最後のおまけっぽいのがかなり暴走しました。
いくら変態でもこれは外道だと思いましたが、書き直すと終わらなさそうなので勢いで書いてそのまま投稿です。
終わり方は考えていたんですが、それをした理由を考えてなかったんです!!
おまけは蛇足だった(確信?)。
VOBが激しく炎を吐く。背後にあった岩は吹き飛び、木は根まで掘り起こされて薙ぎ倒される。
千刀のブースターが機体を浮かせ、VOBによる殺人的加速により、機体は僅か数秒で空気を二つ三つと割いて行く。
岸はあっという間に見えなくなり水平線へと沈む。
海面は離れているにも関わらず鋭角のV字に薄く(1m前後)裂け小規模ながら津波を発生させる。
「…ょ………」
「む?」
風を切る感覚に酔いしれていると、手元で誰かが喋った気がした。
視線を向けてみると、鳳鈴音が叫んでいるように見える。
……
『ISのプライベートチャンネルで話せばよかろう?』
『!!』
『設定を少しいじっただけで御座るから武装展開以外の昨日は自由に使えるで御座る』
『そ、それなら早く言いなさいよ!!』
『聞かれなかったで御座るし、言うまでもないかと思っていた、それで何様で御座るか?』
『なんなのよ、あの加速!!意識が飛びそうになったじゃないの、それも先に言っときなさいよ』
『ちゃんと気付けをするように設定しておいた故に、意識が飛んでも即座に復帰できるでござるよ』
『そういう問題じゃなーい!!見てよ、一夏なんてなれなくて泡吹いてるのよ!!』
『比喩で御座るな。でも、バイタルで見ると一番乱れているのは篠ノ之箒で御座るよ』
そこで皆が平然としている箒を見る。
『何を言っている。私は絶好調だそ?』
『気分が高揚しすぎているで御座るよ、戦場で必要なのは氷のように冷え切った冷静な思考と熱い思い、冷静な判断を期待するで御座る』
そう、声をかけておいてレーダーを見る。
『目標地点まで半分を過ぎたでござる』
『え、もう?』
『音の五倍くらいでている故に、単純計算で一秒に1.7km移動するで御座るよ』
『目標の10km手前で皆を切り離すと同時に強制的に基本武装を起動するで御座る。勢いを落とさぬように目標に』
『わかった』
残り50kmとなった所に、光弾が仕掛けられていた……否、光弾を撃ってきていた。
相対速度があまりにアレなせいで仕掛けられていた者に飛び込んでいった感じではあるが、無論、クイックブーストで機体を左右に振り回して避ける。
飛んでくる弾は散弾で、脚や肩に当たるものもあるが、ISから流用したエネルギーシールドの応用のおかげで装甲に被害はないエネルギー自体はジェネレーターからの供給で過分にあるので今の程度の当たりならいくらでも問題無い。
サイズの差というものもある。全高にして四倍の差は大きい。
――――――――――――
敵が来た。センサでは遠くに居るのに、視覚センサではすでに見えている。
ISではないのか?だが、そんなことは関係ない。
射程距離に入ったら、と考えていたが、それはとんでもない速度でこちらに向かってきている。
自分の倍以上の速度だ。このままではいけない。
そう考え、[銀の鐘]を発動させる。
正面から弾を撃つ。全てが直撃コース、そのはずだった。
あろう事か敵はぶれる様にその身数個分横へ、ズレた。
避けてもよけられなければいい、と己のコンセプトに沿って広域攻撃へ変化させる。
しかし、敵の機体は体を左右に振りながら近づいてくる。
予想を裏切って被弾数が少ない。
被弾していてもダメージが与えられていない。
そして接敵と言える距離まで来て、
――――――――――――
『拙者が先に行く、遅れぬよう』
『わかっている!!』
拙者……もとい、俺は武装の中で最も大きな刀を取り出して速度を最も生かせる薙ぎ払いを仕掛ける。
福音は[銀の鐘]で俺を集中して攻撃してくるが、俺はシールドエネルギーが切れる前に攻撃すれば損傷はないと、最小限の回避で斬りかかる。
一撃。
右腕を圧壊させんばかりにがっしりと固定された、
そこで福音はブレードに、[銀の鐘]を収束させて撃ち、軌道を少しずらし自分は反動で逆方向へ非難する。
だが、音速の五倍、先端速度はそれ以上の高質量体が至近距離を移動するということは、それを避けるのは容易ではない。
福音はそれにより発生する気流によって、柱に引き寄せられ、側面で打撃を受ける。
[銀の鐘]に始まり、装甲も大きく破損し、搭乗者の金色の髪がかすかに見えた。
しかしそれも一瞬で、福音は大きな水柱を立てて海へ落ちる。
『うっわ~~』
『これって僕たち必要だったのかな?』
『あれ、完全に避けてたと思いましたのに……』
『ちょっと待てよ、あれなんだよ、ブースタつけただけの柱じゃないか!!』
『だって、ねえ………あの企業ならなにしてもおかしくないというか、あれだけの威力があれば納得もしちゃうよ』
『それでもあれは……』
『安心なされよ、競技ではこれは使わぬ』
そう言ってマスブレードを格納し、福音が沈んだ海面に注意を払う。
『それよりも油断はせぬ様に』
『何言ってんのよ、あんなのくらって無事なわけが……』
『いえ、鈴さん海中からエネルギー反応』
『あれでまだ動けるの!?』
『仮にも軍用、リミットが外してある分競技用の常識は通じぬで御座る』
ゴッと海面をブチ抜いて飛び出てきたのは、先程と形が違う福音。
『こんなタイミングでセカンドシフト!?』
『ふむ、よっぽど大事にされていたので御座ろう。搭乗者を守るために無理に壁を抜いたようでござるな』
これは回収して直す必要がありそうでござる。
『羽みたいなのがさっきは二枚だったのに四枚になってるぞ!!』
『一夏、それだけじゃないぞ、赤椿みたいに全身からエネルギーの羽が……』
そこまで言ったところで福音が動いた。
一回転しながらの掃射。
先ほどの比ではない数の光弾と光の羽が舞う。
位置取りは福音を挟み、行き過ぎた場所に二代、他は後から追いかけてきたのでその反対側。
そしてその両方を同時に十分な密度の攻撃を可能としている。
そして福音は立ち止まらずに動き出し、移動しながら爆撃を行う。
『うおぉぉぉ!!』
『避けきれない、なら!!』
『ダメ、迎撃も間に合わない!!』
『ブルーティアーズでは火力が違いすぎますわ!!』
『エネルギー弾はAICと相性が悪い!!』
『クッ、この程度……うぉぉぉ!!』
やだ、勇ましい。箒ちゃんテンション上がりすぎ
因みに俺はACのサイズを5m程までスケールダウンさせている。
流石に出力の上がったものを雨霰に対して巨体で避けるのは辛い。
『く…うわぁぁぁ!!』
『ラウラ!!』
『皆では手数が足りぬ。拙者が切り込む故に援護を!!』
『え』
『え?』
『僕達、必要かな?』
ユクゾッ!!
『千刀流、乱数・劔の檻』
やることは単純、使い捨てのようにひたすら新しい刀を取り出して切り付けるだけ。
ちなみに高速空中戦で使う技じゃない。
切り付けては手を離し、新しいのを取り出しては切り付ける。
防がれてもいい、ただただ相手に刀を組付けて檻を形成する。
そういう技だ。
だが真価はそのあとに出る。
だが、それは惨殺用だ。
それに今回は数秒動きを止めればいい。
囲う刀が廿になる頃には腕が動かせなくなり、伍拾で片羽が絡め取られ、百で上半身が刀の檻に閉じ込められる。
無論、足も自由に動かせない状況だ。
これの恐ろしいのは、動くと別の場所に刀が喰い込む。
入れただけの力で自分を切りつけることになるのだ。
ん?他の奴らはどうしたかって?
援護を挟むことも出来ずに見学だった。
高速で動きながらの近接戦闘。
外から見ると……
『なんですの、あれ……』
『剣を使い捨てしているが……その剣が』
『ああ、まるで意思を持っているかのように食らいついている』
『てか、あれISのハイパーセンサなかったら何かが光弾ばら撒きながら高速飛行しているようにしか見えないわよね』
『む、福音の速度が落ちたぞ』
『片羽が剣に囚われたか…』
『ん?おかしいぞ、なんでそれで遅くなるんだ』
『スペック見てなかったの?』
『嫁よ、あの羽は[銀の鈴]と言って、広域砲台を兼用した大型スラスターだ。
その片側を制限されたのだ、速度は落ちよう』
だがしかし、所詮は近接ブレード、実体刀の集まりだ。
福音は己の損傷を度外視することで檻を容易に破壊できる。
それを証拠に福音の羽が輝き出す。
「拙者の取って置きを喰らうで御座るよ!!」
両手に呼び出したるは驚異の突撃ブレード。
早い話がパイルバンカー、杭打ち機だ。
そしてこれの何より恐ろしいのが、リニアレールだったりを用いた超高速連打。
そう、みんな大好きKIKUだ。
さあ、とっつくのが先か、福音の自爆が先か、
軍配は福音へ上がった。
あとはトリガーを引くだけであったが、その直前で羽から爆発し、俺の打ち出したパイルはあさっての方向へと突き出された。
一瞬間をおいて、福音の足をかすめるように上空から光の線が降りたが、ターゲットに逃げられ不発。
あと半秒あれば終わっていただろう。
福音は距離を取り、もう近づかせないと言わんばかりにこちらへ銀の鐘の全門を向けてきている。
『仕切り直しで御座るか』
『いやいやいや、どっからどう見ても弱りきってるでしょ!!』
『速度は先程に比べ………四割近く低下しているな』
『銀の鐘もさっきに比べてずいぶん弾幕が薄くなってる』
『これなら行ける!!』
いやいや、手を貸してくれませんかねぇ、いや。やっぱりおとなしくしててくださいな。
追加報酬は諦めてたけどこの調子ならもしかしたら!
『二代、ここから先は私たちに任せてくれないか?出てきておいて、見ているだけでしたってのもアレだからな』
え?ちょっと
『そうだな、二代にまかっせっきりってのもどうかと思う』
それは要らん援護だ!!
『あそこまでスペックが落ちていれば余裕ですわ』
この慢心チョロインが!!
『ちょっとみんな!!』
お、鈴ちゃん言ってやれ。
『観察して現在の予測スペックを出してみたわ、押さえているかもしれないからあくまでも予測よ』
要らんことしよった!!
『ふ、不要でござるよ!!お主らに何かあったら追加ほう……ではなく、申し訳が立たぬ』
うっかり本音が飛び出てしまった気がする。
『ふん、そんな事覚悟の上だ。それに私は軍人だぞ』
ッチ
『ならば、好きにするで御座るよ、拙者は拙者でやらせてもらう、ついてこれるものならば参戦するが良い』
俺はそれだけを言い残して、クイックブーストで未だ尚こちらに攻撃をし続ける福音に接近する。
手に持つは千刀が二本。
クイックブーストの加速を乗せて福音へと投げつける。
無論、動き続けている的に対して投げるに適さない獲物、尚且つ連射ができないものでは当たるようなものではない。
だが、それがどうしたと、俺は投げた刀を追い抜かし、掴んで福音を切りつける。
そして反対の手には千刀ではなく蜻蛉切。
「結べ!!蜻蛉切!!」
通常駆動を発動。
射程は原作準拠で30mしかない。
だが今は10mいない間で近づいた状況。
『danger』
刀を片手で受け止めていた福音は機械音でそう言って、逃げの手を打った。
押し付けられている刀の力に沿って退避を行った。
ただそれだけで福音は蜻蛉切の割打の範囲から逃げおおせた。
多少無茶をしただろうが元々音速を超えられる機体だ。
足を緩めた相手から逃げるのは楽勝。それが30mとなれば半秒もいらない。
「かかったでござるな!!」
しかし、そんなことはわかっている。
俺はカメラを破壊するフラッシュグレネードを打ち出す。
ハイパーセンサでもしばらく何も見えなくなるだろう。
そして、拙者は通常カメラを切って、サーモグラフィやその他の特殊カメラを持って福音を補足し、先回り、そしてバインドを大量に設置する。
やっぱり魔法は便利だ。
だけど、補正的に距離が離れるほど制度と速度が大きく低下するので、こうするしかない。
できれば使いたくない手段ではあったが仕方ない。
追加報酬のためだ。
光による情報過多で僅か一瞬機能が落ちた福音は避けようとするも避けられずに網に掛かる。
拙者との戦闘で、まっすぐ進むのはまずいと思ったのだろうが手遅れだ。
気を付けのように両手が体側で縛られ、そこからどんどんバインドが増えて簀巻きの状態になる。
そしてバインドの利点は、空中に固定できるということ!!
「詰でござる」
その後僅か数秒、
空から柱が降ってきて、福音を飲み込む。
しかし、福音の外装は削れない。
あ、これ魔力砲だ。えげつねえ……
SLB並みの出力だが、本家よりもよっぽど洗練されている。
考え込まれている。
いかに効率よく対象を挫くかをよぉぉぉく、考えられている。
見ているだけで涙が出てくる圧倒的オシオキ感。
見事にシールドエネルギーだけを吹き飛ばし、魔力ダメージは全力疾走をした時のような怠惰感のみ。
なんでわかるか?
月の奴らがご丁寧にこっちに通信入れて解説してくれてるからだよ。
これの名前が悪意にまみれている。
【全✩力】受けてみて、これが私のOSIOKIよ【全★壊】
うん、本家のあの人が聞いたら、月が太陽に成ってしまう。
桜色のな!!
そんなこんなで無事に福音の確保ができた。
確保された福音は一度、束ちゃんの手によってメンテナンス及び、正常化が行われ、持ち主の手に帰った。
その持ち主が今回の件によって桜を見るたびに震えるようになったと言うのは蛇足である。
そして拙者はIS学園卒業まで二代のままで、女としての生活をしていくことになる。
行事イベントはなぜか何事もなく終わることがない。
予測可能であり、回避不能なハチャメチャな学園生活が待っていると、この時の二代は………
薄々感じ取っていた。
以降おまけ、ちょっと変態が人の道から外れていますが、いつも以上です。
何も考えないでください。
その頃のテンプレ踏み台転生者………
「なんだよ、何なんだよ、なんでアーマードコアが……速すぎるだろあれ!!
しかも衛星砲とかインチキだ!!
クソ、こうなったら俺が直々に潰してやる!!」
彼は己のIS、バビロンを展開し、空へと登ってゆく。
大気圏を突破し、数日かけて月へ向かった。
「ッチ、月ってこんなに遠かったか?バビロンに食いもん入れてなかったらやばかったな」
そんなことをつぶやきながら、彼は己がISの最強武装バビロンの門を発動する。
頭上の空間が波打つように量子化していたものを再構成する。
現れたのは鉄塊であった。
まごう事無き鉄塊。
余りにも巨大な、タンカーにも匹敵する鉄の塊がここに召喚された。
「これだけあればてめえらの秘密基地にもたどり着くだろうよ!!」
超巨大な鉄の弾丸を打ち出す。
バビロンの昨日は簡単に言えば大容量、そして量子化したものを高速で射出する
「質量数億トンの弾丸だ!!」
巨大な鉄の塊が動き出す。
一瞬の溜めの直後、音速の数倍で弾丸が射出された。
「クタバレェェェ!!」
だが、月に住まう変態がISの
光をも捉える慣性制御、質量があるほど慣性の力は働き、だからこそ威力が出る。
しかし、ここではその質量が裏目に出た。
弾丸は月に迫り、しかし衝突どころかなんの影響も与えられずに停止し、その鉄塊は回収された。
「なん……だと!?なんだよ、何をしたんだ!!」
『なぁに、慣性制御のちょっとした応用さ』
「誰だてめぇ!!」
『うん?命を狙った相手のことも知らないのかい?』
「てめえが黒幕か!!」
『むしろ君が黒幕なんだろう?まあ、そんなことはいいさ。
とりあえず、ふざけたことをしてくれた君には返礼をあげよう』
「あ?」
『なに、一瞬で終わるよ』
次の瞬間、彼は背後に現れた魔法陣に拘束される。
「なんだこれ、リリカルなのはの魔法陣!?だが、ミッドでもベルカでもない!!」
『ほう、知っているのかい?まあ、たったいま君にも、その機体にも興味をなくした所だからね、もう何も言わなくていいよ』
「ふざけッ
そのあとの言葉は繋がらなかった。
なぜなら語る口どころか、肉の一片も残らなかったのだ。
『予想以上だったね、《聖骸の賢明・旧代=レプリカ》と光子弾の組み合わせは………』
『でも君が悪いんだよ、束ちゃんを泣かせるからさ』
主任がやらかした理由はそれだった。
お気に入りの子が馬鹿げた殺意を見て怯えたことに対して怒った。
というよりも、この束ちゃん、精神年齢がかなり低い気がする。
ふえーん、とか泣きながらあやされている。
昨日に束さんが来ていたのも一因だろうが……
言ってしまえば、変に弄り回された
しかし、なぜ転生者を捉えて実験体にしなかったかということもあるが、それは単純に月の基地には捕虜を捉えておくだけのスペースがない。
これによって、タイミングを誤り、舞台に登れず、目論見も全てうまくいかなかった男は、最後に大きな光となっていなくなった。
これだけ書くと酷く惨めな奴である。
しかし、今後も第二、第三の転生者(下衆系)によって騒動が起こされるのだが、異様な速度で進化を続ける変態達の技術の前では、多少のチート能力ごとき、隕石に水鉄砲(100円+税)であったのだ。
IS編 完