やり直しました。なんかアレはもう黒歴史って事で抹消しました。俺の心の中でも。
「柊さーん!って、どうしたの⁉︎」
鎮守府に到着早々、瑞鶴に心配されてしまった。
「や、なんでもない……アレだから……ちょっと喧嘩しちゃっただけだから……」
「これから喧嘩の相談乗ってくれるのに喧嘩したの⁉︎」
「大丈夫だから…仕事とプライベートは分けるタイプだから……」
「いや、精神的に袋叩きにされててとても相談し難いんだけど……まぁいいや。私には関係ないし」
うーわ……ひでぇなこいつ……。中1の時の僕か。
「翔鶴姉と仲直りしたいんだけど……」
「あーうん。まずなんで喧嘩したんだよ」
「それは……」
要約、二人で出撃すると、なぜか瑞鶴はMVPで翔鶴さんだけ大破、明らかに翔鶴さんが何かしらの何かしらを感じるってことで、提督さんに別々に出撃させて欲しいと頼んだそうだ。それに瑞鶴が怒ってついキツイことを言ってしまい、こうなったという。
「………どっちもどっちだなおい」
「うっ……」
だけど、火種を作ったのは翔鶴さんだ。この人をなんとかしないといけない。
「僕が一度翔鶴さんと話してみるよ。それによって明日からまた考えよう」
「……………」
しゅんっとする瑞鶴。僕はその瑞鶴の頭を撫でた。
「大丈夫、僕に任せて」
「うん………。ていうか子供扱いしないでよ!」
「はいはい……ま、上手く解決出来る保証も自身もないけどな。大船どころかイカダに乗った気でいなよ」
「なんか相談する相手を間違えた気すらしてきたわ……」
酷いことを言われたが、僕は無視して翔鶴さんの部屋へ向かった。
翔鶴さんの部屋には誰もいなかった。だから僕は弓道場に向かった。もしかしたらそこにならいるかもしれない。名目はもちろん、ここの掃除。基本的にどこを掃除しようが僕の自由となっているし、まだ弓道場の掃除はしたことなかったから不自然ではないはずだ。
「失礼しま……」
なんか空気が黒い……。いや腹黒いとかじゃなくてブラックホールっぽい……。その中心にいるのがブラックホールと正反対の頭をした翔鶴さんだった。周りには飛龍さんや蒼龍さんが慰めている。
「うえぇぇ……ず、ずいがぐごめんなざいぃ……」
「な、泣き止みなって……」
「そうだよ。あのシスコンはそっとやちょっとのことじゃあんたの事嫌いにならないわよ」
近くで休憩中の瑞鳳もいずらそうにしてるし、加賀さんは黙々と練習してるように見せかけて、心配そうにチラッチラと翔鶴さんを見ていた。証拠に矢は的に一発も当たってない。すごいのは赤城さんで、ブラックホールなどまるで気にせずに、自分のブラックホールマウスにおにぎりを吸い込んでいた。
………………なんかこの様子なら、すぐに仲直り出来そうだな。そう思い、僕が弓道場に足を踏み入れた時だ。
「すみませーん。遅れました〜」
瑞鶴が反対側の入り口から入ってきた。その瞬間、空気が一気に固まった。そして、さっきまで滝のように流していた涙を、まるでダムのようにせき止めると、翔鶴さんはニッコリ笑顔で瑞鶴に振り向いた。怖いです。
「げっ、翔鶴姉……なんでここに……」
「あら、瑞鶴さん。コンニチハ。若い癖に白髪で妹より戦果低くて扶桑さん姉妹より不幸に見えて胸も軽巡と大差ない翔鶴です」
「うっ……!だから言い過ぎたってば!」
あれ?言い過ぎたっつーレベル超えてね?レベルマックスにして限界突破もマックスにした上のレベマじゃん。
「あなたと私はもう別の艦隊だと言ったはずですが?」
「べ、別に翔鶴姉に会いに来たわけじゃないし!」
「あらそう。なら今この場において私に話し掛けないで下さいね」
「うっ…そこまで言うことないじゃない!バカ姉!」
そのまま瑞鶴は出て行った。あれ?これなんか、どっちが悪いか分かんなくなってきた。