MUV-LUV ALTERNATIVE 救世主になれる男 作:フリスタ
俺の名前は
俺は今、俺を見ている。
トラックと電柱に挟まれて……原形を留めているのは首から下だけだ。
目の前の状況から察するに、俺は死んだみたいだ。
俺は自分が死んでも構わないと常日頃から考えていた。俺が死んでも誰かが困ったとしても、世界が傾くだとか、混乱が起きるわけでもない。どっかの歯車の一つで替えは利く。
熱くなるような打ち込めるものもないし、惰性で生きている自分が嫌だった。かと言って、自分で自分を変えられるほど行動派でもなかったと思う。だからいっその事、災害に巻き込まれたりして消えてしまえたら楽だと考えていた。
実際死んでみて? 痛ぇよ。でも一瞬で助かった。あんなに痛いのは耐えられそうに無い。
「なんだ。ショックも受けてないのかい」
死んでいる俺を俺が見つめていると、一人の女がやって来た。
長く赤い髪を風になびかせながら、ジーンズにTシャツ姿というラフな格好だった。
「俺が見えるのか……俺はどうしたらいい?」
勝手な想像で、死神だとか あの世への案内役だと思っての言葉だった。
「へぇ……アンタみたいなヤツは初めてだね。上司に聞いてたとおりか……一つ一つ説明させて貰ってもいいかい?」
女の人はタバコを咥えて火をつけて話し始めた。
「何かワケ有りか……頼む」
「アンタは手違いで死んだんだ。本来アンタはこれから就職活動の最終面接に行く予定だったんだけどね」
あぁ、確かそうだった。まぁ落ちる気がしないでもなかった会社だが。
「予定通りの人生なら、アタシの上司の力で人生を修正されて行く中で、その就職先に合格。社内恋愛、結婚。責任ある仕事を任されていき、アンタ自身もヤル気に満ちて行き、割とハッピーエンド的な感じでその人生を楽しめる予定だった」
「想像がつかないから別に良い。それで? 俺はあの世に行くんだろ?」
「それがね、今は定員オーバー状態なんだよ。予定者リスト以外の人に死なれると困るんだ」
そうは言っても死んでしまっている俺がそこにいた。
「そこでね。再生とかは出来ないから異世界へ言ってもらう事は出来ないかね? 特典モロモロ付けられるんだけど」
「異世界?」
「そう、アンタの事は聞いてるよ。色んなゲーム・アニメ・漫画をやったり読んだりしてきたんだろ? 好きな世界へ行かせてやれるよ。例えば魔法の世界へ行くなら、魔力MAXとかのオプション付きでさ」
「別にもう生きたくないんだけどな」
「そんな事言って~、自分を変えたいんだろ? 全部知ってるから大丈夫だって」
カラカラと笑う女性だ。不思議とイラつかされる事は無い。しかしまぁ随分と勝手な話だ。話をまとめると、俺は手違いで殺され、そのまま逝けるなら問題なかったのだが、あの世は定員オーバーで逝けないから、オプションを付けて異世界で過ごせということだ。
「それ以外方法は無いってことか」
「そうだね。行き先が決まらないならランダムか、アンタに合った世界をコッチで決めて送る事になるけど?」
どうやら回避不可の話しらしい。
「先に聞こう。オプションって言うのはアレか? チート的なものか」
「えぇと……あぁそれで合ってるよ。チート。専門用語使われると少し分からなくなるんだ悪いね」
女の人は書類をパラパラと確認して返答してくる。
「制限はあるのか?」
「ん~? いきなりその世界を崩壊させるとか、消すとかは無理だけど……あくまでもアンタの能力を上げたりだとか、知識を付ける事は問題ないみたいだね。いくつでもOKだね……あ、アンタの記憶とか頭の中から情報を掻き集めて、能力に反映させるから難しく考えなくていいみたいだよ」
「じゃあいっその事熱くなれる世界に行きたいな」
「おっ やっとその気になってくれたんだね。うんうん、その顔の方が良いよ。それで、どこに行くんだい?」
「マブラヴ・オルタネイティブの世界」
「えぇっと……うわ、すごい世界に行きたがるね……」
俺の頭の中を確認したのか、少し引き気味かつ興味ありげに女の人は声を上げた。
死ぬときは一瞬だからな。まぁ生き残るように頑張るが……。
「能力とかいいか?」
「あぁ何でも言ってよ」
「じゃあまず、魔装機神サイバスターを俺の専用機で使わせてもらうのと、スパロボ仕様で改造MAXで、強化パーツもチートできる限り搭載して」
「あぁまた専門用語……これか……うん……うん。その程度なら問題ないね」
「じゃあ後、俺の体力や運動神経とかの能力もその世界では困らないぐらいに強くしておいてくれないか」
「お、死ぬ気無くなったねアンタ……えぇと、軍人がこれぐらいだから、こんなモノかな。終わりかい?」
「えっと、それじゃあ、その世界の戦術機の操縦方法だとか設計も出来るようにしておいてくれないか? 世界を破壊しない程度のオーバーテクノロジーも使えたら嬉しい」
「欲望が溢れ出してるね~。うんうん人間は素直が一番だよね~。あ、そうそうアンタの顔がアンパン○ンみたいに使い物にならなくなったから、大元の素体から変えなきゃならないんだけど、希望はあるかい?」
鏡を取り出し俺に向けてくると、そこには ぼやける様に光る人型の姿しかなかった。今の俺ってこんなだったのか。これはコミュニケーションすら難しいな。
「何でも良いんだけどな……じゃあ、渚カヲルで頼む」
「えぇと、エヴァンゲリオンね。うん良い感じじゃん。私が人間なら惚れてるかもね。……でも少し幼くして長髪にしておくね」
「何か問題があったのか?」
「いや、ほら。アタシ男の娘が好きだからさ、それにサイバスターって機体が戦術機ってロボットと比べてかなり大きいみたいだからね、サイズ補正も込みで調整だよ」
サイズは理解できるが……お前の好みなんて知るか。
「まぁ戦闘とかに支障がなければ問題ないけど」
「さて、こんなもんかな? 他にはあるかい?」
俺自身が最強の分類で、戦術機にも乗れるがサイバスターがフル改造で専用機。男の娘だが、肉体も手に入った。
「……特に問題は無いな」
「じゃあ、これはサービスね(chu♪)」
「頬にキスがサービス?」
「言ってなかったけど私って一応は女神様なのよ」
嘘付け、タバコ吸ってる女神なんて聞いた事ねーよ。
「それはアンタの先入観。まぁアタシのキスは効力があるのよ」
「心を読むな。効力って?」
「これでアンタは割とモテモテよ。あ、でも【恋愛原子核】の効力の方が優先されるから、
【恋愛原子核】。マブラヴの主人公、白銀 武の固有能力だな。能力と言うか特性と言うか、まぁ常時発動してるフェロモンみたいなものだろうと思う。
「面倒くさい事を……もう良いか?」
「えぇ、何かあったら念じてくれれば出来る限りは聞くから。アタシ一応アンタの担当だからねヨロシクね。マサキ」
そう言われて俺は光に包まれていく。
「担当って、アンタの名前は?」
「あぁ忘れてたわ。あたしの名前は……『フレイヤ』よ」
少し考えてから不良女神は『フレイヤ』と名乗るのだった。
そして、気がつけば俺は機体の中にいた。
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