アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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本当は昨日更新する筈だったんですよ……。




第43話 ボルスとの別れ

爆発が起こった。

それはもう凄まじい威力の爆発で、原作知識を有する俺は、それがルビカンテの自爆だと一目で気づいた。

 

原作ではその爆発で死ぬ人はいない。姐さんだって、原作とは違い、左腕も健在だ。だから恐らく、原作よりも軽いダメージで済ませたのだろう。

 

安心…とまではいかないが、それでも信じて俺は走り出した。

 

 

 

 

コウタロウside out

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ボルスside

 

 

わたしは、あの爆発から落ちのびて来た。いくら焼却部隊で火耐性を上げる儀式を受けていても、流石に無傷とは言えなかった。

 

「…また…皆で……一緒にご飯食べたいな……」

 

クロメちゃんやウェイブくんといったイェーガーズの皆。皆、こんなわたしに優しくしてくれて、とても嬉しかった。隊長もそうだ。なんだかんだで部下のことを思いやり、私に勇気をくれた。

イェーガーズは、わたしにとって、第二の家族だ。その家族達と、またテーブルを囲んで、わたしが作った料理を食べる。

今となっては、もう叶わない。

 

「……グスッ」

 

帝具も失った今、ただぼんやりと歩いていると、小さな女の子の泣き声が聴こえた。

 

「ややっ!これは大変!どうしたのきみ!」

 

小さい子と話すため、さっきまでの雰囲気を無理矢理に明るくする。

 

「うわあああああお化けぇぇえ‼︎」

 

ははっ、こりゃ参ったな。

まあ、このマスクをつけているから仕方ないか。

 

「って、ケガしてるじゃないか。ちょっと大人しくしててね」

 

女の子の膝が擦り剥けていたから、軽く消毒して包帯を取り出し巻きつける。

 

「…ありがとうっ!おじさん‼︎」

 

よかった。もう最初みたいに怯えられず、いつのまにか泣き止んでいた。

 

(……元気にしてるかな)

 

わたしの宝物の家族。

美しく優しい妻と、目に入れても痛くない愛娘。この任務から帰ったら、精一杯可愛がってあげよう。

 

「…でも、おじさんが燃やしたところはね……」

 

女の子は、わたしの首に手を回す。

 

「もう治らないんだ」

 

「……え?」

 

殺気が一本の針に集中し、私の中のなにかが切れる。

 

「今のはね、貴方が燃やした村の子供よ。革命軍に加担した疑いってことでね。まとめて燃やしてるから、一人一人のことなんて覚えていないんだろうけどさ…」

 

そう言うと、女の子は見たこともない女性へと変化し、森に向かって走り去って行った。

 

 

分かってた…。

いつか…報いを受ける日が来るって……。

でも…それでも……。

 

「かえ…らなくちゃ……」

 

呂律が回らなくなってる。

 

「ふた…りとも……まっ…てるから」

 

走馬灯かな。

わたしの妻と娘が、わたしの帰りを待っている。

 

涙が溢れる。

もう、遅いんだ。

 

ごめん、二人とも。

 

 

 

 

 

「貴方は、死なせませんよ」

 

ボルスside out

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

コウタロウside

 

 

「起きてくださいボルスさん」

 

返答はない。まだ眠っている。

 

俺はボルスを助けた。

これが革命軍やボスに知られると、処分は想像もできないくらいに重いだろうが、そんなことは気にしない。

 

この人は良い人だ。善人ではないにしろ、良い人だ。

 

いくらこの人が俺個人を襲っても、俺はこの人を赦す。

 

これは俺の都合だ。

ウェイブや、今こうして眠っているボルスは、そんなのお構いなしに襲ってくる。

 

それでも、俺は自分の都合を押し付ける。

だって、それが最善だと信じているから。

 

俺が望むのは、大切な人達が死なないこと。それと、ハッピーエンドだ。これだけは譲れない。原作を読んで、アニメを見て、悲しい思いをした。そして今、その未来を変える力がある。

 

なら、答えは決まっている。

「ん……、コウタロウ…くん?」

 

「お久しぶりです。ボルスさん」

 

ボルスが目を覚ました。

 

「な、なんで君がここに居るの⁉︎というか、わたし、死んだはずじゃ…」

 

「俺が助けたんですよ。そして、貴方はちゃんと生きてます!」

 

混乱気味のボルス。

マスクで顔は分からなくても、それだけは分かった。

 

「ボルスさん」

 

俺は切り株に腰掛けたまま、ボルスに話しかける。

 

「……なに、かな?」

 

敵であるナイトレイドとの戦場で、俺と遭遇するのを不自然と感じたボルスは、少し低めのトーンで応えた。

 

「貴方が“死ぬ”、と感じた時、家族を思い出しましたよね」

 

「……」

 

「貴方はこれから、帝国を出て、東洋の国に亡命してください」

 

「…どうして?」

 

「貴方は死ぬべきではないからです」

 

「……」

 

「今、貴方が死んだら、一体誰が家族を守るんです?」

 

「っ⁉︎」

 

この言葉に、ボルスは動揺する。

 

ボルスが死ぬと、墓参りに来ていた妻と娘が、シュラ率いるワイルドハントに暴力の限りを尽くされ殺される。

確かに、俺が助けに行くことも可能だ。

しかし、本当に助けに行くべきなのは、ちゃんと守ってやるべきなのは、このボルスだ。

 

「貴方はイェーガーズを脱退、帝国から亡命。争いとは無縁の生活を送るんだ。拒否権はありません。二人の命が惜しかったら、俺が指定する港に向かってください」

 

「っ!!」

 

二人の命、と聞いてボルスは身構える。

 

「貴方の家族は、俺が昨日誘拐しました。今はミラル港で待機させています」

 

俺が昨日、姐さん達の水着を偲んで帝都に向かったのはこのためだ。

 

「…コウタロウくん」

 

「なんですか?」

 

「……ありがとう」

 

てっきり、罵詈雑言の嵐でもくらうと予想していた俺にとって、その一言は、首をかしげるものだった。

 

「コウタロウくんは、こうもしないと、わたしがイェーガーズを捨てきれないと思ったから、こんな事をしたんだよね?わたしには分かるよ」

 

「……」

 

俺は、何も言えない。

 

「ミラル港、だったよね?ほんとに……本当にありがとう‼︎」

 

「……どう、いたしまして」

 

素っ気なく応える。

俺の計画はどうやら、お見通しのようだった。

 

「もちろん、亡命させてもらうよ。イェーガーズは……心惜しいけど、脱退する。まぁ、逃げる形になるんだけどね。今度はさ、軍隊なんか入らず、三人でのんびり暮らすよ」

 

「えぇ。その方がいいと思います」

 

「……もし、革命が始まり、帝国が豊かに、皆が笑って暮らせるようになったら、また戻ってくるよ」

 

「本当ですか⁉︎」

 

「うん。ウチの娘が、君のことを大好きみたいだったからね……。この間も、仕事場に連れてって駄々こねてさ。君には、責任を取って貰わなくちゃ。」

 

「は、はは」

 

弱ったなぁ。

けど……これでよかったんだ。やっぱりボルスさんは良い人なんだ。この人を殺すなんて、惜し過ぎる。

 

「待ってます。俺が、必ず革命を成功させて、要注意リストから貴方を消して、貴方達を迎え入れます。それまでは……」

 

いつのまにか、俺の目からも涙が溢れる。

 

「どうか、お元気でっ‼︎」

 

「うん‼︎しつこいけど、助けてくれて…本当にありがとう‼︎」

 

ガッチリと握手を交わし、そして抱き合う。俺たちの友情。

もう、ボルスはイェーガーズではない。なら、このくらい良いだろう。

 

「では、お元気で‼︎あと、娘さんによろしくお伝えください」

 

「うん!コウタロウくんも元気でね‼︎」

 

別れを告げると、ボルスはミラル港へと駆け出して行った。

 

 

「……ふぅ。ん、あれはラバか」

 

少し遠くに、お馴染みの緑髪が見える。今の詳しい戦況を聞くため、俺はラバの元へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ボルスさん生存‼︎

そして、ワイルドハントから妻と娘を防衛成功‼︎


さて、次回はどうやらチェルシーが……
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