魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」   作:ヘルカイザー

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ども〜

遅くなりやした。

ではよろしくお願いします。


ケース23《最後の賭け……始まる儀式》

《ナマ…さ……ナマエさ……ナマエさん! 》

 

「っ!? ……おれは生きてる……のか? 」

 

《はい、成功しましたですよ! 》

 

「これがリインの力なのか? ユニゾンなんか初めてだから不思議な気持ちだが……それよりリイン、失敗したらどうするつもりだったんだ? 」

 

私は死ぬ覚悟でナマエさんにユニゾンを試みた。結果は成功。相性も悪くない。むしろ、一番いいのではと言うくらいだ。融合事故も起きず、ナマエさんを覆っていた蒼炎も私が体内で制御する事で止める事が出来た。今ナマエさんの髪は黒から銀髪へと変わり、黒い瞳も青くなっている。ナマエさんには怒られてしまうかもしれないが、これは賭けだった。もし成功しなければ私もナマエさんもあのドラゴンの炎で焼け死んでいただろう。しかしそれをナマエさんにいうと怒られてしまった。けどそれはお互い様だと私も反論する。

 

「はぁ……」

《あ!? ナマエさん今ため息つきましたですね! 酷いですよ!? 》

 

「リイン」

 

《な、なんですか? 》

 

「これ片付いたら今度こそ……」

《あ……分かってますです》

 

「《デートしよう(しますです)》」

 

お互い考えることは同じ。私達はドラゴンに向き直る。決着をつける為。今度は私も一緒に戦う。ナマエさんにだけ、重荷は背負わせない。私も一緒に。今度こそ。それにナマエさんとユニゾンしてみて分かったがナマエさんの蒼炎。これは思ったよりも強力な力だ。リンカーコア内部で無限にその温度を上げていく性質。しかも対象の素材に関わらず、着火したものを燃やし尽くす燃焼能力。こんな物を一個人が制御など出来るわけがない。ナマエさんはよくこんな爆弾を抱えて今まで普通にしていたものだ。言わば。爆弾の上に燃料を置いていた感じだろうか。これにあのドラゴンまで抱えていたなど信じられない。改めてナマエさんは強い人だと感心する。

 

【我と死合える人間よ! ここまで我と渡り合えるなど称賛に値する。嬉しく思うぞ? 】

 

「こっちはいい加減うんざりだ。だが……これだけは感謝してるぜ? お前のおかげでリインと出会えた。あのまま武装隊にいたんじゃ、会うことなんかなかっただろうからな……それだけは感謝してやるよ」

 

【その上からの物言い、本当なら殺したくなる所だが……貴様個人に限っては許してやろう。貴様にはそれ程の価値と我が認める力がある。だが、ここから我を失望させるな、人間よ!!! ゴォォォオオオオガァァァアアアアアアアアアアアア!!! 】

 

《ナマエさん来ます! 》

「分かってる」

 

ドラゴンの黒い炎、解析してもその力全てを読み取ることができない。しかしその魔力濃度から、あれが人間が放てるどの魔法よりも強力な威力を有していることがわかる。こんな物をナマエさんは受け止めて跳ね返していたなど信じられなかった。でもだからこそ、私達には勝機がある。ナマエさんの蒼炎を最大限発揮できるその方法。私が内側からナマエさんを護る。1人で制御できずにその身体を傷つけてしまうなら、私はそのダメージから命に代えてもナマエさんを守ってみせる。

 

《ナマエさん、全力でやってください! 私がナマエさんを絶対に傷つけさせません! ナマエさんの抑えきれない炎を私が絶対抑えて、ナマエさんを護ってみせますです! だから……私を信じてください!! 》

 

「俺がリインを信じないわけないだろう? 俺の命はリインに預ける。これで怖いもんなんかあるはずがない! さぁ〜行くぜ馬鹿ドラゴン! ゆだねよ……すべての炎を…………」

 

《白銀よ……我が従者に祝福の風を……》

 

私達は2人でシンクロするように目を閉じる。目の前ではドラゴンが黒い炎を私達に放った。だが私達はいたって冷静。2人なら負ける気がしなかったからだ。2人で詠唱を始め、ドラゴンへと宣戦布告のように魔法を放つ準備をする。

 

《全てを癒す白銀の風が》

 

「全てを焼き尽くす蒼炎が」

 

「《今ここに炎風となりて顕現し、全てを凍燃やせ!! 》」

 

【ゴガッ!? な、なんだ!? 】

 

「《蒼炎氷風! ブルー・トルネード・フリージング!!! 》」

 

白銀の風、そしてそれに運ばれるようにナマエさんの蒼炎がドラゴンの炎を呑み込みドラゴンを燃やす。さらに周りを冷気の風が竜巻で囲うように包んだ。それは結界のようにドラゴンを閉じ込め、蒼炎によって生じた熱が確実にドラゴンを弱めていく。苦しむように叫ぶドラゴン。しかしここにはドラゴンがもう一体いるのだ。そのドラゴンが少し羽をバタつかせただけで、私達の攻撃は凍りつき、さらにその周りを凍らせた。それはまるで氷の国に来たような美しい光景。

 

「ちっ! いい加減面倒だ」

 

《もう一体のドラゴンを何とかしないと永遠に決着がつかないです》

 

【グゥゥ……グゥゥ……クソ!? 忌々しい、忌々しいぞ人間!! その体!!噛み砕いてくれ……な、何だと!? グゥゥ ……あれ……は…………】

 

【嘘なんし……あの血脈の者はとうにこの世には存在しないなんし…………】

 

《ナマエ……さん……あれ……あれは………ヴィ」

「ヴィヴィオ!? お前、そこで何を!? ……ヴィ……ヴィオ? 」

 

私達の戦闘中、そこへ歩いてくる小さな存在。でもそんな筈はない。何故ならヴィヴィオはさっきなのはさんたちに助けられここにはいないはずだからだ。しかし少し離れたところにいるなのはさんもみんなもその光景を信じられないような顔で見ていた。だが次の瞬間……私は悲鳴をあげた。

 

《ナマエさん!? 》

 

「うぐっ!? な……うっ!? ゴフっ!? ヴィ……ヴィオ……何……するんだ…………」

 

ヴィヴィオが丁度ナマエさんのすぐ近くに来た時、手から現れた金色に輝く光の槍。それをヴィヴィオがナマエさんの胸に突き刺した。そしてそのままナマエさんを持ち上げるとヴィヴィオ自身もジャンプし、それを地面に突き刺した。その瞬間私はユニゾンが解け、ナマエさんの横に転がる。しかし改めて見たナマエさんはもう戦えるような状態ではなかった。それどころかもはや……命すらも危うい。ヴィヴィオの光の槍はナマエさんの心臓のある付近を確実に捉えていた。しかもこの光の槍は消えないでナマエさんを拘束している。

 

【おのれ……おのれぇぇえええええ!!! 我と人間との果し合いを邪魔をしおったな! 聖王の血脈を継ぎし者!! ンゴハっ!? 】

 

【ハニー!? キャファっ!? ……この……この裏切り者の器がぁぁぁぁあああああ!!! 】

 

【だまりなさい、ゲヘナのドラゴン達よ! この身体は聖王の血脈を継ぐ器。ただし、完全なものではない。しかし汝等を殺すくらい造作もない事です。今、古より眠りし、初まりのドラゴンが降臨します。この身体はその生贄。邪魔だては許しません】

 

あれは間違いなくヴィヴィオだ。しかし言葉遣いや声の響き方が普通ではない。まるで言わされているかのような感覚。そして何より、身体から溢れるように漏れ出す金色のオーラ。周りのドラゴン達は皆その金色の槍を無数に突き刺され、ナマエさんと同じように地面に磔にされる。どうしてこうなったのか。何故ヴィヴィオが突然……そう私は疑問に思わずにはいられなかった。するとヴィヴィオが空に両手をかざす。

 

【初まりのドラゴン、名はジェノア。今、天地を創造し、元の世界を破壊するべくこの世界と次元に降「ふはは、くはははは!!! 」…………】

 

「ナマエ……さん? 」

 

何かの儀式なのか。ヴィヴィオは空に向けて呪文のような事を言い始める。空はそれで暗く染まり、光の柱がヴィヴィオの上からヴィヴィオを照らすように現れた。しかしその途中、瀕死のナマエさんがヴィヴィオの呪文を遮るように大笑いし始めた。私は大丈夫なのかとナマエさんに呼びかけたが、私よりもヴィヴィオの方を見ていて気づいていない。だが不思議な事に大笑いしている割には目が笑っていなかった。

 

「ふふ、あはは!! ごふっ!? ……はは、ははは!! (ちょっとでいい、気を逸らしてスキを)……ヴィヴィオ? 何だよその『遊び』。そんな遊び面白いか? つまんなくないのか? ぐっ……楽しいのかよ!! そんなわけないよな? 何故ならお前は純粋に優しい子供だ。いい子で、少し甘えたがりの子供だ! ごほっ!? ……そうだろヴィヴィオ!!! 」

「ナマエさんもう喋らないでくださいです!? お願いしますから!! 」

 

 

私はナマエさんを落ち着けながらその身体を見る。そして願った。これ以上……これ以上少ない時間を短くしないでと。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

「これ……なんや? なんの冗談なんや…………」

 

少し離れたところで、限界に近い私達は皆彼の戦いを見ていた。しかしこの状況はまるで呑み込めてない。突然いる筈もないヴィヴィオが現れ、今まで戦っていた彼とドラゴンは光の槍で串刺しにされた。ここにいるなのはちゃんもフェイトちゃんもヴィヴィオの様子に声も出てない。何が起こっているのかまるでわからないのだ。

 

【人間が私の邪魔をしようというのですか? 殺しますよ? いえ、その傷ではもう助かりませんね。騒がずにいる事をオススメします】

 

「……ああ〜そういう事か」

 

【ん? 】

 

「お前はヴィヴィオじゃない。ヴィヴィオの身体を使っているだけの寄生虫だ。初まりのドラゴンだかなんだか知らないが……うっ、ぐっ……ぐっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 」

 

「ナマエさん何を!? 」

 

【!? ……人間が……私の力を砕いた? (あの炎…………)】

 

彼は何を思って立ち上がったのか。自分に刺さる光の槍を掴み、痛みを無視してそれを引き抜き蒼い炎で燃やす。この炎はどこまで獰猛な威力を秘めているのか。もはや、燃やせないものなどないのだろう。そう思わせる威力だ。ただ……彼はもう限界の筈だ。魔力を大量に使い、リインとユニゾンをし、今……その胸は得体の知れない攻撃で貫かれている。瀕死……そう言ってもお釣りが来そうなものだが、彼は動く。ゆっくりと歩き、ヴィヴィオに近づく。

 

「ごほっ!? ……ヴィヴィオ、戻って……来いよ! 今から何をする気かは俺には想像つかない。だが、ロクなことじゃないのはわかるぞ? ぐっ……だか……らっ!? お……ごふっ!? 」

 

【私はヴィヴィオではない。この身体に宿る人格なら奥底へ沈んでいる。古来より、器は贄として捧げられ、ジェノア復活の礎となる。直他の者も貴方と同じところに行くでしょう。だから安心して眠りなさい】

 

この瞬間私達の時間が固まった。彼はトドメとばかりにヴィヴィオにお腹を貫かれた。ヴィヴィオなら戻ってくると信じての行動か、それとも何か策がっての事だったのか。しかし今更遅い。彼はお腹を貫かれながらリインのいる所とは反対方向に飛ばされ、その勢いでお腹に刺さっていたヴィヴィオの手が抜ける。そして丁度横たわっているドラゴンへぶつかった。

 

「ナマエ……さん。嫌…………嫌ですよ……約束は……デートの約束したです……うっ…………」

 

【哀れな人間に神の慈悲を】

 

「そんな……どうして……結局、彼が犠牲になるんか……え? 」

 

彼のいる所から私達のいる所はさほど遠くない。故に彼が喋ればおのずと声も聞こえる。かすれながらも聞こえる彼の声。だがそれは私達に向けてでもリインに向けてでもヴィヴィオに向けてでもなかった。どうしてこの状況で、そう思った瞬間に、繋がった。何故、彼がわざわざ危険をおかして、ヴィヴィオの側に行き、あそこ、ドラゴンのいる所へ飛ばされたのかを。あれは彼の賭けだった。それが見ている私にはわかった。

 

「よぉ? 調子悪そう……じゃねーかよ……ごほっ、ごほっ!? 馬鹿ドラゴン」

 

【ぬかせ! 貴様こそ、虫の息だろう。ん? 】

 

「悔しく……ないのか? 聞いてれば、ずっとあのジェノアとか言うドラゴンにおさえつけられて来た……ぐっ、だろう? 」

 

【あやつは神にも等しい存在だ。我らが叶うはずもない】

「はん、何言ってやが……る。はぁ……はぁ……クク、神は冒涜するもんだ。違うか? ごふっ、ごほっ!? ……潰すのも面白いと思わないか? 神を殺し、お前がその座を奪うのは? 」

 

【人間……貴様……まさか…………プフ……グハハハハハハハ!!! いいぞ、人間! 貴様は我が友、永遠の戦友に相応しい!! 昂ぶる! こんなにも昂ったのはいつ以来だ! よかろう、貴様の提案、受け入れてくれるわ! 我とてあやつにコケにされ続けるのは気分のいい事ではない。故に貴様に力を貸してやろう。それであやつを殺せるのなら、これ程気分のいい事はない! 】

 

聞こえる。だがそれは当然、ヴィヴィオにも聞こえていた。何を血迷った事を言っているのかという顔をしているヴィヴィオ。でもそれは私達も同じ、いくらこの状況を打開するためとは言え、今まで戦っていた怪物に力を借りるなど、どうなるか知れた事じゃない。しかしこの場の誰も、動き出す事はおろか、しゃべる事もできはしない。何故ならそれほどまでにこの場の空気は緊迫し、ヴィヴィオに抑え込まれている。だからそんな中で平然としゃべる彼はやはり強いとしか言えなかった。

 

「今度は……無理やりじゃなく……お前の力全部見せてくれるんだろ? ごほっ……馬鹿ドラゴン」

【バシャル】

 

「あ? 」

 

【我の名だ! 戦友よ、我にも聞かせろ。おぬしの名を! 】

 

「……真名だ。草葉琶 真名」

 

【マナ……ならば、これを成し遂げた暁には、おぬしの崇拝する物を教えて貰おう】

 

「は? 崇拝する物? 」

 

【そうだ。おぬしがそれを行うとき、それを口にする時、おぬしの内にいた我は感じていた。おぬしの崇拝する至高の何かがあるのだと。だから教えるがいい! 我も知りたい。おぬしの至高を! そのよくわからない『セクハラ』とやらをな? 】

 

その返答を満面の笑みで「いくらでも教えてやる! 」などと言い放った彼に、女性陣はこんな状況だが冷たい視線を浴びせざるをえない。もしかすると、これが終わったらセクハラ魔神ならぬセクハラドラゴンでも誕生するんじゃないかという前兆が今この瞬間に感じられてしまった。なんとも恐ろしい。だが今は…………

 

「誰も死なんで、生きて帰ってきてぇ…………」

 

そう、思わず言葉にすらしてしまう。それを切に、私は願った。




さて!

残すところあと数話。多分あと2話だとは思いますが…………

次回もよろしくお願いします。
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