せっかく千葉に来たんだから、地元に売ってないMAXコーヒーを飲んでみました。
……八幡って、あのコーヒー毎日のように飲んでよく太らないな。
あの後、イェーガーズによるランの捜索が行われ、数日後にランは見つかった。行方を眩ませた罰として、エスデスの拷問による悲鳴が俺達の睡眠を妨げた。
エスデスの機嫌も落ち着き、いつもの日常に戻った頃。
俺とウェイブはよく一緒に行動していた。
イェーガーズのメンツは、ロック・リーの眉毛並みに濃ゆい。その中で常識人だと言えるのはウェイブとボルスとランくらいだ。ボルスは最年長で家庭持ちということもあり、なかなか会えない。ランはあの冷奴事件から、極度に俺の作る料理に恐怖を抱いていた。よってウェイブとよく行動をとるというわけだ。
エスデスは将軍という立場上、どうしても俺達より仕事が回ってくる。その度に嫌な顔をしていたが、俺は嬉しかった。
「よぉ、昨日はよく眠れたか?」
「うん、まあまあだね」
イェーガーズの部屋に行くと、ウェイブが声をかけてくる。
パリパリと、クロメのクッキーを噛む音が聞こえてきた。ウェイブもそれに気づきクロメの方を見る。
「クロメはまだ午前中だってのにお菓子か」
「うるさい磯臭オトコ」
「えっマジ⁉︎俺臭う⁉︎」
「いやそんなことは…ないかも」
ウェイブはクロメに指摘され、己の服を脱ぎクンクンと匂いを確かめる。
改めてクロメの方を見やると、ずっとクッキーばかり食べている。まぁ、そのクッキーが何なのかはアレだが…。
俺がもし、最初からイェーガーズ側だったら、クロメの身体を正常に治していただろう。だがそんなことはない。俺はナイトレイド側だ。それにクロメを殺すこともできなくはないが、それを俺がするのは少し違う。アカメとクロメ。2人はお互いに殺しあう事を望んでいる。どちらが勝つか……。俺はそれを見届けるべきだ。
まぁ、戦場では敵味方入り乱れるため、そんな綺麗事は通じないのだが。
「このお菓子はあげない」
俺の視線に気づきお菓子を取り上げるとでも思ったのか、お菓子袋を自分の方へ引き寄せる。
言わずもがな、クロメはアカメの妹だ。
見た目はともかく、使う武器や食い意地といった細かい箇所も似ている。もはや双子の域だ。
「何?」
「いや、クロメちゃんは本当にお菓子が好きなんだな〜って思って」
「うん。お菓子だけじゃないよ。食べ物だったら何でも食べるし」
どんな食い意地だよ。ちょっとかわいそうになってきた。
「ほら、俺って料理人でしょ?昨日チーズケーキ作ったんだ。冷蔵庫に寝かせてあるけど---------食べる?」
「食べる」
即答だった。
冷蔵庫のあるキッチンへと歩きながら、今さっきのやり取りを思い出す。あのクロメの回答は神速だった。ストームフォームでも追いつけないぞ……
ワンホールのチーズケーキを、目を輝かせて待つクロメの前に置く。
「はい、自分で言うのもなんだけど、結構自信あるんだ」
フォークでチーズケーキを一口大に切り、口に入れる。
「……美味しい。すごい、本当に美味しいよ‼︎」
「でしょ〜?」
クロメがチーズケーキを食べ終わるのにそんなに時間はかからなかった。
いや〜、本当にいい食べっぷりだったな。こんなに美味しいそうに食べられると作った側も腹が膨れるよ。
「……コウタロウ。また、作ってくれる?」
天使。
一言で表すのなら、その言葉しか思いつかない。チーズケーキを食べ、一見満足そうな顔をしているが、それでも足りない、もっと食べたいと言いたげな顔をしている。やべぇ、養いたい。食費ヤバそうだけど……。
「もちろん!こんなに美味しいそうに食べてもらって、俺の方こそまた食べてもらいたいな」
そう言って俺はクロメに笑いかける。クロメも目を細め、心底嬉しそうにしている。まるで猫みたいだ。
「コウタロウ!今日から数日は狩りだ。フェイクマウンテンに行くぞ!」
扉が勢いよく開かれたと思ったら、エスデスだった。
やっとか……。
今日までいろんなことがあったけど、やっと逃げるチャンスが来たか……。俺は、いつものジャケットを羽織りエスデス達につづくのだった。
どうしよう……クロメちゃんが可愛すぎて殺したくない。本当にどうしよう……。