ローゼンメイデン プロジェクト・アリス   作:Ciels

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TKGW君、やっとまともな話が書けるぞ・・・・・・


Sequence 15 Contact down

 

 

 

 

 

 帰り道。突然現れた雪華綺晶からの襲撃(意味深)をどうにかして対処し、帰路につく。

家からバイト先まで5分程度なので本来なら行きも帰りも自転車なのだが、この前大学の帰りに自転車でこけて壊れたので今日は歩きだ。

なお、俺氏無傷で生還した模様。

 

ちなみに雪華綺晶は俺から離れたくないらしく、今はスマートフォンの液晶の中にいる。

どうやらある程度光を反射している物からならnのフィールドを介して行き来できるらしい。

そして、これは先ほど聞いた話だが、人間でもnのフィールドへ直接行くことは可能との事。

ただし、ローゼンメイデンたちと違って体力の消耗が著しいので2、30分も留まれないのだとか。

 

 

 

「うふふ、こうしてマスターとお散歩できるなんて、時代は便利になりましたね」

 

 

「たぶん時代は関係ないと思うんですけど(名推理)」

 

 

手鏡だって媒介になるだろうに。

しかしあれだな、ホーム画面を行ったり来たりしている小さな雪華綺晶は新鮮だ。

どうやらアイコンやアプリにも干渉できるらしく、俺の写真フォルダを閲覧している。

大丈夫、エロ画像は秘密のアプリに厳重に保管してある。

 

あ、おい待てぃ!そのアプリはいじるのヤメロッテ!(表に出たら)捕まるッ!捕まるッ!

 

 

「そのアプリはいじるのヤメロォ!(本音)ヤメロォ!(懇願)」

 

 

「あらあらまぁまぁ・・・・・・こんなので興奮するんですの?すごい変態ですわ」

 

 

「もうちょっとホントに・・・・・・」

 

 

俺をいじるのはそんなに楽しいかコラ。

そりゃあ俺は小中高といじられキャラだったけど、主従関係にあるドールにまでいじられたくない。

フォルダをいじって雪華綺晶は満足したのか、そのまま×を押して長年苦労して集めた秘蔵画像を消し去った。

なんて事を・・・・・・ふざけんな!

 

 

「酷いですね君!(レ)」

 

 

スマフォに向けて一人憤怒する大学生。

雪華綺晶はすっきりとした顔でこちらを見た。

 

 

「あら、私以外に興味なんて持たないで下さいな。貴方は私だけのマスターなのですから」

 

 

え、なにそれは(畏怖)

お前ヤンデレかよぉ!(戦慄)このままだといつかバラされて頭だけバッグに入れられてしまうんじゃないだろうか。

いやこいつならマジでやりかねないから怖い。

 

 

「やべぇよ・・・・・・やべぇよ・・・・・・」

 

 

「うふふふ・・・・・・冗談ですわ・・・・・・たぶん、ね」

 

 

「クゥーン・・・・・・(絶望)」

 

 

あからさまに絶望している俺を見て雪華綺晶は笑う。

普段はにこやかだったりミステリアスな笑みを浮かべているだけだからちょっと新鮮だ。

俺はそんな彼女を画面越しに見て、

 

 

「やっぱり笑うと可愛いな」

 

 

と、不意打ちをかます。

すると案の定雪華綺晶は顔を真っ赤にして後ろをそっぽ向いた。

彼女は顔を手で押さえながらしゃがみ込んでこちらに顔を見せない。

 

 

「ふ、不意打ちは卑怯ですわ・・・・・・」

 

 

「お返しだよ・・・・・・ん?」

 

 

ふと、俺は足を止める。

なぜなら、5メートル手前に、道の真ん中で突っ立ってこちらを見ている女性がいたからだ。

動きやすそうな黒いホットパンツに黒のストッキング、そして黒いパーカー。

その上から深緑のポンチョを羽織り、頭はフードで隠すようにしていた。

状況から考えて怪しい。

なぜ女性か判別できたか、という点には色々な要因があるが、あのパーカーが女性もののブランドであるから、というのが一番の決め手だ。

伊達にパーカーを年中着ていない。

小柄な男でも着る可能性はもちろん否定はできないが、全体的に見て女性であることは確かだろうし、なによりもあのブランドのパーカーはタイトで、胸を強調するタイプだ。

胸が、浮き上がっている。おぉ。

 

それにあのブーツ・・・・・・よく見たら米軍が採用しているジャングルブーツだ。

クッソ怪しい・・・・・・が、よく考えたら今は陽が落ちかけている時間帯なうえに路地裏だ。

だから俺も気にせず雪華綺晶と話せた訳で・・・・・・

 

 

 

「マスター?どうかしましたか?」

 

 

「雪華綺晶、ちょっと静かにしてろ」

 

 

俺はスマートフォンをポケットにしまう。

雪華綺晶が何か言っていたが、それよりも今は眼前の怪しいヤツに対処するべきだ。

 

もしかしたら、ただあそこで誰かを待っているだけかもしれない・・・・・・

 

 

 

俺はそっとした足運びで彼女の横を通過しようと歩き出す。

その際、相手を見てはいない。見たとしても、一瞬で、顔は見ない。

もし相手が変質者だったら、顔を合わせるのはマズイ。

 

いつもよりも少しだけ猫背で歩く。

 

 

そうして女の左横を過ぎようとした。

 

その時。

 

 

 

「河原 郁葉さんですね」

 

 

 

突如、女が俺の名前を確認するように呼んだ。

俺は驚いて彼女の方へ向く。

 

目に飛び込んできたのは、ポンチョの下から伸びた腕と、その先に持つナイフ。

しかも普通のナイフじゃない。鎌のような刃をした、カランビットナイフと呼ばれるものだ。

東南アジアの伝統的なナイフで、鎌や鉤爪のような短めのブレード、ハンドルエンドには指を通して保持するリングが一体化している。

近年、その有用性が買われ特殊部隊などで採用されているらしい。

通常のナイフとは違い単に突き刺したり切りつけるのではなく、引っかけたり突き刺したりして、そのまま裂くというような攻撃に適している。

その小ささゆえにリーチは短いが隠し持つには有効で、それでいて殺傷力が高いのだ。

しかし、この武器は熟練した者でなければ使うことは難しい。

俺もコスプレ用のダミーを持っているが、使い方がよくわからないので部屋のどこかで眠っている。

 

 

そんなカランビットナイフの刃が、俺の眼前に迫る。

 

 

 

「ッ!!」

 

 

俺はダッキングして突然の一手を交わす。

我ながらよく反応できたと思う。もししゃがまなければ確実に喉を掻き切られていただろう。

 

しかし、そう感心したのも束の間、空ぶった刃がまた戻ってきたのだ。

 

 

「クソッ!」

 

 

避けきれないと感じた俺はなんとか、ナイフを持つ女の左腕を両手で押さえる。

殺す気満々のようで、男の俺でさえ一瞬そのまま押し切られそうになった。

片膝をついてしゃがんだ状態では本来の力は出せないという事が迫る死に拍車をかける。

 

と、片腕だけでは俺の両手を押し返せないと踏んだのか、女は右手を、ナイフを持つ手に添えて事実上両手でナイフを押してきた。

予想以上の力に押し切られそうになる。

 

 

「ぐッ!!!」

 

 

眼前までナイフがゆっくりと迫る。

このままではナイフが俺の目をえぐる。

 

 

「マスター!?どうしたの!?」

 

 

その時、ポケットの中から雪華綺晶が叫んだ。

不意な事態に気を取られた女が、一瞬だけ俺から目を離す。

 

それを俺は見逃さなかった。

 

 

「オラッ!」

 

 

元祖ヤレヤレ系主人公が如く俺は声をあげ、女の手をハンドルのように反時計回りに捻った。

それによって女はバランスを崩し跪き、俺に腕を握られたままこちらに背を向けてしまう。

俺はそのまま左腕を片手で掴み、立ち上がると同時に背後へまわって拘束するように空いていた右手を女の首へ回す。

 

 

要は、相手を跪かせて片腕を拘束し、空いた手で後ろで首を絞めているのだ。

警察が犯人を拘束しているようなシーンを想像してほしい。

これならナイフは使えまい。

 

 

「いッ・・・・・・!?」

 

 

俺が首を絞めたことによって女は短く声をあげる。

片腕だけでも首は強く締まるものだ。

 

が、そんな不利な体勢にあるにもかかわらず、女は抵抗をやめなかった。

俺が取り上げようとナイフへ手を伸ばし、少しだけ彼女に密着した瞬間、彼女の空いた右手が俺の襟首を掴んだのだ。

 

 

「うおっ!?マジかよ!!!」

 

 

そのまま背負うようにして俺を前方へと投げ飛ばす。

まさかの片手一本背負いだ。

 

当然柔道や格闘技なんかやっていない俺は受け身を取れずに背中から地面に叩きつけられる。

 

 

「オォン!!!!!!」

 

 

汚い苦痛な声をあげて俺はのた打ち回る。

その間に女は回復したのか、立ち上がって俺の横腹を蹴ってきた。

ゴスッと鈍い音が骨に伝わる。

 

 

「ごほッ、やめ、ほんと、ちょッ」

 

 

俺の悲痛な訴えもむなしく女は俺の横腹を蹴り続ける。

ブーツの先が硬くて本当に痛い。

 

さすがに俺も耐え切れず、痛みを無視して蹴りを手で払い、急いで立ち上がると同時に相手に掴みかかる。

 

 

このままナイフを奪い取ってやる。

カランビットはリングがあるから奪いにくいが、そうでもしなきゃ殺される。

 

 

女は案の定抵抗してきた。

ナイフを使ってパンチをガードしようとしたのだ。確かにナイフに拳が突っ込めば手は血だらけになるが、俺は顔パンしようとしている訳ではない。

 

俺はナイフを握る女の手首を右手で掴むと、左手でナイフのハンドルを捻った。

 

 

「くっ!」

 

 

女はナイフを奪われそうになると左手を引いたが、男の腕力には敵わない。

俺はそのまま捻り切って彼女の手からナイフを掻っ攫う。

そしてゼロ距離からのタックルで相手を引き離すと、左手でナイフをしっかりと握って構える。

ド素人の構えだが、今はそんなことを言っている余裕はない。

 

 

女は多少はよろめいたが、すぐに立て直すと動かずにこちらをじっと覗いた。

ナイフを奪われ不利になったからだろうか、状況を確認しているのかもしれない。

 

 

 

が、気付いた時には女が目の前まで迫っていた。

 

 

「ファッ!?」

 

 

思わず俺は驚き、ナイフを振るう。

が、それを女は腕で俺の腕にぶつけるようにブロックして防ぎ、鳩尾に一発パンチを入れてきた。

 

突如にして猛烈な痛みが俺の意識を掻っ攫おうとするが、なんとか踏ん張って耐える。

次に女はブロックした腕を、彼女から見て反時計回りにぐるんと短く回すように動かした。

密着していた俺の左腕は、同じように回り、左腕が伸びて外へ向いた状態になる。

 

 

そこへ女は技を決めようとする。

 

 

外へ伸びた左腕の手首をしっかりと右手で掴み、左手で俺の胸を押す。

すると、面白いくらい綺麗に俺は後ろへ倒れた。

そんなに力が加わっていたわけじゃない。もちろん俺も弱っていたが、もしかしたら合気道的な何かの技だったのかもしれない。

 

 

「いでぇ!!!」

 

 

地面に寝転がりながら情けない声で痛みを表す。

ちなみに女は俺の左手を離さず、俺の手からナイフを再び回収する。

 

なんだこのナイフ獲り合戦。

 

 

「驚きました」

 

 

ナイフを回収した女は俺の腕を捻るとそう言った。

 

 

「いででで、なんだってんだ!」

 

 

腕を捻られて動けない俺は必死にもがきつつ言った。

 

 

「まさか私からナイフを奪おうだなんて。その心意気、賞賛に値します」

 

 

「そうですかわかりました手を放してくださいぃいいいい」

 

 

と、急に女は捻っていた手を放す。

痛みから解放されて息も絶え絶えな俺は地面に寝ながら女を上目に見る。

 

どうやら俺を倒した際にフードが脱げたようだ。

彼女の顔が明らかになった。

 

 

「はぇ~すっごい綺麗・・・・・・(感心)」

 

 

思わず痛みを忘れて言ってしまう。

その感想通り、彼女の顔は非常に綺麗な造りをしていた。

 

綺麗な茶色の瞳は釣り目になっていて強さを象徴しているようで、鼻も美しいラインを描いている。口も小さく、肌も白い。

髪も茶髪で後ろで縛っていた。ポニーテールだ。

まつ毛も整えられ、瞳の美しさを強調する。

しかし美しさに比べ年齢は幼い。俺よりも少し年下だろう。

 

 

こんな可憐な少女に俺は負けたのか・・・・・・

 

 

「お世辞はいりません・・・・・・ところで、貴方が河原 郁葉さんでよろしくて?」

 

 

今更確認するのか・・・・・・(困惑)あ、そうだ(閃き)

 

 

「違うよ・・・・・・人違いだよ」

 

 

「え!?そ、そうなんですか!?大変失礼いたしました!」

 

 

嘘をついてやると、急に少女は慌てだした。

なんだなんだ、さっきの威厳はどうしたんだ。

 

少女は俺を起き上がらせるとぺこぺこと礼をして謝罪する。

なんか面白いな。

 

 

「嘘だよ(正直)俺が河原 郁葉だゾ」

 

 

「ふんッ!!!!!!」

 

 

ゴシャッと俺の顔面に素早いパンチが突き刺さる。

俺はそのまま後ろへ吹っ飛んで鉢植えや何やらに突っ込んだのだった。

 

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