11年間待ち続けてようやく帰ってきたのに母親に拒絶され、警官に連行され、ヒルダをアルゼナルにおくられる…そのはずだった。
無人機の集団による襲撃を受けて、輸送機に乗っているヒルダ以外のマナ達は全員死んでいる。
妹を連れて船に乗せた。リィアンにいるのは俺とヒルダ、レヴェン、ミランダ、ココの五人。
アルゼナルに連絡しようとしたものの通信を上空にいる無人機によってジャミングされて、連絡がほとんど取れない。
アルゼナルから遠く離れた場所に向かい通信を良くしても、いくらレヴェンが機械面に関して優秀だからって範囲外からの通信は厳しすぎる。
通信ができないのならリィアンで直接アルゼナルに向かってもいいけれど新たな問題がある。アルゼナルに着いたところで関係者であるミランダとココ、ヒルダがいたとしても俺とレヴェンに関しては即座に戦力として捕らようとして、事情聴取され、身体の検査とかされるのは確実。アルヴァアロンやガデラーザとかの特殊な機体に気安く触れられるとレヴェンだってキレるし、俺だって不快に思う。
『貴様のような下衆女(ジル司令)に、従われる筋合いはない!目の前からとっとと消え失せろ‼︎‼︎』
とか本気で言って下手するとレヴェンがアレクトラに宣戦布告するから怖いんだよなぁ…ガデラーザのGNキャノンでアルゼナルをブッパなして。
そんなことしたらマナだけじゃなくノーマまで敵対する羽目になるから、勿論ダメに決まっているだろ。
ともかく無人機がうようよしているせいで、迂闊に動けない状態になっていた。俺達がアルゼナルに報告、及び帰らせないためでもあるし、自由に行動できないというのもある。
「しばらくの間ここにいろ。動けば上にいる無人機の集団に撃ち落とされる」
「「…」」
リィアン内ではヒルダとレイゼルが黙っているままになっていた。とても話しづらい。ヒルダは生きて戻れてはいるが、未だに頑に喋ろうとはしなかった。
戻ってきてくれたのは嬉しいが、3度目の再会はなんかぎこちなかった。
「あのさヒルダ(兄貴)」
お互い初めの台詞が被ってしまう。多分俺とヒルダの言いたいことは『謝罪』か『質問』だろう。
「先に言って…」
なんて言うか、すごく気まずい。レヴェンにはとっとと仲直りしてしまえといったが、あれだけのことがあって1日で解決できるわけない。
「悪かった…その、あんなことを言ったのは耐えられなかったんだ」
「錯乱してたもんな。なんで…あたしを助けたの」
「助けるに、決まってるだろ。兄妹だから」
小さい頃に連れ去ろうとしてるところを俺は助けなかった…いや、助けることができなかった。俺もノーマだと判断されれば連行させられるし、転生の特典まで取られたらヒルダの安全を保障しようにも自分がどうしようもなかったら全然ダメなんだよな。
「あんなの見ても、そう言えるんだ」
「俺もヒルダの母親に裏切られたような気分だから…俺に関しては妹が大事だ」
そこから一時間ぐらいは二人で対話した。真剣な話を最初にして、どうなるかとは思ってたけど途中から真面目な顔から段々笑顔になってきてる。
「そう言えば木から降りようとしたら兄貴はあたしのパンツガン見してたな」
「お前なんでそんなことも覚えてるんだよ⁉︎」
「あ、今エッチなこと考えてなかった?アッハハハハ!やっぱり兄貴ってホント相変わらずなんだな…レイゼルお兄ちゃんって」
久しぶりにお互い笑い合っていた。
いつぶりだろう、小さい頃は拾われて1.2年ぐらいは家に一緒になってた。
小さい頃はよく一緒にいたから、ヒルダは俺がラッキースケベのようなことをしてもあまり気にしない。
「おい入るぞ。なんだ、だいぶ良好になって楽しんでいるじゃないか。無人機がどうなっているのかの結果、ここに置いていくぞ」
レヴェンは持っていたファイルを置いて、俺の部屋から出ていった。無人機がどのように回っているのかを見てみると広範囲に俺たちの邪魔をしている。2.3日でも動くことはできないな。
まだ、滞在しないといけない。でも11年ぶりにこうして一緒に風呂に入って、血は繋がってなくてもこんなにもヒルダは安心している、でも俺の方に関して最初は安心したが…段々やましいというかなんていうか。
「あのさ11年間、マナがノーマを虐げているのは知らなかったのか?」
「知らないぞ。俺、事前の準備をしていたし食料とかは世界を回りながら手に入れたりして」
ノーマを警官が連れているのを何度か見かけるけど、小さい子に暴力を振ったりとかは見なかったからな。
「あのさ…お兄ちゃん、あたしのこと好き?」
「あ、当たり前だ!」
血の繋がりはない。ただ、拾われた俺をヒルダと親が養ってくれた。だから、ノーマで化け物だからとかで虐げるつもりは一切ない。俺は自分の気持ちを正直に言うとヒルダは可愛い。
「頼む、こうしてくれ…」
「ちょっとヒルダっ…⁉︎」
今ではこうして兄妹との運命の再会になって妹に抱き枕みたいに強く抱きしめられて、凄く俺の方に押し寄せてくる。背も高くなって胸が大きすぎて息が苦しそうだったけど、なんとか抜け出した。こうして俺に気持ちを吐き出してくれたのは嬉しかったけど、一番は俺を頼ってくれて目の前で嬉して大泣きしていること。
「ありがと…」
やっぱりと身体の方は色々と成長して大きくなっていた。髪が長くて、背丈が長くなって、胸も大きくなって、こんなに成長して。抱きながら大泣きして、俺とヒルダが思っていたものとは真逆で母親のがヒルダを裏切るようなことになってしまった。
母親は娘を役人に売られ、輸送機を狙う無人機の襲撃され、そして今はまだ俺たちの周辺をウロウロしている。今日は本当に色々ありすぎてもう疲れた。
「おやすみ、ヒルダ」
今夜はもう、ぐっすりと寝て休むとしよう。
*****
アンジュとヒルダがアルゼナルから脱出して次の日、私は任務としてミスルギ皇国にいるアンジュを連れて帰るようにジル司令から極秘任務で向かうことになった。
ノーマ管理委員会やミスルギ皇国より先にアンジュを連れ戻す。その国に辿り着いた時、ミスルギ皇国という国は確かにココの言った通り綺麗だった。
私の近くにいたおじさんが親切にアンジュの居場所を教えてくれたのは良かったけど、アンジュが処刑されてしまうから救出しなきゃいけない。その時だった、
『ノーマか?ノーマなのか?そうなんだな?だ、誰かァァァッ!ここにノーマが!殺せっ殺せぇぇ‼︎』
おじさんの持っていた地図に私は触れるてその地図が壊れた。マナの光が壊れたことでノーマだとバレてしまうとあんなに優しかった人が、急に態度が変わったように変貌した。
その人に捕まえられそうになったけどタスクに助けられて、私を含む四人でミスルギ皇国から抜け出した。
無人機に追われ、第一中隊がそれらを撃破してくれたおかげで戻ることができた。
それでも
「アンジュを拘禁しろ、反省房に叩き込んでおけ!」
「司令⁉︎せっかく帰ってきたのにそんなのって‼︎」
アンジュは反省房に連れていかれて、私は倒れ込んでしまった。
その次の日のこと…昨日のミスルギで態度が変わってしまったおじさんのことをずっと考えていた。
ノーマってなんだろう。
そう考えている途中でジル司令が第1中隊のメイルライダー達を全員呼ばれ、ジル司令から言った言葉は私達にとって悲報の知らせだった。
「ヒルダをアルゼナルに送っていた輸送機が黄金の機体によって撃墜され、ヒルダの死亡の連絡が来た」
「…え?」
それを聞いた私は驚くことしかできなかった。アンジュは助かったのにヒルダが死ぬなんて信じられるわけがない。
死体も見つからず、輸送機が撃沈されて乗っていたヒルダを含むマナの人も遺体が見当たらず、死亡と断定されてしまったって…
「な、何かの間違いです!」
「私も、ナオミと同じ意見です!」
ヒルダがそう簡単に死ぬはずがないとサリアも同意してくれた。でも、エマ監察官によるマナの情報によれば黄金の機体によって輸送機を撃ち落とされたって記されている。信じられるわけ無かった。
あんなに妹思いのレイゼルさんが妹が入っているとは思わずに撃つなんてそんなことするわけがない。
強行手段で連れ戻そうとしたのか、それともヒルダのことが嫌いになったから売ったのか整理がつかなくなってきた。
「畜生、畜生ッ!なんでだよぉ‼︎」
「ヒルダが、そんな…」
「なんで、なんで⁉︎」
ロザリーとクリスはヒルダが死んだことに泣いて悲しんでいる。ゾーラ隊長だけじゃなくミランダやココの三人は死ぬことはなかった…私達ノーマはドラゴンとの戦闘でいつ死ぬか分からない。彼のおかげで私達は安全にドラゴンを倒したりすることができている。
こんな形で死ぬなんて私には信じられない。
「黄金の機体は敵であることも認識したほうがいい。ドラゴンに協力し、彼らは我々の協力者といっても過言ではないだろう。しかし…マナ達に対する反乱分子か、あるいは本当は唯の賊か…奴らを見つけたらもうこれ以上の勝手をさせないように見つけ次第全メイルライダーに奴らを捕まえるように指示している」
ドラゴンとの戦闘で無益に私達をいつも助けようとしてくれた。だから賊っていうのはありえなかったし、前者であるマナによる反乱分子って説の方をみんな信じていた。
そもそもドラゴンに関しては機密情報にされている。大型ドラゴンを捕縛して、それをこっちで念入りに調べさせてもらい儲けにするって方法もある。
「ですが、ドラゴンの時にいつも助けてもらいました…そんな彼らが」
「元々ノーマの手助けをしていたからマナに対する憎悪で輸送船を襲い破壊したのだろう…まぁそこに我々の仲間がいるとは思わなかったのだろうな」
ジル司令の報告はこれで終わった。
ヒルダのこともあるけど、先にアンジュに会いたい。どうしているのか、心配でならなかった。
サリアに頼んで、反省房に行くことを許してもらい、アンジュの顔を見るだけにすることにした。
反省房にいるアンジュにサリアと一緒に会い、アンジュからはアルゼナルに連れて戻ろうとした私を恨んではいない。
でも。
「別に責めてないわ。もう誰も期待なんてしてないもの」
「アンジュ…」
「あのジルって女だって何を考えているのかわかったものじゃないわ」
アンジュがジル司令を侮辱したことにサリアが怒っていた。
「どうせ殺せないくせに。こんな風に縛り付けるのもパフォーマンスでしかない。下らない」
「…今の言葉、取り消しなさい。ジルを侮辱するのは許さない…ここであんたを殺したって構わないんだから」
アンジュは更にサリアを怒らせるようなことを言って、ジル司令を侮辱している。サリアの表情が強張っている…凄く嫌な予感がした。
「今の言葉、後悔することになるわよ」
サリアが持っているナイフでアンジュを…⁉︎止めなきゃ‼︎
「サリア!止めて!」
「部下に舐められたら…隊長なんてやっていけないのよ!」
反省房にいるアンジュだけはお兄さんがヒルダを拒絶し、始末するわけがない。ヒルダ死亡の件についてアンジュに話そうとしたけど、アンジュは安楽的な考えしか取れなかった。
「あいつのことよ、絶対にヒルダのことを確認するに決まっている…もう私にとってどうでもよくなってしまったけどね。でも、殺したのが真実なら黄金の機体の人ってヒルダを助けようとしたけど、誤射って可能性もあり得「そんなの信じたくないわよ‼︎‼︎」」
サリアはアンジュに怒鳴ってる。前までは私達四人は仲良くなったのに、こうしてまた言い争いになっている。
アンジュの方は冷静でいられなかった。普通ならヒルダを心配すると思ってたけど、
「もう行って、誰とも話したくない」
「…もう面談は、ここまでよナオミ」
反省房から出て、サリアは歩くのが速くなっている。アンジュも心配だったけどサリアの様子もおかしかった。
「どうしてナオミなのか分からないの…なんで?どうしてジルはナオミを外に出したの」
私の方はパラメイルが一番速く改造できたから、ミスルギ皇国に行けたわけど…
「そんな建前を聞きたいわけじゃないわ。あなたの機体で私が出れば良かったのよ!どうしてそう命じなかったの?私の方がずっと一緒にいるのになんでなの⁉︎
努力してるのに、何が足りないの?
ジルの気持ちが分からないのよ‼︎」
サリアはジル司令のことを半信半疑のような状態だった。確かに、私のパラメイルでサリアが乗って行くことも可能だけどどうしてそうしたのかはやっぱりジル司令にしかわからないよ。
サリアはため息をついていた。
「ひとまず…今夜私はレヴェンにメールして聞くわ。ヒルダが本当に黄金の機体によって消されたのか。少なくともヒルダが本当に死んだのか、何があったのか…知りたいの」
「あの、私も一緒に」
「…分かったわ。ヒルダが本当に死んだのか、それを確かめなきゃいけない。彼らが私の質問に無言なら…ヒルダを殺したってことになるでしょうから。ついて来て」
私はサリアの後を追って、サリアの部屋でレヴェンとのメールのやり取りをしてヒルダの死亡の真相を得るためについていった。
*****
レヴェンだ。
ミランダとココは既にちゃんと早く寝ている。もう夜だからな、寝る子は良く育つ。ヒルダとレイゼルがぐっすり寝ているのを確認したら俺はレイゼルの部屋のドアを閉じた。
「クールに去るか」
さて、覗き見終えた後に深夜でパソコンを開いてサリアのコスプレ動画とゲームをしながら楽しんでいる。
深夜タイムは楽しいもの。我ながら個人の自由としての時間を得られるからな。
「♪〜チェスでもするか」
だがその途中で、サリアからメールが来た。
「ん…何だ?」
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レヴェンへ
こんな時間にすみません。色々と聞きたいことが山ほどあるのですが、良いですか?
サリアより
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どうやらパソコンからの通信を妨害は予想外だろうな…連中は。しかし俺ももっと早く気付くべきだったが、今気づいてもまだ遅くはない。
手遅れになるよりはマシだからな。
サリアとの情報交換を利用してアルゼナルがどうなっているのかが分かる。
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なんだ?要件とは
簡潔に言ってくれ。
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(そのメール内容は今情報妨害されて、マナを持っていない我々には知らないことを言っていた。)
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あの…昨夜輸送機で運ばれたノーマがヒルダであるのを知っていますか?輸送機を見かけて撃ち落としたのならヒルダを殺しましたか?
撃ち落として殺しておらずに保護して生きているのなら写真を取ってメールで送って見せてください、大至急です。
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「何てことだ…⁉︎クソッ‼︎」
そのメールに俺は驚いてならなかった。他の誰かが情報を捏造した。ヒルダはここにまだ生きているのに、勝手に我々の手で殺されているとマナの情報として記されている。
「ヒルダをマナによる情報で勝手に死亡扱いにしおった‼︎しかも輸送機を撃破させたのを我々に押し付けて‼︎なんてことだ‼︎」
アルゼナルからその情報が来ているのなら誰かがマナの情報を弄って事実とは異なる偽りの記事を書いて、我々とアルゼナルの関係を悪くさせる為に…
「許せん、だが…メールのおかげで俺の知らないことが分かった。まだメールを続行した方がよさそうだな」
サリアのコスプレ関係で弄くってリベルタスやドラゴンについてを得るものだったはずが、こんなことに役立つとは本当に思わなかった。
俺はこうメールを転送した。
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安心しろ、ヒルダは我々が保護している。
安全を保証する。今から、写真を送るぞ。
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そうして俺はレイゼルの部屋に入ってヒルダの寝顔を取ることとなった。レイゼルの部屋は暗くしているもののまだランプを時間設定にして灯りを付けている。
「すまんな」
消音のカメラでヒルダの顔を取り、その写真をメールに添付してサリアの元に転送した。