スナイパーは笑わない   作:そるのい

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防衛班をやっていないから、ジーナの口調がよく分からない……

待っていた方がいたら、申し訳ありません。
お待たせしましたが最新話です。


第四話

「アラガミの討伐に集中しすぎて市民を驚かせるのはいけないだろう!」

 

「それでは徒に被害が増えるだけです。アラガミへの対処が最優先です!」

 

 ロビーで言い争う二人の男女。こう言うと痴情の縺れだが、内容は戦闘のスタンスである。

 

「朝っぱらから言い合って、元気だなぁ」

 

「呑気なこと言ってるけど、助けなくていいのかしら?」

 

 壁に寄り掛って二人の男女――アリサ・アミエーラと大森タツミの言い争いを見ている俺に横からこんな声がかかる。

 

「いいんだよ。お互い熱くなってはいるけど手まではでないだろうし。『アラガミ死すべし』的な新人ならタツミのスタイルは納得しにくいだろうしな。後で思い返して考察してくれればいい。……そっちこそ割って入らないのか?」

 

「子供みたいに熱くなってる言い争いに割って入りたくはないわね」

 

 冷静に言い争いを批評したのは、ジーナ・ディキンソン。俺と同じスナイパーで、俺とは相反するスタイルのゴッドイーターだ。……まぁ、今はそんなことはどうでもいいんだが。それより、

 

「一応言っておくが、タツミの方がお前より年上だぞ?」

 

「たかが一才違いでしょう?あれを見ればとてもそうとは思えないわよ」

 

 ぐうの音も出ないくらいの正論である。

 

「まぁ、実際どちらの言い分も間違ってはいないからなぁ」

 

「えぇ、あの新人さんはアラガミを一刻も早く倒すことで安全を確保しようとする考え方。リスクは高いけれど、被害は少ない」

 

「一方タツミの方は市民の避難を優先し、人的被害を最小限に抑える考え方。建物に被害は出るかもしれないが、リスクは低い。どちらも正当性はあるが、防衛という意味ではリスクを抑えたタツミの方が正解だな」

 

「ふふ、まるで私と貴方の違いのようね?」

 

「ま、そうだな……」

 

 実際間違ってはいない。俺はリスクを極限まで抑えた代わりに相手との相性に振り回されるスタイル、ジーナは相性に左右されにくい代わりにリスクの高いスタイル。

 どちらが間違っているというのではなく、何を優先するかの違いでしかない。

 俺は自分の生存を優先し、彼女はアラガミの討伐を優先する。それだけのことだ。

 

「ま、そのことについては話し合ってもしょうがない。不毛な言い争いは一回で充分だ」

 

「……そうね。私もあんなやり取りは二度と嫌」

 

 そう、俺とジーナは数年前一度自分達の戦闘スタイルについて言い争っている。きっかけはもう覚えていないが、本当に些細なことだったのだろう。それでも当時の自分達にとっては重要なことだったらしく、数時間に渡ってお互いのスタンスを批判し続けた。

 幸い、不毛な意見の押し付けになったところで周りの人間が止めてくれたが、その後の数日はお互いに合っても無視をするような冷戦が続いた。最終的にはリンドウの取り成しによって、お互いに相手の言い分の正当性に気付き和解をした。

 それから今まで、互いが互いのスタンスを認めはしないものの理解は出来ると言った関係が続いている。

 

 過去を思い返していると、ロビーの言い争いがいつの間にか終わっていた。残っているタツミの様子を見るに決着はつかなかったようだ。

 

「はてさて、あいつらの和解は何時になることやら…」

 

「まぁ、こじれないようにサポートはしていきましょう?」

 

 その声に頷きながら、取り敢えずイライラしているタツミをなだめるために歩き出した。

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