MUV-LUV ALTERNATIVE 救世主になれる男   作:フリスタ

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Side マサキ

 

 ベトナムで鳴らした俺達特攻部隊は、濡れ衣を着せられ当局に逮捕されたが、刑務所を脱出し、地下にもぐった。しかし、地下でくすぶっているような俺達じゃあない。筋さえ通れば金次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にし巨大な悪を粉砕する、俺達、特攻野郎Aチーム!

 

 俺は海堂マサキ。通称 開発部の天才主任。

 メカの天才だ。大統領でもブン殴ってみせらぁ。でもBETAに撃ち落とされるから飛行機だけはかんべんな。

 

 俺達は、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦する。頼りになる神出鬼没の、特攻野郎 Aチーム! 助けを借りたいときは、いつでも言ってくれ。

 

 パチッ

 不意に部屋は明るくなる。うおっまぶし!

 

「何やってるんですか中佐」

「……じ、自己紹介の練習?」

 

「誰に自己紹介するんですか……まったく、今日は休んでしっかり寝てくださいって言いましたよね?」

「すみません」

 

 オマージュとかインスパイアとかちゃちなもんじゃねぇ。完全にパクリだ。

 

 さてさて、俺は最近働き詰めで休んでないと指摘され、休みを言い渡された。基地副司令の夕呼先生とか更に上のアナゴ司令からではなく、部下に当たる唯依姫からの指摘だ。楽しく開発してるんだからよくね?

 まぁこうなったからには仕方ない。眠くもないから機械いじり以外の趣味のアレを仕上げるか。俺はベッドの下から色々と取りだして作業を始めた。

 

「あとは縫い合わせるだけか……よし、もうすぐ仕上がるぞ」

 

「まったく休む気配がニャいニャ」

「しかも絶対没収されるニャ」

 

 バレなきゃいいんだよ。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side A-01部隊

 

 ―――今日も訓練に励む私達、特攻野郎Aチームとは私達の事よ!

 

「あだっ!」

「ぼーっとするな築地! 私達はA-01部隊だ! 隙を見せるな!」

 

「博士から聞いたんだけど、事務次官が来たときHSST落ちてきてたんだって」

「あぁ聞きましたよ。地震も来ましたしね。あれ海堂中佐ですよね。撃ち落としたの」

「その機体見ましたよアタシ!」

「どんなのだった?」

 

「不知火の全ての兵装を取っ払って、大きめのライフルと、頭部に変わったパーツを付けてるぐらいの印象しかなかったですね」

「スナイパー特化タイプかぁ……いつ準備したんだか」

「凄いですよね~中佐。ちっちゃいのに」

「貴様ら! お喋りなら降りてからにしろ!」

 

 戦術機でXM3に慣れてきている彼女達は、XM3の開発者であり、凄腕衛士であるマサキの行動は気になっているようで、香月博士から出来る限りの情報を得ている。

 

「ってか早いわよ! ビャーチェノワ! シェスチナ! く~っ止めなさいよあんた達もテストパイロットでしょう!?」

「うるさいであります速瀬中尉殿!」

 

 タリサはテキトーに敬いながら得意とする機動を繰り返して詰めていくが、すぐに引き離される。クリスカとイーニァのチェルミナートルはそれほどまでに早い機動をしていた。

 

「タリサ、捕まえられないなら一度離れて、支援砲撃が出来ない」

「なめんなー!! ……げっ!!」

 

 いつしかタリサは後ろを取られて大破扱いされ演習場内から外れた。

 

「くっそーっ!! 撃ち落とせステラ!!」

 

「アタシに任せなさい! うわっ! 危ないじゃない!」

「危ないも何も私こっち部隊の設定ですから、ね!」

 

 イーフェイの殲撃が襲いかかるが、柏木の正確な支援砲撃に阻まれる。

 

 

 

『―――状況終了。御苦労さま、あんた達にプレゼントがあるわよ』

 

「プレゼント!?」

「プレゼントぉ?」

 

 明らかに2手に分かれ違う色を見せる反応を前に、夕呼は特に何も感じさせず、データをリンクさせた。

 

『さぁ、兵装自由でやりなさい』

 

「なーんか長いロードですねぇ……え? 表示範囲100%って……ハイヴの完全版データ!?」

「この前落ちたっていうカザフスタンのハイヴですか!?」

「ふふふふふ……ビビってるの? アンタ達ぃ、こっちはXM3搭載してるのよ? 冷静にやれば行けるわよ」

 

 速瀬は口元を歪めながら兵装を前衛仕様にして準備を進めていた。

 

「新型OSを過信するのとは違うが、確かにデータにビビる事はないぞ」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 戦乙女たちはBETAを滅ぼすために剣を取り、BETAの巣へと進んでいくのであった。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side タケル

 

 HSSTは落ちて来なかったし、市街地戦での新型OS【XM3】の搭載した吹雪は調子良かったし、最近は好調に進んでいる気がする。すげぇよなマサキ。XM3か……あれがあれば人類はBETAなんかに負けない! っと、今はそれよりも。

 

「夕呼先生ありがとうございました!」

「あら、何かしたかしら?」

 

「何って、昨日の件ですよ。HSSTの件」

「あぁ、私は何もしてないわよ」

 

「え、でも実際落ちてきてないですよね? ……っ! まさか未来が変わった!?」

「落ち着きなさい。……昨日、地震があったわよね」

 

「え? あ、はい。軽いやつがありましたね」

「前の世界でもあったかしら?」

 

 いや、それはどうだろう。正直HSSTが落ちてきているのだから、地震とか気にしてる場合じゃなかったし……。話題にもならなかった。というか何でそんな話を……。

 

「アンタも結構鈍感ね。昨日落ちてきたわよ。アンタの言うとおりに」

「え? 何がですか?」

 

「何って、アンタが言い出したんでしょう? 爆薬盛り沢山のHSSTよ」

「……は? いや、だって警報も鳴らなかったじゃないですか。落ちてきたってそんな―――」

 

「警報はカットしておいたわ。HSSTは海堂が撃ち落としたわ。軽い地震はその時の物よ。あんた達は外が見える場所にいなかったでしょうから、一瞬赤く染まった空を見てないのね」

「マサキが……?超水平線砲を使ってですか?」

 

「いいえ、新兵器をまたテストしたいとかでね」

「テストでって……命がけでですか、俺達の命まで勝手に賭けて……マサキは?」

 

「ふふふ、今日は休むようにキツ~く言われてたわ。将来尻に敷かれるのかしらね。幸せになりそうではあるけど」

「はあ?」

 

 俺は良く分からず、とりあえず相槌をうった。

 

「それよりも、コレを見なさい」

「レポート? 俺なんかが見ても内容なんて……」

 

「良いから見なさい! 図だけでもいいから。何か気がつくこと有るかしら?」

「図だけって……(ペラ)……(ペラ)……あ、これ……うん確か夕呼先生の授業で」

 

「確定ね。白銀、アンタこれから社と同棲しなさい」

「はぁ!?」

 

 何言ってるんだこの人!?

 

「なに? 疾しいこと考えてる? アンタが社に手を出すなら犯罪よ?」

「いやいやいや! それを助長する行為を何故!?」

 

「白銀、これはアンタが元の世界に戻れる実験でもあるのよ。その先駆けとして私の論文をアンタの元々いた平和な世界とやらのアタシに渡して、論文を完成させてきなさい」

「そんなこと出来るんですか!? というかそれと霞にどんな関係が!?」

 

「準備はしておくわ!」

 

 俺はわけもわからず追い出されて隊に戻った。

 夜、枕を持って霞が部屋に来た時は、驚きと様々な考えが頭を駆け巡り、その日は眠れなかった。しかし、最近、昔の夢を見ることが多くなっている気がする。

 

 

 

 翌朝のPX

 

 俺はまた昔の夢を見た。幼馴染の純夏が俺のポテトを犬っころにあげるという夢だ。懐かしい夢だ。純夏はこの世界にいないのに……。

 

 霞は俺がぼーっとしてる間に俺と自分の分の2食分を持ってきてくれていた。

 

「あぁ、すまん霞! 次からはこんなことしなくていいからな!」

 

「何だか今日の社の様子は少し違うな」

「そうね」

「普通だろ?」

 

 霞は食事を見つめて箸を手に取る。そして魚に箸を付けたかと思うと……

 

「……どうぞ」

 

「「「「「っ!!?」」」」」

 

 俺の口めがけて、箸で掴んだ一口小程の魚を差し出してきた。まさに「口を開けてください」というか、「あーん」をしてきたのだ。

 

「い、いや、それは霞のだから食べていいんだぞ?」

 

「……何か違ったのかな?」

 

 霞は何かを考え直したのか、再び同じ行動をとった。

 

「……どうぞ」

 

「普通……ねぇ?」

「楽しいお食事中に恐縮だが……詳しく事情を説明してもらいたいな」

「あ~んってしてる……あ~んって……」

「いろいろあった……」

 

「な、何もねーよ!」

 

「……どうぞ……嫌ですか?」

 

「いや、嫌ってわけじゃ……」

 

「……何か間違っていましたか?」

 

「ま、間違いってわけじゃ……」

 

「「「「「……」」」」」

 

「……どうぞ」

 

「ぐっ……(ぱくっ)」

 

「「「「「っ!!」」」」」

 

「まだあります」

 

 この精神攻撃は食事が終わるまで続いた。

 あ、味がしない。

 

 

 

 食後、戦術機の整備訓練中。

 

「委員長~、トルクレンチ取ってくれるか~」

 

 俺は無言で飛来したトルクレンチを額で受け止める形になった。何故だ。

 

「何しやがる!」

「あらごめんなさい。でもトルクレンチもまともに受け取れないなんて、先が思いやられるわねぇ」

 

 今は戦術機の整備の方法を勉強中で、トルクレンチの受け取り方を学んでるんじゃねー!!

 

「タケル……私はソケットレンチを取ってやろうか?」

「い、いや! 遠慮しておく!」

 

「ラチェット……いる?」

「ドライバーは? プライヤーは?」

「どれも要らん!!」

「あわわ……」

 

 珠だけは攻撃的ではないが、庇ってくれる事もなく如何したものかとあわあわしている。

 

「白銀、ここで何をしている? 博士のところに呼び出されているのではないのか?」

「いえ、聞いてませんが?」

 

「おかしいな……直接伝令が行くと聞いていたんだが……まぁいい。直ちに博士の元へ向かえ。……ところでその額はどうした?」

 

「白銀が工具の扱いをミスしたのです。以後、気を付けさせます」

「なにぃぃぃっ!?」

 

「まぁ、おおむね間違いではない」

「大間違いだ!!」

 

「戦術機の操縦ばっかりうまくてもダメ……」

「よくわからんが、お前がトラブルの原因である事は間違いなさそうだな」

「まりもちゃんまでそんな事を!」

 

「まりもちゃん……だと?」

「あの……その……つい」

 

「白銀、何度も言わせるな……私は貴様のお友達でも仲良しお姉さんでもない。上官を侮辱した者がどうなるか……分かっているな!?」

「し、失礼しました!」

 

「本来なら一喝入れてやるところだが……早く行け!」

「りょ、了解!」

 

 俺が全て悪いのか~!?

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マサキ

 

「中佐これでいいですか?」

 

「あぁ、ありがとうターシャ」

 

「いえ、でも『掛布団を用意してくれ』なんて、これ何に使うんです?」

 

「イケナイ事さ。確実に怒られるね」

 

「わ、分かってて それをやるんですか?」

 

「バレない限りは! あ、秘密だからね?」

 

「守秘義務ならば守るだけですよ。では」

 

 微笑むターシャは掛布団を置いて、俺の部屋を後にした。

 

 しばらく作業を進めて……

 ピキーンッ!

 

「来る!」

「ニャにが?」

「ん? 確かにここに向かってくる人がいるニャ」

 

 コンコン ガチャ

 

「中佐? ……掛布団を2枚も……」

「あ、唯依姫? いや、少し寒くてね……」

 

「そうですか……一応、遊んでないでちゃんと寝てるかの確認だったのですが、風邪には気を付けてくださいね。シロちゃんとクロちゃんも中佐をよろしくね」

 

「「にゃ~」」

 

 パタン

 

「ふぅ~危ない危ない」

 

「アタシ達が気付く前に察知したわよね? ニャんで?」

「だんだん人間ばニャれしていくニャ」

 

 なぁに、こういう時だけは勘が働くんだぜ。

 

「でも、こういうのって技術力の無駄使いって言うんじゃニャい?」

「技術力ニャのか……これ何枚作ったのかニャ?」

 

「えっと、ステラ、タリサ、クリスカ、イーニァ、唯依姫、イーフェイ、おまけでまりもちゃんとピアティフさんの8枚だな」

 

「ラトロワ中佐は作らニャいのかニャ?」

「それはバレた時が怖いニャ」

 

 そう、怖い。消されかねない。戦って死ぬなら仕方ないけど、味方のはずの人類から死を貰うのはちょっといただけない。

 

「出~来た!」

 

 俺は掛布団を加工し詰め込み『ポンッ』と叩いた。唯依姫だ。抱き枕だ。俺は他の抱き枕カバーをベッドの下に隠し、抱きついて眠ることにした。

 

「抱き心地抜群~。……く~」

 

「そんニャに早く寝れるニャら枕いらニャいんじゃ……」

「あ、誰かまた来たニャ」

 

コンコン ガチャ

 

「中佐、京塚曹長に頼んで風邪に効く飲み物貰ってきましたよ……眠っているのですか……あら? 掛布団が減って……誰!? ……人じゃない?」

 

「「(あ~、確実に怒られるニャ)」」

 

「私の顔……!?」

 

「くへ~……すぴ~……唯依ひめ~……く~く~」

 

「……もうっ中佐ったら /////」

 

「「(怒らニャいの!?)」」

 

「でも、没収です!」

 

「「(ですよネ~)」」

 

 俺は抱き枕を引っ張られて起きる。とりあえず引っ張られるなら離さないだけだ。

 

「うう~。……何だ?」

「起きましたか? 離してください中佐」

 

「唯依姫!? 夜這い!?」

「なっ!? 違います! 夜でもありません! とにかくコレは没収します!」

 

「やだ~やだ~。せっかくさっき完成させたのに~」

「やっぱり休んでなかったんですね!? 休んでくださいって言ってるのに! きゃっ!」

 

 唯依姫はバランスを崩してそのまま倒れてしまう……。

 しかし、その先には……

 

「シロ!?」

「ミギャ! アイタタタ……あ」

 

「……」

「……さて、オヤスミナサイ」

 

「「にゃ、ニャ~……」」

 

「……」

 

「いやいやいやいやいやいやいや!! 今シロちゃんとクロちゃん話しましたよね!? 中佐!? 」

「唯依姫も疲れてるんだね? よし、上官命令だ部屋に戻って寝なさい!」

 

「誤魔化されませんよ!」

「ぬぅ……仕方ないか。シロ、クロ」

 

「良いのかニャ?」

「オイラ達がバレるとまずいんじゃ?」

「タケルと夕呼先生は知ってるだろ? もう良いさ、唯依姫には近いうちバレてただろうさ」

「……本当に喋った」

 

「唯依姫。ここから先はその内に話そうと思っていた事だけど、まだ他の人に言っちゃ駄目だからね」

「は、はい。ネコ型の偵察機とかだったんでしょうか?」

 

「生きてるよ。会話もできる。俺はね、この世界の人間じゃないんだ」

「何を仰っているか……どういうことでしょうか?」

 

「90番格納庫に行こうか。俺の機体も見せるよ」

「……中佐の機体」

 

 

 

 格納庫内は誰一人おらず、静けさを保っていた。照明を付け、サイバスターを見せる。

 

「画像データにあった機体……」

「これが俺の機体【AGX-05】正式名称【サイバスター】」

 

「サイバスター……これほど綺麗な戦術機は……」

 

 唯依姫はサイバスターに見惚れている。

 

「これ戦術機じゃないんだ。シロとクロはこのサイバスターの兵装の一つでもある。俺の使い魔でもある」

「戦術機じゃない? 使い魔?」

 

「ちょっと待ってて」

 

 俺はサイバスターに乗り込んで夕呼先生に説明した時のようにディスカッターを異次元から取り出す。更にシロとクロもハイファミリアとして射出する。俺はシロとクロがコクピット内にいない事を見せながら説明する。

 

「こういう風に兵器は取りだすんだ。そこで飛んでるヤツにはシロとクロが憑依してる」

「……憑依?……信じられないことですが……」

 

 俺は再び降りて、サイバスターの脚部に唯依姫と寄りかかって説明を始めた。

 

「シロとクロは使い魔だから話せるんだ。機体も魔法と科学の融合したような機体だから戦術機としての考え方は全く通用しない。信じた?」

「これだけ見せられてしまうと……信じざるをえませんが……」

 

「信じてもらえたニャ」

「これで少し動きやすくニャったわね」

 

「……俺、元いた世界で死んでね、もう生きる気はなかったんだけど、他の世界で生きろって神様みたいなのに言われてね。まぁそれでも生きる気は最初なかったんだけど、なんか楽しくなってきちゃってさ死ぬ気も今ではないのよこれが。……そんで、この世界に来たら戦術機の知識とかはあったから、夕呼先生が中佐としてこの基地に置いてくれてね。あ、中佐はやりすぎだって言ったんだよ?」

「……中佐は、どうしてこの基地に? 中佐の腕なら資源の豊富なアメリカとかでも高待遇でしたでしょうに。アメリカなら食料自給率は100% それに比べて日本を含め他の国では合成食料がほとんどですし、国としての力でさえも……」

 

「そりゃあ……俺が日本人だからだろうな」

「……日本人」

 

「そ、日本人だから。飯が旨かろうが、自分の国じゃないなら願い下げだな。国の力が低いって言うなら上げればいい。それに飯なら京塚のおばちゃんの飯は旨いしね」

「中佐……(やっぱり変わらない。中佐は中佐だ。私は私だ。自分の気持ちに変わりはない。中佐だから私は……)」

 

「唯依姫?」

「ふふふ、大丈夫です。信じました。でも……神様はないと思いますよ?」

 

「いや、いるんだって神様。タバコ吸ってラフな格好してて不良な感じの赤い髪の女の人」

「もう良いですって。戻りましょう、ここは冷えますから」

 

「信じてないでしょ!? いるんだって」

「はいはい。風邪ひかないでくださいね……マサキ」

 

 ん?

「今、名前で呼んだ?」

「呼んでないですよ」

 

「いや、呼んだよね」

「聞こえません」

 

「じゃあ抱き枕は使うね」

「それは駄目です!」

 

「聞こえてるじゃん。じゃあ唯依姫が生抱き枕になってよ」

「な、なま!? だ、駄目です!!」

 

「ねぇクロ、あれでもマサキは気付いてニャいでしょ……」

「そうね、抱き枕を取り返そうと必死にニャってるだけニャ……」

 

「「はぁ、バカップル……」」

 

 結局俺は抱き枕を取り上げられ、落ち着きを見せた。

 

 しかしまだベッドの下に7枚あるのさ……。くくくくく。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

 

「中佐~?」

 

 ……取り上げられた。ぐすん。

 

Side out

 

 

 

 

 

 ちなみに取り上げられた抱き枕の行先はゴミ箱などではなく、横浜基地副司令・香月夕呼の下に提出される流れがあったのだが、夕呼は面白がってそれぞれの下へと届けるのだった。

 

 商品名・抱き枕カバー(○○○.ver)

 

 そんな小包みが各自室に届けられるとそれぞれが怪訝な顔で「抱き枕カバーとは何か?」という疑問と共に開封するのだが、自分がプリントされたそれに驚き、使い方まで書かれた紆余曲折ありながらも、各々でカバーに詰めるサイズの掛け布団を用意し、抱き枕として機能させ、最終的な疑問と答えに行きつく。

 

「自分を抱きしめ寝るのは気持ち悪い……しかし良く出来てる……」

 

 最終的に、真っ赤になって海堂マサキに「……つ、使ってください」とソレを渡すのだった。

 

「なんか今日は色んな人から物を貰うなぁ……何で部屋に戻ってから開ける指示があるのか分からんけど」

 

 マサキが自室に戻り頂き物を開封すると……。

 

「あれ!? 取り上げられたブツが返ってきた!!?」

 

 

 

 そして、そんな一連の行動を見て楽しみ、魔女は各人に質問する。

 

「枕カバーとはいえ、自分をプレゼントするってどんな気持か教えてもらえるかしら?」

 

 凄く深い笑みを浮かべながら。

 

 極東の魔女此処に在り。

 

 

 

 




抱き枕が手に入るとしたら誰のが良いですかね?

うーん今ならタリサかなぁ、たまに気になるんだよねぇぺちゃぱ……ん? こんな時間に誰だろ?
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