もっと頑張ります
目が覚めると、俺には家族が居た。母がいて、父がいる。どちらも俺が産まれたことを、俺の存在を喜んでくれていた。
偶然か、それとも神の悪戯か、名前が前と一緒だった。前世で、唯一本当の母との繋がり。
俺は、この名が誇れるようにこの人生を生きていこう、そう決心した。
この世界に転生した俺が、最初にISの世界だと分かったのは、白騎士事件だった。何千ものミサイル兵器を撃ち落とし、叩き落とす姿はまさに騎士。
純白姿のフルスキンのスーツを纏った女性が疲れる様子もなく、次々と向かってくる兵器達を無力化、破壊していく。
これは世界の軍事バランスを崩すには十分だった。
世界政府は、製作者である篠ノ之束に、ISのサンプルと、動力の要となるコア、ISコアを要求し世界の軍事バランスを整えた。
そして、ISに乗る専門施設、IS学園ができた。
俺がそんな世界に転生した理由は、前世で読んだことがあるというのもあったのだが、一番の理由は、空という無限の自由を堪能したいという思いからだった。
だが、ISは男には反応しない。この謎は解かれることもなく、今でも言われている。
そのせいで、社会は女性を優遇するように、男性を蔑むように。所謂、女尊男卑が生まれた。
俺はISに乗りたがったが、転生する際神様に頼んでなかったので、乗れるかどうかはわからない。俺は、どうか俺に適性がありますようにと願って毎日をすごしていった。
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「ただいまーっと」
誰もいない家に俺の声が通る。
両親は俺が中学生の頃、突然襲いかかってきた通り魔にナイフで切りつけられ殺された。父は母を庇い、母は俺を庇った。もちろん、両親を殺したあと、俺もナイフで刺された。だが、運が良かったのか命は取り留めることができた。
手術の跡は残ったものの命あっての今だと思っている。
神に願ったISの世界に来たのはいいものの、自分にISの適性があるかどうかは分からない。神にはISの世界に行きたいと言っただけで、ISには乗りたいとは言ってないからだ。
「あの時ISに乗りたいって言っとけば良かった....はぁ...」
ため息をつきながら、リビングに入ると、そこには.......
「おぉ!やっと帰ってきたねぇ!」
ISの製作者、天才にして
天災。現在国際指名手配中の篠ノ之束がソファーに座り、冷蔵庫で冷やしておいたケーキをホール食いしていた。
「ケーキもらっちゃったよ?なかなか美味しかったけどどこのやつかなー?」
顔中生クリームだらけで聞いてくる様はまるでいたいげな少女。こんな人が本当に軍事バランスを崩すほどの軍事力を持っているのかと思うとゾッとせずにはいられなかった。
「いえ、あのそのケーキは自作で昨日作ったんですけど...」
「じゃあじゃあじゃあ!これは君の手作りなのかい?!」
頭につけているうさ耳のカチューシャ(?)をピコピコ動かしながら顔を近づけて来る。
「うーん。顔もそこまで悪くもないし....何より料理が出来るから....よし決めた!」
ビシッと指を俺に指す。
「君はこの私がもらっていくよ!」
「....は?」
「だーかーらー。君は私のものに今なったんだよ!異論は許さないぞー?」
「あの....俺に拒否権は?」
「そんなの、この束様の辞書にあるわけ無いじゃん!全く面白い子だなー君は」
この人には一般的な常識は通用しない。自分が思い、感じたものをただ欲しがる。まるで赤ん坊の様な人だと感じた。
「はぁー。出発はいつですか?その日までに学校や友人に話つけたり、準備も要りますし....」
「そんなの後回しでいいんだよ!無限の彼方にさぁ、行こー!」
篠ノ之束は俺の手をはんば無理やり掴むと、うちの庭に飛び出した。
するとそこには一機のISが跪き、操縦者を受け入れるような体制で用意されてあった。
黒の機体に紫のライン。一見毒々しいとか、暗いなどの感じがしたが、よく俺に似ていると直感した。
「篠ノ之さん。このISは?」
若干興奮気味で聞いてみる。
「この子かい?この子は黒紫って言うんだ!とっても捻くれててこの私を全く受け付けてくれないだよ」
捻くれている。このワードに今さっきの直感は間違っていなかったと確信した。
「乗りなよ」
「えっ?」
「ISは乗り手がいないとただの塊だよー」
「わ、分かりました」
恐る恐るIS「黒紫」に触れてみる。
キンッ....
触った瞬間、金属音に似た音が聞こえたと思ったら、その後に膨大なISのデータが頭に浮かんだ。いや、送られた。
「確信はあったけど、まさかほんとにいっくん以外にISに乗れる男がいるとはねー束さんびっくりだよー」
体に全くの重力を感じない。足元を見てみると少し地面から浮いている。手足は装甲がついてかなり強化され長いのに普段と変わらないぐらい繊細な動きができる。
「さ、私の家に行くよー?」
いつの間にかISを展開させた篠ノ之さんは、グッとサムズアップした後物凄い勢いで空へ飛んでいった。
「あの!これどうやって飛べばいいんですか?」
大声で叫んでも篠ノ之さんは止まってくれない。
(いつまでぼさっとしてるんだい?主様。飛びたいなら、そう願い、実行すればいいだけじゃないのか?)
頭の中に問いかける謎の声。トーンが高く、悪戯っぽくクククと笑っているのに、何処かこの声には信頼出来るそう感じた。
(ああ、そうしてやるとも!)
俺は静かに、たがはっきりと叫ぶ
「飛ぶぞ黒紫」
(OK)
そう聞こえた後、俺は物凄い勢いで地面から浮上、いや飛翔した。
ぐんぐん篠ノ之さんとの間が詰まっていき、ものの数秒で隣に並んでいた。
「なかなか早いね~。スペック的にはスピードはもっと早いんだけど、最初だしそんなもんかな。 じゃこのまま付いてきてねー」
こうして俺の前世での夢であったIS操縦士は、叶った。そして、新しい空という世界を知った。
第二話終了。
試験勉強やってない....