スナイパーは笑わない   作:そるのい

6 / 7
前のがあまりにも酷かったので書き直しました


第五話

 太陽が真上に昇る贖罪の街。いつも通りビルの屋上に陣取っている。

 今回の目標はコンゴウ三体。コンビネーションは厄介だが分断したり、音を立てずに近接神機で速攻を掛ければそこまで難易度は高くない。――そう、普通にチームで挑んだ場合は、である。

 俺の基本スタイル――単独行動及び狙撃一極型――が持つ最大の弱点。それが対集団戦での手数の欠如である。その上、コンゴウは非常に耳がいいため、狙撃音を聞き取られてしまう。スタングレネードを仕掛けようにも今回は相手が先に陣取っていたため、仕掛ける隙がなかった。

 端的に言ってこの状況は詰みに近い。狙撃だけで対処する事は不可能である。なので、今回は狙撃以外も使用することにする。

 あくまで俺のスタイルはリスクを極端に排除した生存優先。狙撃が最もそれに当てはまるから基本的にそうしているだけでリスクが低ければ戦いかたは厭わない。

 今回することは簡単に言えばゲリラ作戦である。

 

 コンゴウの聴覚は驚異的だが、それ以外の感覚はそれほどではない。故に、まずは偽装フェロモンで臭いを消し、足音を殺してコンゴウから百メートルほど離れた建物の屋上に移動する。

 そして、歩いているコンゴウの足元に向かってホールドトラップを投げつける。投げられたトラップを踏んだコンゴウは動きを封じられる。

 そこに撃ち込むのは射程距離が百メートル程度しかない変わりに貫通力と消音性を上昇させた特製の徹甲弾。

 その弾丸は背部装甲を無視してコアを貫いた。普段であればコアを回収するために榴弾を用いて間接的にダメージを与えるのだが、今回の任務は撃退。コアの回収は後回しであり、優先するべきなのはコンゴウの撃破。ゆえに、狙うべきはアラガミの脳とも言えるコア。

 一度撃ち抜いただけでは再生してしまうので、壊れるまで連射する。

 そうしていると他のコンゴウが近づいて来たので、逃げる直前に消音性のない威力特化の徹甲榴弾をコアに叩き込む。それが止めになったようで、コンゴウが倒れ込んだ。それを横目で確認しながら音を聞き付けた他の二匹が来ないうちに全力で逃げ出す。

 その時に背後に向けてスタングレネードを放ることも忘れない。後ろから閃光が走ったが、気にせず辺りを俯瞰できるビルの屋上に飛び込む。

 そこからコンゴウを観察し、集まってきた二匹が再び別れて動き出すのを待つ。別れれば先ほどと同じように背後から強襲を掛ければよい。

 万が一接近に気付かれたとしても、逃走の際に足の細胞を一時的に活性化させてダッシュすれば追い付かれることはほぼない。

 それでも追い付かれそうになったら、ホールドトラップを撒いたりスタングレネードを投げたりすればいい。それが尽きても最終手段として命中率が三割ほど落ちるが走りながら後ろに向かって麻痺弾を連射すればいい。

 

 ――まぁ、今回はそんな事は起きなかったのだが。

 

『――ミッションの完了を確認しました。困難な相手にお疲れさまでした』

 

「あい、了解」

 

 困難な相手、確かにそうだろう。本来であれば俺に回すべきでない仕事だ。だが、極東は常に人不足だ。回せる人間がいない仕事が発生することなど稀ではない。

 ならば、そのミッションを受けることに躊躇はない。実力が伴わない新人に回すよりかは経験のある人間がやった方がリスクが少ない。

 ぐだぐだと言っているが要は自分のスタイルさえ守れれば、後は極東のスタイルに合わせるということだ。

 

 ――即ち、アラガミ死すべし。慈悲はない。

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