ただし駄文にはご注意ください。
では、第2話をどうぞ。
青く澄んだ空。穏やかに流れる白い雲。
夏のベルカは、隣国との戦争にも拘らず平和であった。
「いや~。今日も平和だな~。」
門番の一人が、空を仰ぎながら呑気にそう呟いた。
名をセンと言う、二十代後半の青年である。
そして、その門に木製の荷車で〝一人で″〝大量の″荷物を運んでくる一人の青年がいた。
「センさ~ん!」
彼の名はナナシ。
この近くの町で、農家の居候をしているという。
誰に対しても敬語で、しかもよく分からないが記憶喪失だという。
まあ、実害あるわけではなく、寧ろよく働く彼は、しっかり町の方になじめていたようであった。
「お~う、ナナシ。今日は納品か?」
「はい! 今朝採れた野菜です。」
「こんなアッチイ日に御苦労なこったなぁ…ちょっと待ってろ、今開けっからよ。」
奥の門兵に声をかけ、二人で協力して開ける。
大きな鉄の扉がギギギ…という音と共に開く。
「ありがとうございます。」
「いいってこと。」
城の方でも、ナナシは多くの人に声をかけられた。
人当たりのいい彼は、それなりに交友関係が多かったのだ。
〝その日″までは。
「…城の様子がおかしい。ですか?」
「ええ。なんだか叫び声やら、悲鳴やらで…」
ここは、ナナシの居候先の農家。
畑仕事から帰ってきたナナシは、この家の一人娘が心配そうにしていた。
「隣国との戦争なわけないですし…何かあったのかな…?
取り敢えず、様子を見てきます。」
「うん…ごめんね?」
「いいってことです。どんとこいです。」
ポン、と。ナナシは胸を叩いて見せた。
「…なんですかね、コレ…」
その日の城は、荒れ果てている、と言っても過言ではなった。
城のところどころから煙が上がり、中から悲鳴や叫び声、そして小さな爆発音が聞こえる。
「センさん?」
その中に、聞きなれた声があった。
門の前には誰もいないが、閉まりきっている。
「…ッ!」
我慢できずに、駆けだした。
「う…グ…ッ」
重い鉄製の門は、本来ならば四人や三人がかりでゆっくりと開けるものを、ナナシは一人であっという間にあけて見せた。
自分がまさかこんなにも力があったとは当の本人も知らなったことだが。
城の中に入り、音のする方角へと足を進めるナナシ。
(爆発音と、悲鳴の数からして…相手は複数だけれども少数? 間違いなく〝魔導具″は持っているだろうし…)
(って、僕が行って何になるんだ…? そもそもこれ不法侵入じゃないか?)
「うわああああッ!?」
そんなときに、センの悲鳴が聞こえた。
「センさん?」
駆けだした時には、そこは王室手前の、一本の通路であった。
ナナシが最後に聞いたのは
「グ…ああ…?」
硝煙と焦げ臭い煙の臭い、そして、むせ返るような、血の、生臭い匂い。
そんな〝ヒトの海″の上で。
「…たった百数年でコレ、か。 ベルカの騎士も、地に落ちたようだな…」
長い桜色の髪をなびかせる、美しい女性が立っていた。
「…成程。〝僕はどこかの王国で農家の居候をしていた″…と。」
パタン、とナナシは日記を閉じた。
記憶にあるのは、セン、という青年の名前。
あとは漠然としてあまり思い出せない。
まあ、いいか。ゆっくり思い出していけばいい。――――そう思いながら、ナナシは立ち上がった。
よき朝である。
そろそろはやても起き始めるはずだ、ナナシは、昨日のようにならないよう今度は、リビングの入り口ではなく、そして暗くならないようカーテンを開ける。
「うん…いい朝だ…?」
ここで、ナナシは違和感を覚えた。
いつもは、玄関のかぎを開けるのはナナシの日課だ。
だが開いている。玄関のかぎが二つとも。
「…まさか、僕としたことがかけ忘れていましたか…!?」
慌ててリビングに戻る、そして、部屋のものが何か盗まれていないかチェック。
半ば大げさかもしれないが、特に何も荒らされていない。
ホッと溜息をつくナナシ。
「よ、よかっ「何者だ?」…!?」
静かに、それでいてほんの少し聞き覚えのある声に驚きながら、ナナシは声の下方向へと目を見やる。
そこには、桜色の髪と、金髪の女性二人が立っていた。
「え…? あ、え、えと…?」
まさか不法侵入…いや、不法侵入者ならば、何者だとは聞かない。
ということは…
「あ。初めまして。ナナシと申します。」
家を留守にしているという守護騎士の二人に違いない…そう思ったナナシは二人に丁寧に礼をした。
そこには無論、これから居候させてもらうのに同居人に対する挨拶のつもりであったのだが、
「何が目的だ…答えによってはただでは済まないぞ?」
「アレ?」
ナナシは首をひねった。
ん? 何があった。取り敢えず何があった?
見れば二人とも警戒心が底冷えするかのごとく発されていて、はっきり言ってコワイ。ものすごくコワイ。すさまじく逃げたい。
が、ナナシは察した。
もしかすると、この二人は自分が居候していることを知らないだけなのかもしれない…
そうと決まればきちんと説明しようと、ナナシは口を開いた。
「え、あ、え~っと。せ、先日からこの家にヤッカイニナッテオリマス、コレカラドウゾヨロシクオネガイシマス。」
必死に震える声を押えながら片言になりながらも話すナナシ。
「ヤッカイ…? 厄介か? つまりお前は、主はやてにここに住まわせてもらっているのか?」
怪訝そうな顔で、ナナシの片言ニホンゴを翻訳して、要約し尋ねる女性。
「ハイ。」
とナナシ。
察しのいい彼女は、あっさりとナナシの言うことを信用してくれた。先ほどの狼狽えぶりと、ザフィーラが無反応であるということからである。
が、それ以上に、今ナナシが妙な動きをすればすぐに抹殺できる。
「ああ、申し遅れたな。私はシグナム。こっちは…」
「シャマルです。」
「シグナムさんと、シャマルさん…ですね。」
頭の中で繰り返し唱え、ナナシは覚える。
「改めまして、居候させてもらっていますナナシです。趣味は雑用、特技は雑用、好きなことは雑用、宜しくいお願いします。」
「誰もそこまで聞いていないが…」
「シグナム~疑問に思うところはそこじゃないわよ~。」
「…という訳で、この子の記憶が戻るのと、局での対応が決まるまで、家で預かっておくことになったんよ。 ごめんなぁ、二人とも。ナナシ君。」
「いえ…すまなかったな、ナナシ。」
「ごめんなさい。」
間もなくしてはやてが起きだしてきて、開口一番に「二人にナナシのことを連絡するのを忘れていた」といった。
どうやらそれがすべての元凶だったらしく、はやてがきちんと二人に説明してくれたおかげで完全にナナシへの警戒心が解け、ナナシは別の意味であたふたしていた。
「あ、いえ。僕の方こそうまく説明できてなくて…すみませんでした。改めてよろしくおねがいします。」
「ああ、こちらこそ。」
「よろしくね。」
(そ、それにしても、女性二人だったとは…って、ザフィーラさん(犬ですけど)抜いたら僕男一人じゃないですか…?)
チラっとザフィーラに視線を送るナナシ。
(何を見ているんだお前は…)
と思うザフィーラ。
「…」
静かに傷つくナナシであった。
「お前ら朝から何やってんだー?」
朝のランニングから帰ってきたヴィータは、顔を洗って来ていた。
「あ、おはようございます。ヴィータさん。」
「だから〝さん″はやめてくれよー…そんなガラじゃねぇっつの。」
ナナシは頭をワシワシと掻きながら笑う。
「あはは。住まわせてもらっている身ですから。」
シグナムは漬物を口に運びながら言う。
「まあ…これから共に住まう仲だ。遠慮はいらないからな?」
「はい。ありがとうございます。」
「まずその敬語を外してくれ…」
「私もそう言うとるんやけどなぁ。」
はやてが苦笑いしながら茶をすする。
ナナシのこの癖は、まだ抜けそうにないようだ。
「…焦らず、のの字を書くように。」
「…は、はい。」
コーヒードリッパーの上、きめ細かい泡の粒をにらみながら、ナナシは慎重にポットを傾ける。
ここは喫茶〝絹道″。ナナシは真新しいこの店の制服と、黒いエプロンを身につけている。
細いお湯がのの字を書いていく中、ナナシはフィルターにお湯をかけないことも念頭に置いておく。
ナナシはそこまで要領がいいわけではないのは、隣にいるこの店の糸目の店長…木村も知っている。
だが、ここで働き始めて三日、ナナシは確実にこの店の仕事を一つずつ丁寧に覚えてきたのだ。
「…できました。」
ドリッパーを厨房の流しにいれ、洗って干しておく。
サーバーに入った抽出液をカップに注いだ。
「飲んでご覧。」
木村に促らされ、カップのコーヒーに口をつけるナナシ。
暫く熟考した後、ナナシは残念そうに肩を落とし、首を振った。
「…なんか店長のとは違います…」
ははは、木村は笑った。
「いや、ごめんね…まあ流石に、長年やってきてあっという間に追いつかれたら、たまったものじゃないけれどね。」
「〝コーヒーは手間をかければかけるほどおいしくなる″…私にいろいろと教えてくれた恩師が、よく言っていたね。」
ナナシの淹れたコーヒーに口をつける木村。
うん、おいしい。と一言。
そしてナナシを見て言う。
「〝早すぎても、遅すぎてもダメ。″…焦らず、ゆっくりとでいいのさ。
コーヒーも、ヒトもね。」
最後の方のヒト、の部分に疑問符を浮かべながら、カランコロン、という店のベルが鳴る。
「おっと、お客さんだ。 ナナシ君、頼めるかい?」
「はい。」
ナナシは、小走りで店の方へと顔を出す。
背の高い、ナナシより少し年が上そうな青年と、栗色の、こちらははやてと同年代ほどの女の子の二人組であった。
「ご注文はお決まりですか?」
二人を席の方へ通し、教わった通りに注文をとるナナシ。
青年が答える。
「ええっと…俺はコーヒーと…なのははどうする?」
「ジンジャーエールでお願いします。」
と栗色の少女。
伝票に書き込みうなずくナナシ。
「かしこまりました。少々お待ちください。」
伝票を卓の隅に置くと、ナナシはキッチンに向かった。
その重大なミスを取り残して…
「…ここ? お父さん。」
「ああ、家族みんなで、また来たかったんだけどね。翠屋を始める前にここで色々教わったんだ。」
高町なのはは、父士郎と共に一軒の喫茶店―――絹道へとやってきていた。
何故父と二人かといえば、全くの偶然で、駅帰りに父親とバッタリとあってしまったのだ。
丁度いいので少し寄りたいところがある――――そう言い士郎が連れてきたのが、この店であった。
名前も相まって、古風な店構えだ。
程よく店内から香るコーヒーの香ばしい匂いと、目に負担のかからない照明。
小学六年生のなのはにも、落ち着く、といった感情が理解できた。
ウェイターの店員が出てきた。痩せていて、ひどく細長い体型の青年だった。
黒髪に蒼い瞳と珍しい組み合わせではあったが、人の良さそうな人物だ。
士郎となのはが注文すると、店員は伝票を置いて奥へと消えて行った。
「店長さんがいれてくれる此処のコーヒ、すごくおいしいんだよ。」
そういいながら笑う士郎。
それにしても、父と二人で出かけるのは結構珍しい、となのはは感じていた。
そして何ともなしに伝票を見てみる――――絶句した。
「ふぇッ!?」
遅れていつもの奇妙な叫び声。
士郎が驚いてなのはを見やる。
「ん? なのは、いくら人がいないからってあまり大きな声は…って、コレ、なんだろ?」
士郎も目を丸くする。
そう、その伝票に書かれていたのはコーヒーとジンジャーエール…であるのは間違いないのだが、その使われている〝文字″が問題であった。
(な、なんでミッドチルダの文字が此処で使われてるの~~?)
そう、伝票で書かれていたのは、この世界には存在しない、管理世界首都、ミッドチルダの公用語であったのだ。
三年ほど前から少しずつ習ってはいたなのはは、一目でわかる。
書体は少し古いが、間違いない。
だが、ミッドチルダとはほとんど関係ない、日本の、それも駅近くの喫茶店で見るにはあまりにもシュールすぎた。
「え、えと…なのは。知ってるのかい、この奇妙な文字。」
「う、うん…〝向こうの″文字なんだけれど…」
なのはは困惑しながら答える。
すると、店員が飲み物を持って来ていた。
「お待たせしました、コーヒーおひとつと、ジンジャーエールですね。」
「店員さん、あの…!」
「はい? ご注文ですか?」
なのはに笑顔を向けてくる店員。
「コレ…!」
伝票を店員に見えるように差し出すなのは。
「あ゛…た、大変失礼いたしました! 直ぐに替えのモノを…」
「そうじゃなくて!」
「はい。」
腰を折り曲げたままなのはと視線を合わせる店員。
「え、えと…(ミッドチルダの方ですか?)」
小声でなのははそう訊ねた。
(あ…はい。今は現地の方の家でやっかいになっております。)
小声でそう返す店員。
(あ…あはは。よかった。こんなところでこの文字を見ることがなかったので、びっくりしました。)
「大変失礼いたしました。すぐに伝票の紙をお取替えしますね。追加でご注文はございますか?」
「あ…じゃあ、サンドイッチを。なのはは?」
「私は食べてきたから、大丈夫だよ。でも大丈夫? 帰ったら夕飯だよ?」
「あはは…大丈夫。お昼食べてなくて腹ペコなんだ。それに、母さんのご飯は別腹さ…じゃあ、それで。」
「かしこまりました。」
ナナシと入れ替わると同時に、木村が厨房からやってきた。
「おや…珍しいお客様だ。久しぶりだね、士郎君。」
「お久しぶりです。っと、こちらは娘の…」
「高町なのはです。」
と、お辞儀するなのは。
目を丸くする木村は、懐かしむように微笑むと、呟く。
「ああ、桃子君の子かい? …そうか、本当に、本当によく似ている。」
コクコクとうなずいた木村。
「まあ、ゆっくりしていきなさい。今日は人もあまり来ないからね。」
「お待たせしました、替えの伝票と、サンドイッチになります。」
静かにやってきたナナシは、サンドイッチの乗った皿を士郎の前に置く。
「ああ、ナナシ君。今日は帰っていいよ。お客もあまり来ないし。」
「え…いいんですか?」
「うん。お疲れ様。私は、少し彼と話していくから。」
ナナシ、と呼ばれた青年は不思議そうな顔をしてから、すぐに笑顔で、わかりました! と言って奥へと消えていった。
夕方、自宅へと帰宅したナナシは、苦笑いを浮かべていた。
「…で、ナナシ君。」
「ハイ、なんでしょうかはやてさん?」
ナナシの手には、たくさんの野菜や、ハムといった加工食品が積まれている。
「これどうしたん?」
はやてが少し困った表情で聞いてきた。
正直、渡したお金でここまで買えるわけないからである。
「い、一応、お金は渡してきたのですがね…順を追って説明します。」
それは、絹道からの帰り道の話である。
夕方に返る予定であったナナシは、地の利を得るためにも少し辺りを散策し、はやてに頼まれていた夕飯の材料を買いに商店街へと足を運んだ。
商店街に来るのは初めて、だよなー…)
学校帰りの子供、夕飯の材料を買いに来た主婦、帰宅途中のサラリーマンと結構な人の数がいる。
(凄い…色々な店が並んでいるんだな…)
視界に書店が入ってきて、ぜひとも寄ってみたい衝動に駆られるが、生憎とそこまで持ち合わせがない。
八百屋を苦労して探し出し、ナナシは状態のいいものを探し始める。
すると、ガタイのいいこの店の店主らしいオッチャンが、ナナシに声をかけてきた。
「お、兄ちゃん、見ねえ顔だな。引っ越してきたのか?」
「はい。まあそうとも言えます。これからお世話になります。」
半ばお世話になります、が口癖のようになりつつあるナナシ。
「そうかそうか!」
少し様子のおかしいナナシに対して笑い飛ばすオッチャン。
そんな風にして、他愛ない世間話を挟みつつ状態のいい野菜の選び方などを教えてくれるオッチャン。気のいい人だが、要は暇なのだ。
そしてはやてから頼まれた野菜を選び終えた時、道の向こう側で叫び声が聞こえた。
(…なんだか最近、誰かの悲鳴ばっかり聞いているのは気のせいかなぁ…)
「なんだなんだぁ?」
オッチャンは店先にでて見る。ナナシも、それにつられてそちらの方向へと目を見やった。
どこかのおばちゃんが叫んだ。
「ひったくりよ―――ッ!」
こんな白昼堂々、よくやるものだ。
バイクに乗って、すさまじい速度で道路へと向かっていくバイク。
「う、うわぁ…引ったくりかよ馬鹿野郎…「おじさん。」…ん? なんだい兄ちゃん。」
「ちょっとどいててくださ…い!」
ビシュ、とナナシ放ったのは小さな小石。
小石は一直線に進み、ひったくり犯の鞄を持つ手に吸い込まれるように向かっていく。
「ひょわっ!?」
相手はこんな珍妙な声を上げていたのだが、ナナシの放った小石はひったくり犯の手に見事命中。そのまま鞄は地面に落ちた。
バイクはそのまま走り去ってしまった、が、鞄は道路にある。
商店街にいる人間が唖然としてみる中、ことを起こした当人は少し呆けた後。
「…おー。当たりました当たりました。」
と、とぼけた声でそう言った。
「…で、何故かこんなにもお礼をもらっちゃいまして…」
「あはは…って、バイクで走ってる引ったくりの人は、どないなったん?」
冷蔵庫に丁寧に食材を入れていったナナシは言った。
「ナンバープレートは皆さんが見ていたので、そのまま交番のお巡りさんに届けてきました。鞄はきちんと持ち主に返りましたよ?」
「怖いなぁ…海鳴の人って、基本ええ人達ばっかりなんやけど、やっぱりみんながみんなそうってわけじゃないもんなぁ…」
「ま、まぁ、その人にも事情があるんじゃないでしょうか? 生活が苦しかったり、とか…僕が言ったって仕方ないですけどね。ところではやてさん!」
「ん? 何?」
ナナシが野菜を取り出して目を輝かしている。
「今日はカレーですね!? そうなんですね!?」
ナナシはカレーが好物のようだ。
ここは、どこかの管理外世界。
その、都市の郊外にある小さな廃墟。
黒いジャンパーを着込んだ少年が、コルクボード貼られた写真に大きな罰印をつけた。
「第17管理外世界、ハズレ…」
ブツブツとつぶやきながら、どこか苛立ちを交えていた。
「34、ハズレだ。」
そして、最後に残った一枚の写真。
美しい、きれいな海とともに移しださるた、比較的発展した都市…
海鳴市。
「第97…管理外世界、チキュウ。」
少年は、写真をコルクボードから外し、空を仰ぐ。
紅と青の二つの月の下、少年は笑っていた。
殺してやる。絶対に。
少年にあるのは、確かな殺意と、狂気。
必ず見つけ出して…皆殺しにする。
「待っていろよ…夜天の主、守護騎士さんよぉ。」
狂的な笑み浮かべながら、少年はしゃくりあげた。
ナナシくん、早く戦闘してくれよぉ(´・_・`)