アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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悲劇という結末を、捻じ曲げろ。


第16話 彼の名前はコウタロウ

コウタロウ________アギトがタツミとレオーネと別れ、己の愛車に跨り風を切っていた頃。

 

 

 

帝都郊外にある時計塔。

今現在の時刻は丑三つ時を少し過ぎた頃を指している。人気の気配もなく街灯に集まる羽虫が夜の静けさを演出する。

 

夜の静けさ。

その言葉は、今宵の夜には全くと言っていい程似合わなかった。

 

 

「コロッ‼︎奥の手っ‼︎狂化ァァァァッ‼︎」

 

叫び声をあげたのは茶髪の少女。その少女は肘から先が無くそこから血が滲み出ていた。

彼女の名前はセリュー・ユビキタス。

帝都警備隊に所属する帝具使いである。彼女は今帝都の闇で暗躍するナイトレイドのメンバーの1人、シェーレに追い込まれていた。

彼女は人一倍正義感が強かった。それは同じく帝都警備隊で殉職した父や尊敬する隊長オーガの影響だろう。故に両腕を失い、人体改造で腕に仕込んだ銃が防がれても、彼女は命乞いをしなかった。

いや、まだ諦めていなかったのだ。

だからデメリットがある己の帝具、ヘカトンケイルの奥の手を発動させたのだ。

 

 

奥の手の発動を許可されたヘカトンケイルことコロは、目を充血させ牙を鋭く大きくし、体の体毛を赤く変化させる。

変化したのはそれだけではなかった。

全身の体格はナイトレイドの2人と交戦していたときの倍近くになって筋肉も肥大化していた。

 

コロは空に向かって吠える。

その光景は、普段の愛くるしいコロの面影などない。狂犬だ。

 

その鼓膜を破壊する程の遠吠えに耳を塞ぐピンク髪の少女、マイン。

彼女もまたナイトレイドのメンバーで帝具使いであった。

 

耳を塞ぐことに集中していたマインは、その太く肥大化したコロの腕に掴まれる。

 

「マインッ‼︎」

 

「握り潰せぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎」

 

シェーレはセリューに止めをさす事を忘れマインの方へ走り出した。

セリューもセリューで、自身の帝具であるコロが悪を捕らえ粉砕しようとする様子に興奮し両腕の痛みを忘れている。

 

その顔はどこかのサド貴族の少女と酷似していた。

 

グキリと、片腕をへし折られ苦痛に顔を歪めるマイン。このようなピンチに火力が高まる自慢の帝具、パンプキンも今は構えられない。

コロのマインを掴む腕にチカラが入る。

 

一閃の後、マインを苦しめるコロの腕はシェーレによって切断される。血が噴き出し切断された腕は大きな音を立て地面に落ちた。

やっと苦しみから解放されたマインは、一安心からか自身の窮地を救った家族とも呼ぶべき仲間の名前を呼ぶ。

 

「…っう!……シェーレッ‼︎」

 

シェーレもマインの方へ振り返り笑顔で応える。

 

「間に合いました!」

 

刹那、銃声と共にシェーレの胸から血が噴き出した。

そこからマインとシェーレは全ての時間が遅くなったかのように体感する。飛び散る鮮血と共にゆっくりと倒れていくシェーレに、マインはまだ何が起こったのか理解できなかった。

 

銃声の聞こえた方を見ると、セリューの口に仕込んだ銃口から煙が出ていた。そこでやっとマインは理解する。自分のピンチを救うため止めをさすことも忘れて飛んできたシェーレが、追い詰めた相手に撃たれたのだと。

 

(……体が………)

 

倒れ行くシェーレに、大きく口を開けたヘカトンケイルの魔の牙が襲う_____筈だった。

 

口を開いたヘカトンケイルはどこからかやってきたナニカよって吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫⁉︎シェーレさん‼︎マインちゃん‼︎』

 

声の人物は金色と緋色のフォルムの鋼鉄の馬に跨るコウタロウだった。

 

 

 

 

 

____________________

 

コウタロウside

 

やっと見つけたシェーレ達にコロの魔の牙が迫っていた俺はマシントルネーダーを最大加速させ思い切り体当たりする。

流石のコロの巨体でも横から400キロ越えの速度でぶつかってきたマシントルネーダーは受け止めきれず20メートル程吹き飛ばされる。

 

俺は地面に崩れ落ちそうになっていたシェーレを受け止め治療する。

セリューの狂弾により受けた傷も元どおりになる。

 

「……へっ?コウタロウ?」

 

次にマインの元に駆け寄り骨折した腕を元どおりにし、パンプキンを拾い与えマシントルネーダーの元へ戻る。

 

マインを治療している間に、マシントルネーダーはスライダーモードへと変形させている。

俺はシェーレをお姫様抱っこの要領で抱き上げ愛車に飛び乗る。最初に言っておくが、お姫様抱っこしかスライダーモードでは乗せられない。マシントルネーダーはスライダーモードへと変形すると、「オルタバリアフィールド」と呼ばれるバリアが搭載者を空気抵抗から守るため発生する。普通に抱えて持つと、シェーレは搭載スペースからはみ出し直に風を直撃し最悪死ぬ。故のお姫様抱っこ。うん、仕方ない。

 

『早く乗って‼︎』

 

マインの腕を掴み後方部へと引き上げ乗せる。

コロは自分が吹き飛ぶ際に抉ったレンガの欠片を払いのけ、こちらに勢いよく走ってくる。

 

スライダーモードの最高速度は700キロを越す。

だがその速度を出すまでにも少し時間はかかる。オマケに先程セリューが呼んだであろう応援部隊も俺達を追ってくる。

 

『マインちゃん!敵来てる来てるぅ‼︎早く撃って撃ってぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎』

 

「分かってるわよ‼︎集中できないじゃないっ‼︎」

 

焦りペースを見失う俺とマイン。

……いや、だってまだ動かない車に乗ってて後ろからゾンビ達が走って来ると怖いじゃん?

 

パンプキンを乱射するマイン。

俺も操縦に支障をきたすレベルで混乱している。ピンチを救った王子様も台無しである。

 

シェーレは俺達に気を遣ったのかエクスタスの閃光で敵の目を眩ませてくれた。敵が立ち止まっている間に俺はマシントルネーダーの全速力を持ってして、ナイトレイドのアジトこと我が家に逃げ帰ったのだった…………。

 

 

 




ウラ設定ですが、主人公の名前のコウタロウ。
この名前の由来は、某太陽の子の仮面ライダーがモデル……というかパクリであります。漢字は違うんですけどね。


この小説を書くにあたりどうしてもご都合展開は避けられないと思い、自然な感じのご都合展開にしたくてこの名前にしました。




……ほら?あの人ならどんな奇跡を起こしても自然でしょ?
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