ソードアート・オンライン~剛槍の一振り   作:星の王子(笑)。

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少年=ノ=命

~アオイside~

 

特殊な形をした薙刀を両手で持ち、思いきり振るう。

 

「っくそォ!」

 

どんどん沸き出てくる人型のmobを凪ぎ払い続けて、もう一時間は経過しただろう。

だが、いまだに沸いてくるところを見るとまだまだリポップするはずだ。

 

「っ待ちやがれ!」

 

薄暗い洞窟の奥には、真っ白なコートを着た少年が此方を笑って見ている。

 

「ふ……追ってこい。そこを通れるものならな」

 

少年は踵を返して、洞窟の更に奥へと進む。

 

「待てぇ!」

 

群がる人型mobを蹴散らして追いかけるが、更にリポップした人型mobがそれを阻む。

 

「っ邪魔だぁ!!」

 

全てを蹴散らして洞窟の奥へと走るが、そこに広がるのは草原だった。

 

「……クソッ。出口か」

 

 

 

第一層《始まりの街》

 

キリトと一緒にクラインにレクチャーをしてやった後、茅場昌彦によるありがた~い説明を経て、俺は駆け出した。

 

「っは、デスゲームか……面白くなって来たぜ!」

 

大変な状況だと言うのは分かってるが、俺の顔には自然と笑みが浮かび上がってくる。

 

取り敢えずホルンカにでも行くか。俺には必要ないが、あそこには初期では使える片手用直剣が取れるクエストがあったからな。

 

現在の俺の武器は大槍という、まあメジャーな武器の一つだ。

だが、俺の目的の武器は大槍じゃない。

 

β時代には手にすることが出来なかったエクストラスキルの薙刀、俺が狙うのはそれ一つだけだ。

 

 

 

ホルンカへ向かう道中、

 

 

「キャアァァァっ!?」

 

俺は悲鳴が聞こえた時、正直迷った。

 

こういうときに颯爽と駆けつけるのがヒーローだとして、この世界にはヒーローなど存在しない。

 

この世界ではHPが0になれば、現実でも死んでしまうのだ。

わざわざ死の危険を犯してまで偽善行為をする奴など、ゲームをやってる奴ならいる筈もない。

 

「そうだ。この世界はもう……ゲームであっても遊びではない……。茅場昌彦の言った通りなんだ」

 

そう思っても、中々前に進むことが出来ない。

 

「俺は……絶対に茅場の思い通りになんかさせない。……だから……何をしてでも生き残らないと……」

 

「キャアっ!?」

 

更に悲鳴が聞こえた時、俺は迷わず駆け出した。

行き先はホルンカではなく、悲鳴が聞こえた方に。

 

 

---------------------

 

何で、何でこんな目にあわなくちゃなの?

私は何もしてないのに……

 

もう私のHPは危険地域(レッドゾーン)に突入している。非情なことに敵mobは攻撃体制に入っていた。

私は死の恐怖のあまり、目を瞑ってしまう。

 

「おらぁっ!」

 

一つの掛け声と共に、バリィィンと甲高い音が鳴る。

私はゆっくりと目を開ける。そこには、燃えるような紅い髪で目付きの鋭い槍を持った人がいた。

その人の眼は、蒼くて透き通ったような美しい目で、紅い髪と相まってNPC(この世界の住人)かとも思えた。

 

「おい!さっさと立て!」

 

その人は怒鳴りながらも槍を振るい、残った敵mobを倒していく。

 

「クソッ!まだレベリング前だからキツいぞ……。そこの奴!立ったなら逃げろ!」

 

「は、はい!」

 

私は体勢を立て直すと、一目散に逃げた。

 

 

そこからどれくらい走ったか分からない。

方角も考えずにただひたすら走った。

 

「……灯り?」

 

偶然走ってきた方角があっていたのか、少し小さめの町にたどり着いた。

 

「確か宿屋のマークは……INNだったはず……」

 

疲れ果てた頭で何とか思いだし、辺りを見回した。

 

「……あった」

 

宿屋らしき建物を見つけ、看板を確認した。

そこには確かにINNと書かれていた。

 

「やっと休める……」

 

そこで私は体勢を崩した。

さっきまで死の恐怖で震えていた私の足は、安心したと同時に力が失われてしまったのだ。

 

「おっと、大丈夫か?」

 

「あ、ありが……」

 

そこに偶然通りかかった人が、私を優しく支えてくれた。

お礼を言おうと振り返ると、目立つ紅髪に鋭い目付きの、先程の槍使いが立っていた。

 

「無事だったのか」

 

 

--------------

 

 

「無事だったのか」

 

ホルンカの町でふらついてた奴を助けたら、先程敵mobの群れに襲われていた少女だった。

 

「あ、あなたは……無事だったんですか?」

 

「まあな、あれくらいでゲームオーバーになってたら、この先大変だからな」

 

ハラスメント警告が出ない内に少女を立たせる。

 

「あ、あの……」

 

「そろそろ俺は行く。お前も疲れたんならさっさと宿に入ってしまえ」

 

少女は何かを言おうとしたが、嫌な予感がしたので言葉を被せてその場を去ろうとする。だが……

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

「……チッ」

 

どうやら嫌な予感は当たったようで、少女に聞こえるように舌打ちをする。

 

「……何だ?」

 

少女は俯いて何かを呟くと、勢いよく顔を上げる。

 

「……宿屋の泊まり方を教えてくれませんか?」

 

「あ?……んだよ、そんなことか。……いいぞ、ここで寝られて睡眠PKなんてことになったら寝覚めが悪くなるしな」

 

「睡眠PK……?」

 

「いや、何でもない。ほら、さっさと来い。俺はこれから行くところがあるんでな。手短に済ませよう」

 

「……すみません」

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