ソードアート・オンライン 〜Another World〜 作:篝 凪。
どうぞ。
~69層・森林エリア~
第69層、森林エリアにある木の上に俺は居た。
デスゲーム、《SAO》が始まってから1年半以上の月日が経った。
そして少年はその殆どを圏外にある森で過ごして来たが、今でもそれは変わらない。
そして、ここ何日かは一睡もしておらず、気を抜いたら睡魔に襲われそうだった。
が、そうゆうわけにもいかない。
なぜならここは圏外だ。
眠ってしまえば奇襲を受けてしまうかもしれない。
「眠い......寝たい......」
少年は悲痛の叫びを、誰に言うでもなく呟いた。
そんなときだった。
突如として鋼と肉が交わる音が聞こえた。
さほど遠くはない、すぐ近くだった。
すぐに索敵スキルを発動すると、探している音とは別の音が引っかかってしまった。
聞こえたのは男の声だった。
最初の方は聞き取れなかったが、あとははっきりと聞き取れた。
「――とか、この人数なら楽勝だろ。捕縛っしょ?」
太めの声の男が仲間にそう問いかける。
「当然だろ、それに捕縛は《可能》ならだからな、《討伐》だっていいんだぜ?」
ドスのきいた声の男が答える。
「「「「ギャハッハッハッハ」」」」
その言葉に他の仲間達も笑い声を上げる。
不謹慎だ、そう思わざるを得ない。
そして彼らの討伐対象は、恐らくこの少年だろう。
少年はレッドプレイヤーだ。
正確にはオレンジプレイヤーだが、彼のようなプレイヤーの事をみんながそう呼んでいる。
別になりたくてなっている訳ではない、仕方なくなのだ。
どうしてここまで理不尽なのか、この生活が始まってから、少年は1日1回はそんなことを考えていた。
「でも、仕方ないよな。そっちが《その気》なんだから」
少年はそう言って、木の上から下を見下ろす。
男達が下まで来いる。
人数を数えると、どうやら5人組のパーティーだった。
「殺るか」
そう言って少年は、フードを深くかぶり木から飛び降りた。
男達の裏に着地をして、口を開く。
「よぉ、何か用か」
自分は今、どんな眼しているのだろうか。
「なっ……」
5人は、焦った様な顔をしていたが、すぐに憎らしい笑みを浮かべた。
そして、リーダー格らしき男が目を光らせて口を開いた。
「よう《死神》さん。悪いが......」
リーダー格の男が片腕を掲げた。
「狩らせてもらうぜ?」
リーダー格の男の言葉を合図に、仲間達が次々と武器を構える。
そして。
「やれぇ、おまえらぁ!」
リーダーの掛け声と共に振り下ろされた片腕を合図に、仲間達が一斉に襲い掛かって来た。
「仕方ない」
そう言って俺は、両手剣《ディナイアル・》を鞘から引き抜く。
本気で行こう。
彼らの眼は本気だ。
手を抜けば殺される。
それに、今までも少年はこうしてきたのだ。
「おらぁ!」
両手斧使いの男が、声を張り上げて輝く斧を振り下ろす。
「てやぁ!」
「ていっ!」
槍使いと細剣使いも、同様に輝く槍と剣先を突き出した。
ソードスキルを使った3人の同時攻撃は、捕縛のためのそれではなかった。
少年はその攻撃を避けようとしたが、斧の一撃を食らい、左手をもっていかれた。
「......ッ!」
咄嗟にバックステップで後ろに下がる。
するとリーダー格の男が、退屈そうに言った。
「んだよ、弱過ぎじゃね? こんな奴に何人も殺られたのかよ」
「ブレインの兄貴、トドメ指しちゃってくださいよ」
短剣使いの男が、ブレインにニコニコしながら言う。
「な、何言ってんだよ! 全員で殺るぞ」
ブレインは、背中の鞘から両手剣を引き抜いた。
それに続いて、他の4人も俺を囲む形で武器を構えた。
しかし少年にはそんなことはどうでも良かった。
「全員で......か」
なら、今までソロで戦って、1人で殺ってきた少年は......カグヤは。
「お前らより強いぞ? 俺は」
何を言っているのだろう。
言葉は、無意識に漏れていた。
「な、なんだと......てめぇら、やっちまえ!」
そしてブレインは、俺の発言を挑発と受け取ったようだった。
ブレインの言葉に、5人の武器が輝きだす。
「片手で充分か」
そう言って、俺もソードスキルを発動させる。
「「「「「でりゃぁぁぁ!」」」」」
5人の攻撃をギリギリまで引き付ける。
そして。
「《ディナイアル・ヴァリア》!」
360度、すべての攻撃に対応できるソードスキル。
そしてそれは、5人の武器をすべて吹き飛ばしだ。
「な、なん......だと」
ブレインが、驚きに満ちた顔で呟いた。
5人は、少しづつ後ずさりをしている。
「逃げるのか、俺を狩りに来たんだろ?」
俺は、ブレインとの距離を少しずつ詰める。
気づけば、後ろの4人はもう逃げていた。
まあいいか。
ブレインは躓き、地面に尻餅をついた。
俺は剣を上に掲げ、ブレインを見下ろした。
そして一言。
「死ね」
そう言って俺は、剣を振り下ろした。
こいつで何人目だろうか、そんな事を思った瞬間だった。
俺が振り下ろした剣の斬撃は、1つの黒い影と、1本の漆黒剣に阻まれた。
「......なっ!?」
「何やってるんだ! お前、今自分が何をしようとしているのかわかってるのか!」
俺の驚きなど気にもせず、黒ずくめは怒鳴った。
少しの迫り合いの後、互いに後ろに飛ぶ。
「な、何って......関係ないだろ!」
何なんだこいつは、邪魔だ。
俺は地面を蹴り、黒ずくめとの距離を詰める。
そして、剣を横殴りに振りかぶる。
「関係ない分けないだろ!」
黒ずくめのそいつは、ものすごい剣幕で怒鳴りながら、一撃を受けとめた。
「この世界でプレイヤーを殺せば、現実世界でも……」
「んなことはわかってんだよ!」
うるさい。
「なんなんだ一体! お前誰だ!」
「知りたいなら、武器をしまえ! 話にならないだろ!」
迫り合いながらも、会話は続く。
「お前も俺を殺しに来たのか⁉︎ なら武器はしまえないな!」
「なら、俺が先にしまう。 だから落ち着け、な?」
そう言うと、黒ずくめは漆黒剣を鞘に納めた。
な?とでも言うように、両手を横に広げる。
俺も剣を鞘に納めた。
そして、黒ずくめが口を開いた。
「俺はキリトだ、ソロで前線に出てる。お前は?」
キリトと言うその少年は、俺の名前を聞いて来た。
「俺は……カグヤだ。俺もソロだ」
おそらくキリトは、攻略組のメンバーだろう。
レベルも実力も、おそらくトップクラスだろう。
そんな事を、俺は無意識に考えていた。
いかがでしたでしょうか。
後半はやけくそです。
ではまた、1週間以内に。