Infinite Rockman〜インフィニット・ロックマン〜 作:あいーんチョップ
それではどうぞ!
「…………………」
「あ、あのー、千冬さん?」
「……なんだ真耶?」
あるBARで2人の女性がいた。本来であればそのバーはその日には営業しないのだが、今日だけは特別に2人のために営業をした。
千冬 SIDE
私は今複雑な感情の中にいる。その感情の正体は後悔と疑問と迷いであったのだが、こんな私についてきてくれた後輩である真耶が何故か私を呼んだ。
「千冬さん、まだ自分を許せないのですか?」
「真耶さん、それは千冬さんにとってはタブーですよ」
「いいんだ、マスター」
マスターは真耶を止めるように言ったが私にとっては良い薬だった。こうでもしないと酒だけに溺れた最低な女に堕ちてしまっただろう。実際一夏がいなくなった後日ただただ酒を飲み、その場にいない一夏に壊れたテープレコーダーみたいに何回も何回も謝っていた。
そう、私は今まで一夏のこと分かっておらず、家族なんてちっとも名乗れなかった。もっと優しくしてやるべきだったと後悔していた。
ついには自殺も考えていたが、束と後輩である真耶とドイツの教え子ラウラが身を呈して止めてなんとか思い留まった。
そして時間が経ち私は24歳になった。歳を取るにつれて一夏に対する後悔の念が強くなった。一夏の墓参りに行く度にだんだんと虚しさが募るだけだった。
フッ、好物であるビールも何も感じない。そこら辺の水道水と同じだ。何も感じない。
そして今感じている疑問は一夏が生きているかもしれないと言うことだ。
その予想の始まりはIS学園に来た1通の新聞だった。
ある朝職員室のドアの前にてなんだか生徒と職員が学校であることお構いなしに集団で何かを見て話し込んでいた。その表情はまるで忌々しいものを見ているかのようであった。
私は生徒に一喝し、職員たちにも職員室に入るように指示を出した。一体何事かと見てみるとある新聞の記事に私は思わず目を見張ってしまった。
【これまで女尊男卑の女性によって無実の罪を着せられた男性を釈放します】
どうやらさっきまで集まっていたのは女尊側の人間らしく、頭が痛いものだった。ISという兵器の恐ろしさを分からない小娘ならまだしもその力を教える教師がそんなんじゃあIS学園の立場がないだろ。
しかしこのカースト制度を間接的に作ってしまったのはかつて白騎士を纏った私なのだがな。男の人たちにはとても悪いことをしてしまったと後悔している。さらに元凶である私は自分の尻拭いさえまともにできないとわな。
私は自虐をして少し呆れたら職員室に入り会議を進めようとしたら理事長の奥さんといっても表向きの理事長が何か慌てた表情で職員室に備えてあるテレビを起動してDVDプレイヤーにDVDを入れてある映像を見せた。
そこには私にとっては忘れたい顔がいた。
その顔を持つ女は
しかし私には初めて見た感覚がなかった。長年一緒にいたような懐かしい感覚であった。
呆然している私を対象に映像が進み、ISを纏ったヴァルキリーに対して男の方はと言うと右腕を掲げた瞬間強い光が放たれ私を含めた職員たち全員が思わず目を覆った。
現れたのは白と黒が混じったパワースーツ?を纏った者であった。
呆然とする私を他所に職員たちは奴をこれでもかと言う位に馬鹿にしてその姿を嘲笑っていたが、理事長がテレビのスローモーション機能を使ってあの男が使っている兵器の恐ろしさを説明した。
試合開始のブザーが鳴った瞬間白黒のパワースーツを纏った奴はスローモーション機能を使ってようやく見える速度で拳を突き出すと空気の層がヴァルキリーに命中し、ISの戦闘にも余裕で耐える衝撃機能を備えたバリアシステムでさえも受け止めることができなかったのか亀裂が走り崩壊した。
唖然とする職員たちであったが私は動揺を隠せなかった。
あの体の構え私と同じ篠ノ之流であった。そして正拳突きまでの流れも私の知っている人間と同じだった。
最後の頭の中に住みついている迷いはあの男が一夏であるかもしれないのだ。なのに私が迷っているのは絶望になるか希望になるかなのだ。
……仮に……仮にだ、あの男が一夏だったとしても私が会いに行ったとしてどうなる?あの時の理由なんて言っても助けに行くことができなかった免罪符にはならないだろう。
私はそう思いながら学園を過ごしていった。
そして今に至り真耶が気を利かせているのだろう私たちがいつも通っているBARへ連れて行ってくれた。マスターも私の心情をすでに察知していたらしくお気に入りの黒ビールを出してくれた。おそらく真耶と事前に打ち合わせをしていたのだろう。
そして私は藁を縋る思いで今私が悩んでいることを真耶とマスターに打ち明けた
「「千冬さん」」
真耶とマスターは私の顔を見て笑顔で私の背中を押してくれた。
「「その直感に賭けてみましょう。」」
私は何を悩んでいたんだろうな。私はあの子の姉、織斑千冬だ。例えあの子が認めなくても私はあの子の姉でい続ける!!
「千冬さん、コレは私からのエール代わりです」
マスターはすっかり気が抜けたであろうビールが入ったグラスを片付けソルティードックを出した。
私はそれを一気飲みし、あの男に対する覚悟を決めた。
千冬 SIDE OUT
「ハァーーー」
あるところに溜め息を吐いた長い黒髪の作業服を着た女性がいた。その周囲には現代のパソコンより世代が数段先のものばかりであった。
しかし彼女が行っている事はそれを使っての作業ではなく、サインペンを使って何かを書いていた。まるで自分の懺悔をしているかのように
束 SIDE
私は今悲しみと後悔と言う名の海の底で溺れている。
今私がやっているのは私が作ったISにより不幸になってしまった人たちに謝罪の手紙を書いている。これまでしてきた私のあまりにも愚かすぎる行為に対する贖罪にもならないのに
私はそう思いながらこれまで自分で何回やったかも分からない溜め息をした。
「どうしました束様?」
今声をかけてくれたのは娘でもあるくーちゃんだ。私はくーちゃんに心配をかけないように気持ちを抑えながら返答をした。
「ううん、今いっくんはどうしているだろうなぁと思って」
適当に返した答えであったが本音を言うと本当にどうしているのかと思う。だけどいっくんは私の過ちを教えてくれた恩人でもあり命を救ってくれた恩人でもある。
遡ると数年も前になる。
「何処なのいっくん!?」
私はある反応を辿って更地でいっくんを草の根を嗅ぎ分けるようにセンサーを使って探していた。そばには私がここまで来るのに使ったロケットがある。
第二回モンド・グロッソでちーちゃんが大会の決勝の中で戦っている間、この束さんでも理解できないエネルギー質量を持った人間を探している。
なぜ人間だと断定できるかというと謎の軍団がそれらを上回るエネルギーを持った人つの個体が爆発的にエネルギーが上昇した直後、謎の軍団を殲滅したら先程のエネルギーが嘘のように小さくなり、人間の反応が検出できたのだ。
もしかしたらいっくんは生きているかもしれない
頭に浮かんだ言葉に賭けてそのエネルギーの出所まで飛んで行き探し出しているのだが、どんなに探してもいっくんは見つからなかった。
「一体どこにいるの?いっくん……キャッ!?」
身の危険を感じたのでバックで転ぶと先ほどまで私の首があった場所にちーちゃんが使っていた雪片と同じようなエネルギーでできたブレードが振られていた。
そこには私が今開発している無人のIS、ゴーレムより洗練されているロボットがいた
「お前、何なんだ…………!!」
謎のロボットにミサイルを呼び出し打ち込もうとしたがセンサーに同じ反応が見られ、私はその方向へ視線を向けた。
そこには先ほどと同じようなロボットがいた
違いと言えば先程のロボットが右腕がブレードだったのに対してこのロボットの右腕は手掌と言うものがなく中心に空洞があり、キャノン砲のようになっていた。
そのロボットは私にキャノン砲を向け、エネルギーを溜めていた。おそらくあれで私を撃つのだろう。
ロボットが私を撃とうとした瞬間ロボットに何かが着弾し爆散した。
後ろを見るとそこには玩具のような銃を持った見知った顔がいた
「いっ「離れていろ」くん……」
動揺している私にピシャリと言い放ちブレードのロボットに言葉をぶつけた。
「まだいるんだろ?面倒だから全員かかって来い!!」
いっくんがそう言った瞬間ロボットの目が赤く光り、いっくんを攻撃した。
ドンッ!
いっくんは攻撃を避け同時に持っていた銃でロボットを攻撃した。
ロボットの頭部が消え去り体制が崩れた瞬間私の体に浮かんだような感覚が襲った。
「フ〜〜」
「い、いっくん」
私は気が動転していた。なぜならいっくんは私をお姫様抱っこしているからだ。
「さてと」
「あっ」
いっくんが私を下ろすとなぜか名残惜しい感じだったが落ち着いて周りを見てみると絶望が私を襲ってきた。その理由は簡単だ
さっきのロボットが軽く見積もって1000体もいた上、巨大な要塞みたいなロボットがいたのだ
いっくんは絶望している私の肩を叩き「安心して下さい」と言った。
いっくんは右腕を掲げ上げボソリと言った
「ベースオン」
いっくんが謎の言葉を言うといっくんから強い光が放たれ思わず手で目を覆ってしまった。
光がおさまるとそこには白と黒が混じったパワースーツみたいなものを装着したいっくんがいた。
いっくんは束さんでも視認することができないスピードで拳を奴らに突くと余りの衝撃で複数のロボットたちが爆散した。
呆然している間にいっくんは高速機動パッケージを付けたISとは比べることができないほどのスピードで他のロボットたちを破壊した。そのスピードは
ときには動きを遅くしさっきの銃を使ったり、蹴りも使っていた。
しばらくするとあの巨大なロボットを除いたロボット軍団は全滅していたら、ようやくいっくんが見えるようになった。
そしてあの巨大ロボはいっくんと向き合うと口が開き何かのエネルギーをチャージしていた。
あの攻撃はマズイと感じた。放たれるとすると最悪ココらが地図からなくなってしまうかもしれない!!
しかしいっくんは何事もないようにあのレーザー口に向けて銃を撃った。
エネルギー弾があのロボットの口に入ると爆発が起きて頭部がなくなったかと思いきや弱ってはいるもののまだ生き延びていた。
最後にいっくんは高く飛び上がり、右足に白と黒が混じった光のエネルギーを放出させてあのロボットに突撃した。
キックがヒットすると強い光が襲って何も見えなかった。
視界が回復するとあの巨大なロボットには巨大な風穴ができていた
いっくんは巨大なロボットを持ち上げて空の果てまで投げ捨てると、両腕がエネルギーで覆われてそれを十字で組むと指から手首にかけて強い光波熱線が放たれた。
光波熱線がさっき投げ捨てたロボットが飛んだ先に向かって放たれるとしばらくしてから巨大な爆発とともに衝撃波が襲った。
いっくんは元の姿に戻ると私に近づいた。
「さて、少しばかり反省してもらいましょうか」
「え?」
いっくんが私にそう言うと暗闇に包み込まれた
「えーと、いっくん?」
「束さん、あなたはISを創造して何をしたかったんですか?」
いっくんはまるで親が子供に問いかけるような風にそう言うが、私の答えは変わらない。
「束さんが作ったISをアイツらは認めてくれなかったからやっただけに過ぎないんだよ」
私は当たり前の様にそう言うがいっくんは呆れたような表情で私にあるものを見せた。
『お父さん!!お父さぁぁぁぁん!!!!』
『さぁ、キリキリ動け』
そこには警察官にすがりついている子供がいた。おそらく補導されているのはあの子の父親だろう。
「いっくんこれは一体?」
「これはあなたの罪です」
なぜこれが私の罪なのかがわからなかったのでいっくんに問い詰めようとしたが、さらなる説明で私の言葉は一瞬だけ凍りついた。
「あの父親はでっち上げの犯罪で警察に捕まってしまった人です」
それは私も噂に聞いている女尊男卑による冤罪だろう。だけど私には関係ない。悪いのはそれを悪く使う人だけだ。拳銃だって作る人が悪いんじゃない使う人が悪いんだ。
だけどそんなことを思った私を全力でぶん殴りたくなる様なさらなる悲劇が起こった
ドンッ!
少年の背後には部分展開をしてISの武装であるライフルを持った女がいた。その女は何も悪そびれもなく
『ピーピーうるさいのよ、あなたの父親は何か少し体臭がひどかったから捕まえてあげたのよ』
私は言っていることが理解できなかった。それだけのことで何も悪くないあの子の父親を冤罪にかけただけではなく子供にすら攻撃をしたのだ。
『ウオォォォォ!!!!!!!!』
あまりの非情に激怒した父親はその女を襲ったが女のほうは見向きもせずに父親を撃ち殺した。
『これで正当防衛になったわね。スッキリしたわ』
「オエェェェェェェ!!!!!!!!!!!!」
あまりのひどさに私は吐いた。
だけどいっくんは同じ境遇の人たちの映像を私にいくつも見せた。その映像を見るたびに私はこれまでどれほど愚かなことをしてしまったんだろうと思ってしまった。
そしていっくんは私の胸ぐらをつかみ激怒した声で言った
「あれがやりたかったことですか!?」
違う、私は自分の作ったISを認めさせるために
言いかけようとしたが言葉が出なかった。
私の視界が真っ暗になった。一筋の光もない暗闇に堕ちたかのように
目が覚めるとそこには腕を組んでいるいっくんがいた。私のラボまで運んだんだろう。
私は何とか起き上がりいっくんに抱きつきながら聞いた。
「いっくん、私はどうすればいいの?死ぬことでしか私の罪は消えないのかな?」
いっくんは少し呆れた後、 激怒しながら私に言った。
「死んだら罪が消えると思っているのか!?罪と言うのは背負って生きるしかないんだよ!!」
いっくんは現実から逃げようとしている私に喝を入れ、諭すように言った
「あなたがするべきことは今できることをすればいい」
そう言いながらいっくんは闇に消えていった。
そして今に至り私の愛娘でもあるくーちゃんと一緒にこれまで迷惑をかけてきた人たちに謝罪をしている。罪から逃れるためではなく過去の自分とケリをつけるためだ。
束 SIDE OUT
いかがだったでしょうか?