魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」 作:ヘルカイザー
そろそろこの作品も佳境に差し掛かりましたが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
ではよろしくお願いします。
「こんにちはぁ! 」
「あ、ああ……こんにちは…………」
「今日は、お世話になります! 」
「う、うーんと……話が見えないのだが…………」
「あ! ごめんなさい。ヴィヴィオはヴィヴィオって言います。今日はママ達がお仕事なので、ここにいろってリインさんが…………」
今日、突然訪ねてきた小さな女の子は俺が子守りをするのだと言い始める。おそらく本人的には遊びに来た感覚なんだろうが、俺は全くもって意味がわからなかった。入院中の俺にどうしてこんな事を頼むのか、理解に苦しむ。しかしリインからのお願いとあらば致し方無いだろう。
「これ読んで? 」
「ん?…… はは、分かったよ。じゃ〜読むか」
「わーい! 」
俺はこの子の要望通り絵本を読み聞かせる。正直こんな事をするのは初めてで戸惑ったが、たまにはいいものだと少しほっこりした。だがしばらくしての事だ。女の子、ヴィヴィオが俺の左手にたまたま手を置いた時、嫌な汗がどっと身体からにじみ出た。寒気に似た感覚と何かに支配される感覚。俺はこんな小さな子に恐怖を覚えた。
「あれ? どうしたの? 変態さん? 」
「い、いや……なんでも……ん? な、なぁ? 今俺の事なんて言ったんだ? 」
「変態さん! おじさんはみんなにエッチな事するのが好きで好きでたまらない人だってママ達が言ってた、だから変態さんなんだって! だから変態さん」
「そ、そうか……(なんだろう……いつも言われてる時はなんとも思わないが……純粋な子供に言われると刺さるものがある)」
「ねぇーねぇー変態さん、続き続き! 」
「っ!? ぐっ……な……これ……ぐぅぅ…………!? 」
「変態さん? どうしたの? どこか痛いの? 大変!? お医者さん呼んでくる!? 」
ヴィヴィオが俺の左手に両手を乗せた瞬間、さっきとは比べ物にならないうずきが俺を襲った。俺は確信する。この子は普通じゃ無い。でなければ、触れただけで俺の中のドラゴンが暴れ出すわけが無いからだ。
「なん……なんだあの子は……」
「おじゃましま……ナマエさん!? どうしたですかナマエさん!? 」
「い、いや、なんでも無い。わ、悪いリイン。俺寝る……」
「え、ちょっ……ナマエ……さん…………寝ちゃったです。少しヴィヴィオの面倒お願いしただけだったのですが……そんなに疲れました? 」
◇◆◇◆
「ハル〜……あれ? ハルは? 」
「なんだヴィータか。あいつなら今日はいないぜ? 」
「へ? 」
「あいつは今日外回りだ」
「外回り? 外回り……っ!? はぁぁぁあ゛あ゛!? てめぇ! ハルに危ない事させてんじゃねぇだろうな!!! あいつが外回りってどういう事だ! 私の納得のいく節説明をしてみろバカヤロー!!! 」
「お、おち、おちおちつけヴィータ!? 俺は仮にも部隊長……」
私……八神ヴィータは今日、元自分の上司に向かって胸ぐらを掴み、そのままブンブン振り回している。ハルが外回りなどと今まで一度も無い事だ。だからつい感情的になり自分でもおかしな行動をしていると思っている。
「あ……か……あいつ……は……書類を届けに……出た……だけ…………」
「……なんだよ。早く言ってくれよ部隊長」
「どほっ!? 」
「そんじゃなぁ〜」
部隊長から仕事内容を聞いた私は安心して部隊長から手を放す。部隊長は後ろに倒れたが私は気にしない。ハルの一件で安心しているからだ。そして、ハルがいないので長居する理由も無い。よって私はそこを出た。
「部隊長……大丈夫すか? 」
「あ、ああ。だが……今後ハルに外回りなどさせるな……後が怖い」
◇◆◇◆
「あ! そう言えば今日ヴィータさん来るって言ってた気が……ま、いっか。仕事だし」
「いいのかぁ〜? 異常なほどお前ラブな彼女を放っておいて」
「大丈夫です。それに仕事サボったらヴィータさんに怒られてしまいますから」
「ほぉ〜? ここにいるのはサボりじゃないと? 」
「せっかくお見舞いに来てあげたのにそんな言い方あんまりですね」
「なに、ただの冗談だ。間に受けるなよハル・ウィンド? 」
僕は今日、部隊長のおつかいでとある施設に書類を届けに出た。そしてその帰りに変態の入院する病院を訪れたのだ。しかしこの変態は僕をイジって遊んでばかりいる。でも悪い気はしないのはこの人の人柄だろうか。
「ところでハル・ウィンド! お前はあのツンツン娘の股を開いて男になったのだろう? 」
「いきなり何を口走ってんだこの変態!! 」
僕が思わず立ち上がろそうになったところを変態は肩を押さえつけるように戻し、僕を椅子に座らせる。一体どういう意図でこんな事を言っているのかわからない僕は軽蔑の眼差しをするしかなかった。だがこの人はさらには続ける。
「女のあいつはどんなだ? ぜひ包み隠さず教えてくれ」
「言うわけないだろ!? アホかあんたは! 」
「ちっ……つまらん。はぁ……早く仕事戻りたい」
「意外に仕事熱心なんですね? 」
「そうとも! 早く復帰して局の女どもにセクハラをせねばならんからな? 」
「前言撤回……あんたは最低だ」
僕の冷めた目がさらに強烈な物になっているの違いない。それに、こいつは本当の女の敵なようだ。ここにヴィータさんがいたら頭をかち割られていた事だろう。
「それじゃ、僕そろそろ行きますからね? 」
「ハル・ウィンド」
「はい? 」
「お見舞い……ありがとな」
「あは、いえいえ」
変態は変態でも絶対悪い変態ではない。そう感じた瞬間だった。しかしこの数日後。管理局はとんでもない事になった。かくいう僕も。ヴィータさんが所属する機動六課。さらには地上本部が襲撃されたのだ。ヴィータさんは地上本部の方へ護衛に出ていていなかったため、僕のその現場には居合わせなかった。その日、僕はたまたま機動六課へ来ていた。ヴィータさんにと言うよりはそこの部隊長、八神はやてさん宛の預かり物を届けただけだったのだが、タイミングが悪かった。その最中、六課は火の海に包まれ、ほぼ壊滅状態。僕は六課内を必死に走り回り生存者を捜していた。このまま逃げるのはいけない気がしたからだ。だがそれは僕の運命を決めた。
「……誰? 」
そこにいたのはフードを被った男。体の周りに冷気のような物を漂わせ、炎の中だというのに僕まで寒気を感じさせる。
「まだ生き残りがいたんだ。でも君で最後かな? ここに向かってたあの小さな妖精さんと赤い騎士はゼストが墜としたみたいだし」
「小さな妖精さんと赤い騎士? まって……それって…………」
そのキーワードで当てはまる人物など管理局ではそういない。僕は不安になった。考えたくもない。しかし男の顔がそれを確信に変えていく。ヴィータさんが墜とされたという事を。しかも、リインさんも一緒なようだ。
「それは何かの冗談だ!? そんな事……」
「どんな魔導師でも……絶対じゃないんだよ? って言っても、魔導師じゃなさそうな君にはわからないか」
「あ……くっ…………よくも」
「はは! いいよ。君もそろそろ退場するといい……フリージア! 」
【何さ、簡単な仕事なんしね? 】
「許さない…………」
「【な!? 】」
今僕はどんな状態だ。それはわからない。しかし胸の奥に熱い何かを感じる。そしてそれは蒼い炎となって僕の周りに溢れ出すと、フードの男から発せられた巨大な冷気の霧を全て蒸発させた。僕は今、決して冷静ではない。僕を支配しているのはまぎれもない怒り。でも僕は戦う事なんて出来ないはずだ。そんな力は無いはずだった。
「なん……だ…………」
【妾の冷気を一瞬で消し去る程の炎……こんな事ありえなんし……なんなんしかあの小僧は…………】
「よくも……よくもぉぉぉああああああああ!!! 」
その瞬間、僕の身体から溢れた蒼い炎は弾け、その場所全てを蒸発させた。
◇◆◇◆
「おかしいな……でない…………」
地上本部が襲撃を受けているというのを小耳に挟んだ俺はリインに通信をしたが一向に出てくれない。いつもならすぐに出るはずだがこんな日もあるのだろう。しかし何かの嫌な感じがした。だから俺は看護婦さんを呼び出し少しお願いをした。
「ちょっと出てもいいか? 」
「ダメに決まってるでしょ!? 自分の状態を見てから言ってください! 絶対安静です! 」
「ですよねー。ところで……今日は黄色なんだな? 」
「へ? 黄色? 何が…………」
「へぶしっ!? 」
「ふん! 」
俺の言ってる事が何か分かった看護婦さんは俺の頬を思いっきり引っ叩くと部屋から出て行ってしまった。当然と言えば当然だが、なんとも説得力を失う光景だ。
「絶対安静の人間を叩くなよ。さて……抜けるか」
病院を抜け出した俺は六課へ向かった。しかしそこはすでに火の海。リインが連絡しても出ない状況から見て、もう壊滅は確定だった。だがこうなるとリインの事が心配だ。でもこのままここを放置するわけにもいかない。よって俺は生存者を捜し火の海になっている六課へ侵入した。
「ハル……ウィンド…………」
「あれ? なんだ、あんたの方から来てくれるなんて。手間が省けるよ」
「貴様が……やったのか…………」
俺が六課に来て見たのはハル・ウィンド。だがそれは見るも無残な姿だった。身体中に多数の切り傷をつけられ、細長い氷麗がその胸を貫通している。その瞳は既に光を失い虚だ。
「そうだよ? でも危なかったよ。凄いね彼、ゲヘナの氷を燃やせる炎を生み出せるなんて。ちょっと焦っちゃった。よっぽど大事だったんだね、小さな妖精さんと赤い騎士の事が」
「っ!? 小さな妖精? 貴様、リインに何をした!!! 」
「僕は何もしてないけど……今頃墜ちてるんじゃないかな? ははは! 」
「このっ「ストップ! 」 …………」
すぐにでも殴りかかろうとした俺をこいつは止める。そしてハル・ウィンドに指をさす。さらにはその胸に刺さっている氷を赤く光らせて見せた。
「動かないでね? もし動いたら……ドカンだよ? ふふ、その子まだ生きてるから。でも……あんたが抵抗したら殺すよ? 」
【大人しくするなんし。おぬしには選択する道はありなんしよ? 】
「くっ……くそぉぉ……汚いぞ」
「汚いさ。だって悪だもん」
【違いなんしな? クスクス】
「リイン……悪い……デートいけなーー」
刹那、俺を青い光が包んだ。
◇◆◇◆
「ハル…………」
私とリインは敵と交戦し敗れた。しかもリインが私らをかばって怪我を負ってしまったのだ。だが悪い事はそれだけではなかった。ハルの部隊の部隊長からの通信で、ハルがやられたとの連絡があった。私は急いで病院へ向かう。でもそこには色んなチューブにつながられたハルの姿だった。
「どうして……どうしてだよ!? 」
「ちょっと、君やめなさい!? 」
「るせー!? 離せ!? ハル!? 」
「いい加減にしないか!!! 彼は危険な状態だ! これ以上は命に関わる」
「命に……命にって……なんだよ……ハルぅ……うっ……うわぁぁ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁ…………」
ハルに近付こうとした私は医者に取り押さえられ、ハルの状態を現実の言葉で突きつけられる。しかしそれを聞いた私はもう立っている事が出来なくなったしまった。
◇◆◇◆
「なんですか……これ…………」
私リインフォースは起きると調整台の上だった。そして、起きるなり自分の状況を頭で考える。でもすぐにあの騎士に負けたのだと思い出した。しかしそんな事などどうでもいい事態が私の心を抉った。それはその後すぐにナマエさんに通信をいれた時の事だ。ナマエさんは出てくれない。いつもはすぐに出てくれるナマエさんが出てくれないのだ。だがその日、敵のスカリエッティから大々的にモニタージャックが展開され、宣戦布告と言ってもいい映像が流れた。しかし問題なのはその映像に出てきたヴィヴィオとその部屋の中心に眠る床に磔にされた男性。
「ナマエ……さん? なんで……どうして……ですか…………」
ヴィヴィオが苦しみ、助けを求める。そしてそんな中、スカリエッティは言葉を続けた。
「私は興味があるのだ! この男の身体に、この男の中のドラゴンに! そして……この男の下半身に」
最後の言葉は私の正気を完全に奪った。何故ならナマエさんは新手の変態の手の中に堕ちてしまったのだから。
「ナマエさんの貞操がぁぁぁあああああああああああ!? そんなの嫌ですぅぅぅぅ!? 」
次回もよろしくお願いします。