魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」 作:ヘルカイザー
ではよろしくお願いします。
「ふざけてるわコイツ…………」
「もういいから行きましょう? 」
「絶対に訴えてやるわこの変態!! 」
僕は頭を抱えている。この子達はどうあっても訴えるつもりのようだ。しかも顔が悪い笑みを浮かべている。多分これをネタに何かしようとしているに違いない。
僕なんかに関わったばっかりにこの男の人は人生を棒に振ってしまった…………
しかし何故だろう……どうしてこの男は黙ってこの女性達を行かせるのだろうか……そう思った。でもそれはすぐに分かった。何故か出て行った女性達が戻って来たのだ。それも顔を真っ赤にして。
「おやおや? どうしたんだ? 俺を訴えるんじゃなかったのか? 」
「くっ……か……ぇ…………」
「ん? 聞こえんな? 」
「「「パンツ返せって言ってんのよ!!! 」」」
「え!? 」
彼女達が顔を真っ赤にして戻って来たのは当然だ。この男は3人のパンツを抜き取り手に持ってチラチラと彼女達に見せているのだから。
僕は正直、この男が分からなかった。自分の職務と真逆の事をし、彼女達に言い逃れようのないセクハラを始めるめちゃくちゃなこの男が。
「あんた……こんな事してタダで済むと思っているの!? 」
「なら……お前達がハル・ウィンドにこれまで行っていたイジメは許されるのか? 」
「「「な!? 」」」
「え……どうして……それに僕の名前まで…………」
僕は驚いた。僕はこの男に名前はおろか虐められているという事実すら告げていない。にも関わらず何故その事を……僕の名前まで知っているのだろうか…………
するとその瞬間、男の雰囲気は変わった。
「サラ・グラス、ダイナ・オーシャン、ファル・コンダー……貴方方は何の落ち度もないハル・ウィンドに対してイジメはおろか、セクハラ紛いの事まで行っていましたね? しかも誰にも悟られないよう……口止めまでして」
「な、何を言ってるのか分からないわ!? 」
「そ、そうよ!? 証拠でもあるの!? 」
「黙れ!!! 」
「「「ひっ!? 」」」
男は突然彼女達を怒鳴り、ゆっくりと歩きながら左手の黒い手袋を外した。するとそこに見たこともない入れ墨が刻まれている。そしてその左手で1人を捕まえる。下から顔を掴み自分の上へと持ち上げた。
他の二人は腰が抜けたようでその場に座り込んでいる。
「あ……がっ!? ……やめ…………」
「そう言われてお前達はやめたのか? お前達の行いが一体何年ハル・ウィンドを苦しめたと思っている? それを考えればこのぐらい大したことないだろ? 俺は女だろうが子供だろうが違反者には容赦しない。
お前達は虐めを続け、ハル・ウィンドの尊厳を踏み躙った。そんな連中にかける情けなど……俺にはない…………」
「ひっ!? やめへっ!? ごべんな゛ざい゛!? も゛う゛じな゛い゛!?じな゛ひがら゛!? あ゛あ゛っ!? あ゛あ゛あ゛!? 熱い!? 燃え゛でる゛!? わ゛だぢも゛でる゛ぅぅぅぅああああああああああああああ!!! 」
「「きゃぁぁぁぁああああああああああ!? 」」
僕は腰が抜けた……今、目の前で人が燃えている。男の左手、彼女を掴んでいる左手から火花が散ったと思えば彼女達は掴まれたまま真っ赤に燃えだした。しかし男は全く熱そうにしていない。
燃やされている彼女は悲鳴をあげ、他の二人もそれを見て恐怖のあまり抱き合いながら悲鳴をあげている。管理局員である筈のこの男は一体何をしているのか……彼女達を殺す気なのだろうか…………
「やめて……やめてよ…………」
僕はそんな事して貰いたい訳じゃない。ただ謝ってやめてくれればそれで満足だ。だから……だから殺す事ない…………
「あ゛っ……あ゛あ…………」
「やめて!? やめてくれ!!! 」
「ん? こいつはお前を虐めていた、今がチャンスだぞ? ハル・ウィンド。復讐のチャンスだ、お前が味わった苦しみを与えるチャンスだぞ? 」
「違う!? 僕はそんな事望んでない!? ただ謝ってくれればそれで…………」
「なら……許すのか? こんな連中を……お前は許すのか? 」
「許す! 当たり前だ!? だから、だから!!! 」
「フフ……素晴らしい、いい答えだ」
そう言ってその男は炎を収めた。僕達は目を丸くして男を見る。不思議な事にあれだけ激しく燃やされていたのにも関わらず燃やされていた彼女に外傷は全くと言っていいほどない。それどころか服に焦げ目一つ付いていないのだ。
そして男は気絶した彼女を下ろし他の二人がその子に駆け寄る。
「そう言う訳だ。ちゃんと謝っておけよ? 分かったな? 」
「「は、は゛い゛!? 」」
「あ、あの!? 」
「何も言わなくていい、その言葉は相談者の先輩にでも言っておけ。この幸せ者! 」
「つっ!? てて……あ!? 行っちゃった……と言うか先輩? それって…………」
男は僕の頭を指でこずくと屋上から去って行った。相談……と言う事はあの男は誰かの相談を受けて仕事をしただけ。なら僕に近づいたのも最初からこの為に…………
一体誰が僕の虐めを知っていたのだろう……一体誰がそれを止めてくれるよう頼んだのだろう……先輩って……誰? 僕は一瞬考えた。しかし僕が先輩と呼び、尊敬する人なんて同じ部隊に一人しかないない。
そうだ……ヴィータ先輩だ。本当にヴィータ先輩が…………
「うっ……ひぐっ……ありがとう……ございます……先輩…………」
◇◆◇◆
「おい! 」
「ん? 何かご用ですか? 貴方からの相談は解決した筈ですよ? 」
私、ヴィータは今中庭で寝ている変態に会いに来た。理由は私がお願いした後輩の虐めをやめさせることへのお礼。私は前々からあいつが虐めを受けていたのを知っていた。しかし私からは何も手が出せなかった。それはあいつ自身がそれを望んでいなかったから。だが私はあいつを助けたかったのだ。だからこの変態に恥をしのんで相談した。
正直こんな変態に相談するのは嫌だった。でもあいつを助けられるなら頭でも何でも下げる。
「その……サンキューな? 正直変態のお前に頼むのは気が引けたんだけどよ? 私が出て行っても解決しないと思ってさ」
「ま、それを請け負うのが俺の部署、セクハラ相談部隊……セクハラ隊ですからね? にしても……貴方も人がいい。後輩の為に俺の所まで頭下げに来るんですからね? それとも……守りたい人、だったとか? 」
「っ!? う、うるせぇ変態!? そ、そんな事ある訳ねぇだろうが!? あ、あいつはあれだよあれ……そ、そう! 可愛い後輩だ! それ以上でも以下でもないかんな!!! 」
「フフ、おやおや……顔を真っ赤にして可愛い事でぶしっ!? 」
私は恥ずかしくなってそいつを殴り、その場から逃げた。
◇◆◇◆
「ひゃうっ!? ……ぐっ……またか、この変態がぁぁ!!! 」
「ごふっ!? 」
「え!? え? ……だ、大丈夫……あ、れ!? いない…………」
私の名はキャロ・ル・ルシエ……今日は私を保護してくれたフェイトさんに連れられて本局の方へと出向いた。しかしそこで突然フェイトさんは背後から怪しい男に胸を揉みくちゃにされたのだ。当然フェイトさんは怒りその男の顔に蹴りを叩き込む。そしてそれを受けた男は私の方へと転がって来た。でもあまりに思いっきり蹴られていたので私は心配になり声をかけようとしたのだ。しかしその男はそこにはいない。
「くっ……こ、今度はどこに……はっ!? そこ!!! なっ、あんっ!? 」
「フッ……甘い、相変わらずスキの大きい相談者さんだ。このままではいつか誰かに襲われるぞ? 」
「もうお前に襲われてるから!? ふんっ!!! 」
男はまた殴られた。そしてまた消える。今度はどこにと思った。でも私はその時、後ろに気配を感じ思わず振り向く。すると今消えた男が私の後ろに立っていたのだ。しかし男の左手が私の視界に入った瞬間、私は感じてはいけない物を感じた。
「っ!? ……嫌…………」
「ん? どうしたんだ? あ、おい!? 」
「え!? ちょっ、ちょっとキャロ? どうしたの? そんなに怯えて……キャロに何したの? 」
私は怯えてフェイトさんの後ろへと隠れた。私は感じてはいけない物を感じてしまったのだ、私が感じた物……それはドラゴンの気配。それも私が使役するドラゴンより邪悪で遥かに強力な。
私は竜召喚師だ。だからドラゴンを感じる事が出来る。しかしおかしいのだ。この男の人から感じる力は近すぎる。まるで目の前にそのドラゴンがいるような……そんな濃い感覚。
「いや……触ってすらいないんだけど…………」
「何言ってるの!! だったらどうしてこんなに怯えて……キャロ? 」
「だ、大丈夫です……す、すいませんその人が悪いわけじゃないです」
「うむ……なんか……悪いな? 多分俺が悪いんだろ? 今日は消えるよ、それじゃ〜な? 素敵な身体の相談者さん? 」
「もう来んな!? 」
その人は私に気を使うようにその場から去った。しかし私はまだあの感覚を忘れられない。全てを奪われ、支配される……そんな絶望感にも似た力の感覚を…………
◇◆◇◆
「くっ……はぁ……はぁ……うかつ……だった……今日は……うぐっ…………」
「お邪魔しますですよ〜? ナマエさ〜ん遊びに……え…………ナマエさん!?」
「く……るな……出て……行け…………」
「どうしたですか!? 」
「出て行けぇぇぇぇえええええええエエエエエエエエエ!!! 」
「きゃっ!? ……ナマエ……さん? 」
私は休暇の今日、ナマエさんの隊舎に遊びに来た。しかしナマエさんは入るなり苦しそうに机で悶えていて、私が近づいた瞬間雄叫びと共に私とナマエさんの間に黒い炎が壁を作るように私とナマエさんを遮った。
私は驚いて床に着いたお尻を上げることができず、にナマエさんを唖然として見ていた。今のナマエさんはおかしかった、右手で左手を掴み何かを抑え込むように苦しんでいる。さらにナマエさんの左眼はいつもの黒から赤色に変わり光っている。
「頼む!? 頼……むから……出てイッテ……くれ……じゃナイと俺は……オレ……は…………」
「何ですか……これ……何がどうなって…………」
ナマエさんはとうとう言葉が所々片言になり始めた。まるでナマエさんに何かが乗り移ったように……ナマエさんは変わり始めていたのだ。しかしナマエさんはそれに必死に抵抗してるように見える。だから私はナマエさんに近づきたかった。助けてあげたかったからだ。でもそれを目の前の黒い炎が阻む。試しに氷結系の魔法をぶつけてみたがこの炎は消えない、それどころか強くなってきている。部屋の温度計は40度を超えて壊れ、火災用の防犯ブザーまでなり始めた。
「ナマエさん!? 」
「ぐっ!? ……クッ……そ……収まれ……オサ……まれ……うぐっ……あ゛あ゛っ! !! しかた……ナイ…………」
「っ!? な、何を……するつもり……やめて下さい!? 一体何を考えているですか!? や、やめ……いや!? いやぁぁぁぁぁああああああああ!!! 」
「ぐっあああああぁぁぁァァァァアアアアアアアアアア!!! うっ!? あ……ああ……ごふっ!? 」
私は叫んだ。ナマエさんは何を考えたのか机の上にあった果物ナイフを自分のお腹に突き刺したのだ。しかしその瞬間黒い炎は消え、ナマエさんは元の雰囲気に戻っていた。そしてそのまま床へと身体を叩きつける。
私は今起きた事が信じられず一瞬固まっていたがすぐ我に返りナマエさんに駆け寄る。
「ナマエさん!? ナマエさん!? ナマエさん!!! 」
私がいくら呼びかけてもナマエさんは返事どころか言葉一つ漏らさない。だから私は身体を大きくし、うつ伏せのナマエさんを仰向けにした。するとナマエさんの呼吸は死んでしまいんじゃないかというくらい浅くなっていたのだ。
このままではナマエさんが死んでしまう。そう思った私は急いで家族のシャマルへと連絡を取った。幸い近くにいたシャマルは早い時間で到着する。だがシャマルの口から出たのは信じがたい言葉だった。
「ダメ……もう助からない…………」
「ど、どうしてですか!? お願いです!? ナマエさんを助けてください!? 」
「私だって助けられるなら助けたい!? でもこの出血量に加えてどういう訳か魔力もほぼ空なのよ? こんな状態じゃ動かすこともできない! 正直……後何分持つか…………」
「そんな…………」
「う……あ…………」
「ナマエさん!? 」
シャマルはナマエさん容態を見るなりもうダメだと言い始めた。私がいくらお願いしてもそれは覆らない。どうしてこんな事になったのか……そんな事を思って諦め始めた時だった。ナマエさんが言葉を発し始めたのだ。聞いたこともない弱々しい声で何かを呟き始めている。
「ナマエさん、喋っちゃダメです!? 」
「わ、我……命……を奪う……者、命を……燃やし……尽くす……者……ごふっ!? ごふっ!? ぐっ……古の……ドラゴン……ゲヘナの……名において……この……身に……力を……貸したまへ…………」
「ナマエさん? ナマエさん!? いや!? 死んじゃ嫌ですよ!!! 」
「っ!? ま、待ってリイン、落ちいて!? ほら見て? 信じられないけど……死んでないから」
「え? ナマエさん? 」
突然ナマエさんが喋らなくなり手からも力が抜けた。だから私はナマエさんが死んだと思った。しかしシャマルがそれを否定する。本人も信じられないみたいだがナマエさんは死んでないという。それどころか助かったようだ。
一体何が起きたのか……私にはいくら考えても分からない。それにあの黒い炎……1年前の空港火災の時に生じた物にそっくりだったのだ。私は……まだナマエさんの事を何も知らない、そう……改めて感じた瞬間だった…………
次回もよろしくお願いします。