魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」   作:ヘルカイザー

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どうも〜

遅くなりました。

ではよろしくお願いします。


ケース16《ゲヘナ同士の遊び》

「うっ……ん? え…………」

 

「やっと……起きたのか……このアホ……娘が」

 

「どうして……なんで……嫌や…………」

 

「馬鹿……パニックになってる場合じゃない……俺を見ろ。俺の目を見ろ!!! 」

「っ!? はい……」

 

私が目を覚ますと信じがたい光景が広がっていた。彼はまるで私を庇うように私の前に立っていた。しかしその姿は顔より下が完全に凍りついておりピクリとも動かない。彼もやっと喋っているような感じだった。パニックになり、取り乱しかける私を彼は怒鳴り声で繋ぎ止める。彼の真剣な目は今の私を確実に冷静にしてくれた。同時にこんな顔もできるのかと新しい一面を見た瞬間でもあった。

 

「いいか、俺はいい。置いて行け。何も考えるな。逃げろ」

「何を……言って……るんや…………」

 

「行け」

「嫌や……」

 

「行くんだ」

「嫌……」

 

「させると思うのかい? 」

 

「2人で死ぬつもりかこの馬鹿が! 行けぇぇぇえええええええええ!!! 」

「なっ!? くっ……悪あがきを……」

 

「あ゛あ゛あ゛あああぁぁあああああ!? 」

 

その瞬間彼が起こしたであろう黒い炎が敵を囲うように部屋を支配した。私は気付くと走り出していた。燃えてなくなった部屋のドア、そこを通り、どう逃げたのか覚えていない。しかし気がつくと、私は六課からだいぶ離れた沿岸沿いにいた。そして泣きながら力尽きて倒れこむ。

 

「ひぐっ……えぐっ……うわぁぁ……ああ……嫌や……こんなん……嫌や…………」

 

チラチラと頭の中を走馬灯のように駆け巡る彼との短い記憶。私は後悔で押しつぶされそうだった。彼を見捨て、自分だけ逃げたのだ。あんな状態の彼を残して。どう考えても、あの状態で生きてるなんて考えられなかった。今頃殺されているだろうか。どんな目にあわされているだろうか。私は考えても出てこない答えを必死に探す。

 

「はやて? 」

「え? ……フェイト……ちゃん? 」

 

「はやて!? どうしたの? 心配したんだよ! 突然はやてが行方不明になって、一体どこに行ってたの? 」

「フェイトちゃん! あの人が、あの人が私を逃して……自分が犠牲に……お願いや、彼を助けて、助けて!? 」

 

「か、彼? 彼って……まさか!? ナマエ ナイショ? 」

 

「そうや! 今頃殺されてるかもしれへん、だか……ら…………」

「はやて!? しっかりして、はやて!! 」

 

私は朦朧とする意識を頑張って繋いでいたが、とうとう闇にそれを手放してしまった。彼の居場所も、そこへ助けを向かわせる事も出来ないで。後から聞けば、私が行方不明になって2週間以上が過ぎていたと言う。記憶を頼りにフェイトちゃん達に彼のいた地下室へ向かってもらったがそこはすでにもの毛の空。代わりにおびただしい量の血が残されていたそうだ。鑑定してもらうと彼の血痕だという事が判明し、彼は行方不明と言う扱いで捜査対象に指定された。何より、クロノ君が焦った様子で彼の事を探している。クロノ君の話によれば、彼にかかってるリミッターの術式が壊れたらしい。それはクロノ君だけではなくカリムもだった。何故か彼は2人の手で何かしらのリミッターをかけられていたようだ。詳しい話はしてくれないのだが急いで探さないと取り返しのつかないことになりかねないと言っている。しかし一向に彼は見つからず、それより先にガジェットの襲撃を受けた。

 

それは新人達の休暇中に起きた事だ。キャロ達ライトニングが小さな少女を発見したと言う事から始まり、そこからガジェットによる襲撃が始まった。新人達にも休暇を返上してもらい、そのまま現場に出てもらった。私も久々にリミッターを少し外してガジェットを一掃するために空へ出る。なのはちゃんやフェイトちゃんも同じだ。シャマルはその少女をヘリで運ぶ護衛と少女の看病。リインやヴィータにも急いで新人達にの元へ急行してもらい、状況は万全と言ってもいいが何か嫌な予感は拭えなかった。そしてそれは予想通りのものとなる。ガジェットを一掃する私の前にあの男が現れたのだ。

 

「あんた……くっ、彼はどこや!! 」

 

「さぁ〜? 残念な事に僕が1番知りたいね? 君を逃してまんまと逃げお失せたんだからね? まったく……とんでもない男だ」

 

「え……今なんて……彼は生きてるんか? 」

 

「さて、それはわからないね? 全身凍結に加え、僕との戦闘で致命傷と変わらない傷を負った。今頃どこかで死んでるかもよ? ふふふ」

 

「このっ!? あんたみたいな……あんたみたいな奴のために彼がそんな苦しい目にあってるなんて納得いかへん!! だから今日で終わりにする。ここであんたを……逮捕するわ! 」

 

「できないよ、君になんてね? それにほら? あの少女も無事かどうかわからないよ? 」

 

【ロングアーチより現場の魔導師各員へ、市街地よりSランクの砲撃魔力を感知! 狙いはヘリだと思われます!? 】

「なんやて!? っ!? そんな!? 」

 

私はとっさにヘリの方を見る。すると、丁度ヘリに直撃した瞬間だった。爆煙のなか、ヘリの無事を祈った私。だがヘリは墜ちていなかった。ヘリはなのはちゃんによって防御され、まだ飛んでいる。だがその瞬間、なのはちゃんが氷に捕獲され、両手両足を固定された。誰の仕業かはハッキリしていた。

 

「何をする気や!? これ以上」

 

「ふふ、エースオブエースと言えど、この状態では防御出来ないでしょ? 全てを凍てつかせるゲヘナの冷気……」

「やめて!? 」

 

「古のドラゴン、ゲヘナの名において……顕現せよ! 絶対零度の氷 !! 」

 

この距離で敵の捕獲とさらにそれを届かせる攻撃魔法。尋常な相手じゃないと思った。現に、なのはちゃんが拘束から逃れられないのがその証拠。必死に抵抗しているが拘束から抜け出せないようだ。

 

「アブソリュート・ゲヘナ!!! 」

「なのはちゃん!? 」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「くっ……ダメ……何この氷! 」

《マスター、防御を、敵の攻撃が!? 》

 

「え? っ!? そんな!? ぐっ……ううっ〜……ダメ、外れない!? あ……ダメ…………」

 

ヘリは助けた。しかし自分を助ける事が出来ない。こんな事をしたのは今はやてちゃんと戦闘している例のあの男だろう。どうしても外れないこの枷。私は諦めて目を閉じた。どうしようもなかった。とっさに貼ったシールドもあの砲撃のような物が当たった瞬間、凍りついて粉々になってしまう。だからもう私は手のうちようがなかった。このままおとなしく、ヘリと一緒に堕ちるしか。そう思った時、ヘリと私を黒い炎の柱が下から上に私達を囲うように包み込み、敵の砲撃を防いだ。だがこの炎、私達には見覚えがある物だ。

 

「貴方は…………」

 

「何だ? エースオブエース様はこんな所で諦めるのか? 不屈が泣くぞ? 」

 

そう言って私の拘束を解きながら現れたのは今クロノ君が必死に探していた彼。ナマエ ナイショ。しかし様子がおかしい。大量の汗をかきながら、お腹を左手で常に押さえていた。よく見ればそこから血が出ている。だから私は焦って彼を見た。

 

「この怪我、何て無茶を!? 」

 

「いいからヘリの護衛してろ。まだ平気だ」

 

「そんなわけない!? 貴方そんな様子じゃ…………」

「頼むよ。もう失えない物が、できたんだ。だから守らせろ」

 

それ以上彼を止める事が私には出来んかった。彼はいつものふざけてセクハラをしている時の彼ではない。今日この瞬間に限ってはびっくりする程真剣なのだ。すると、彼の元へ通信が疾る。彼は、誰かを確認するとそれに出た。

 

「ナマエさん!? 無事で、本当に無事ですか!? 」

「ああ。心配かけてごめんなリイン」

 

「いえ、信じてたですよ、ナマエさんは生きてるって」

「そうか……なぁ〜リイン? 生きてたらデートしてくれよ? それは約束だからな? 」

 

「ナマエさん? っ!? その怪我……何を……何をする気ですか!? 」

 

「いや、別に……はぁ……はぁ……ごほっ!? 少しクソ野郎をぶちのめすだけだ」

「ナマエさん……ナマエさーー」

 

突然彼は通信を切断し、背を向けている私に喋りかけ始めた。どうやら動くようだが私に言ってきた言葉は、これから無茶をするから後は頼むとしか聞こえない内容で私は納得しかねた。

 

「できるだけでいい、ヘリと、この辺の仲間全員をこの場から退避させろ! 」

 

「何言ってるの? 一体何をする気なの? 」

 

「ここからは……魔導師が戦う綺麗な戦いとは程遠い物だ。巻き込まれるぞ? 分かったら早くしろ」

 

「……分かった……でも、貴方も仲間だよ? 死んだら」

「死なねぇ〜よ」

 

その言葉を私は信じた。だって彼は、もうすでに六課の仲間と大差ない程関わりがある。私達の友人だ。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「よく生きてたね? 」

 

「死ねるかよ、お前には頭にきてんだ」

 

「あはは、なら……始めようか? ゲヘナ同士の遊びを」

「ああ……」

 

俺はあの後動けるようになるまでおとなしく身を潜めた。しかしそれにも限度がある。しかも最後の攻撃で俺の封印リミッターは完全に外れてしまった。だからいつ俺の中のこいつが暴走してもおかしくはない。今は自分の炎で押さえ込んでいるがそれも俺の意識があるうちだろう。

 

「ゲヘナよ! 我が問いに答え、この者を永遠の牢獄へ! 」

「させるかアホが!! うらぁぁああああああ!!! 」

 

「なっ!? ぐっ……」

 

俺は詠唱途中のこいつに肉弾戦を仕掛けそれを中断。だが一回見ているから出来たことだ。こいつの技はゲヘナに頼り切ったものだ。だからおそらくそれ以外の手段を持たない。俺はすかさず軽い炎の球を何個かこいつに投げつけ、それを防いでる間に詠唱を開始した。

 

「古のドラゴン……ゲヘナの名において、敵を焼き尽くす、最高度の炎を………」

 

「くっ、しまっ!? 」

「プロミネンス・オーバー・ゲヘナ!!! 」

 

「うぐっ!? がぁぁぁああああああああああ!? 」

 

完全に直撃した俺の炎はこいつを焼き尽くすまで止まらない。ゲヘナの炎とは、相手を焼き尽くすまで止まらない炎。消えない黒炎。だが俺はこれで終わるとは思っていない。腐っても相手はゲヘナだからだ。すると俺の思った通り、こいつは炎全体を凍らせ、それが相殺されるように炎と氷が消滅する。

 

「やはり消えない黒炎とその氷は互いに打ち消しあう力があるようだな? 」

 

「はぁ……はぁ……化物め」

 

「ふ、酷い……言い草だな? ぐっ……」

 

「何故だ!? ゲヘナと信頼を持てないお前が、何故その力を手にできる!!! 」

 

俺とゲヘナの関係にケチをつけるこいつは完全に取り乱している。だがこいつには一生理解できないだろう。俺は俺の中のこいつを倒した訳でも、屈伏させた訳でもない。

 

「お前と違って俺はこいつを認めていない。誰がこんなバケモン認めるかよ。だがこいつを解き放てばミッドは壊滅だ。いや、世界が滅ぶだろう。そいつはどうか知らんが、こいつよりは話ができそうだな? 」

 

「くっ……確かに僕のゲヘナは話ができるくらい気性の荒い性格じゃない。だけど話せばそっちのゲヘナだってわかってくれるはず! だから僕は諦めない。そいつは僕がもらう! 」

 

「何も知らないガキが……大層な事をほざくなよ? てめぇの我儘でこの街の人間や、俺の仲間を殺させるわけにはいかない。それに……俺はもう……守らなきゃいけない人ができた」

 

「何? っ!? これは…………」

 

「古のドラゴン……ゲヘナの名において、深淵の底より湧き上がりし黒炎よ! 目の前の罪人に、鉄槌を。この世で消えることのないその炎でその罪を焼き払いたまえ…………我が心は燃える炎。その身体はマグマ。それを繋ぎ止める魔法は……絶対焼却の神炎と化す! うおぉぉぉぉおおおおおおおおおおぁぁぁああああああああああ!!! 」

 

俺の身体から溢れ出る黒い炎は天候を支配した。雷鳴を轟かせ黒く染まる空。そしてそこから一本の稲妻が俺に降り注ぎ、そこで黒い炎弾が俺の頭上に出現する。その大きさは類を見ない程で大きいものだろう。

 

「馬鹿な……どうしてゲヘナと心を通わせないお前が、そこまでの力を……クソがぁぁぁあああああ!!! 」

 

ヤケクソの叫び。こいつは目の前に氷の壁を何重にも張り巡らせ、さらに自分を氷で覆うと、大量の氷麗を俺の方へ飛ばし、俺の攻撃を妨害しようとするがその氷麗は俺に届く前に溶けてなくなり俺には害はない。

 

「キエロ……罪人ガ…………」

 

「っ!? あの状態で……何て奴なんだ……おのれぇぇぇぇえええええ!!! 」

 

「メテオ・オブ・ゲヘナ!!! 」

 

「ぐっ……あ、ああ……やだ……うわぁぁああああああああああああああああああああああ!? 」

 

敵は爆発と同時に消えた。恐らく逃げたのだろう。しかし俺は追うことができなかった。何故ならあいつが消えた瞬間に緊張が抜けたのか身体から力が抜けた。そして……朦朧とする意識の中、俺はそのまま下へと落下した。

 




次回もよろしくお願いします。
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