僕は築く、邪神系女子によるハーレムを‼︎ 作:グリムリッパー02
『良かったのですか?マスター』
「ん?何が?」
夕斗は一人、寮にて夕食を食べながらアバターの声に反応した。
デュエルアカデミアには3つの寮が存在する。それは成績の順にオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドと分けられており、夕斗はこの最下層、オシリスレッドに配属された。
とはいえ、成績が悪かったわけではない。寧ろ編入試験だというにも関わらず好成績を残し、一部の教師陣にはラーイエローの超新星になるかもしれないとすら噂され、中等部から入学していないのが残念だとまで言われていたほどだった。しかし彼はアカデミアの施設を紹介される途中、脱走しあろうことかデュエルを開始。更にその相手はあの坂東グループの御曹司で、しかも勝ってしまうなど教師陣の血の気を引かせる行為を連続した結果、何の因果か【ドロップアウトボーイ】としてオシリスレッドに配属されたのだ。
更に言うならばそのデュエルの影響でオシリスレッドには彼に話しかけるような人間は一人としておらず、こうして寂しく一人で食事を取っているわけである。しかし、これも彼にとってはいつも通りの日常。大して堪えた様子は無い。彼にとっては大勢人がやって来たほうが異常事態である。
「んー、やっぱりアバターの料理の方が美味しいね。ここのは少し味が薄いや」
『もう!話をそらさないでください!私は本当に心配しているのですよ!』
「だから何を心配してるのさ」
『あの時のデュエルの事です。あの様な目立つ行いをすればいつウロボロスとやらが現れるか分かったものではありません。それに
「それは心配いらないよ。それにあれも作戦さ」
『作戦?どういうことでしょう』
「僕らの目的は二つ、一つはウロボロスの解体。そしてもう一つは邪神イレイザーの確保だ。ウロボロスの方は置いておくとしても、最優先事項はイレイザーの確保、元々僕達はその為に来たんだからね。そして邪神は強いものに惹かれる」
『───!成る程、そういうことですか』
「本当は彼の行いを見て、彼が持っている可能性も考えたんだけど、見当違いだったみたいだね」
『マスターも仰っていたではありませんか。あの者は外道にも慣れないクズ、私達を扱うには身分違いも甚だしい。私達を扱えるのは世界広しといえどマスターただ一人でございます』
「アハハ、そう言われると照れるね」
常人ならば決して褒めている言葉ではないのだが、彼ら彼女らにとってこれ以上の褒め言葉は存在しないのだろう。
「さて、そろそろ部屋に戻ろうか。ルートはさっきからお腹すかせて喋らないし、僕も今日は疲れたしね」
『そうですね、それでは戻りましょうか』
そうして、隈ヶ谷夕斗の壮絶な1日は終わった。
「おい、あいつ一人でブツブツ言いながら飯食ってたぞ」
「しかも最後には笑いながら部屋に戻っていったしよ…」
「やべぇよ!俺怖えよ!」
途中、聞こえてしまった悪口にアバター達との関係をもう一度良く考えようと思う夕斗であった。
★
翌日、今日から僕はデュエルアカデミアのレッド生として学園に通うことになる。にしても赤い制服って慣れないね、やっぱり今まで通り学ランじゃダメなのかな?
『夕斗さん、それ五回も言って断られたじゃねぇか』
『マスターの学ランへの愛は何処から来るんですか…』
まぁ、無い物ねだり、もとい無理な物ねだりりしても仕方ないね。とりあえず講義に向かおうか、初日から遅れるとマズイし早めについておこう。
『マスター、意外と真面目なんですよね』
『普段のあの外道っぷりからは考えられないよなぁ』
そこ、さっきから煩いよ。それと講義中はあんまり出てきちゃダメだよ。うっかり声出ちゃったら大変だしね。
『承りました』『うっ、分かったよ』
よし、そうとなれば早速講義堂へと入ろうか。新しい場所だし、もしかしたら知り合い未満、他人以上くらいは出来るかもしれないからね。
『望みが低すぎますッ‼︎』
ガラガラ←ドアを開ける音
ササッ←生徒が避けていく音
バリーン←ガラスのハートが割れる音
ははッ…分かってた、分かってたよ。うん。期待なんかして無い、大丈夫大丈夫。
『マスター!お気を確かに、私達がおります!』
『そうだぜ!私達が付いてる!夕斗さんは一人じゃない!』
大丈夫だよ。本当に対して期待してなかったから。それにアバターやルートがいることもちゃんと分かってる。僕には君らがいてくれるか十分幸せだよ。
『マスター!』『夕斗さん!』
ふぅ、さて、ガラスメンタルも回復したし、さっさと席に着こうか。
『うぅ、席に着くって言いながら無意識に一番前の端っこに着くあたりが悲しすぎるぜ』
『お労しやマスター…』
さて、講義が始まるまで後10分か、その間にデッキでも見てようかな…「ねぇ、そこのキミ」それとも何か動画でも「キミだってば」そういえばこのデュエルアカデミアって他とはカード技術が違うんだよな「聞いてるの?」やっぱり某学生80%の街の様に隔離された場所だと進歩速度が違うものなのかな?「おーい、聞いてますかー」
『あのぉ、マスター?マスターの事ですから本気なのかどうか疑わしいんですが、もしかして本当に気づいていらっしゃらないのですか?』
ん?何のこと?
『アレだよ、アレ』
アレ?
ルートの指す方へ視線を向ければ、
「………」
盛大に頬っぺたを膨らませた少女がこちらをお睨みになっておらせられた。え?どうゆうこと?
『マスターはこの少女から声をかけられること計4回、その全てを無視しております』
「え!マジで!?」
咄嗟の事につい声が出ちゃったけど、まさか本当に!?
僕が、女の子の問いかけを、無視した、この僕が?
「スンマセンシタァァァァア」
「きゃあ‼︎な、何?!」
そんな、この僕がまさか女の子からの問いかけを無視するなんて、普段声なんてかけられないせいで耳から入る声なんて全てシャットアウトしてたよ!(アバター達の声は心に直接くるから問題なし)
僕は誠心誠意、全てを込めた土下座を繰り出す。周りの生徒は何事だと僕と少女を見ている。しかし、土下座を止めるわけにはいかない。止められるわけ無いだろう!僕に話しかける事が実に愚かで、無謀で、馬鹿な事だっていうのは僕が一番知っている。
『ここまで偉そうな台詞をマイナスに変えられる人、初めて見たぜ…』
「ちょ、ちょと!本当に止めて!ね?皆んな見てるから!」
「いや!良いんだ!これは僕が自分に与えた罰、気がすむまでやらせてくれ!」
「本当にやーめーてー‼︎もうバカー‼︎」
………………
「落ち着いた?」
「うん、いやはや恥ずかしい所を見せたね」
土下座から約数分、やっと考えるだけの余裕が出てきて自分のしでかした事の重大さにも気づいた。いや、彼女にも悪いことしたね。改めて考えると本当に恥ずかしい事を…まぁ、考え過ぎるのもアレだし、この事はこの辺で止めておこう。うん。
そういえば、改めて考えるで思い出したけど、この子どっかで見たことあるんだよなぁ…絶対原作知識なのは間違い無いんだけど、どうも思い出せない。制服の色からオベリスクブルーだと言うことは分かるけど…ブルーの主要人物なんてあの天上院くらいしか思いつかないしね。
「それで?僕に何か用かな?」
「あ、そうだった!…オホン、隈ヶ谷夕斗!ボクとデュエルしろ!」
「うん却下」
「へへん!こう見えてもボク結構強って却下!?なんで!?」
「いやだってもうすぐ講義始まるし、僕これでも学園生活初日だから先生から睨まれる事は避けたいんだよ」
『『それはもう遅い気がする』』
「べ、別に今からじゃないもん!ボクもそのくらい分かってる!講義が終わった後なら良いんでしょ?」
「うん、それなら構わないよ。僕もデュエリストの端くれだからね。喜んで受けさせてもらうよ」
にこやかに答える僕に対して、少女はなにやら険しい表情を浮かべる。さっきまで笑顔、では無かったか。まぁそれにしてもここまで怒った顔では無かったのに。僕、なんか悪いことしたかな?
「…貴方は本当にデュエルモンスターズが好きなの?」
「それってどういう意味だい?」
「ボクも、あの場所にいたんだ。キミが坂東義一とデュエルしているところを見てたの」
ふと周りを見ると視線があった生徒が顔をそらしていく。それ以外の生徒もこちらを見ながらヒソヒソと話す。
「…へぇ、それで?僕が彼にした仕打ちが許せないと?」
「別にボクは坂東の事はどうとも思ってないよ。問題はその後、キミがデッキを取られた少年にやったことだよ!」
デッキを取られた少年にやったこと…
夕斗は坂東という男とバトルした後、少年のデッキを持っていった。
少年は凄く喜んでいた、「デッキを取り返してくれてありがとう」そう言った。
しかし、夕斗は返さなかった。彼はこう言った。「何を言ってるの?これは僕が彼に勝って貰った物で君のものじゃない。これは僕の物だ」
デュエルで得たものはデュエルで取り返す、この理不尽なデュエル脳世界の理を体現した。僕は悪くない。そうとも付け加えた。
これには周りの生徒も黙っていなかった。「酷い」とか「あんまりだ」とか、等といった使い古された罵声を浴びせて来た。
だから夕斗は言った、「さっきまで何も言わなかった腰抜けの君たちが、僕に何を言えるの?君たちもそこにいる彼や僕と同じ、負け犬だ」
結果、逆上した生徒達は少年にデッキを貸し夕斗とデュエル。夕斗は負け彼にデッキを返した。これが昨日起きた事の顛末だ。
以上説明終了〜〜
「成る程ね、だとしたら君も僕が許せないってことかい?」
「そうさ、ボクは許せない。デュエルモンスターズをこんな風に使うなんて…絶対に許しては置けない!」
少女は立ち上がり叫ぶ。その声にまた注目が集まるが、そんなことお構い無しに僕を指差し睨む。にしても、やっぱり知ってる気がするな…この真っ直ぐな感じがどうも見たことある気がする………あー!もう此処まで出てるんだけど…もう少し、もう少しで…!
「もう一度言う、ボクと、この早乙女レイとデュエルしろ!」
あぁ、ブルーレイだ。
★
『良かったのか夕斗さん、あんなデュエル引き受けて』
「ん?別に問題ないでしょ。それに何をしようと、何を言おうと僕にデュエルを申し込んでくる人はいなかったからね。僕は彼女の決意を無駄にしたくないんだよ」
『はぁ、マスターは女の子の事になると甘過ぎます!それに彼女が言ってたあの事もちゃんと説明すれば』
「それは言わない約束だよ、アバター」
『うぅ、マスタぁ…』
講義も終わりデュエル場を目指す最中、邪神達と夕斗はそんな話をしながら歩いていた。夕斗が女に弱いと言うのはなにも今に始まった事ではないのだ。アカデミアに来る前にも、学校やカードショップ等で女の子と当たる時はいつもの気配はなりを潜めていた。夕斗が女の子に目が無いのか、それとも男女での力の差を尊重するような人なのかアバター達には分かりかねるが、夕斗曰く「女の子の軽蔑の視線が一番キツイんだよね」だそうで、それが最も夕斗らしいと二人も納得している。
『それじゃあの女の子にはいつものデッキ使わないのか?』
「いやいつものデッキだよ。別に昨日の坂…なんだっけ?まぁいいや。坂なんとかさんみたいにするつもりは無いけど、向けられた行為にはきっちり全力を持って答えなくちゃね」
あの時、夕斗は坂東の行いに怒りを覚えた。勿論、彼が少年を虐めている事についてでは無い。彼が怒ったのは坂東の心についてだ。
彼は負を嘗めている。彼は負を恐れ、独りを恐れながらも周りから畏怖される存在を目指した。その心意気が気に入らない。夕斗にとって負とは誰にも頼らず独りで受け止めるべきものだ。素直に、偽らず、ありのままを受け止める。そこに一切の妥協も許されない。
勿論、夕斗はそれを他人に押し付けるつもりは無い。それは夕斗の生き方で坂東などの生き方は別にある。そこに興味はない。しかし、夕斗は素直なのだ。ムカつけば、ぶっ飛ばす。良くも悪くも素直な性格だ。
結果として、自分の大手企業の御曹司という、安っぽい肩書きを振りかざし負の世界に足を踏み入れたアイツが許せなかった。ただそれだけだ。
「だから今日もよろしくね。また君達の力を借りるかもしれないから」
『夕斗さんの全力ってようはいつも通り卑屈に最低に陰湿に台無しにするって事だろう?…最高だぜ!全力で力を貸すぜ!』
『このアバターもマスターのため尽力を尽くします!』
夕斗の言葉に邪神達は快く答える。と、デュエル場へと到着した。
デュエル場にはレイ一人、普通ならば学食などで昼食を食べている時間だ。ましてや非公式なこのデュエル、観客なんて居ないだろう。
「先生達に言ってデュエル場使用の許可は取ってあるよ」
「流石オベリスクブルー、信用されてるね」
レイは既にデュエルの準備を終えている。夕斗も対面に立ちデュエルをセットした。
両者にらみ合う。と言っても片や怒気を含んだ視線を、片や飄々とした考えの読み取れない物。そのベクトルは全く違ったものだった。
「ボクが勝ったらキミにはあの少年に謝ってもらう!」
「いいよ、でも僕が勝ったらそれ相応の物を貰うよ?」
夕斗の言葉にレイの心は揺れる。何を貰われる?負けたらどうなる?そんな思考が頭の周りを埋め尽くしレイの身体を蝕んでいく。
だが、レイはそんな物に負けはしないと頭を振る。
大好きなデュエルを、あんな風に扱う夕斗が許せない。絶対に勝って頭を下げさせる。
レイの目に迷いは無い。真っ直ぐな信念を持った視線が夕斗を突く。
そんな視線に夕斗はニヤリと口元を緩ませる。
「それじゃあ、楽しいデュエルをしようか」
「絶対に勝つよ!」
「「デュエル‼︎」」
デュエルの火蓋が切って落とされた
新キャラとして早乙女レイ(ブルーレイ)が登場。
本当は最後まで登場させるかどうか迷いました。ですがこの先人間の知り合いが居ないとやって行けない場面が多々でてきたのと自分がレイが好きという理由で登場させました。
次回はレイとのデュエルです。早めにあげられたらと思っています。
では!