゃないか」
夕斗の言葉はそんな最後の望みすらも打ち壊す。
「な、何ってお前はデッキが目的でデュエルを…」
「別に僕は一言もデッキを渡せなんて言ってないよ?僕はただ君が気に入らなかったから君を倒した。それだけさ」
ボロボロと目の前が崩れる音がする。空間は壁のように剥がれ、剥がれた先は先の見えない真っ暗な闇。
「本当の外道っていうのはね何もしないのさ。君が敗者である事を認めない、認めて楽にさせないギリギリまで追い込んで追い詰めて放っておく。楽にもなれず上がることもできない。君は闇に飲まれ続ける。生温い世界さ。ようこそ、これで君も敗者の仲間入りだ」
「うっ、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ」
絶叫が、響く。その声こそ人が絶望の淵に落とされた時の声だ。
デュエル場は静まり返っている。生徒達は彼の悲鳴に耳を傾ける事しかできない。
彼らは夕斗が人間以外の者に見えた。人を闇に引きずり込み、心を壊すその所業は正に邪神そのものだ。
そんな邪神は皆んなの思惑も知らずどうしてこうも静かになったのか分からないでいた。
(アレ?皆んな静かだね。どうしたのかな?)
『夕斗さん!こんな時こそ決めゼリフだぜ!』
(決めゼリフ?)
『生徒の奴らは夕斗さんの華麗なプレイングと話術に唖然としてるんだよ、そういう時こそ、決めゼリフで締めるんだ!』
(いや、普通に引いてるだけだと思うけど?でも、決めゼリフかぁ)
そう考え一つ思いつく。そういえば、ここはアカデミアだったなと。
身体をしっかりと向き直し人差し指と中指を額当てる。
あの
「ガッチャ、最低なデュエルだったぜ」
此処に隈ヶ谷夕斗のアカデミア最初のデュエルが終わりを告げた。