僕は築く、邪神系女子によるハーレムを‼︎   作:グリムリッパー02

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感想にてデュエルの間違いなどを指摘してくださってありがとうございます。いかに自分がにわかデュエリストだったのか改めさせられますね。

これからも拙いデュエル小説になるかもしれませんが最後までお付き合いしてくださると嬉しいです。


学園生活を始めよう〜TURN 2〜

「先攻は譲るよ」

「それじゃ遠慮なく!ドロー!」

 

デュエルが始まった。早乙女さんはドローしたカードを見るとニヤリと笑みをこぼす。どうやらいいカードを引いたみたいだね。

そういえば早乙女さんのデッキってなんなんだろう。確か原作では恋する乙女デッキで、TFだとライロデッキだった気がするんだけど。

 

「ボクは宝玉の樹を発動するよ!」

「宝玉獣!?」

「…知ってるの?ここ以外じゃ珍しいカードだと思うんだけど?」

「あ、うん。ちょっと前に少し見たことがあってね」

「…ふーん、まぁいいや。ボクはこの宝玉デッキてキミに勝つ!」

 

まさか宝玉獣だとはね。僕も驚いたよ。彼女が宝玉獣デッキを使うってことはこの世界にはヨハンは居ないのかな?

そもそもあの世界じゃ宝玉獣はそれぞれ一枚ずつしか無いカードだったはず、『ここ以外じゃ珍しい』と言ったって事は此処にはある程度出回ってるってことか。

今後前の世界で有名なカードも出てくるかも知らないな。

 

「宝玉の樹は宝玉獣と名のついたカードが魔法・罠ゾーンに置かれるたびにジェムカウンターが一つ乗るよ。ボクはカードを裏側守備表示にしてターンエンド」

 

さて、相手が宝玉獣だと分かった以上、長期戦は望ましくない。多分あのカードも入ってるだろうからね。

ここは短期戦で一気に叩く

 

「僕のターン、ドロー。暗黒界の門を発動!暗黒界の門の効果で悪魔族の攻撃力・守備力は300ポイントアップする。僕は暗黒界の騎士ズールを召喚!このままバトル!ズールで裏守備モンスターに攻撃力!」

 

裏守備モンスターはエメラルドタートル。本来なら攻撃力が劣っている為、ダメージを食らうのはこっちだけど暗黒界の門の効果で攻撃力は上がっている。そのままエメラルドタートルは破壊された。

 

「宝玉獣エメラルドタートルの効果、破壊された時墓地へ送らず永続魔法として魔法ゾーンにセットする。更に宝玉獣が魔法ゾーンにセットされたことによって宝玉の樹にジェムカウンターが1つ乗るよ!」

「僕はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

返し一ターンはダメージを与えることが出来なかったか。これが仇とならなければ良いんだけどね。

 

「ボクのターン!悪いけどその厄介な門には退場して貰うよ!ボクはフィールド魔法、虹の古代都市 レインボー・ルインを発動!更にボクは宝玉獣サファイアペガサスを召喚するよ!サファイアペガサスの効果、召喚に成功した時、手札、デッキ、墓地から宝玉獣を魔法ゾーンへセット出来る!サファイア・コーリング‼︎」

 

サファイアペガサス/効果モンスター

星4/風属性/獣族/攻1800/守1200

このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、

自分の手札・デッキ・墓地から「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、

墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして

自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

サファイアペガサスの効果で魔法ゾーンへとセットされたのはアメジストキャット。宝玉獣がセットされたことによって宝玉の樹にジェムカウンターが一つ乗る。これで3種類目か。

 

「更に魔法カード宝玉の導きを発動!宝玉獣が二枚魔法ゾーンにセットされている時、デッキから宝玉獣を一体特殊召喚する。来い!アンバーマンモス!」

 

これで4種類目

 

「そして魔法カード、レア・ヴァリューを発動、魔法、罠ゾーンの宝玉獣を相手が決めてそのカードを墓地に送ることでカードを二枚ドローするよ。さぁ、何にする?」

「エメラルドタートルにしようかな」

「じゃあエメラルドタートルを墓地に送りカードを二枚ドローする!更にカードを一枚伏せてボクはこれでターンエンド!さぁ、次のターンで決めるよ!」

 

怒涛の展開力で宝玉獣を三体。そしてジェムカウンターを揃えた早乙女さんは勝ちを確信した表情だ。

多分、彼女の手札には既にキーカードがあるんだろう。次のターン、モンスターを召喚し宝玉の樹を使えば宝玉獣は全て揃うかもしれない。そうなると確かにこのターンで返すのはきついかもね。

 

「とは言え、諦める訳にもいかない。ドロー…バトル。ズールでアンバーマンモスを攻撃」

 

レイLP4000→3900

 

「まだまだこれくらい!レインボールインの効果を使うまでも無いよ!破壊されたアンバーマンモスは魔法ゾーンにセットする!」

「メインフェイズ2。僕はサイクロンを発動。宝玉の樹を破壊するよ」

「させない!レインボールインの第三の効果!モンスターゾーンの宝玉獣を墓地に送って魔法、罠の効果を無効にして破壊する!」

 

これでサイクロンは破壊された。けど、計算通りって奴だね。

 

「魔法カード、暗黒の取引を発動。互いにカードを一枚捨て一枚ドローする。そして捨てられた暗黒界の策士 グリン。グリンの効果で宝玉の樹を破壊」

「そんな!?」

「君の場に宝玉獣はいない。レインボールインの第三の効果は使えないね」

「くっ、前のターンで使っておけば…」

「なかなか削れ無いね。ターンエンドだよ」

 

両者拮抗。僕のライフは削られてないにしても確実に追い込まれつつある。ターンが経てば経つ程彼女はエースモンスターを出しやすくなるのだから。

 

「ボクは絶対諦めない!あの少年に謝って貰うんだ!」

 

そうしてドローする。そのカードは…

 

「…フフ、どうやらボクの勝ちみたいだね!ボクは魔法カード宝玉の導きを発動!魔法ゾーンに宝玉獣が二体以上いる時、デッキから宝玉獣を特殊召喚する!この効果でサファイアペガサスを特殊召喚!そしてサファイアペガサスの効果発動!サファイアコーリング!」

 

魔法ゾーンへ置かれたのはコバルトイーグルだ。

 

「見せてあげる!アカデミアのデュエルを!」

 

そう言い、ニヤリと笑う。一体何を……

 

「ボクは手札からフィールド魔法霧の谷の神風を発動!更に場のサファイアペガサスを手札に戻してA・ジェネクス・バードマンを特殊召喚!風属性モンスターを戻した時攻撃力が500ポイントアップ!でもボクの目的はそこじゃない!風属性モンスターが手札に戻った時霧の谷の神風の効果を発動。風属性モンスターをデッキから特殊召喚!来いサファイアペガサス!そしてもう一度サファイアコーリングを使う!魔法ゾーンにセットするのはルビーカーバンクルだ!」

 

チューナーモンスター?!まさか、この世界は既にシンクロ召喚が確立されてるのか?

しかも、これで彼女の元に6体の宝玉獣が並んだ。でもこれで終わりじゃない。

 

「更にボクはレベル4サファイアペガサスにレベル3バードマンをチューニング!シンクロ召喚!現れろエンシェント・フェアリー・ドラゴン‼︎どうだ!これがアカデミアだけで実装されているシンクロ召喚だ!」

 

そう言って自分の事の様に胸を張る早乙女さん。シンクロ召喚だなんてね。チューナーモンスターだけが存在すると思ってたんだけど…そうそう上手くはいか無いか。

どうやら本当にこの世界は原作とは違った世界になってるようだ。もしかしたらエクシーズ召喚とかもあるのかな、後で調べておく必要があるね。

 

 

というか、ペガサス、もしかしてわざと教えなかったのか?

…………どうやら次会った時はちょっと痛い目にあって貰わないといけ無いみたいだ。

 

 

「ボクはエンシェント・フェアリー・ドラゴンの効果を発動!フィールド魔法を破壊してライフを1000ポイント回復する!ブレイン・バック!」

 

レイLP3100→4100

 

「更にデッキからフィールド魔法を手札に加える。ボクはレインボールインを加えるよ。そしてボクはまだ通常召喚を行って無いない!ボクはトパーズタイガーを召喚!これで7種の宝玉獣が出揃った!」

「くる…!」

「ボクのフィールド、墓地に宝玉獣と名のついたカードが7種類存在する時、ボクは究極宝玉神 レインボー・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

フィールドに降り立つ七色の光を放つ龍。神々しく美しい。僕は単純に綺麗だと思った。

宝玉獣を統べる最強のドラゴン、レインボー・ドラゴンがここに召喚された。

 

究極宝玉神 レインボー・ドラゴン効果モンスター

 

星10/光属性/ドラゴン族/攻4000/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分のフィールド上・墓地に「宝玉獣」と名のついたカードが

合計7種類存在する場合のみ特殊召喚できる。

このカードを特殊召喚したターン、以下の効果を発動できない。

●自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターを全て墓地へ送る事で、

このカードの攻撃力は墓地へ送ったカードの数×1000ポイントアップする。

この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

●自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを全てゲームから

除外する事で、フィールド上のカードを全てをデッキに戻す

 

「レインボー・ドラゴンは召喚されたターン効果を使えない。でもこのターンで終わりだ!レインボー・ドラゴンで暗黒界の騎士 ズールを攻撃!オーバー・ザ・レインボー‼︎」

 

夕斗LP4000→1800

 

「エンシェント・フェアリードラゴンでダイレクトアタック!エターナル・サンシャイン‼︎これで決まりだ!」

「まだ終わらせたりなんかしないよ。僕は手札の速攻のかかしのモンスター効果を発動。自身を墓地に送り攻撃を無効にする」

「くっ……ターンエンド。でもこれでキミのライフは風前の灯火!このターンからははレインボー・ドラゴンの効果も使える。キミの負けは決まったよ!」

 

負け、か…確かに、彼女のフィールドには三体のモンスター。そのうち一つは攻撃力4000を超える化け物だ。対して僕のフィールドにはモンスターは0。手札も0絶対絶命大ピンチ。これは誰が見ても僕が負ける流れだと思うよ。

 

「…そういえば、質問に答えて無かったね」

「…なんの話?」

「僕がデュエルモンスターズが好きかって話さ。答えて無かっただろ?」

「………」

「このゲームは理不尽だ。強いカードを持つ奴が勝って、弱いカードは勝てない。運のいい奴、運の悪いやつ、勝負をする前から勝敗は決まってるような物さ。初手にブルーアイズ三体に融合と巨大化があれば大抵は1ターンで勝てるようなクソゲーだよ」

「………」

 

早乙女さんは何も言わない。ただ睨む。親の仇でも見るかのような目で僕を睨む。

彼女は心の底からこのゲームを愛しているんだろう。真正面からこのゲームを見ている。感じている。

それはとても素晴らしいことだ。

そして、それは僕も同じだ。

 

「でも僕はこのゲームが大好きなんだよ。敗者が勝者をねじ伏せる。弱者が強者に食らいつく。不平等で理不尽な世界は強者と弱者を平等にするんだ。ゲーム盤をひっくり返す為に頭を使う。身体を使う。不運すら使ってみせる。僕はこのゲームがたまらなく好きだよ。僕のデッキは、そんな僕にも力になってくれるからね」

 

負けそうなスリルにハラハラしたり勝てる興奮にワクワクしたり、そう言った全ての能力を使ったこのゲームが僕は大好きだ。

 

急な熱弁に、早乙女さんはポカンとしていた。

側から見れば僕は狂っているのだろう。だがそれでいい。僕はいつだって普通とは違っていた。だからこそ彼女達の拠り所となれて、他の観点から物事を観れる。

 

「それじゃ、続きを始めよう。僕はここから逆転する」

「…!この状況でどうやって!」

「さぁね、僕も分からない。でもこういう時デッキは答えてくれるものでしょ?それにこんな僕でもワクワクするんだ。たった一枚のカードでひっくり返る、この瞬間が」

「…いいよ!ボクも全力で相手する!」

 

そうしてドローする。運命のドロー。あの布陣を!あの絶対的な強者を!僕はねじ伏せる!

 

「僕は魔法カード、魔法の泉を発動。このカードは相手の魔法、罠カードの枚数だけカードをドローし、自分の魔法、罠カードの枚数だけ墓地に捨てる。ただしこのカードが発動しターン相手の魔法、罠カードは破壊されず効果の無効もされない」

「ま、まさか!」

「そのまさかさ。宝玉獣は魔法、罠ゾーンにある時永続魔法扱いされる。キミの場には5枚の永続魔法扱いの宝玉獣。僕はカードを5枚ドロー‼︎」

「そんな!」

「そして僕の魔法、罠カードは二枚。よって手札から二枚墓地に捨てる。捨てるカードは暗黒界の軍神 シルバ。そして暗黒界の龍神 グラファだ。手札から捨てられたシルバの効果、このモンスターを特殊召喚する。更にグラファの効果、相手フィールド上のカードを一枚破壊する。僕はが破壊するのは当然レインボー・ドラゴン」

「そんな!レインボー・ドラゴンがこんなに簡単に破壊されるなんて!」

「更にリバースカードオープン。罰則金。僕は手札を二枚墓地に捨てる。この効果で捨てるのは暗黒界の刺客 カーキと暗黒界の導師 セルリ。カーキのモンスター効果、相手のモンスターを一体破壊する。僕はエンシェント・フェアリー・ドラゴンを破壊。そして暗黒界の導師 セルリの効果、このカードを相手フィールド上に特殊召喚する」

「ボクのフィールドに!?いったい何を…」

「セルリは特殊召喚に成功した時相手は手札を一枚捨てる。今のセルリから見て相手は僕、僕は暗黒界の術師 スノウを捨てる。暗黒界は相手の効果によって捨てられた時、さらなる効果を発動できる。スノウの効果で暗黒界と名のつくカードをデッキからサーチ、更に相手の墓地のカードを自分フィールドに特殊召喚する。僕はデッキから暗黒界の門をサーチ。そしてサファイアペガサスを特殊召喚」

「ボクのサファイアペガサスが!」

「暗黒界の門を再び発動、墓地の悪魔族を除外することで手札を一枚墓地に捨てる。そしてその後一枚ドローする。グラファを除外して手札のベージを捨てる。捨てられたベージは特殊召喚される。そして一枚ドローだ」

 

そうして手をデッキへと伸ばす。きっと来てくれる。確かな自信がある。

この世界で一番信頼できる仲間、この場面を覆す事が出来る存在、さあ行こう。

 

「僕は三体のモンスターをリリースする」

「三体のモンスターをリリース?!」

「アドバンス召喚!降臨せよ!邪神ドレッド・ルート!」

 

アバターが不条理な闇の集合体であるならばドレッド・ルートは理不尽な力の集合体。

全てを等しく破壊する。破壊を司る邪神、全ての者がひれ伏し見上げる事すら許さない。それがドレッド・ルートだ。

 

ドレッド・ルートの存在感に早乙女さんは目を奪われている。闇も力も、人を魅了する。

 

「…凄いね。これがキミのエースモンスターなんだ…」

「そう。僕の大事な仲間さ…ドレッド・ルートの効果発動!このカードが存在する限りこのカード以外のフィールド上のモンスターの攻撃力、守備力は半分となる」

「そんな…!?で、でも例え半分にされたとしてもボクのライフは4100!この攻撃だけじゃ倒しきれないよ!モンスターを全てリリースしたのが仇になったね!」

「確かにこのままじゃ、僕は君を削りきれない。次のターンに君がレインボー・ドラゴンを回収して召喚すれば、君の勝ちだ」

 

言い終えて息を吸う。勿論そんな事は分かりきっている。ドレッド・ルートが出ても僕のピンチは変わらない。レインボー・ドラゴンにはフィールドをリセットする強力な起動効果もある。

だが、それがなんだ。絶対的な強者を前にするのはいつもの事。陰口や陰湿な手を使わない辺りよっぽどマシだとも言える。

この場を覆してこそ、僕は僕らしい勝利を飾れるのだ。

 

「僕は勝つ。言ったでしょ?このターン逆転するって」

 

そうして僕はもう1枚のリバースカードをオープンさせる。暗黒よりの軍勢と同じでゲーム序盤から伏せているカード。この場を覆すキーカード

 

「僕はリバースカード、巨大化を発動するよ。僕のライフが相手のライフより低い場合、装備されたモンスターの攻撃力を倍にする。これによりドレッド・ルートの攻撃力は8000」

「そ、そんな…」

「邪神ドレッド・ルートでトパーズタイガーを攻撃!フィアーズノックダウン‼︎」

 

レイLP 4100→0

 

 

「ガッチャ、最低なデュエルだったぜ」

 

 

 

「負けちゃた…」

 

デュエルが終わりレイはへたりと地面に座り込む。夕斗はそんなレイへと近寄り手を伸ばした。

 

「大丈夫?立てる?」

「う、うん。ありがとう」

 

夕斗の手を借りてなんとか立ち上がる。

 

「ごめんね。君相手に手加減なんて出来なかった。君の意思や覚悟に失礼だからね。だからこそ全力で叩き潰した」

 

夕斗の言葉がレイの頭に響く。彼はデュエリストとして最大の敬意を表示、相手を真っ向から叩き潰した。

それはレイも分かっている。最後の攻防を通して、彼がいかにデュエルモンスターズというゲームを好きであるかを理解した。そうでなければあの場でデッキは彼に答えなかっただろう。レイはデュエルする以前よりスッキリとした表情をしていた。

 

「強いね。これでオシリスレッドなんて信じられないよ」

「僕は嫌われ者だからね。どうやら先生達にも嫌われちゃったみたいだよ」

 

そう言って苦笑する夕斗を見てレイも笑う。

デュエルを終えたどうしは友達になる。なんてことは無いが、少なくとも夕斗の気持ちを理解したレイには彼が言うほど悪い人間に見えなかった。

 

「ねぇ、聞いてもいいかな?」

「どうしたの?」

「キミはどうしてあんな事を、あの少年のデッキを奪ったりしたの?周りを煽るような真似までして、キミは何をしたかったの?」

 

だからこそ、彼がなぜあんな事をしたのか分からなかった。

このデュエルのそもそもの発端。坂東に敗れた少年のデッキを返さなかったこと。これ程までにデュエルが好きな彼なら、こんな行為はしない。何か理由があるんじゃ無いか、と思った。

 

レイの質問を聞いた夕斗は一瞬、驚いたような、困ったような顔をしたが、直ぐに何時ものヘラヘラした笑顔に戻る。

 

「別に理由は無いよ。勝者は得て敗者は失う。自然の理さ。僕はそれに従っただけで理由は無い。まぁ結局負けて僕も失っちゃたんだけどね」

 

嘘だ。そう直感した。彼の瞳は真っ黒で何も読み取れないけど、その顔は何を考えているのか分からないけれど、それでもそれは嘘だと分かった。

けど、彼が言うならそれも事実になってしまう。本人が「そうだよ」と言ってしまえば、それが事実だ。真実は違うとも、事実は上書きされてしまう。

きっとこの先もレイは本当の意味を知ることは無いだろう。彼が変わらない限りレイが真実を知ることは無いのだから。そしてそれはきっとあり得ないことだから。

 

 

 

 

 

ところで、話を脱線してしまうが、一度、邪神アバターの性格を確認しよう。

全てを飲み込む闇であり頂点。他の髄を許さず常に最強たる神。

家では家事全般をこなし主人の健康管理まで徹底する。

その忠義の心は本場のメイドさんも圧巻する程であり、基本万能無敵。

ドMという欠点と利点を除けば完璧超人、いや完璧超神。

そんな忠義心の塊の様なアバターさんの本質は、邪神でありながらも一言で表すならば、お節介だ。

 

そうお節介なのだ。どうしようもなく、たまらなく、お節介なのだ。そしてその妹であるルートもまた、お節介である。

 

 

 

『あぁー!もう聞いてられません!マスター!今この時だけは意見申し上げます!』

『わ、私もですぅー!夕斗さん!今回ばかりは黙って置けません!』

 

夕斗とレイ、二人しか居ないはずのデュエル場に突如第三者が現れる。黒髪をなびかせ、この世界でも目立つだろう黒の巫女服を着た少女。アバターと、メリハリの着き目の行き場に困る露出の高い鎧を着た褐色の少女、ルートが現れる。

アバター達は実体化して直ぐに夕斗に詰め寄った。

 

『マスターは捻くれ過ぎです!確かに私達にとってそういう感情は嬉しいですが、それでもマスターは自分を追い込みすぎです!』

『本当ですぅ!なんで夕斗さんはそんなに傷つこうとするんですかぁ!』

「ちょ、アバターさん!?ルートさん!?落ち着いて……それとなんでもう泣き虫モードなの?!」

『これが落ち着いていられますか!マスター、前々から言おう言おうと思っておりましたがマスターは孤独を選び過ぎです!』

「い、いや。僕にはアバターさん達がいるし…」

『た、確かに私達は一緒にいますけど…でも夕斗さんは人間なんですよ。幾ら私達と共にいようと邪神と人間という立場は変えられません。夕斗さんは一人では生きていけない弱い人間。それは夕斗さんが一番良く知ってるはずですぅ!』

『マスターが自ら進んで傷つく姿など、私達は見とう御座いません。分かって頂けますか?』

 

夕斗は何も言わない。ただアバター達を見つめている。

次にアバターはレイへと視線を移した。先程からおきていることに反応出来ず、空気と化していたレイだがアバターに見つめらただけで背筋が伸び冷や汗が湧く。

これは人間が目にして良いものなのか?レイの頭はそんな疑問で埋め尽くされた。

 

「早乙女レイさんでしたか?」

「ハ、ハイ!」

「貴方にお話します。何故あの時、マスターがあんな事をしたのか。その真相を」

 

告げられた予想外の言葉にレイの顔は真剣な物となる。

アバターは一度夕斗に視線を移したが夕斗は肩をすくめて苦笑していた。アバター はそれを許可と受け取り口を開く。

 

 

アバターの話した真相はこうだ。

 

あの時、坂東に負けた少年は心、そして立場共に最悪の状況だった。

彼は理不尽なデュエルに負け、そしてデッキを取られた。それを周りの人間は助けない。

彼は自責の念と周囲への恨みを抱えていた。

邪神はそういった強い負の感情を感知することができる。そして邪神の主でたる夕斗も長年の実体験から第六感で感知する事が出来る。

このままデュエルが終えようと、彼の心の闇は彼を蝕み続けるだろう。

助けなかった周りを恨み、弱い自分を恨み、彼は孤独の元、その重さに耐え切れず潰れてしまう。

夕斗はその闇を肩代わりする事にした。彼は闇から救い出すなんて芸当は出来ない。出来るのは彼の闇を自分が背負う事だけ。

そして夕斗は行動した。少年の敵意を恨みを自分に向け、周囲の敵意も自分に向くよう仕向けた。共通の敵を用意することで人間は団結する。それを仲間と呼ぶ。

結果、彼らは夕斗を打ち砕く事に成功し、集団の勝利でまた変わらぬ関係に戻ることが出来た。

 

これが事の真相である。

 

 

 

「そんなやり方、間違ってるよ!」

 

アバターが話終えると、レイは叫んだ。そんなやり方、絶対に間違っている。

確かに彼のやり方で少年は救われたかもしれない。けれどそれは隈ヶ谷 夕斗という犠牲を払って得た救済だ。他にも方法はあったはずだ。

進んで孤独を選ぶやり方が正解であるはずがない。純粋で優しい性格であるレイはそのやり方を認めるわけにはいかなかった。

そして同時にレイは思う、どうやったら人の闇を背負える程になれるのだろうと。

自ら進んで孤独を選び、闇を抱えて生きていく。それはもはや人間と呼べるのか…

 

「間違っている事は否定しないよ。そもそも僕は正解を選ぶつもりもないからね」

 

対して夕斗の反応は先ほどと変わらない。

 

「どうして、そこまで……」

「別に彼の為じゃないさ。あーいった立場は僕のものだからね。他の人間が安々と明け渡す気はさらさらない」

 

平気そうに話す夕斗を見て、レイは薄ら寒いものを感じる。

彼に一体何があったのか、何が彼をここまでさせるのか、レイの中で次第に疑問は膨れる。

そしてそれと同時に、言いようのない感情が湧き上がる。

 

正解を選ばないだって?

闇を背負うって?

孤独を選ぶって?

 

夕斗の言葉がレイの中を駆け巡り、そして爆発した。

 

「だったらボクが正解を選ばせる!絶対に孤独なんてさせてやらない!夕斗にはボクがいる!友達としてボクが間違えを正す!絶対一人になんてさせてやらないんだから!」

 

それは怒りだ。進んで傷つく彼への怒り。ムカついた。

レイも夕斗と同じで単純素直な性格なのだ。彼の行動が自分の神経をかつてないほど逆撫でした。

そしてそれは徐々に別の感情へと変わっていく。

ほっとけない。彼を隈ヶ谷 夕斗を一人にして置けない。彼をもっと近くで見て、彼を支える。

 

デュエルを通して夕斗のことをしった彼女にとってそれがどういう意味なのか、どういう心のあり方なのか分かっていない。けれどもそれに気づくのは時間の問題かもしれない。

いくら世界が狂っていても、彼女が恋する乙女である事は変わりないのだから。

 

「ボクは離れないよ!何があっても絶対に離れないんだから!」

「いや、ちょっと落ち着いて……」

「落ち着いてるもん!夕斗が闇を背負うっていうならその分ボクの幸せを分けてあげる!」

 

伸ばされた手を見て、夕斗は突然の事に戸惑う。彼もまた、デュエルを通してレイの人柄を知った。けれどチラつく。過去の記憶が、錆びついて取れない汚れが。そして何より初めて向けられた自分より小さな手にどうすればいいのか分からなかった。

手を振り払われ振り払うやり方を知っていても手の繋ぎ方を夕斗は知らない。

 

『マスター。大丈夫です。私達がいます』

『ううっ、良かったですぅ〜‼︎』

 

その手をアバターが、ルートが引っ張る。彼女達の手によってレイと夕斗は握手を結ぶ。

夕斗が信じる最高で最低の仲間が彼女の言葉を信じ主の手を引いた。

それを見て笑みを浮かべるレイに夕斗は苦笑する。本心からの笑みではないが、その中に若干の照れと嬉しい気持ちがあるのをアバターは見た。

 

こうして、曲がった少年と真っ直ぐな少女と邪神達による奇妙な友情が生まれたのだった。

 




いい話風にまとめたかったのですが…上手くいったのかな?

今回は色々と進展があったので補足しておきます。

※シンクロ・エクシーズについて
今回、シンクロ召喚が出ましたが、今後も出ます。原作とは平行世界ということなので、とことんオリジナル設定です。作品内の設定は次回、詳しくやります。

※レイについて。
人間のヒロインとして主人公のハーレムに加わりました。
最初はアバター達だけの予定だったんですが、前回も書いた通り人間の仲間が必要になった為この度ヒロインとして登場しました。
口調はまだ男の子に化けていた頃を意識していますが、後々変えていきたいと思います。
彼女のデッキについてですがレイ→レインボーと物凄く安直な物からつけられました。ごめんなさいレイさん。
そしてレイの登場にてイレイザーの名前がレイからイレイへと変更されました。ごめんなさいイレイザーさん。

さて、次回からはそのイレイザーさんがだせるよう頑張って行きます。まだウロボロスさん達も出てませんし…

それでは次回お会いしましょう。ありがとうございました
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