星の出会うとき
深夜0時補導時間をすぎ辺りは物静かな住宅街、数年前までは都市開発で開発がされていたこの町も開発の中止で寂れている。辺りを光る粒子が舞っているが今となってはなれきったものである。
そんな町を歩く少女が一人、髪は銀色に輝き、その瞳は赤く、不自然なほど白い肌の少女。
「まったく、どこに居るのよ」
少女は誰に言うまでもなく一人、言葉をはき出す。その顔には疲労感が伺え、汗がにじんでいる。少女はふと見上げると満月の月の横に光る、虹色の穴、それを見ると少女は舌打ちを一つ。
「このまちにいるのは間違いない」
少女はそうつぶやくと一人夜の闇に消えていった。
昼の陽気な気候の中黒板の音だけが響いていた。
「つまり300年前に起こったロストエデンこれによって既存の召喚方法は失われ・・・・・・・」
ロストエデン、数百年前に起こったユーラシア大陸とここ日本を半分消し飛ばした事象のことだ。この事象以降空に穴が開き、そこから放出される粒子によっていくつかの召喚方法は干渉され、失われた。エクシーズ、シンクロ、ペンデュラム、この召喚法は空に開く穴によりその召喚がデュエルディスクより発されることは無い。
「これにより新たに構築されたのがエスペラント召喚であり・・・・・・」
つまらない、なぜこんなくだらない、ことを俺はしているのかわからない。いや当然か、俺はあのときから、勝利から逃げたあのときから、怠惰を貪っている。そう求めた日常がこれだ。そうどんなに取り戻そうとしてももう戻らない。俺はあの時からずっと
キーンコーンカーンコーン
「おや、授業は終わりですね、ではまた次回はこの続きからです」
教師座学が終わり、昼休みになるとなるとともに教室がざわつく。俺は急いで教科書をしまい、教室を出る、うるさいのは好きではない、購買で適当にパンを買うと屋上に向かう。階段を上がると数人の生徒すれ違うが会話は午後の実技がどうたらばかり、俺は歩幅をすこし広げ階段を早上がりに駆け抜ける。屋上のドアノブに手をかけるとガチャリ
「っち!!開いてねぇ」
どうやらまだ主は来ていないらしい。後ろから足音が聞こえる十中八九こんなところに来るやつなど一人だけなのだが一応確認のために振り向く、そこには気だるそうにした身長160ほどの少女がパンを持っている。
「ヤッホー」
まったくやる気の無い棒読みで表情すら変えずにこちらに話しかけてくる。
「いつにも増してやる気無いでいやがりますね九条先輩」
「君の普段の生活態度には負ける」
九条先輩は制服の胸ポケットからヘアピンを出すと鍵穴に差込上下させるとガチャリと音を立て屋上の鍵が開く
「行くよ」
「言っとくが校則違反だからな」
「見てて止めない君も大概だから問題ない」
「ちくったろか?」
「私は普段優等生、キミは不良」
「あっはい」
そんなやりとりをすると扉を開き外に出るとまぶしい光が目に差し込む。当然ながらそこは人がいない。九条先輩はフェンスにもたれかかりパンを食べ始める。俺はパンと一緒に買った缶コーヒーを飲みつつ上を見上げる。
そこには鬱陶しいほど輝く太陽と虹色の穴が見える。
「あの穴はロストエデンで空いたんだよ?」
「知ってるよ、つかまたあんたはなに食ってんだよ・・・・・・」
「杏仁あんパン、食べる?」
「いらねぇよ、つか撃甘だろそれ」
いつもの会話この人は味覚がおかしいと思う、つかよく食えるな、そんなもん俺なら絶対食わんが。
「そういえば次の授業、君のクラス実技だね」
「そうですね、まぁ適当に流しますよ」
「デュエルアカデミアに通っておいて実技流すとか来る意味無いね」
べつにいいだろ、そもそも興味が無い、勝利にも敗北にも・・・・・・俺は結局こうやって怠惰を貪るだけなんだろうな。
「もったいないね、強いのに」
「強くないよ、強かったらこんなところにいない」
「勝ちたいとは思わないの?勝率すごいよね?」
「ほめるなって照れるだろ」
関係ないだろ、勝利なんかいいもんじゃない、あんなもんに執着する意味なんか無い。
「まぁ好きにしたらいいけどね、君がそれでいいなら、キミがそれでいいならね」
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなり、俺たちは解散しそのまま教室に戻る。
放課後、夕暮れの中、俺は一人歩く、横切った公園では子供たちがデュエルをしている。この町ではそれが普通デュエルが好きで好きでたまらないやつらばかり、そんな中で外れた自分、まるで自分だけが世界から置き去りにされた感覚、そう俺はもう・・・・・・。
「あ?」
何かが足をつかむ。ふと視線を足元に移すと何かの腕が俺の脚をつかんでいる。
「おおおおおお腹すいた・・・・・・」
それが俺と彼女の出会い。そうまだ星は動いていない。