艦隊これくしょん 艦これ~蒼き鋼の航海記~   作:トッシー・マツナガ

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蒼き鋼の航海記~横須賀~




重巡洋艦『タカオ』との戦闘を終えた『蒼き鋼』は横須賀に入港。




『振動弾頭』と補給物資の積み込み作業に入る。




しかし、途中で北良寛が差し向けた陸軍に連行される。




北良寛は『蒼き鋼』との面会を所望。『イ401』の返還を要求してきた。




面会中『霧の艦隊』の大戦艦『ハルナ』『キリシマ』が横須賀を奇襲。




『蒼き鋼』は直ぐ現場に急行。『ハルナ』『キリシマ』を轟沈した。




メンタルモデルとユニオンコアだけを残した『ハルナ』『キリシマ』は刑部博士の娘、刑部蒔絵という人物に保護される。




その日の夜、北良寛の差し向けた陸軍が刑部邸に奇襲。博士を残し、刑部蒔絵を連れて脱出した『ハルナ』『キリシマ』。その後は『蒼き鋼』に救助され、一行はそのまま硫黄島に帰投した。





記録終了


三話「横須賀入港」

 

 

 

 

 

神奈川県横須賀市防護壁前

 

 

 

 

「群像。もうすぐ横須賀に到着だぜ。そろそろ起きろ。」

 

 

 

 

群像が目を覚ますと、目の前にいた杏兵がいた。

 

 

 

 

「杏兵か。もうすぐ横須賀到着か。」

 

 

「今横須賀防護壁の前だ。それと『横須賀海軍基地』から入電で、弾薬と燃料だけ補給させて貰うってさ。」

 

 

「わかった。俺も『蒼き鋼の航海記』について報告したいことがある。」

 

 

 

 

起き上がった群像は、直ぐに指令室に戻った。

 

 

 

 

「静。『振動弾頭』については何か言ってきたか。」

 

 

「いいえ。特に何も。」

 

 

「そうか・・・そっちは上陰次官補の専権事項ということか。」

 

 

 

 

防護壁の隔壁が開き、ハヤテと吹雪は開門を潜った。そこには懐かしの横須賀の港の光景が広がっていた。

 

 

 

 

「あそこが、司令官の育った町なんだ。」

 

 

「二年ぶりだからな。まさか横須賀に帰ってくる日が来るとは思わなかった。」

 

 

 

 

初めて横須賀の風景を、物珍しそうに見る静と、故郷を懐かしむ杏兵だが、群像にとっては辛い思いでだけが思い浮かんできた。

 

 

 

 

「そう言えば、『第4施設跡地』に慰霊搭が建てられたんだよね。」

 

 

「それがどうかしたのか。」

 

 

「桜ちゃんのお墓参り。私も僧も杏兵も、忙しくなるからさ。私達のこと桜ちゃんによろしく言っといてよ。」

 

 

 

 

 

いおりが、群像に頼んだお墓参りだが、彼等には中等部時代にもう一人の友人がいた。それが『桜』という女性だったが、『第四施設』の事故で亡くなった。群像にとっては思い出したくない過去でもあった。

 

 

 

 

「みんな聞いてくれ。『蒼き鋼の航海記』について報告したいことがある。」

 

 

 

 

群像は、話を変えるかのように『蒼き鋼の航海記』を持ち出し、その内容を打ち明けた。

 

 

 

 

「やっぱり横須賀に艦娘を配置していたか。」

 

 

「しかも、戦艦『榛名』『霧島』とは向こうも本気みたいですね。」

 

 

「『榛名』『霧島』を旗艦とした2つの艦隊を中心に、水雷戦隊の艦隊が攻めて来るはずだ。」

 

 

「それほどの戦力なら正面から出るのは得策ではありません。」

 

 

「それだけじゃない。防護壁の外には『摩耶』の艦隊が待ち構えている。上手く外に出られたとしても、挟み撃ちに遇うだけだ。」

 

 

「どんだけ手の込んだことしてくれるかね。お前の親父さんは。」

 

 

「まだどうなるかはわからない。今後は状況の変化に応じて作戦を練る。それまでは情報収集だ。」

 

 

そして、彼等は小型船用のドッグに入ったが、そこは海軍の兵隊に囲まれていた。それと同時に作業員が『振動弾頭』の積み込み作業に入った。群像たちも、次の出向に向けて『ハヤテ』の整備に入った。いおりと杏兵はエンジンの点検、整備。僧と静は補給物資の確認。そして群像は吹雪を連れて上陰次官補に会いに基地を出るところだった。

 

 

 

 

「僧。上陰次官補に会ってくる。留守中の指揮は副長に任せる。」

 

 

「了解。任されました。」

 

 

 

 

僧に指揮を預けると、群像と吹雪は基地を出た。

 

 

高台付近まで来た二人は、夕焼けの海を眺めながら歩いていた。吹雪はその綺麗な風景に夢中になり目を離さなかった。

 

 

 

 

「吹雪。少し寄り道していくぞ。」

 

 

「どこか寄るところでも。」

 

 

「いおりが言ってただろ。墓参りだ。」

 

 

 

 

そう言っていたが群像の顔は哀しそうだった。吹雪は彼と二年の付き合いだが彼の過去に関しては知らないことだらけだ。ちょうどいい機会と言うのもあったのか吹雪はもっと群像ことを知ろうと決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海軍横須賀研究所『旧第四施設跡地』

 

 

 

 

群像と吹雪は、旧第四施設跡地に来ていた。そこは事故があった以前と比べて、焼けた建物の瓦礫が撤去されており、平地となったところに慰霊搭が建ってるぐらいだった。

 

 

慰霊搭に向かおうとしたとき、小さな女の子が二人のところに走ってきた。

 

 

 

「助けてー。」

 

 

 

 

誰かに追われている様子みたいだったが、女の子は直ぐに群像の後ろに隠れてしまった。何事かと思い、吹雪は親切に女の子に訪ねてみた。

 

 

 

「どうかしたの。」

 

 

「お願い助けて。悪い人に追われているの。」

 

 

「悪い人。」

 

 

 

 

女の子が走ってきた方を見てみると、今度は二人のメイドが走ってきた。

 

 

 

「お嬢様。お待ちください。」

 

 

「悪い人。」

 

 

 

群像と吹雪には、ただのメイドさんにしか見えなかった。子供のワガママに付き合わされていると思った。

 

 

 

「さあお嬢様。帰りますよ。」

 

 

「いやだ。蒔絵は自由の旅に出るの。」

 

 

「勝手は榛名が許しません。」

 

 

「いやだ。放せ。放せ。」

 

 

 

メイドは女の子を強引に抱き抱え連れていき、もう一人メガネを掛けたメイドは群像に謝罪した。

 

 

 

「申し訳ありません。お嬢様がご迷惑をお掛けしました。」

 

 

「いいえ。」

 

 

「では私達はこれで失礼します。」

 

 

 

 

彼女たちは、そう言って行ってしまった。だが群像は、彼女たちの会話に疑問を持っていた。

 

 

 

「どうかしましたか。」

 

 

 

心配した吹雪が聞いてみると、群像は答えた。

 

 

 

 

「さっき彼女たちの会話の中に出てきた『榛名』に『蒔絵』だが、『蒼き鋼の航海記』にもそんな名前が出ていた。」

 

 

「『振動弾頭』を作った『刑部蒔絵博士』ですか。」

 

 

「そうだ。」

 

 

「まさか、あんな小さな女の子がですよ。そんなわけないじゃないですか。司令官の思い過ごしですよ。」

 

 

「そうであって欲しいが。」

 

 

 

吹雪は冗談のつもりで捉えていたが、群像はさっきの子供がどうも気になっていた。

 

 

そして、二人は慰霊搭の前に着いたが、そこには群像たち『白き鋼』の活動を後ろで支えてきた『松永敏満中将』が先に来ていた。

 

 

 

 

 

「お。群像に吹雪ちゃん。久しぶりだな。」

 

 

「松永さんもお久しぶりです。」

 

 

「ご無沙汰してます松永中将。」

 

 

 

 

 

慰霊搭に花を添え、手を合わせて黙祷を捧げていた。松永は上陰次官補から聞いていた話をした。

 

 

 

 

「すまなかったな。上陰がお前たちに無茶な御使いを任せてしまったみたいで。」

 

 

「『振動弾頭』ですか。」

 

 

「そうだ。どうもあいつ、お前たちが潜水艦を建造していること知ったらしく、『振動弾頭』をアメリカに輸送する仕事を頼んだらしい。」

 

 

「なるほど。ではあなたが俺達に潜水艦建造を支援していることも。」

 

 

「全部あのメガネに筒抜けだ。」

 

 

「そうでしたか。けどまさかあなたと上陰次官補が知り合いだったとは。」

 

 

「後輩みたいなものだ。昔から『振動弾頭』の話は取り上げられていたし、上陰はこのプロジェクトを成功させたいのだろ。」

 

 

「そうですか。」

 

 

 

 

 

その時吹雪は、いおりが言っていた『桜』という女性が気になり、思いきって群像に聞いてみた。

 

 

 

 

「あの司令官。『桜さん』ってどんな人だったんですか。」

 

 

「理想の女性だったかな。」

 

 

 

 

群像は彼女の過去を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

群像たちには、もう一人親友がいた。『大和 桜』という女性だ。容姿端麗、頭脳明晰、スタイル抜群、性格も穏やかで男性なら誰もが憧れる女性のタイプだった。

 

 

長いポニーテールの髪には桜の髪止めをしていて、澄んだ瞳はいつも海を眺めるような感じだった。

 

 

ただ少し変わっているところもあった。

 

 

食事は柔道部や相撲部の部員が食べる倍くらいの量をいつも食べていた。

 

 

さらに外に出るときはいつも日傘をさしていた。

 

 

それでも彼女は、当時の学園のアイドル的存在だった。

 

 

 

 

「群像くん。また教室で寝てる。」

 

 

 

ただ、なぜか彼女は自分と正反対の群像に話しかけていた。

 

 

「別に昼休みどう過ごそうが俺の勝手だろ。」

 

 

「そんなんじゃ僧くんや私以外の友達作れないよ。」

 

 

「それよりいいのか。学園のアイドルが俺みたいな嫌われ者の相手なんかして。」

 

 

「あら。学園のアイドルは嫌われ者のあなたでも、手をさしのべるものよ。」

 

 

 

 

思えばこれが群像にとっての初恋のようなものだった。

 

 

杏兵やいおりと出会えたのも、彼女から紹介してくれたお陰なのかもしれない。

 

 

そして月日は流れ、四年前の悲劇の事故が起きた。

 

 

 

 

「やっぱり海はいいね。私この研修楽しみだったんだ。」

 

 

「そうか。軍の開発中の兵器を簡単に俺達生徒に公表するのもどうかしている。」

 

 

「群像くんは夢がないな~。」

 

 

「桜には夢があるのか。」

 

 

「私。私の夢は・・・海に出ることかな。」

 

 

 

 

それが彼女との最後の会話のだった。

 

 

それから数時間後。

 

 

2087年7月15日午後17:34『横須賀海軍第四研究施設』爆発。

 

 

死者152名

 

 

行方不明者1名

『大和桜』

 

 

生存者1名

『海原群像』

 

 

 

原因は未だ不明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことが・・・。」

 

 

 

吹雪は予想以上に話の内容が酷過ぎてショックを受けていた。

 

 

群像は「気にするな」と言っていたが吹雪は彼に悪いことをしたと、思い詰めていた。二人の間に悪い空気が漂ってるのが気まずくなった松永は急に立ち上がった。

 

 

 

 

「さて、行くとしますか。」

 

 

「行くってどちらに。」

 

 

「さあね。彼等が連れてってくれるんじゃないかな。」

 

 

 

 

 

群像と吹雪が松永が向いた方を振り向くと、武装した兵隊に囲まれていた。

 

 

 

 

「司令官この人たち。」

 

 

「陸軍だな。」

 

 

 

 

群像たちを包囲している陸軍の兵隊の中を、一人のスーツ姿の男が現れた。

 

 

 

 

「『白き鋼』の司令官海原群像様とその艦娘の吹雪様、それから『海軍横須賀基地所属第二艦隊司令官』松永中将。北良寛代議士があなた方の面会を所望しています。ご同道お願いします。」

 

 

 

 

群像と吹雪はこの状況を見て『蒼き鋼の航海記』通りと判断し、了承した。

 

 

 

 

「わかりました。」

 

 

「了解・・・。」

 

 

 

 

松永は渋々と了承したが、気乗りはしていなかった。

 

 

彼等は北代議士の差し向けた陸軍に同行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横須賀ホテル内レストラン『アイランド』

 

 

 

 

群像たちは横須賀にあるホテルの高級レストランまで連れてこれた。団体様用の部屋に止まって扉を開けると、そこには群像たちを呼び出した代議士の『北良寛』がいた。だが北良寛だけではなかった。

 

 

 

 

「よお。お疲れ。」

 

 

 

豪華な食事が並べられたVIP席には、杏兵や僧にいおりに静や、上陰次官補の姿もあった。ここにいる全員、群像たち同様北良寛に連れてこられたのだ。

 

 

 

 

「まさかあなたまで呼び出されるとは思っても見ませんでした。上陰次官補。」

 

 

「私も想定外だったよ。さらには松永中将まで・・・。」

 

 

「まあ無関係って訳でもないだろ。テロリストに手助けしてた共犯者だからな。」

 

 

 

 

そう言って彼等は席に座った。そして群像は前置きもなしに北代議士から用件を聞きだした。

 

 

 

 

「我々を呼び出した理由をお聞かせしましょうか。」

 

 

「では単刀直入に言おう・・・海原司令官。『白き鋼』は『振動弾頭』の輸送プロジェクトから手を引き。特型駆逐艦『吹雪』を政府に返還してもらえないか。」

 

 

 

 

『蒼き鋼の航海記』通り、北代議士は『イ401』の引き渡しと『振動弾頭』の輸送プロジェクトの廃止だった。その事を知っている群像には対処は可能だった。

 

 

 

 

「御言葉ですが承諾しかねます。引き受けた以上、こちらにも責任というものがあります。」

 

 

「責任か・・・。最近の大人から随時聞かれなくなった言葉だ。ましてや君みたいな子供が軽々しく使っていい言葉ではない。」

 

 

「どう言うことでしょうか。」

 

 

「わかっているのかね。『振動弾頭』の技術をアメリカに手渡せばどうなるか。『深海凄艦』のいなくなった世界が、日本がどうなるか考えたことはないかね。」

 

 

「アメリカとの戦争ですか。」

 

 

「アメリカだけではない。この国に戦争を持ち込もうとしているロシアや中国、内戦中のアフリカに『振動弾頭』が導入されれば多くの命が失われる。そんな未来を君は想像したことがあるかね。」

 

 

「御言葉ですが北代議士。」

 

 

 

 

北代議士の話に上陰次官補は黙ってもいられず、彼に反論するように立ち上がった。

 

 

 

 

「『振動弾頭』は、我々人類が『深海凄艦』に対抗できる唯一の切り札です。ですがそれを量産できる国力は今の日本にはない。ですからアメリカに全てを委ねようと・・・。」

 

 

「黙っていろ。私は今・・・彼と世界の運命を話し合っているのだ。」

 

 

 

 

北代議士の一声で上陰次官補は黙り混んでしまい、空気がさらに重くなった。しかし、群像は怯むことなく彼との対話を続けた。だが先に話を続けたのは北代議士だった。

 

 

 

 

「君たちの・・・いや君のその愚かな行動がこの世界の未来を混沌の時代へと変えてしまう。君はその事を認識しているのか。海原群像。」

 

 

 

 

北代議士の言うこともわからないわけではない。『振動弾頭』をアメリカに渡せば、何らかの形で他国に戦争の兵器として利用されるリスクもあるからだ。だがそれは深海凄艦がいなくなったらの話である。それよりも群像は、今の状況をなんとかしたい。その思いを彼に伝えた。

 

 

 

 

「世界の未来はわからない。しかし、そこに自分の未来もある事は承知しています。ですが二年前、特型駆逐艦吹雪に出会い、決意しました。何もしないで同じ海を眺めるより・・・俺はその最果てを見てみたいと。」

 

 

「その判断は君に死を招くことになるかもしれんぞ。いや・・・父親と同じ生き地獄を味わうことになる。」

 

 

「昔、親父からよく聞かされた言葉があります。当時連合艦隊を組んでいた艦娘たちが使っていた掛け声です。」

 

 

 

そして群像は力強い声でこの言葉を発した。

 

 

 

「『暁の水平線に勝利を刻め』。俺は・・・俺達『白き鋼』は何も見えない水平線より目の前にある暁に燃える水平線に勝利を刻むことを目的に戦っている。あなたが言うような残酷な結果になったとしても、それが自分で選んだ結果であるのなら後悔はしません。」

 

 

「そうか・・・。」

 

 

 

 

群像の話を聞き終えた北代議士は、陸軍に銃口を向けられ、脅しを掛けられると『蒼き鋼の航海記』にはそう記されている。しかし、彼はそれとは違った答が帰ってきた。

 

 

 

 

「上陰次官補。『振動弾頭』の梱包作業は後どれくらいで終わる。」

 

 

「現在は調整中です。『振動弾頭』に不具合が見つかったと技術班から報告があり、梱包を含めるとあと一週間は掛かるそうです。海原司令官には、その件で呼び出しました。」

 

 

「そうか・・・なら五日で全ての作業を済ませろと技術班に伝えろ。あまり彼等を待たしては失礼に値する。」

 

 

 

 

北代議士の発言に群像たちは言葉を失っていた。『振動弾頭輸送プロジェクト』に反対していた北代議士が突然考えを変えたからだ。あたりは静まり返り、彼は何事かと辺りを見渡した。吹雪は恐る恐る北代議士に聞いてみた。

 

 

 

 

「あの・・・さっきまで北代議士って『振動弾頭輸送プロジェクト』に反対ではありませんでした。」

 

 

「それがどうかしたのかね。」

 

 

「司令官の話を聞き終えてから賛成派に着いていませんか。」

 

 

「仕方あるまい。若者が自ら世界を切り開く覚悟を示したのだ。年寄りがそれに答えなくてどうする。」

 

 

「いいえ。ありがとうございます。」

 

 

「ただし条件がある。」

 

 

 

 

まさかの驚きの状況から、また緊迫した空気に戻ってしまった。北代議士は全てを受け入れた訳ではないが、群像たちのその意思の強さを再確認するための試験のようなものであると思う。だがそれはあまりにも無謀な条件だった。

 

 

 

 

「『振動弾頭』の調整期間の五日以内に『霧の艦隊』を壊滅させ、『第三次防衛戦』の連合艦隊の艦娘たちとその司令官『海原翔像』を私の前に連れてくることだ。」

 

 

 

 

北代議士のあまりに無理難題に、さすがの杏兵たちも反論した。

 

 

 

 

「あんたそれマジで言ってるのか。」

 

 

「五日以内に『霧の艦隊』壊滅なんて、時間も資材も足りないよ。」

 

 

 

「いくらなんでも無謀です。ただでさえこちらの戦力は即席の漁船と駆逐艦の艦娘だけです。やられて捕虜になるのが落ちです。」

 

 

「みんな落ち着け。」

 

 

 

 

群像はみんなを宥めると、北代議士との話に戻った。

 

 

 

 

「それは依頼と言うことですか。代議士。」

 

 

「そう言うことになる。報酬は『第三次防衛戦』の真実と『振動弾頭輸送計画』の支援を提供する。」

 

 

「そうですか・・・少しお時間を頂けませんか。」

 

 

 

 

無謀な依頼に群像は、北代議士の依頼を引き受けるべきか迷っていた。だが決断するには時間が欲しいところだ。北代議士は彼を察して、会談を解散させた。

 

 

 

 

「海原群像司令官。これを渡しておこう。」

 

 

 

 

帰り際に上陰次官補は海原司令官にコインロッカーで使われるカギを渡された。

 

 

 

 

「明日の夕方取りに来たまえ。」

 

 

 

 

そう言って上陰次官補は行ってしまった。群像たち『白き鋼』も横須賀基地へと帰った。

 

 

 

 

「いいんですか。あんな約束して。群像の奴本当に翔像と長門たちを連れてきますよ。」

 

 

「構わん。むしろそうしてくれた方が、私の長年の罪から釈放される。」

 

 

「そう言わんでください。あんたじゃなくても俺も同じことをしていた。北海軍大将。」

 

 

「私は・・・もう海軍大将ではない松永中将。奴にはめられ、翔像たち連合艦隊に無実の罪を被せ、その忌まわしい功績で政府に加入した愚かな代議士だ。」

 

 

「北・・・代議士。」

 

 

 

 

松永中将と北代議士そして海原翔像との関係の謎は群像が『霧の艦隊』を連れてきた時に明らかになる。だがそれが、新たな戦いに繋がることを彼等は気づいていなかった。

 

 

 

 

そしてその夜、戦艦『榛名』『霧島』を旗艦とした艦隊は現れる事はなかった。

 

 

 

 

 

 









イオナ
「わからない。私達が横須賀に来たときはこんな結果にはならなかった。」


コンゴウ
「それが『平行線世界』だ。401。」


イオナ
「コンゴウ。」


コンゴウ
「何をしているのだ貴様は。そんなものを眺めていてなんの意味がある。」


イオナ
「わかっている。なんの意味もないことくらいは。けど群像が言っていた。『なにもないところに意味を与えるのが人間だと』そう記録している。」


コンゴウ
「ならば好きにしろ。貴様に付き合っていては時間の無駄だ。」


イオナ
「コンゴウ・・・行ってしまった・・・記録終了。」





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