MUV-LUV ALTERNATIVE 救世主になれる男   作:フリスタ

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お気に入り100件突破ぁ~ありがとうございます。

また、以前投稿していた時にご迷惑をおかけしていた方、改めて申し訳ありません。





07

Side タケル

 

 11月11日。

 基地全体に非常召集の警報が鳴り響く。

 

 来た!

 俺が夕呼先生に伝えておいたBETAが佐渡島から新潟へ侵攻してきた内容だ。

 俺達207小隊は休日だったが非常招集によりまりもちゃんの所へ集まる。

 

「全員集合しました!」

 

「よし、状況を説明する」

 

 そう言ってまりもちゃんは説明を始めた。新潟に上陸して来たBETAは帝国軍が迎え撃つ形で今も戦闘は続いているらしい。更に援軍も合流し、戦況は優勢。前回はこの時点で更に侵攻してきたんだよな。

 

「上陸したBETAの進路を統計的に分析した結果、ヤツらの最終目標地点が本横浜基地である可能性が高いことが判明した」

 

「えっ!?」

 

 そう、前回もほとんどまっすぐにこの基地にBETAは向かってきた。変わらない、ここに何かがあるのか。それとも目的の進路にすぎないのか。

 

「そのため、現時刻からBETA全滅が確認されるまで、当基地は防衛基準体制2へ移行する」

 

「は、はい……」

 

「その間、訓練兵である貴様達は待機とする。速やかに自室に戻り情勢の変化に対応できるように待機せよ。以上だ」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

 

 俺は自室にて待機していた。前回の世界ではBETAが基地目前まで来て気絶したっけ。今思えば情けない話だ。その後も色々な事があった。もう負けないぞ。

 でも今回と前回は違うはずだ。これでBETAが全滅すれば、前回から歴史は大きく変わるだろう。言った通りの場所にBETAが来たわけだから俺の記憶の信憑性も高まっただろう。俺だけじゃない、たくさんの人たちの歴史も変わるはずなんだ。変えないといけない。オルタネイティヴ5なんて阻止してやる。

 

『総員に通達。防衛基準体勢2は解除されました。繰り返します……』

 

 その放送を聞いて俺は真っ先に飛び出して、夕呼先生の執務室へ飛び込んだ。

 

「先生っ!」

 

「騒がないの、聞こえてるわ」

 

「いろいろ……ありがとうございました」

 

「あなたがお礼を言う必要はないわ。あたしの興味でアイツを試したかったんだから」

 

「アイツ?」

 

「アンタと1ヶ月前にここに来た海堂正樹よ。アイツは化け物ね。送られてきたデータだとあそこに現れたBETAの数は8千強。その内の6割以上を一人で相手にしたらしいわ」

 

「6割!? それだけのBETAを一人でですか!?」

 

「試したい新兵器があったらしいけど、帰ってきてからその報告もあるでしょうね……。他のBETAは帝国軍がうまく連携して止めたらしいけど、まぁいいわ。今日はもう戻りなさい。人が来るのよ」

 

「あ、はい。すみません」

 

 コンコンッ

 

「もう来たのね。入って」

 

「香月副指令。予定通りテストパイロット2名着任しました」

 

 ピアティフ中尉だ。後ろには褐色の肌の少女に金髪の女性がいる。2人とも服装は国連軍のジャケットを着ている。テストパイロットか……。俺も早く訓練兵を卒業しないと。

 

 俺は敬礼して部屋を後にし、自室へと戻った。

 

 

 

「―――イーニァ、何処に行ったの?」

 

「誰かお探しですか?」

 

 見たことがない人だったが、霞と同じ髪の色をした女性だったのが印象的だった。困惑の表情を浮かべて誰かを探している国連軍の人を見かけた。俺が話しかけると困惑の表情は怪訝そうな顔を一瞬浮かべて、一気に怒りの表情に変わった。

 

「貴様には関係ない!」

 

 えぇ~? 何で初対面で怒られてるんだ。俺は謝罪して敬礼して自室へと戻った。

 

 これも歴史が変わっているからなのだろうか? でもマサキだ。あいつが変えてるんだ。俺が前回の世界の知識を夕呼先生に伝えて、それをマサキが実行してくれてる。俺が進みやすいようにしてくれてる。

 

 ……アイツ、何なんだろう。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

≪ 総合戦闘技術評価演習 ≫

 

「本作戦は、戦闘中、戦術機を破棄せざるを得なくなり、強化外骨格も使用不能という状況下で、いかにして戦闘区域から脱出するかを想定した物である。従って脱出が第一目的だ。また行動中、地図中に記した目標の破壊……後方撹乱を第二優先とする」

 

 南の島でバカンスを楽しむ夕呼先生を尻目に、俺達の訓練生の集大成とも言える【総合戦闘技術評価演習】が始まろうとしていた。

 

「各自時計合わせ…………57、58、59―――作戦開始!」

 

「了解!」

 

 俺は美琴と、彩峰はたまと、冥夜は委員長と組んで、3手に分かれて演習を進めていく。一日でも早くクリアできれば、一日でも早く衛士になれる。一日でも早く戦術機に乗れれば、一人でも多くの命を救うことが出来る。俺は演習を確実に進めていった。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マサキ

 

「唯依姫~。南の島に行かない?」

 

「何を言ってるんですか。まだデータのまとめが終わってないじゃないですか。現実逃避はまだ先にしてください」

 

 データ入力をしながら唯依姫は声を上げる。

 

「タリサにステラは?」

 

「行きたいな。そん時は1週間ぐらい休み貰いてぇな」

 

「良いですね。水着も確か持ってきてるし」

 

 タリサとステラはテストパイロットとしてやることがないため、シロとクロを撫で回して暇を潰している。二人は丸っと。

 

「悪いけど遊べるのは2~3日だけなんだよね~。クリスカは?」

 

「そ、それは命令か? (命令でなくとも行きたいが……)」

 

 書類に目を通しながら赤くなるクリスカは答える。俺はクリスカの欄にも丸を付ける。

 

「命令なら行く……と」

 

「イーニァは? 聞かないの?」

 

 少し頬を膨れさせるかのように、イーニァは自ら聞いてくる。

 

「何だ断るつもりだったのか? クリスカが行くなら強制的に連れて行くから安心しろ」

 

 その返答に膨れっ面は一瞬でパァッとなり、明るいイーニァに戻った。

 

「中佐、先ほどから何を書いてるんですか?」

 

 データ入力に一区切り付いたのか、唯依姫は俺のところにやってくる。

 

「唯依姫、今一度聞こう。南の島に行かないか?」

 

 俺は再度説得にかかった。

 

「最近働きづめじゃん? 新潟の一件もあるし、自分にご褒美的な? そんな何かが欲しくてな。ほら、根詰めすぎても辛いだけで良い結果は出ないよ。そんなわけで、みんなとの親睦も含めて南の島に行くことに……したんだ」

 

 俺は書類を唯依姫に見せ付けるように掲げた。

 

「『したんだ』って決定事項じゃないですか!?」

 

 俺から書類を奪い取り、内容を読み唯依姫は驚愕の声を上げる。

 

 そう、決定事項なのだ。

 

 【演習】という名目で提出された書類は、承認の判子を押されて返ってきている。参加者は大多数にならない限り、俺のさじ加減で決めていいとの事なので、この場にいる面子で行こうと考えていた。もちろんタケル達のいる島へだ。

 

「水着に自信がないんですか篁中尉?」

「いや、マサキに見られるのが恥ずかしいんだろう?」

「篁中尉。行かないならマサキを失う覚悟を持つんだな」

「南の島でマサキが貰えるの!?」

 

「意味不明だお前ら。さて、どうする唯依ひ……め!?」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

「貴様ら……水着だの、中佐に見られるのが恥ずかしいだの、中佐が貰えるだの好き勝手言って……」

 

 マジギレか、マジで噴火する5秒前……良い人生だった……か? いやいや短すぎるだろ。いくらBETAがいる世界だからってBETAにやられたわけでもないのに死ぬとか。

 俺は天を仰ぐように目を閉じた。恐らく悪魔の翼を生やした唯依姫が極大魔法を使用し、この基地全てが地獄の業火に焼かれ全てが融解するのだろう。え? そういう話じゃないって? まぁそんぐらい怖いって事さ。

 

 しかし、唯依姫の次の言葉は俺の意に反するものだった。

 

「中佐は私のだ!!」

 

「「「「なっ!?」」」」

「ん? そうなの?」

 

 俺以外の4人は愕然としている。俺は飲み込めずに首をかしげた。

 

「中尉! マサキは私のことカワイイって言ってるんだぞ!?」

 

 タリサは俺の腕を抱きしめるように唯依姫に向き直った。

 

「何だ何だ? そりゃ可愛いけどさ」

 

 

「あらあら、じゃあ私も。私のことはキレイって言ってくれてますよ」

 

 逆サイドからはシロを放ってステラが腕を取ってくる。

 

 

「おわっシロが投げられた! ……おぉ流石ネコ」

 

「ニャー(びっくりするニャ!)」

 

 

「中尉はマサキの事を名前ですら呼ばないではないか!」

 

 後ろからはクリスカが真っ赤になって腕を回してくる。

 

「キャラじゃない事するから真っ赤になるんだよ。無理すんなよ」

 

「マサキは私のだよ!」

 

 イーニァは前からしがみ付き、唯依姫のほうに顔だけ向けている。

 

「もはや身動きも取れん。何だコレは?」

 

「貴様ら羨ましいことをするなーっ!!」

 

 

「えーと、何だかよく分からんが唯依姫も行くって事でいいのか?」

 

「中佐の貞操の為に行きます!」

 

 俺は再度首を傾げて、唯依姫の欄に最後の丸を付けた。

 貞操のためって、誰にも手ー出さないし、出されないよ。いくら女神効果があるとはいえ、そんな出会って数日でベッドインなんて有り得ないわ。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side タケル

 

【3日目・夜】

 

「千鶴さんと冥夜さんが来たよ」

 

 美琴は周辺の警戒をしながらそれを見つけたようだ。

 

「お、ついに来たか……」

 

 前回は4日目のギリギリの時間に着いたってのに……今回は2日目の夜に到着だ。体力がそのままで行軍速度が速いこと、トラップの位置が大体分かることなどが非常に大きい。

 

「タケル、少し灯が漏れているぞ……30m先からでも丸見えだった」

 

「え? ああ、やべえやべえ」

 

 冥夜の指摘に俺は焚いている火を若干散らしていく。少し気が緩んだかな。

 

「しかし……そなた達、さすがだな」

 

「ホント。ふたりはいつ着いたの?」

 

「ボクたちは昨日の夜に、ここに着いたんだよ」

 

「……!?」

 

「それは本当なのか……?」

 

 ガサガサッ

 

「あれ~、もしかして、すでに揃ってる?」

 

「おう。おまえ達が最後だ」

 

 たまと彩峰も合流した。これで第一目標はクリアだ。

 俺達は各自、取得できたものの確認。施設破壊などを説明していった。

 

 前回の世界と同様に、たま達は脱出地点が書かれた地図。弾が一発だけの対物体狙撃銃(アンチマテリアルライフル)を一挺を手に入れていた。ライフルはかなりでかい。まぁ2分割して持ち運べるから良いだろう。そして、冥夜達はラペリングロープ。俺達はシートだけだ。

 

「……OK、じゃあ、班ごとにローテーションを組んで、交代と休憩と食事を取りましょう」

 

「そうか、委員長達まだ食ってなかったのか」

 

「合流地点が近かったのはわかっていたからな。早く到着したかったのだ」

 

 そう言って、俺達は食料調達に足を運んだ。

 

「わっ、この実食べられるかな~」

 

 たまが見たこともない木の実を拾い上げる。

 それに対して間髪いれずにサバイバル特化した美琴が否定の声を上げる。

 

「パンギノキには強い毒があるよ」

 

「……これは?」

 

「マチンは猛毒だね~」

 

「……なるほど」

 

 彩峰は美琴に確認しながら委員長を見た。

 

「……。なんで私を見るわけ?」

 

「……え?」

「え? じゃないわよ!」

 

「……見てない」

「見たでしょうが!」

 

「あげる」

「いらないわよ!! 毒でしょうが!!」

 

「おまえら……」

 

 ……前倒しに集合できても、いい感じに不安が残るのは何故だ?

 

 委員長と彩峰の仲は悪い。実際は同じ方向性を持っているから話し合えれば大丈夫なはずだけどな……。

 

 俺達はその後も順調に進み回収ポイントまでやってきた。

 コレって確か、発煙筒を焚くと砲撃されるんだよな……。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マサキ

 

「番号!」

 

「1!」 「2」 「3」 「よーん!」 「……5(完全に遊びに行く準備だけだコイツら……)」

 

 唯依姫だけ元気がない。よっぽど疲れてるんだな。

 この南国行きでリフレッシュしてもらえればいいのだが。

 

「では帰るまでが演習だ。気を抜かずに全力で取り組むように!」

 

「「「「了解!」」」」 「……了解」

 

 俺達はヘリに乗り込み、出発した。

 そこまで時間もかからずに着くには着いたのだが……。

 

「見えてきたぜ海~!」

 

「キレイなところね」

 

「貴様ら遊びに来たんじゃないんだぞ!?」

 

「唯依違うよ? 遊びに来たんだよ?」

 

「イーニァの言うとおりだ。篁中尉、これは【演習(あそび)】だ」

 

 そんな会話が飛び交う中、発煙筒が焚かれているらしく、少し離れたヘリポートに赤い煙が地上から昇ってくる。

 

「あれは?」

 

「あぁ、言うの忘れてた。訓練生が演習中なんだ。ほら、あっちのヘリポート見えるだろ」

 

 タリサは双眼鏡を構えてその方向を見て「あーいるな。総合演習かー懐かしいな」とニヤけている。

 

「だとすると、彼らはこれから帰るということですか」

 

「ん、まぁ普通ならそうなんだけど」

 

 ―――普通じゃないからなぁ。

 

 ガガガガガガガガガガガッ

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

 その訓練生達がいる着陸地点のヘリポートが離れたところに設置されている砲台によりボロボロにされていく。

 

「あの発煙筒を焚いていた訓令兵は!?」

 

「……ものすごい速さで逃げてったぜ」

 

 よしよし、タケルは無事だな。

 

 ヘリポートから逃げるようにタケル達を乗せるはずだったヘリは去っていく。

 

「あれじゃあ降りれないもんな。どーするんだアイツら? つーか総合演習ってあそこまで厳しかったか?」

 

「『総合戦闘技術評価演習』ね。私がやった時もあんな感じでクリアだったかと思うけど、砲台で狙われるなんてなかったかな。中々厳しいのね」

 

 

 

 

 

 

 

「で、何しに来たのあんた達?」

 

 夕呼先生はビキニ姿で完全にバカンスしてる。しかし、備え付けられたテーブルにはパソコンがあり、砲台を操作したと思われる画面のほかにXM3などのデータや00ユニットの関連データがある事から、バカンスだけではない事が分かる。いや~流石に00ユニットは分からんわ。脊髄付きの脳味噌から、すんごい重要な役割を持った人間なんて造れないっす。流石本物の天才は違いますな~センセ。

 もちろんだが、00ユニット関連のデータは俺でもよく分からないが、見た事あるかも程度のモノだけな為、他の人間が見ても問題にはならないだろう。00ユニットに関する詳細なデータは本当なら見た事もないようなデータばかりだと思われる。

 

「息抜きの遊びとお祝いに来ました~」

 

「そ、あいつ等なら今頃……」

 

「さっき砲撃したところ見てました。別の脱出ポイント設定したんですよね?」

 

「えぇ、まぁ明後日ぐらいまでかかるでしょうね。……アンタ何してんの?」

 

 俺はバッグから道具を次々に出していく。釣具だ。

 

「メシの調達をと考えましてね。あ、いい日本酒も用意してますよセンセ」

 

 俺は更に酒、調味料や米も取り出した。

 

「そこまで用意してるってことは期待していいんでしょうね? 任せたわよ。レーションばかりってのも味気なくてうんざりしてたのよ」

 

 らじゃ~。

 

 女性陣は着替えに行った。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 女性陣

 

「少尉……何を見ている」

 

「やっぱ中尉のはでかいな……」

 

「あら、タリサは根強い人気がありそうなステータスがありそうじゃない」

 

「そしたらアレには勝てないだろ……」

 

 視線の先にはたった今着替え終わったイーニァの姿があった。女性からしたら子供として映るが、男性からしたら熱狂的なファンが出来そうな感じだ。そんなイーニァの胸元には「いーにぁ」と書かれた名札があった。スクール水着というソレは似合うとかそういうレベルを遥かに超えている気がする。

 

「そんな事よりも……」

 

 地味な柄のビキニを着こなすクリスカは全体に聞くように声を上げる。水着の柄は地味かもしれないが、プロポーションが全てを語っていた。「この人は強敵です」と。

 

「そんな事って何だデカパイ!!」

 

「なっ!? 好きで大きいわけではない!」

 

「はいはい、落ち着いて。何を言いかけたの?」

 

 顔を少し赤らめたクリスカは落ち着いて再度口を開いた。

 

「マサキは……どんな水着なんだろうか? やっぱりハーフパンツとかの下だけの水着なのか?」

 

「下だけって……当たり前じゃねぇか。上半身裸に決まって……あれ?」

 

「それはそれで拙いんじゃない? 何か、そう、色々と拙い気がするわ」

 

 何故か彼女達の脳内では胸元を腕で隠すマサキの姿しか浮かんでこない。

 

「じゃ、じゃあ……アタシ達の水着みたいに上も着けてるとか?」

 

ビキニの上だけを着けてるマサキの姿を想像して4人は鼻血を噴出す。

 

「ブッ……それは犯罪だ。確実に捕まる。何も着けてないより破壊力が……」

 

「ちゅ、中佐でヤラしい想像をするな貴様ら!」

 

「鼻血出して言うセリフじゃないですよ中尉」

 

「着替え、まだ終わらないの~?」

 

 いつの間にか先に行っていたイーニァが戻ってきて、4人は冷静さを取り戻し、砂浜に戻った。

 

「遅かったな?」

 

 そこにはハーフパンツにパーカー姿の海堂正樹、階級は中佐。性別は男。見た目は女の子。知り合いからしたら男の娘がいた。

 

「「「「そう来たかっ!!」」」」 「?」

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マサキ

 

 何か不思議な視線を向けられているが……。

 

「じゃあ各員全力で任務(あそび)を遂行せよ!」

 

「ちょっ! 『各員』って待てよマサキ! 泳がないのかよ!?」

「泳がないのでしたら水着の意味も薄れてしまいますね」

 

 タリサはスポーティーなセパレートタイプの水着に着替えていた。

 ステラとクリスカはビキニタイプ。

 唯依姫は競泳タイプの水着。

 イーニァはというとお約束なスク水だ。スクール水着だ。

 あえて略称から直して説明した意味は特にない。言わなきゃいけない気がしただけだ。ついでに言っておくと白ではなく紺だ。

 

「マサキ、海に来て遊ぶといったら、コレじゃないのか!?」

「マサキが海に入らないなら、イーニァも入らない!」

「ど、どういうことですか中佐?」

 

 みんな俺の行動に疑問を持っているようだ。

 説明しよう! 俺は泳げないのだ!! 海? 見るものだよソレは。 泳ぐ? HAHAHA船で渡ればいいじゃないか。運動能力が上がっているから泳げるかもしれないが、それはそれこれはこれ。海に叩き落されるわけでもなければ、俺は泳がない! 試したくもない!

 

「というわけで、俺は別に泳ぐとか一言も言ってないぞ?」

 

「「「「どういうわけだ(ですか)!!」」」」 「えーっ!」

 

 俺は非難の声を聞き流し、大き目の麦ワラ帽子をかぶり、予定していた釣り場へと向かった。

 

「こうなったらビーチバレーで勝負だ!!」

「私は止めておこう」

 

「中尉、逃げるんですか?」

「いや、逃げるとかではなく……」

 

「負けるのが怖いと?」

「いや、だから……」

 

「それじゃあマサキは私のだよ?」

「いつの間にそういう勝負になったんだっ!」

 

 うん。何の話をしてるかは分からないが、仲は良さそうだ。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 今回は一本道だったから流石に迷うことはなかった。

 

「やっほ~まりもちゃん」

 

 俺はヒラヒラと手を振り、そこにジッと佇むまりもちゃんに軽い挨拶をした。

 

「海堂中佐!? ご苦労様です!」

 

「あ~敬礼いらないですよ? 休暇みたいなものですから。まぁ休暇以外でもいらないですけどね」

 

「は、はぁ。このようなところへ、わざわざ?」

 

「まぁタケルとかどうなのかなって思いましてね。まぁ問題ないでしょうけど」

 

 俺は釣具を組み立て、質問に答える。

 

「えぇ見る限り、大きな問題はありません。昼間に基地襲撃を行うなど、セオリーとは違った行動をとることもありますが、行軍速度は速いですね」

 

「アイツはね、少し生き急いでるんですよ」

 

「生き急いでいる? 白銀が、でありますか?」

 

 俺は釣り針に餌をつけて海へ投げ入れる。

 俺の頭の上にはクロがいる。膝の上にはシロがノビノビとしている。

 

「そう、人類がどうなるのか理解しているかのように、そしてそれを変えようと必死でもがいてるんです。まぁ、誰も彼も……全人類を救いたいんですよ。タケルって全てにおいて普通以上にこなすでしょう?」

 

「え、えぇ驚かされることばかりです。白銀が衛士になればと、先を考えるのが楽しいほどに」

 

「もしそうなったら、まりもちゃんは階級が下になっちゃうんですよね……」

 

 衛士になれば階級は少尉。まりもちゃんは、そこまで育て上げる軍曹。少尉より下だ。

 

「えぇ、送り出してやることしか出来ませんし、私から学ぶことはないかもしれませんがね……」

 

「ん~、タケルはそんな事考えてないですよ。最高の恩師として考えているはずです」

 

「そ、そうでしょうか? 彼ほどの者の教官を務められているのかが日々疑問ですよ」

 

 まりもちゃんは苦笑しながら照れたようだ。

 

「おっと……餌だけ取られたか……。魚はいるんだよな~」

 

 俺は餌をつけ直して、また海に投げ入れる。

 

「海堂中佐、不躾で申し訳ありませんが、香月副司令から少しは話を聞いています。中佐の衛士としての腕前は横浜基地、いえ世界トップクラス。開発顧問もされているそうで、そんな中佐は白銀とはどういった関係なのでしょうか?」

 

「どういった関係って……男同士ですからねぇ、そんな関係は当然ありませんが」

 

「男同士? 誰と誰がですか?」

 

「あれ、聞いてません? 俺は男ですよ。だから色恋関係は遠慮というか、拒否したいですね」

 

「男だったんですか!?」

 

「えぇ、よく言われます(あの女神の所為で……)」

 

「……ってそうじゃありません! 白銀と何故知り合いなのかを……!」

 

「かかった!! お、デカイな……まりもちゃん網用意して!」

 

「は、はい!」

 

 釣れたのは見事な鯛だった。

 

「よっしゃ~! 今晩、コイツの刺身とお吸い物でも差し入れ持ってきますね」

 

「あ、いや、あの……白銀のことは」

 

 俺は唇に人差し指を当ててウインクして言った。

 

「―――Need to know.」

 

 Need to know.

 つまり、『情報は知る必要のある人のみに伝え、知る必要のない人には伝えない』ということだ。

 まぁ、いつか話すことがあるかもしれないな。

 

「っ 失礼しました!(この仕草……やっぱり女の子じゃないかしら?)」

 

「敬礼はいりませんよ。じゃあまたあとで」

 

 俺はクーラーボックスに〆た鯛を入れて、ポイントを変えるために片付け始めた。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「というわけで、鯛の刺身とお吸い物。それに鯛めし。焼き魚が10本ほどございます」

 

「「「「「おお~っ!」」」」」

「やるじゃない海堂」

 

「あ、夕呼先生。演習は明日で終わりだと思います」

 

「あら、結構早かったのね。じゃあ明後日で基地に戻るわけね」

 

「ん? 何で明日戻らないんだ……ですか?」

 

 タリサが、副司令だったと思い出して口調を直しつつ聞いた。俺がそれに答える。

 

「訓練生だからな。ご褒美だよ。南の島の海でバカンスなんて普通出来ないんだぜ? 演習に合格して衛士になって『おめでと~』ってな。次は戦術機だぞってな」

 

「へへっそうか、これから肩並べて戦うことになるんだな……」

 

 しみじみとタリサが夕日に染まる海を眺めている。総合戦闘技術評価演習も訓練生時代も懐かしがってたし、良い先輩衛士となるだろう。

 

「お、今の表情良いね。カワイイ」

「っ!///」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「「「「これから肩並べて戦うことになるんだな……」」」」

 

 何を思ったのか、クリスカ・イーニァ・ステラ・唯依姫がハモってタリサの言葉を海に向かって復唱していた。

 

「何? あんた等って芸人だったの?」

 

「何をしているんだお前らは……」

 

「ぐっ! 失礼しました」 

「慣れない事はするものじゃないですね」

「……何が悪かったんだ?」 

「ちゃんと言えたよ? カワイイ?」

 

「あ、夕呼先生。基地に戻ったらでいいんで、少しの間基地を離れることを許可いただきたい」

 

「あら、何日ぐらい?」

 

「ん~1週間もいらないかな……。1日で……2日で……2~3日ってところですかね」

 

「分かったわ。後でもいいから報告しなさいよ?」

 

「らじゃ~」

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side タケル

 

「回収ポイント確保! 散開して全方位警戒!」

 

「回収機は!?」

 

「目標範囲内に機影なし!」

 

 俺達は5日目にして 総合戦闘技術評価演習をクリアーしようとしていた。

 

「状況終了! 207分隊集合!」

 

 あ…れ……? ヘリは? まりもちゃん、どこから?

 

「只今を以って、総合戦闘技術評価演習を終了する。ご苦労だった」

 

 終わったのか。……疲れた。

 

「評価訓練の結果を伝える」

 

 ―――えっ?

 ここに来れば合格じゃないのか!?

 

「敵施設の破壊とその方法、鹵獲物資の有効活用……何れも及第点といえる」

 

 ―――よしっ!

 

「最後の難関である砲台を、最小の労力と時間で無力化したことは、特筆に価する」

 

 ―――きたきた!!

 

「しかし……」

 

 ―――えっ!?

 

「白銀と鎧衣は基地襲撃を日中に行ったな……なぜ、セオリーである夜明け前を選ばなかった?」

 

「退路の確保ができていないジャングルでの夜間行動は危険だからです」

 

「……ふん。周囲の地形を確認してから、夜間に襲撃することもできたのではないか?」

 

 しまった……。焦りすぎたのか……!?

 

「敵施設を迂回することもできたな? これらの減点は決して小さくないぞ」

 

 それは……人間相手の場合だろう!?

 俺達の敵はBETAじゃないかッ!!

 

「―――まりもちゃん!」

 

「―――まりもちゃん……?」

 

―――しまった! こんな時に……つい……。

 

「まぁ……いい。白銀、今日の所は見逃してやろう……めでたい日だからな」

 

「「「「「―――えっ!!」」」」」

 

 ……どういう事だ?

 

「おめでとう……貴様らはこの評価演習をパスした!」

 

「……えっ……でも……それだけの重大なミスを……」

 

「榊、この演習の第一目的はなんだ?」

 

「脱出……です」

 

「実践に於いて、計画通りに事態が推移することは稀だ。それ故、タイミングや運といった要素も重要になる。それらを全て味方に付け、結果として目的を達成すれば『それが正しい判断だった』ということになるんだ」

 

 ……!!

 

「セオリーはセオリーでしかない。結果として、貴様等を狙える位置に追撃部隊は存在しなかったし、砲台のセンサーはひとつだけだった。そして貴様等は、全員無事に脱出に成功した……違うか?」

 

「……いえ……」

 

『おめでとうー!! 次は戦術機が待っているぞ!!』

 

「「「「「「「―――えっ!?」」」」」」」

 

 ここにいる全員が、突然の拡声器による声に反応した。

 

「マサキ!?」

 

「あの子は……」

 

「全く、あの人は……」

 

 まりもちゃんが額に手を当てて溜息をついている。

 

『と、まぁ堅苦しい事は一先ず置いといて、せっかくの南の島だ! 遊べ! 食え!』

 

「何でいるんだ?」

 

『祝いに来た! おめでとうタケル!!』

 

「あ、ありがとう……」

 

「確か、この前も仲良さそうにしてたよね?」

「マサキちゃんでしたっけ?」

「基地から南の島まで追いかけてくるほどの仲とはな……」

「みんな、体力は余ってるかしら?」

「……もち」

 

「ん?」

 

 俺は変な威圧感を感じて後ろを振り返ると気絶する羽目になった。気がつけばこの島、6日目で、みんなは楽しそうに海で遊んでいた。霞へのお土産になるような貝殻でも探すか。

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マサキ

 

「あ~大丈夫かコイツ?」

 

 俺はボロ雑巾のようになっているタケルを棒で突いている。

 

「マサキさんでしたっけ?」

 

「んあ? 委員長か。何かな?」

 

「こんな島まで白銀を追ってきたんですか?」

 

「まぁ目的の半分はそうだな」

 

「たけるさんと、どういう関係なんですか!?」

 

 今度はたまか

 

「関係も何も。ただの……知り合い? 友達?」

 

「何故、疑問なのだ?」

 

 冥夜も参戦してくる。

 

「会って間もないし、違う配属になっちゃったしね~」

 

「それで……どういう関係?」

「ボクも気になる!」

 

 207全員集合だな。愛されてるね~タケル。

 あれ、待てよ?

 

「……もしかして、俺のことタケルから聞いてないのか?」

 

「聞いてない」 

「俺?」

 

「俺は海堂正樹。男だ」

 

「「「「「―――えぇっ!?」」」」」

 

「マサキー!」

 

 ドスッ

 俺の脇腹にイーニァが突撃してきた。地味に痛い。

 

「フぐっ……ぃ、イーニァ色々と危ないから急にタックルを仕掛けるのは止めような?」

 

「マサキ、こいつ等が訓練生か?」

 

 タリサが焼き魚をムシャムシャと食べながらやってくる。

 

「あら、カワイイお嬢さん達ね」

 

 ステラは俺の両肩に手を置いて言ってくる。

 

「ほう、良い面構えをしているな」

 

 クリスカは冥夜を見てそう呟く。

 流れからすると唯依姫も来るかと思ったが、夕呼先生とパソコンの画面を見て話し合っている。仕事熱心だ……何しに来たんだか。まぁ外すところは外してやってるのだろう。

 

「あぁ、先に紹介しておこうか。横浜基地でテストパイロットなどを務めている少尉たちだ」

 

「けっ 敬れ……!」

「あぁいらんいらん。演習はもう終わったんだし、俺達も休暇だ」

 

「じゃ、じゃあマサキさんも少尉なんでしょうか?」

 

 たまが恐る恐る聞いてくる。

 あぁ、今まで普通に話してたからな。「やっべぇ~」って思ったんだろう。

 

「いや、俺は少尉じゃないよ。まぁ、飯でも食えよ」

 

 俺は面倒だから階級の話を打ち切るかのようにはぐらかした。

 話す時は話すさ。

 

「あ、唯依姫~フルーツもあるよ~」

 

「あ、はい。いただきます」

 

 お、よしよし。唯依姫の元気も出てきたようだ。

 

「ふふふ、ういういしいわね~」

 

 そんな事を夕呼先生が言ってくる。はて、フルーツだよな? みずみずしいの間違いじゃないか?

 

Side out

 

 

 

 

 




感想は随時受付中です。



 タリサ可愛いよタリサ~。初めてTEの冒頭部分のゲーム(体験版?)やったのって何でやったんだっけ? オルタのクリア後にゲーム内に出てきた? いや、普通にダウンロードだった気がする。
 その頃は「ユウヤって誰?」「日本人が何で日本人嫌ってるの?」って感じだったけど、タリサがスカーレットツインに背後取られて悔しがるシーンはカッコいいなぁって思ったもんだ。

 でもヒロインにはなれな……おや、誰か来たようだ。
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