女神マリアージュは子を産み、その子には女神マリアージュの歌の能力が引き継がれていた。それからの1000年マリアージュの生地、マグノリア王国では能力を引き継いで生まれた子供は、一日の間ほとんどを歌うための時間に費やす。
いつも母は「あなたも年頃の子供達のように遊びたいでしょうに・・・ああ、なんて過酷な運命を神はお与えになったのかしら」といい、私を哀れんでいた。
「ーーーー♪ーーーーー♪ーーーーー♪」
今日も私は、マグノリア王国の城の、歌うために用意されたテラスで歌っている。
平和を願っている。けれど私は、女神の血を引き継いだ子であるよりまえに”年頃の女の子”なのだ。私だって外で遊びたい。
私はいつもテラスで歌いながら、外でかけっこをしたりして遊んでいる子どもたちを眺めて、そのたびに私も外で遊んでみたいという欲求が強くなった。
私には双子の姉がいるが、私より強く能力を受け継いでいなかったので今は保留、つまり城に監禁されている。
度々私が様子を見に行って一緒に遊んだりするけれど、一緒に遊んでいる姉はどこか寂しそうだった。
私がテラスからお外を見ていると、いつもこちらを見上げてくる少年がいた。
いつも夕方、その少年は友達と遊んでからここへ来て、こちらを見上げて帰っていく。
それは毎日になり、私もそれを眺めるのが日課となった。その名もしらない少年が来るたびに好きになっていた・・・のかもしれない。
けれど、その少年はある日パタリと来なくなってしまった。
最期の日に、「いつかお前を、迎えに来るからな」と私は少年が言っていたのを読唇術で読み取った。
私も王家に生まれた身だから、いずれはどこかの男と結婚してこを作らねばならない。
私は少年を信じていた。いつか、この私の縛られた生活から抜けださせてくれると。
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あれから、五年経ったある日ーーーー
「迎えに来たぞ!”歌姫”さん!」
あの日の少年は、ボクを本当に迎えに来てくれた。
お母様に見つかってしまったけれど、お母様は、
「・・・行きなさい。あなたなら・・・。信じているわ、我が娘・・・」
といって見送りだしてくれた。
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「ねえ。ボクたちお互いの名前も知らないじゃない。
・・・ボクは、キーリ・レイノティア。君の名前は?」
少年は鮮やかな黒髪で、その瞳は透き通るような意志の宿った赤。
はたから見れば文句のない好少年だ。
「僕はユウ。姓は・・・わからないんだ。生まれた時から両親がいなかったから。」
「そうなの・・・・」
彼がせっかく迎えに来てくれたのにいきなり暗くなってしまってどうする。
キーリは必死に何か話題を探そうと模索していたが、少年の方から話題を切り出してきた。
「君は・・・相変わらず変わってないな。昔は下から見たり話を聞いたりするだけだったけど、すごく美少女さんだよね、君。」
キーリは栗色のロングヘアで目は右目が青、左目が赤色のオッドアイだ。
昔からキーリは舞踏会などが行われるたびに毎回褒められていたが、褒めてくれた人が全員いやらしい目をしていたので嫌悪感しかわかなかった。
「褒めても何も出ないよ?」
「ふふ」
ユウはキーリと話せただけで、ただそれだけで嬉しそうにしている。
「ねえ、ユウはなんででそんなに嬉しいの?」
ユウは頬が弛緩していたのを自分でも気づいていなかったようで、少し頬を染めてこちらを振り向いた。
「・・・多分・・・キーリに会えて、ようやくこうやって話すことができたんだから嬉しいんだ。」
・・・・キーリのこと、ずっと前から好きだから。
恋愛モノをしかもオリジナル作品で書くなんて・・・久々ですなーーーー
新シリーズよろしくお願いしますm(_ _;)m