アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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夏休みィ‼︎夏休みィ‼︎夏休みィ‼︎

世間では、この夏季長期休暇を、『夏休み』と心を込めて敬称する。


第48話 羅刹四鬼

 

「今は休憩中だったけど、もうすぐでお仕事始まっちゃうからさ、そこで食べようか」

 

「…え?それって、大丈夫なんですか?」

 

「仕事って言っても、展望台から見張るだけだし。同僚が一人居ると思うけど、気にしなくていいから」

 

いや、気にしなくていいからって……。それに、その同僚ってシュテンのことだよね?というか、何で羅刹四鬼の人達とあんぱん食べなきゃいけないんだったっけ…。

言いたいことは山々あるが、既にメズは展望台へと向かっていったので、俺も慌ててその後を追った。

 

「…俺、コウタロウって言います。キョロクには料理の修行で来てて…」

 

無言はさすがにキツいので、ここは無難に自己紹介から始めるとしよう。

 

「私はメズ。よろしくねー」

 

見た目通り軽い挨拶である。

 

「それにしても、何でアタシをあんぱんで誘ったの〜?何か期待した?」

 

「…いや、それは…その、言葉の綾と言うか、何と言うか……」

 

「何その反応、可愛いじゃない。ま、アタシは見張るだけじゃ暇だから乗ったんだけどね」

 

そうですか、とため息を吐く俺。

このメズはともかく、髭面でムキムキマッチョのシュテンも居るとか考えたくもない。

 

いつの間にか、店が立ち並ぶ大通りからは随分と離れ、俺達はキョロクで二番目に高い展望台へと近づいていた。

 

「…すいません、ちょっと用事を思い出したんで、帰ってもいいですか?」

 

「は?今更何言ってんの?もうすぐじゃん」

 

ヤバいな…。

メズとシュテンが見張りを行う展望台、それは、イェーガーズが待機している大聖堂の真隣にそびえ建っていた。流石のボリックも、真昼間から女で遊ぶことはできないようで、昼間はこの大聖堂に居るらしい。そこまでだったら願っても無いチャンスなのだが、護衛のエスデス率いるイェーガーズが居るとなると、話は変わってくる。

展望台を見上げると、シュテンが腕を組んでこちらを見下ろしている。原作では、案外あっさりと殺られたのだが、生で見ると迫力が違う。メズもそうだが、一目で強者だと分かる。流石は羅刹四鬼といったところか。

 

「コウタロウから誘って来たんだろ?そんなこと言ってないで、早く登って食べようよ」

 

「…分かりましたよ……」

 

こうなったらバイクで強引にでも脱出しようかと思ったが、この世界でバイクなんて走ってるわけもなくて、エンジン音で目立って、取り押さえられるのがオチだろう。

というか、勤務中に一般人とあんぱん食べるとか、羅刹四鬼ってホワイトな職なのか?

 

「お待たせー。怪しい奴いた?」

 

「まだ見かけてはいないが、強いて言うならば、お前が連れてきたその男だ」

 

展望台に着くと、シュテンは待ちわびたといった表情でメズを見た。そしてその後に、俺への殺気を放出させる。

 

「コイツはコウタロウ。ナンパされた」

 

「ナンパじゃないですよ!」

 

「……」

 

シュテンの視線だけで、冷や汗が噴き出してくる。まずい…。完全に第一印象は最悪だ。

 

「…メズよ。ナンパなんて普通に考えて、革命軍やナイトレイドのスパイとは思わんのか?」

 

「もちろん疑うに決まってるじゃん。ただ、あんぱんでナンパなんてさ…なかなか斬新じゃん」

 

え?メズさん?何言ってるんスか?……冗談ですよね?

俺は苦しそうに笑いを堪えるメズから後ずさる。

 

「なんであれ、こいつはイェーガーズに突き出すか…」

 

「殺す‼︎」

 

「違う、そうじゃないだろう。魂の解放と呼べ」

 

しまった…。完全に嵌められた。

別に俺はスパイ目的なんかなくて、ただ流れに身を任せただけだったのに…。メズとシュテンはゆっくりと俺の方に向かってくる。

アギトに変身して戦いでもしたら、イェーガーズも駆けつけて御用。かといって羅刹四鬼二人に素手は……持って五分かな。

 

とりあえず、この展望台から飛び降りて、開けた場所に出ないと逃げることもできない。

 

「……くそっ‼︎」

 

一瞬だけ下を見ると、幸いにも柔らかそうな土だ。飛び降りる時は怖かったが、地面を確認できただけでもいい。

 

「この展望台から飛び降りるとは、やはり一般人じゃないみたいだな」

 

「判断も速かったしね。ま、このくらい離れててもどうしようもないんだけどねー」

 

もう少しで着地の体勢に入るといったところで、俺の体に激痛が走る。

 

「ぐああああああああっ‼︎」

 

左肩の辺りから血が吹き出し、俺は崩れた体勢のまま地面に激突する。

 

「うっ…」

 

左肩が外れて刺された上に、全身打撲。この世界に来て、ここまでダメージを受けたのは初めてだ。よれよれの俺の前に、二人が着地する。

 

「アタシ達って、自分の身体を好きに操れるの。だから、今さっきみたいな距離があっても、関節を外して届かせることができるってわけ」

 

「現世を彷徨う迷い子よ。儂が今、その魂を解放してやろう」

 

シュテンが俺の首を掴み、軽々と持ち上げる。

 

「くそっ……」

 

このままじゃ死ぬ。

くそ…こんな場所で死ぬわけにはいかないのに……。これから先も死んでいく仲間を守らないといけないのに……。

絶対に死ぬわけにはいかない。例えどんな手段を使ったとしても、このピンチをぶち壊してやる。

 

だから俺は、究極の判断を下す。

首を本気で絞められる前に、深く息を吸う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてええええええ‼︎エスデスさああああああああああああああんっ‼︎‼︎」

 

 

 

「コウタロウ……また会えると信じていたぞ?」

 

そんなあの人の恥じた声が聞こえたと思った途端、俺の首を掴むシュテンの腕が鮮血を撒き散らしながら宙を舞った。

 

「貴様ら……私のコウタロウにこんな真似して、楽に死ねると思うなよ?」

 

羅刹四鬼の殺気が可愛く思える程の殺気を纏い、帝国最強の将軍は降臨した。

 

 

 

 

 

 

 

 





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姐さんが表紙とか神速で買うしかないな……。

それと、活動報告の方でヒロインアンケートを実施します。
是非、ご協力下さい。

次回は早くて明日にでも更新しまっせ‼︎


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