遅れて申し訳ありません。
これからもちょくちょく遅れますがすいません許してください、なんでもしますから
ん?
林本さんとの対話から数日、俺は今日も届いたサバゲー用品を自室で調整していた。
今回届いたものはホロサイトと呼ばれる光学照準器で、電池を入れると照準が光る。
これは実際に米軍で使われている実物で、ネットオークションで格安で購入した。
中古だが、まさか2万でこんなにいいものが手に入るとは思わなかったため、ウキウキで銃に取り付けてその素晴らしい姿を眺める。
あまりのカッコよさにため息を漏らして恍惚とした表情を浮かべた。
「やっぱ・・・・・・EoTechのサイトを・・・・・・最高やな!」
「あら、私とどちらが最高ですか?」
「ア゛ッ!↑ なんだよいたのか!びっくりしたなぁもぉ~」
突然雪華綺晶が後ろから声をかけてきた。
彼女は先ほどまでnのフィールドへと出かけていたはずだった。
なにやら翠星石と話すことがあったとか。それについては姉妹でしか話せないこともあるだろうから詮索はしない。
彼女も俺が望むのならアリスゲームはしないと言っているし、きっとそういった類の話ではないだろう、とは思いたい。
雪華綺晶は電動ライフルを重そうに持つと、電源が入っているホロサイトのレンズを覗く。
仮にも人形である彼女の身体では短めのライフルを抱えるのも一苦労だ。
「こんな風になっているのですね。昔はこんなに優れたものは手に入らなかったわ」
「昔っていつだよ(哲学)」
「百年近く前ですわ」
「嘘やろ?」
「いえ、本当です」
「はえ~、すっごい古い(小並感)」
他愛もない会話をお互いに交わす。
ローゼンメイデンという人形は古くから存在しているらしい。
ネットで調べてみても見たことのある人間は居らず、わずかな情報しかなかった。
ちなみに掲示板で書き込んで尋ねてみたらホモスレと化したため結局情報はない。
俺はベッドに横たわり、ライフルをラックに置いた雪華綺晶を抱きかかえる。
「よーし、今日は礼が晩飯当番だしそれまで一眠りしようかな~俺もな~」
そう言うと雪華綺晶はこちらに向き直って俺の胸に顔を埋めた。
お、大丈夫か大丈夫か?と言うと、雪華綺晶はちょっと眠そうに眼をこする。
「マスターに抱かれるのが気持ちよすぎて・・・・・・」
「無理矢理エロイ方向に持ってかなくていいから(良心)まずエロが多すぎるんだよね、それ一番言われてるから(指摘)」
そうは言いつつも、実際彼女に好意を向けられるのは嬉しい。
だってこの子嬉しそうに笑うんだもの。すっごい可愛い。
俺は彼女の髪に顔を埋める。
そうやってお互いがお互いに寄り添う姿はリア充そのものだが、相手は人形である。
俺は普通の人間とは言い難い感性を持っているため、それでもいいとは思っているが・・・・・・お前どう?
あ~いい匂い。花の匂いだなぁ。
「くすぐったいですわマスター」
「良いではないか良いではないか、ウェヒ!」
「あぁん、もう、意地悪・・・・・・えい!」
「おっと雪華綺晶そこは蹴っちゃダメだぞ子供が出来なくなっちゃう」
時々雪華綺晶はえげつない事を笑顔でしてくる。
そんなところも含めて彼女の良いところだが。
優しく彼女の頭をなでる。嬉しそうに頭を差し出す姿は俺の心を和ませる。
この数日間、彼女と過ごしていて俺は幸せだったりする。
以前から感じていた虚無感も、少しは消えてきた。それは彼女の存在によるところが大きいわけで。
俺はそんな彼女に甘えまくっている。
今だってこうして胸の中で彼女は俺に寄り添ってくれている。
だが、やっぱり何かが足りない。
これだけははっきりと言える。
「マスター・・・・・・?」
気が付けば、俺は彼女の頭を撫でる手を止めていた。
そんな俺を不思議に思った雪華綺晶が俺を上目遣いで覗いている。
「雪華綺晶はさ」
「はい?」
俺は雪華綺晶に問いかける。
「本当にアリスゲームはいいのか?」
どうやらいきなりそんな質問をされたことが意外だったようで、回答に詰まっていた。
「・・・・・・正直なところ、アリスゲームを綺麗さっぱり捨てるというのは難しいですわ」
「・・・・・・うん」
「アリスはお父様の悲願。アリスゲームは私たちの宿命。出来ることなら、私もアリスになりたい」
そう言う彼女の表情は笑っているものの悲しげだ。
「・・・・・・俺は人間だからアリスゲームに対しての認識は甘い。だが、もし雪華綺晶がその気なら、いいんだぞ」
「・・・・・・マスターは平穏に暮らしたいんでしょう?林本さんにも仰っていたではありませんか」
確かにそうだ。
人形同士だけではなく、林本さんの言い方的に、人間同士の戦いになる可能性もある。
「・・・・・・俺は君に感謝してる。こんなミリオタ淫夢厨の大学生と、文句ひとつも言わずに居てくれるんだから。それに報いたい」
「私は・・・・・・今のままでもいいですわ」
「少しは俺に頼ってもいいぞ」
そう言って俺は彼女の髪にそっと唇を添える。
雪華綺晶は頷いたが、表情は晴れない。
「どうした?」
「・・・・・・怖いんです」
ふと、彼女は呟く。
怖い?何が?そう尋ねると彼女は口を開いた。
「貴方を失ってしまうのが」
「そんなヤワじゃない」
「それでも、貴方は私を初めて受け入れてくれた大切な人。私が愛せる唯一の・・・・・・」
言われて恥ずかしくなってきた。
なんて可愛いんだこの子は。
「・・・・・・んまぁ、なんだ。俺は雪華綺晶の為に何かしてみたくなったんだよ、うん」
俺がそう言うと、彼女は嬉しそうに微笑んでちゅっと頬っぺたに唇を重ねた。
そしてありがとうと、耳元で囁く。
彼女にはそれで十分という意思表示。
俺と一緒に居られれば、それで良いと。
俺はもう何も言わなかった。
この子は意外と頑固だ。それでいて、人を思いやる優しさがある。
彼女を抱く力が自然に強くなり、同時に彼女の温もりを強く感じた。
二人で瞳を閉じる。
深い眠りに誘われようとしていた。
「ンアッーーーーーーー!!!!!!!!」
下の階から礼のクッソ汚い絶叫が聞こえてくるまでは。