魔法少女リリカルなのは!?「時空管理局セクハラ相談部隊」   作:ヘルカイザー

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ども〜

ではよろしくお願いします。


ケース8《破局》

ナマエさんが倒れて二日……ナマエさんは何事もなかったように仕事へと復帰した。正確には治療を放棄したという方が正しいかもしれない。私がいくら言ってもナマエさんは治療を続けようとはしなかった。シャマルも、もう少し様子を見た方がいいと言っていたが問題ないレベルには変わりない為大丈夫とは言っていたのだ。しかし私はあまりいい気はしなかった。できることならしっかりと治してから仕事へ復帰して欲しい。そう思った。

そして今日、私は人生の中で一番後悔したと言ってもいい事をやってしまった。それはナマエさんとの間にすぐには修復できない程のみぞを作り出してしまった事だ。勿論、その時に誰がどう悪いと言うのは私には明確には分からず、ただ単純にナマエさんに対して酷いという感情が爆発してしまったのだ。

事の始まりは私がナマエさんの隊舎へと顔を出した時の事。私はいつも通りナマエさんとお喋りをし、そのまま帰ろうと思った。しかしその時の私はナマエさんの事を知りたいあまり、頭がのぼせていたのかもしれない。ナマエさんの助けに、そして彼の事をもっと知り、深く関わる為には自分の気持ちをぶつける必要があると思ったのだ。だから私は突然だが勇気を出して告白しようと行動を起こした。でもこれが私とナマエさんのいつも通りの日常を壊した。

 

「あ、あのナマエさん? ナマエさんに……聞いて欲しい事があります。聞いて貰えますですか? 」

 

「どうしたんですか? 改まって……勿論いいですよ? 何でしょうか? (うむ……やはり彼女の身体が一番美しい…………)」

 

「その……わ、私!? 私……私はナマエさんが好きです!! 初めてナマエさんと会ってからもう2年経ちました。一緒にお食事して、お喋りして、私は凄く楽しかったです! でも私はまだ足りないです! もっとナマエさんの事知りたい! 一緒にいたいです!! だから……私と付き合ってください!!! 」

 

「…………」

 

私はぶつけた。今私が想っている全ての気持ちを。ナマエさんはそれを聞いて大きく眼を見開いて黙ってしまった。驚いている、それは伝わってきた。でも何か変……そうとも感じた。ナマエさんの顔からは読み取れない複雑な感情が見て取れる。私はそれが何なのか分からなかったが、告白した恥ずかしさもありナマエさんをチラチラ見ながら返事を顔を熱くして待つ。しかしナマエさんの口から返って来た答えは今までに経験した事のない程私の心を抉った。ただ振られるだけなら良かったのだ。でもナマエさんの口からは絶対に聞きたくない言葉が飛び出した為私はショックを受けた。

 

「ふざけるな」

「え…………」

 

「人とユニゾンデバイスが一緒になる? お笑いぐさだな? そんな事を夢見ているのか? そんな事できるわけないだろ? 」

 

「ナマエ……さん」

「お前は所詮デバイスであって人間じゃない……もういい。お前の顔などもう見たくない、二度と俺に顔を見せるな!! 」

 

「っ!? ……酷いですぅ…………うっ、ひぐっ!? 」

 

私はそう言われた瞬間涙が溢れてきた。私は言い返す事もなくその部屋から出て行く。私達の関係は壊れた。もう修復する事の難しいくらいに……でも私はすぐには嫌いになれなかった。あんな酷いことを言われてもあの毎日が嘘だとは思いたくなかったから。だから私はしばらく塞ぎ込み、ナマエさんとは完全に関わらなくなった。しかしそれも長くは続かなかった。私は再びナマエさんと関わることになったのだ。この2年後に…………

 

 

◇◆◇◆

 

 

「フ……フフフ……フハハハハ……ぐっ……クソったれ!!! 」

 

彼女が出て行ってすぐ、俺は黒い手袋をつけている左手で自分の机に拳を叩きつけた。その所為で机は粉々に粉砕される。どうしてこうも傷つけるのは容易いのか……仲良くなり、絆を深めていくのはあんなにも時間がかかるというのに。俺には誰かと一緒にいる事などできない。だったら最初から関わるんじゃなかった、仲良くする必要はなかった。俺は今罪悪感とともに後悔している。俺は浮かれていた……友達のつもりでいた。俺は楽しんでいたのだ、彼女と過ごす事を……それを彼女の気持ちをぶつけられた事で気づいた。だがそれは遅い、遅過ぎた。もっと早く自覚していれば彼女を傷つけなくても良かった。彼女が俺を好きになる前に突き放す事だってできたはずだ。

しかし俺は……残酷に、身勝手に彼女の心を奪い……傷つけた。でも……ダメだ……彼女が俺を好きになってくれたのなら……俺は尚更彼女を突き放さなければならない。俺に向けた好意を壊さなければならない、俺も少なからず彼女に惹かれていたと気づいたから。

 

「お前が……お前なんかが俺の中にいる所為で……俺は一生一人だ……馬鹿ドラゴン…………」

 

俺は自分の左手を見てそう言った。そしてそれから数日経ったある日、誰かが俺の隊舎を訪れた。誰かといえば1年前の空港火災の後俺の隊舎に相談をしに来た八神はやてと言う女性だった。彼女はあの日からちょくちょく顔を出しに来るがその度に俺は怖いので逃げている。しかし今日は顔つきが真剣だ、というか怒っている。

するとそう思っていた直後の事だ、彼女は俺の前まで来ると右手を大きく振りかぶり俺の頬を叩いた。そうされた瞬間、俺は何故彼女が怒って俺の頬を叩いたのか大体理解できた。全部俺が悪いのだ。

 

「あんた……リインになんて事言ったんや…………」

 

「さて、何の事ですか? 」

「とぼけるんやない!!! 全部リインに聞いた! 一体どう言うつもりであないな事言ったんや? リインがあんたの事好きなのは伝えたんやろ? だったらどうしてあんな事言う必要があったんや!! 断るにしても選ぶ言葉がある筈やで!!! リインが……リインがどんなに傷ついたかあんたに分かるんか!!! 」

 

「知った事ではありませんね? 」

 

俺がそう言った瞬間彼女の手はもう一度俺の頬を叩いた。でもこれは当然の罰だ、足りない、これではまだ足りない。俺が犯した罪はこの程度では足りない。

 

「もうええ……幻滅したわ……あんたみたいな最低な男……好きになるんじゃなかったで…………」

 

それだけ言って彼女は俺の隊舎を出て行く。俺は彼女に対しても罪があるのかもしれない。しかしこれで俺は嫌われた筈だ。そうじゃないと困る。俺は一人じゃなければならないのだから…………

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

「久しぶりに誘って見れば随分疲れた顔をしているな? どうしたんだ? 」

 

「別にどうもしない。ちょっと……疲れているだけだ」

「八神の所のリインフォースとなんかあったんじゃないのか? 」

 

「はぁ……全く、どっから聞いてくるんだよ。それで? だったら何だというんだクロノ? 」

 

今はミッドの居酒屋。僕……クロノ・ハラオウンは親友と呼べるに等しい友人と久方振りの交流をしていた。何故急に誘ったか……しばらく会っていなかったというのもあったが一番大きかったのははやてから部隊の相談をされた時に漏らした愚痴が大きいだろう。だが僕はそれを聞いてもこの友人には幻滅もしなければ怒りもしない。理由を知っているからだ。勿論友人だからというのもある、しかしそれ以上に僕の役職が提督という事にある。

 

「いや……ただ、そろそろ自分の抱えてる物を一緒に背負ってくれる子でも見つけたらどうだと思ってな? 勿論僕は君の為なら手は尽くす、けど僕じゃダメだ。君を支えてくれる人じゃなきゃ……あの子はいい子だと思うぞ? 」

 

「フフ……新婚ホヤホヤだからって幸せの押し売りか? 悪いがそんな気は更々ない……あの子をこれ以上傷つける位なら一人で墓まで持っていく。大体、俺はいつまでもこうして野放しにされている人間じゃない。すぐにでも排除したい危険分子だ。後何年かすれば死刑にでもされるだろ? 」

 

「そんな事僕がさせると思うのか? 罪のない友人がその中にある物が危険だというだけで殺されるなんて……僕は認めない」

「そうは言っても聖王教会は俺を殺したがってる。管理局にしたって俺を相談部隊などという鳥かごに押し込め、監視するのが目的じゃないのか? 本来なら武装隊にいる筈の俺をな? だから……俺の事は放っておいてくれていい……なるようにしかならない。いくらお前が管理局の提督だと言ってもできることには限りがある。無理してお前の立場が危うくなる方が俺はゴメンだ…………」

 

そう言ってグラスに入っているお酒を口へと運ぶ友人。実際、僕がどんなに望んだところでできることは限られてくる。所詮、僕も管理局という機械の歯車に過ぎないからだ。確かに友人の中にある……いや、正確にはいると言った方が正しいのかもしれないが、それは下手をすれば全てを壊しかねない物だ。だから聖王教会は速やかに友人ごと始末するように言ってきている。管理局にしてもそうだ。彼を邪魔に思っている事は否めない。だが管理局が彼に恩があると言うのも事実……だから殺さずに、戦闘がない相談部隊に彼を押し込めた。彼を監視する意味も込めて…………

 

「クロノ……俺は……いてはいけない人間なんだろうか? 」

「そんな事あるわけないだろ!? 君がいなければ世界一つ、下手をすればこの世には何も残ってないかもしれないんだぞ? 」

 

「それは大袈裟だ。まぁ……確かにこいつが外に出れば世界一つは簡単に消えるだろうが……あれにしたってできるかどうかはギャンブルだったんだ。俺はたまたまそのギャンブルに勝っただけ……一歩間違えればお前だってこの世にいない。所詮……俺はその程度の男だ。大事な友人一人……今だって、気になった子1人……満足に笑顔にできないんだからな? 」

 

「……君という男は……やっぱりそうなんじゃないか? 守りたかっただけなんだろ? その子を、自分が大事だと気づいたから尚更。もっと別のやり方はなかったのか? 」

 

「それは無理だ……こいつは俺の魔力の流れが悪くなる時期になると暴走し、こいつの力が漏れ出す。俺の意志ではどうにもできない。もし、あの子が近くにいてみろ? 場合によっては……殺してしまう…………それに……俺は多分寿命分生きられない……だったら嫌われた方がマシだ」

 

僕の友人は自分の左手を見ながらそう言った。彼にとって僕にとって……この左手は呪いだ。それは誰がかけられてもおかしくない呪い。それがたまたま彼だったというだけ。いや、失敗してもいいように彼は誰にもそれを譲ろうとはしなかった……だからそれをたまたまと言うのは失礼かもしれない。誰よりも仲間を想える彼だからこそ……彼を殺させてはいけない。

 

「そうか……でもその代わり本局の女性達にするセクハラを増やすつもりじゃないのか? 」

 

「バレないからいいじゃないか? 」

 

「いや……バレてるから。というか人の義妹にセクハラをするのはやめてくれないか? 」

「あんないい身体の子そうはいない。俺の楽しみを奪うつもりか? 」

 

「はぁ……全く、今に殺されるぞ? フェイトは怒ると怖いんだからな? それと、彼女の親友の高町なのは……彼女には絶対にセクハラはやらないほうがいい。というかやめてくれ。憤慨して収束砲でも撃ち込まれたら本局がなくなる可能性も否めない。それの後処理などゴメンだ」

 

「安心しろ、もうしたことあるからな! 」

「おい!? 」

 

こんな他愛のない会話がいつまで続けられるだろうか……少なくても彼に課せられた時間は残り少ない。管理局が動かなくてもいずれ聖王教会が動き出す。その前に何とかしなければならないが……何としてもこの友人を殺させない。

 

「勘弁してくれよ……真名」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「はい、どうぞ? 」

 

「失礼しま〜す! どうも〜久しぶりね? 怪我の具合は……もう平気みたいね、良かったわ」

「何の用ですか? 」

 

「そんなに身構えることないでしょ? 確かにはやてちゃんとリインとは家族だけど……貴方をどうこうする為に来たわけじゃないわ? 今日は相談よ? 助けて欲しい子がいるのよ」

 

「フフ、俺の最低さを知って尚俺に相談ですか? まぁ……いいですよ? 何でしょうか? 」

 

私はシャマル……彼を治療した事もある医者だ。はやてちゃん達とは家族で彼がやった事は私も聞いている。でも私は彼が本当に悪い人には見えない。リインのあの幸せだった顔を見ればそれは分かりそうな物だ。リインにあんな顔をさせられるのだから彼はいい人に決まっている。私はそう思っているのだ。あれには何か理由があるのではないか。私はそれを確かめる意味も込めてこの厄介事を持ち込んだ。そして彼の机に写真を置く。

 

「今、セクハラで困っているこの子を助けてあげてくれないかしら? 」

 

 




次回もよろしくお願いします。
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