魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」   作:ヘルカイザー

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ども〜

長くも遅くもとうとうここまできました。

これも読者様いての事だと思います。

最後まで読んでくださった方々ありがとうございました。

ではラスト、よろしくお願いします!!!


ケース エピローグ《受け継がれしセクハラ》

 あの事件から半年とちょっと。私、フェイトはヴィヴィオを連れ、なのはと一緒に変態のお見舞いへと訪れた。彼が目を覚ましたと聞かされたからだ。私からすれば、セクハラ変態のあの男は憎き男だが、彼から貰った今の平穏な時間は、感謝する以外にはない。例えこの変態がどんなド変態男だろうと、誰かの為に、自分以外の誰かの為に傷つく事のできる彼は、悪人ではない。

 しかしここに来たからには、尊いなのは(犠牲)を覚悟し、変態との最終決戦に臨む以外道はない。

 

「変態さんこんにちは〜! 」

 

「よぉ〜ヴィヴィオ、元気だったかぁ? 」

 

「うん! 変態さんも元気? 」

「おう、元気が有り余ってるくらいだ」

 

 それにしてもいつの間にヴィヴィオは変態に懐いたのだろうか? 聞いた話では、1度リインがヴィヴィオを預けただけだと聞いている。でももっと接しているのではと言うくらい、ヴィヴィオは変態に懐いているように見えた。

 両手を広げ、無邪気な笑顔を変態に向ける。それは大変微笑ましい事だが、なんかムカムカする。ヴィヴィオの懐き具合を見ているとこの男に嫉妬してしまうのだ。

 

「本当にもう身体は平気なんですか? 」

 

「ああ、大丈夫だ。ところで……わかってるよな? 」

「へ? ……何が? 」

 

「うん。私も覚悟は決めてきた。当然わかってるつもり」

 

「え……え? フェイトちゃん? 何の話してるの? 」

 

「フフフ、素晴らしい返答だ」

 

 変態の悪人にしか見えない笑み。そして間に入って私と変態を交互に見て困惑するなのは。

 ヴィヴィオは何が楽しいのか常時ニコニコで、私は顔を怖ばせる。

 

「これで最後だ。決着をつけよう。素敵な身体の相談者さん」

 

「そうだね、私もそう思ってたんだ」

 

「ふ、2人とも……どうして私の方見るのかな? まさかとは思うけど……やめてよ!? ヴィヴィオの前で何する気なの!? 」

 

「ぉ……ぉお〜」

 

 修羅場? と言えるのかどうかはわからない。ただ、自分の体を両手で抱え、私と変態を警戒しながら後ずさるなのは。その反対側ではヴィヴィオ目を丸くし、なんだがワクワクしているカオスな状況。

 

「う〜んとぉ〜……よ〜い、ドン! 」

 

 ヴィヴィオの無邪気な掛け声で、その場の緊張が一斉に切れた。

 

「っ!? れ、レイジングハート! 私の周りに」

「遅い! 」

「させない!! バルディッシュ」

 

 変態が布団を真上に飛ばし、自分の方へ高速移動してきたと気づいたなのはは、レイジングハートに何かをするよう指示を出すが間に合わない。しかしだからと言ってこのままやらせるほど、私もお人好しじゃない。

 

「ザンバぁぁぁあああ、ホームラン!!! 」

「なっ、うぐっ!? ……ぐぐぅ……お、おまっ!? それ反則ギリギリだろ!? 」

 

「このゲームに手段なんてルールはない筈。勝つためならどんな手段でも使う。このまま星になれ変態!! 」

 

「いやぁぁぁあああああああ!? スカート引っ張らないでよー!? 」

 

「ぉ〜変態さんすごい! 」

 

 全員の動きがこの瞬間止まった。変態はなのはのスカートを掴み引っぺがそうとし、私はバルディッシュをザンバーに変え、バットを振る要領で変態へブチこんだ。

 だが変態はそれを左手で受け止め、その瞬間全員の動きが止まったのだ。プルプルという振動が、思いっきり力を入れいているのだとバルディッシュを伝い理解する。なら疲れて支えきれなくなった時がこの変態の最後だ。私はさらに力を込める。段々と変態の方へとバルディッシュが沈んでいく。もう少し。もう少しで私は勝利する。

 

「くっ……負けるものかぁ……お、俺には、負けられない理由がある! 」

「「最低な事してる最中な癖にカッコいいこと言うな!? 」」

 

「くそっ……こ、ここまでか……」

『ヴィヴィオもはいるぅ〜! 』

 

「「「へ? 」」」

 

 刹那の暴君。ヴィヴィオの才能。その片鱗を見た瞬間だった。私は今、何が起きたのか理解していない。何故……ない? そう思考が止まる。

 当然だが変態の仕業ではない。それどころか、変態はあまりの出来事に固まっていた。

 そして……1番残念なのは、自分に何が起きているか全く理解してないなのはだ。

 

「え? どうしたの2人とも? あれ? なんか……っ!? あ……きゃぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!? 」

 

「やったぁ〜! ヴィヴィオのかちー! なのはママのパンツとったぁ! 」

 

「ヴィヴィオ、私のパンツ返して!! 」

 

「な、なのは大丈夫だから落ち着い……ハッ!? しまっ!? 」

 

 油断だった。ヴィヴィオがしでかした子供故の好奇心と自分も仲間に入りたいと言う気持ちからくる行動。それによって私はバルディッシュに加えていた力を一瞬とはいえ緩めてしまった。気がつけばそこに変態の姿はない。

 

「貰ったぁぁぁぁぁあああああああ! 」

 

「ふぇっ? 」

 

「っ!? ……ぐっ……負け……た…………」

 

「ぉお〜……なのはママ……すっぽんぽん…………」

「ひぅっ……ひぐっ、いっやぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ…………」

 

 一瞬の出来事。その数秒の間になのはは全ての衣服を剥がされ、あられもない姿を晒す。座り込み、手で必死に自分の秘所を隠すなのは。

 私は涙目になり今にも泣きそうな親友にこれ以上声をかけられなかった。

 

「いつまでそんな格好をしているんだ。ほら」

 

「ぐす……ふぇ? 」

 

 なのはの肩になのはが着ていた教導服の上着が羽織られる。勿論それを羽織らせたのは変態だ。しかし間違えないで欲しいのは、この絵図らには大きな間違いがあるという事。

 

「フフ」

「真名さん……って! 私の服全部剥ぎ取ったのは貴方です! 反省するどころか何をカッコつけてるんですか!? このぉ!! 」

 

「はは! ナメるなよ! 絶対セクハラで俺は、詫びぬ!! ヘブしっ!? 」

 

 なのはの拳が変態の左頬をとらえた。だが……

 

「死ね!! 」

「媚びぬ!! ごはっ!? 」

 

「地獄に、堕ちろーー! 」

「ぐはっ!? 」

 

 魔力のこもった強烈な腹パン。流石の変態も体をくの字に折る。しかし変態の信念は曲がらなかった。

 

「え!? 」

「かぁぁえぇぇりぃぃみぃぃぬぅぅうううう!!! 」

 

 変態は大きく体を起こし、腰に手を当て、どこかのヒーローのように胸を張る。そしてその顔からは反省の色どころか誇らしささえ感じた。

 だがどんなに変態が頑丈だろうと病人は病人、今の一撃は変態を沈めるには十分な物であった。

 

「かっ、はっ!? ……いい……拳だった…………」

 

「あ……変態さん死んだ……う〜んと……なのはママのかち! 」

 

「よし! って嬉しくない!? 」

 

「負けた……負け……た……どうしよう……私何されるの? 」

 

 私はこの後を恐怖し、自分の体を両手で抱える。変態に負けた場合の私の罰は、1日変態の人形になるという事。私は1日だけ変態物にならなければならない。だがそれは……考えただけでも恐ろしかった。

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 ヴィヴィオ達がお見舞いに来てくれた日から1ヶ月。俺は退院した。そして自分の隊舎に戻った俺を待っていたのは俺がよく知る人間が数人。

 クロノ、カリム、ハルだった。クロノとカリムはまだわかるが、ハルは何故いるのだと少し考える。だが思い当たる節がない。

 

「お偉いさん方が揃いも揃ってどうしたんだ? お! そうか、やっと嫁さん抱かせてくれるのか? そうかそうかクロノ」

 

「はぁ……やっぱり君は1度死んだほうがいいようだ。というか、絶対にそんな事させないからな」

 

「その……今日お伺いしたのは……真名さん実は……」

「死刑の日時でも決まったか? 」

 

「え? 」

 

「ま、覚悟できてる事だ。今更悔いはない。リインと……別れるのは辛いが」

「何を言ってるんだ君は? もうそんな事を心配する必要はない」

 

 クロノの答え。それを見聞いて、俺は目を丸くする。意味がわからない。言ってる事が理解できない。俺はてっきり危険分子の塊である俺を処刑する為の日時を言いにきたのかと思った。しかしそれは、思わぬ形で否定された。

 

「管理局員全員の声だ。君はかけがえない、仲間……という事だ。管理局、聖王教会共々、その組織構成員誰1人として君がこの世から消えるのを良しと言うものなどいなかった。もっとも? セクハラを嫌がる女性局員は少しセクハラを控えて欲しいとは言っていたがな」

 

「ふふ、でもそれにしたって、真名さんはみんなに好かれてますよ? だって、真名さんのセクハラを嫌がる女性局員は誰1人として真名さんがいなくなって欲しいとは言わなかったんですから」

 

「ま、待ってくれ……つまり俺は……」

 

「真名、君はもう自由だ。もう縛られて生きる必要はない。君の中にいるドラゴンも、すっかり君に毒されてしまったようだからな」

 

 俺は唖然と立ち尽くした。自由という言葉に。嘘ではない。クロノ言葉とカリムの笑み。これが嘘ではないとわかる。俺は初めて自分が生きていていいのだと実感できた。

 

「ふふ……はは。なんだよちくしょ……」

 

「っ!? ふ、らしくないな真名? 」

 

「でも……真名さんの泣いてるところ、初めて見ました。ちょっと新鮮です」

 

「ふん! 今日だけだ馬鹿野郎め。ところでハル・ウィンド! さっきから黙っているがお前はどうしてここにいるんだ? 」

 

 俺はハルを指差した。こいつが自分からくるときはいつも真剣な顔をぶら下げてやって来るが、今日はいつにも増して真剣に見える。だから俺はハルが何を言おうと受け止めてやるつもりだった。乗り掛かった船という奴だ。

 

「今日はお願いがあってきました。僕にこいつの使い方を教えてください! 」

 

「なっ!? ……本気か? 勿論お前の顔を見ていれば、覚悟はわかる。だがな、ハル・ウィンド。その力、魔力変換資質『蒼炎』は己を殺す諸刃の剣。増してや、悪に染まったイカれた集団とかに狙われる可能性だってある。それは人には過ぎた力だ。それでも……お前はそれを求めるのか? 」

 

 俺は試した。答えはわかっていながら、あえてハルに問う。するとどうだろうか。こいつはいつの間にこんなにも男になったのか。即答だった。

 

「はい! 求めます! 僕はヴィータさんを守りたい。でもそれだけじゃない。その周りも、ヴィータさんが悲しむ事のないように。自分も、ヴィータさんも、みんなも! だからお願いします! 」

 

 やはり俺の目は間違ってなどいない。こいつは蒼炎を持つに値する。ただの自己犠牲ではダメだ。限界まで、自分が消えるその時まで、自分を諦めない人間でなければ。

 だからこそ俺はこいつを、ハルを気にかけていたのかもしれない。自分の後を継いで欲しいから。

 

「ハル……」

 

「はい」

「お前俺の後を引き継げ! お前を鍛え、仕事を教えたら……俺はここを、管理局をやめる」

 

「「なっ!? 」」

 

「え…………」

 

 これからは俺がいる事もない。若い世代に任せればいい。と……いうのは言い訳だろう。本当のところは少し疲れたと言った方が正しいか。しばらく気楽に過ごしてみたい。ただそれだけだった。

 

「真名さん何を言い出すんですか!? こう言っては何ですが、はっきり言います! 今真名さんがいなくなったら管理局のセクハラは…………クロノ? 」

 

 クロノがカリムの言葉を手で遮り、俺の目をじっと見る。こいつは何を考えているのか。そんな顔で見るのもだと思っていたが、流石は俺の親友だ。もう分かっているらしい。俺の心中と言うものを。

 

「お前の後にはしっかり引き継いでくれよ真名? 現状、君がセクハラを抑止できてる事には間違いはない。もし君がいなくなったらと思うと怖いところはあるが、彼なら……僕も安心して任せられる」

 

「え!? いや、その…………」

「自信を持て! いい男になった姿を俺に、お前の彼女さんに見せてみろ」

 

「……はい! やらせていただきます! 」

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

「ナマエさ〜ん! 」

 

「ん? 何だよ、そんなに走らなくても大丈夫だ。転んだらどうする? 」

 

「だ、大丈夫ですよ!? 私だって管理局員なんですよ? それよりナマエさん、おはようございますです! 」

 

「ああ、おはようリイン。それじゃ〜行くか? 」

 

「はいです! 」

 

 長かった。私がナマエさんと約束をしてからいったどれくらい日が経っただろうか。たかがデートをするくらいでこんなにも時間が経ってしまうとは思わなかった。だから今日は、念願のナマエさんとのデート。誰にも邪魔はされない2人の時間だ。

 

「わぁ〜この服屋さん最近できた店ですよ。可愛い服が揃っていそうです! 」

 

「見てみるか? 」

 

「え、いいんですか? 」

「もちろん。今日はリインと2人だけの時間だ。わがままはいくらでも言っていい」

 

「い、いくらでもはちょっと……でもお言葉に甘えますですよ! 」

 

 やはりナマエさんは優しい。ここに来て、より優しくなってる気がするが、それはナマエさんから憑き物が、重荷が軽くなった影響だろうかと私は思う。

 服屋には入った私達は可愛らしい服をたくさん見て、ふと……ナマエさんが何となく見ている服に気がついた。何も言ってはくれないが恐らくは、そう思いナマエさんの目の前に立つ。

 

「ナマエさん、この服……もしかして私に似合いそうですか? 」

 

「うっ……そ、そうだな。似合うと思うぞ? (確かに今これを着たリインを見たいと思ってたが……顔に出てたか? )」

 

「へへ、じゃ〜着てみるですよ」

「あ、おい!? ……はは、今更だが惚れすぎだな俺は」

 

 試着室へ入った私は服を脱ぎ、ナマエさんが見ていた白いワンピースと水色のカーディガンを試着する。確かにこれを着た私は可愛い服だと思った。ただそれ以上に着て違和感がない。ナマエさんは喜んでくれるだろうか。私は少しワクワクしながら試着室のカーテンを開けた。

 

「お待たせしましたナマエさん! その……どう……ですか? 」

 

「っ!? い……いや……その……だな」

 

 ナマエさんは私を見ると少し顔を赤くした。だがそんな目で見られると私の方も恥ずかしくなってしまうので顔を熱くする。するとちゃんと私が欲しい言葉をナマエさんは言ってくれた。

 

「可愛いよリイン。よく似合ってる」

 

「本当ですか! えへへ、じゃ〜これ買いますですよ」

「俺が買うよ」

 

「え……でも悪いですし」

 

「買わせてくれよ。本当によく似合ってるからさ」

 

 私は今これ以上ない幸せを感じている。もう壊れない。この平和の中でいつまでもそれを感じていたい。そう思う程に、私は幸せだ。

 今日この時。ナマエさんと食事をし、いろいろなところを一緒に見て回って。同じ時間を共有しているこの瞬間が幸せなのだ。できれば、ナマエさんも同じ気持ちであって欲しい。丁度そう考えていた。

 

「リイン、今日は楽しかったな? 君と過ごした時間は今まで感じたことのないくらい、幸せな物だった」

 

「ナマエさん……えへへ、私もですよぉ 」

 

 日も沈み始め、夕陽が私達を照らす。私達は手を繋ぎながらミッドの沿岸沿いを歩いていた。そして恋人繋ぎをしている手からはナマエさんの鼓動がとてもよく伝わってきていた。それはつまり私の鼓動もナマエさんには分かっているという事。今ドキドキしているのがバレていると思うとなかなかナマエさんを見れない。

 

「ナマエさん……その」

「リイン」

 

「え、はい? 」

 

「俺の名前な、真名っていうんだ。草葉琶 真名だ」

 

「へ? ナマエ・ナイショじゃないんですか? 」

「ああ、あれは嘘だ」

 

 ナマエさんはそう言った。となると私は今まで嘘だった名前で呼んでいた事になる。ナマエさんと出会って数年経ってるが、そんなにも長い間本当の名前を知らなかったなど、ちょっと悔しかった。よって軽く何度もナマエさんをポコポコと両手で叩く。

 

「ひ、酷いですよ!? 私を騙してしたんですね! もう! 知りませんですよ、むぅ〜! 」

 

「はは、悪かったって。でもなんだかんだで伝える機会なかったし。あだ名みたいに定着したからもういいかなって思ってさ。だがこれからずっと一緒にいたいと思ったら、それじゃダメだと思ってな」

 

「それってどういう…………」

 

 何か言われる。そう彼の手の鼓動が告げる。真剣に私を見るその眼差しからは恥ずかしくても目を外せなかった。これは……人生に関わる大事な事だ。そんな内容を言われる気がした。夕陽が輝くこのいい雰囲気で。言われそうな事など、私は1つしか、思い至らなかった。

 しかし彼の言葉はそれよりも遥かに先をいっていた。

 

「あのさリイン……俺と……」

 

 彼はおもむろに懐から正方形の箱を取り出すとそれを私に向け、パカッと開ける。私はそれを見て言葉を失った。勿論嬉しくて……

 

「え…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結婚してくれ! 」

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

「よし! ハル、この案件を片付けて来い! 」

 

「は、はい! やってみます」

 

 俺はあれからハルを鍛え、仕事を教え始めた。ハルには元いた部隊を異動してもらい、今この部隊は2人になった。今まで1人だっただけになんだか賑やかだ。

 そんな時、この部屋にお客がやってきた。最初は相談者かとも思ったが、ドアからひょっこり顔を出したヴィヴィオを見て違うとわかる。どうやら遊びに来たようだ。

 幸い今依頼はハルに行ってもらっている為暇だ。

 

「どうしたんだヴィヴィオ? 1人で来たのか? 」

 

「ううん、なのはママときた。でもヴィヴィオが変態さんにようがあったから、なのはママはおしごとしにいったの」

 

「そっか。で? 俺に何のようなんだ? お! ジュースでも飲むかちょっと待ってろ今」

「変態さんのセクハラおしえてほしいの!! 」

 

 俺は冷蔵庫から出したジュースを思わず落とした。そして落としたまま固まり、今何を言われたのか冷静に考える。これがもし男の子だったとしたらまだわからんでもない。子供とはいえ、男。好奇心で興味を持ったりもするだろう。だがヴィヴィオは女の子だ。

 本来嫌悪しか抱かないセクハラをどうして知りたい。それを教えろなどというのか。俺には皆目検討もつかなかった。

 

「ヴィヴィオ? 言ってる事わかってるのか? 」

「わかってる。変態さんがママたちにエッチなことしてるのはいっぱい見てたから。けどね、ヴィヴィオはおもうの。みんなエッチなことはきらい。いやなことだって言ってた。でも変態さんがみんなにセクハラしたときは、さいごに笑顔がおきるって」

 

「い、いや……何を言ってるんだヴィヴィオ」

 

「だから変態さんがしってるセクハラをヴィヴィオに教えて? ヴィヴィオは……ヴィヴィオはヴィヴィオを助けてくれたみんなを、変態さんが大好きなセクハラで笑顔にしたい! セクハラを悪いことで使うんじゃなくて、みんなを笑顔にするために使いたいの! 」

 

 ヴィヴィオの目には一体何が見えていたのか。こんな事、とてもヴィヴィオの前じゃ言えないが、俺のはほぼほぼ私利私欲のためのセクハラでしかない。だが確かにタイミングを間違えなければセクハラはその場に笑顔をもたらす事ができる。その可能性はなくはない。しかし所詮はセクハラ。他人に特に女性に対して嫌悪される以外の何物でもない行為。それを笑顔に変える為の手段にする。信じられない発想だ。

 

「考えた事もなかったな。でもなヴィヴィオ? それは無理だ。そもそもその言葉は犯罪、罪人の罪状を表す言葉だ。それがいい物になんか……なっ!? ヴィヴィオ……」

 

 本気だった。目が、ヴィヴィオのその表情が、子供の覚悟じゃないその本気を強調させる。

 

「変態さん……お願いします! 」

 

「茨の道だぞ? ヴィヴィオ」

 

「分かって……るよ。でもヴィヴィオは……」

 

 また1人、違う弟子ができてしまった。俺はそう心の中で笑った。ダメでも、無駄でも。やってみなければわからない。だが確かにそんな世の中になれば、この世は平和だ。セクハラが欲のための罪状ではなく。人が人を笑顔にする為の手段に。それはなんて馬鹿馬鹿しくて、なんて難しい事なんだと、改めて認識する。でもヴィヴィオなら……やるかもしれない。そう感じた。

 

「わかった、俺のセクハラの全てを教えてやる。ついてこれるか? ヴィヴィオ! 」

 

「う、うん! ありがとう変態さん! へへ 」

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

「真名さん、忘れ物ないですか? 」

 

「ああ、リイン。それじゃ〜少しだけ行ってくるな」

 

「はいです! その……早く帰ってきてくださいね? それから弟さんによろしくです」

 

 JS事件から早2年。私と真名さんは結婚して家を持った。私は今まで通り管理局で働いているが、真名さんは丁度この時期に退職した。そして、故郷に残してきた弟に会いに行く為出かけてしまう。数週間で戻るとは言っていたが、なるべく早く戻ってきてほしい。やはり、この家で1人は寂しいからだ。

 

「リイン! 」

 

「はい? どうかしまんっ!? ん……ちゅっ」

 

 ズルい。そう感じた。私がどんなに落ち込んでいても真名さんはこの手を使う。それだけで私が元気になるとわかっているからだ。

 やはり誰かと愛し合い、それを確かめ合うのは素晴らしく、とても大事な事だと私はこの瞬間も思う。好きな人との、愛し合う人とのキスはとても気持ちがいいのだと。

 

「真名さん、愛してますです! 」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 俺が来たのは第97管理外世界。俺の故郷、地球。俺はここに1人の家族を残している。年の離れた弟だ。無事に育っていれば今頃ヴィヴィオと同い年。どんな男に成長しているのか俺は楽しみだった。

 しかし家に行っても弟の姿はなかった。どこかに出かけているのかと思ったが、せっかくだ。久しぶりに自分の故郷を見て回る事にする。勿論弟を探しながらだ。

 

「バシャル? 見つけたは見つけたんだが……俺にはよくわからん状況だ」

 

【心配するなマナ。我にもわからん】

 

 俺の弟らしき男の子は何かの倉庫で誰ともわからない女性と一緒におかしな男に絡まれていた。見たところ、マフィアやヤクザではなさそうだが、いい雰囲気ではない。

 しかし俺の弟と一緒にいる女性。年齢はフェイト達と同じぐらい。そして問題なのは……フェイトよりもスタイルがいい事だ。しかもその胸は確実にフェイトよりも大きいだろう。

 

「すずかさん、僕がスキを作るからその隙に逃げて? 」

「ダメだよそんなの!? 嫌だ!? 私まだお別れしたくないよ! 」

 

「そ、そんなわがまま言ってる場合じゃないでしょ!? 」

 

「諦めろ! そんなエロい女を見つけて俺達『S◯X死隊』が身を引く理由はない。大人しくしていれば怪我はしないぜ? ふへへ」

 

 会話を聞いていれば大体の状況は吞み込めた。だがエロというのには賛同しよう。まだまだこの世界も捨てたもんじゃない。しかし俺の家族を弟を襲ってタダで済むと思ったら大間違いだ。

 それにしても……何て酷い名前なんだ。恥ずかしくないのだろうか。

 俺はそう思いながら弟のいる場所へと上からダイブした。

 

「そこまでだ! 」

「何!? なっ!? ……なん……だ? 」

 

「だ、誰? 」

「よぉ〜我が弟よ。小学生の癖に随分頼もしいじゃないか。ふふ、久しぶりだな、下着? 」

 

「兄さん!? 」

 

 頼もしくも元気そうな弟の姿を確認したところで俺は男を睨みつけた。男はそれにビビると後ずさる。

 

「な、なんだてめぇ!? というかいつの時代だよ!? どんだけパンクな格好してんだ!? 」

 

 俺は今私服で、黒い革ズボンに上は裸のまま何も着ないで革ジャンを羽織っている。当然前は全開だ。どうやらこいつには俺の趣味は理解できないらしい。なんとも悲しい事だ。

 

「いいだろうが別に。これでも28歳だからな? それに俺の趣味だ。それよりも、弟が世話になったな? お礼してやろうか? あ゛〜? 」

 

「お前……俺達に楯ついて生きていられると思ってるのか? 俺達はS◯X死隊だぞ? 」

「しらねぇーな? そんな連中。それにお前はさっきから達って言ってるが今1人だ。何を恐れる必要がある? 」

 

 俺にはどう見てもこいつが強いようには見えない。ましてやこの世界には魔法はない。ならば質量兵器でも持ち出さない限りは相手にすらならないだろう。

 

「来ないならこっちから行くぞ? 」

 

「くっ……」

「ラァ!!! 」

 

 俺が仕掛けるのはただの拳だ。さっさとのして弟と話がしたい。こんな奴に構っている暇はないのだ。しかしどういう訳か俺の拳は空を切った。そして男は俺の真横にいる。

 

「……お前……今のは、っ!? うっ……」

 

「ふへへ、口の割には大したことないな? 」

 

「兄さん!? 」

 

 俺はグラリと地面に膝をつく。今のはこの世界の技ではない。あれはミッドのセクハラーのみが使える技だ。だが何故こいつがそれを使えるのか。俺はフラフラと立ち上がり、構える。

 

「お前、この世界の人間じゃないな? 一体何者だ? 」

 

「言っただろ? 俺達はS◯X死隊だと」

 

「だがミッドでもその名は聞かない。という事は裏の人間か? たくっ、せっかく管理局辞めてきたのに面倒ごとに巻き込まれたぜ」

 

「……お前……管理局絡みか……ちっ! 手を出す相手を間違えたか。まぁ〜いい。お前の名を聞こう」

 

「俺は草葉琶 真名だ」

 

「草葉琶 真名……その名、顔。忘れないぞ? お前はきっと後悔するだろう。ふへへ」

 

 そう言い残し、男は消えた。あいつはただの人間じゃない。魔導師でもなさそうだが、奴はセクハラーだ。それだけは間違いないと確信できる。

 

「兄さん! 」

 

「ん? はは! 下着」

「兄さん!! 」

 

 弟は駆け足で俺に飛び込んできた。相変わらずよく懐いてくれる弟だが、元気そうで何よりだった。そして気のなるこの女性は誰なのだろうか。俺は彼女をジッと見る。実に素晴らしい胸だ。

 

「下着くんまだギュってさせてよ! まだどっか行ったらいやぁ」

 

「ちょっ!? 兄さんの前で!? す、すずかさんもう少し自重してよ!? 」

 

「い〜や! んふふ〜下着くぅ〜ん」

 

「ああ……うん。しばらく見ない間に随分男になったようだな下着? 俺は嬉しいよ」

 

 下着は彼女に引っ張られ、両手でしっかりと抱きしめられた。それに見ればわかることだ。彼女は下着に恋をしている。まだ小学生である下着に恋など。犯罪の匂いしかしないのは気のせいだろうか。

 

「そ、それより兄さんどうして戻ってきたの? 仕事があるから帰ってこれないはずじゃ……」

 

「ああ、辞めてきたよ。その仕事」

「え!? 辞めたの? そ、そうなんだ……じゃ、じゃ? 」

 

「そうだ。だからしばらく一緒に過ごせるさ。下着」

 

「本当!? やったー! あはは」

 

 俺の言葉に弟は喜んでくれた。こいつには散々寂しい思いをさせてしまった手前、なるべくわがままを聞いてやりたい。だが急に何か思い至ったように俺を見るとこいつらしい心配をし始めた。そんな心配は不要だというのにだ。

 

「兄さんがその仕事辞めちゃったら大変なことになるんじゃないの? 」

 

「大丈夫だ。今頃、俺の代わりに、俺よりも優秀な弟子が頑張ってくれてるよ。なにせ、大事な仕事だからな大事な……な? 」

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

「クソっ!? クソっ!? ひっ!? 」

 

 私は逃げていた。バレた。不正がバレたからだ。夜の隊舎を出口を目指して走る。しかしその瞬間、私の真横を蒼い何かが通り過ぎた。そして私の前に立ちはだかると口を開き始める。

 

「ルカ・シェパード少尉。貴方は管理局の資料室に部下である女性局員を連れ込み性的暴行を加えていましたね? 調べさせて貰いました。彼女からもしっかりと証言をいただいております」

 

「ぐっ……何故だ!? お前は誰なんだ!? 」

 

 周りは暗く、私を追ってきた人間の顔は見えない。しかしたまたま窓から月の光が射したことで、男の顔が見えた。それはまだ若い管理局員。最近有名になった若きエースだ。

 

「お、お前……セクハラ隊の……部隊長……ハル・ウィンドか!? 」

 

「同じ職場の仲間を貶める下衆な行い。断じて許すわけにはいきません」

 

「ふ、ふん。若造が何をほざくか! ふはは、このまま逃げ……うがっ!? 何が……全然……見え……あ……これ……が……ブルー・ファルコン……蒼炎の鷹……か……うっ…………」

 

 私は頭に強烈な衝撃を受け、その瞬間意識を失った。最後に聞こえたのは若きエースの覚悟の言葉。2度同じ事がしたくならないような。私に対するそんな制裁とも言える言葉だった。

 

「僕は違反者を許さない。それが僕に課せられたセクハラ相談部隊……その責務だ! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完

 

 




新タイトル予告

JS事件から4年の月日が流れた今、運命の歯車は再び回り始める。

「うっ……ぐっ……クソっ…………」

「言った筈だ、後悔するとな? 」

「兄さん!? 」

2年前に遭遇した新たな敵。暗躍する闇の組織『S◯X死隊』。
その罠にハマり、膝をつく真名。

全ては2年前から始まった。

「真名さん……一体いつ帰って来るですか…………」

真名の帰りを待つリインフォース。その先に待つ結末は……

「私はセクハラでみんなを笑顔にしたいんです! 」

夢を抱き、それに向かって進むヴィヴィオ。
そんな中ヴィヴィオが出会う1人の男の子。

「兄さんの代わりに君を守りに来た」

真名の弟、草葉琶 下着。

「この世に僕が奪えないパンツなどない! 」

下着のパンツへの執念。その力。

「覇王の力を証明したいんです」

「やめよう。こんな事していい事じゃない! 」

通り魔に襲われたハル。彼が出した答え。

「ククク、行くぞ野郎共! 今こそ、この世界にセクハラという名の暴力を! 世界を悲しみと絶望で染め上げるのだ!!! 」

現れるS◯X死隊。その恐るべき目的とは。

「ふざけてるのか? セクハラとは悪の為にある物だ! 」
「違います! ふざけてなんていません、私はセクハラでみんなを笑顔にするんです!! だから貴方達の好きになんてさせません! 私が貴方達を潰してみせます!!! 」

自分の敵、自分の夢の否定。ヴィヴィオは決意を新たにS◯X死隊と戦う事を選ぶ。

「フェイトちゃんは本当は心の中ではもう分かってる。もう決めてるんだよね? でしょ? 」

「なのは……ありがとう! 」

決意のフェイト。その胸に秘めた覚悟。

「これか? 高そうな物だったからな? 貰っておいたんだ。ほら、くれてやるよ」

「あ……ああ……嘘……ですよ……い、いやぁぁぁあああああああああああああああ!? 」

S◯X死隊と対峙するリイン。そして放り投げられた婚約指輪。

物語はS◯X死隊と管理局との全面戦争に突入する。

「いい加減にしろ……貴様だけは絶対に許さない! 」

激怒のハル。その体から溢れ出る蒼炎。今セクハラ隊が悪を切る為動き出す。


魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊+パンツ」


※一応続編の予告ですが、続編要望が多かった場合のみ書きます。




ちなみに真名とフェイトさんの賭けによるフェイトさんの罰ゲームに関してはおまけとして再度投稿させて頂きますのでご安心を!

extraというヤツですね!



ではでは最後に…………



ご愛読ありがとうございました!

これからもよろしくお願いします!!!
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