IS ~黒き魔進~   作:ふくちか

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鈴の登場です
因みに鈴は一夏と関わってないため、一夏の事を知りません。(ただし、噂では聞いている)


『不穏』

チェイスが新しい武装を手に入れた翌日、一年一組ではある噂で持ちきりだった。

 

「ねぇ知ってる、ミューゼル君。新しく転校生が2組にやって来るんだって!」

「………そうか」

 

クラスの女子が気軽に話すが、チェイスは相変わらず素っ気ない。

と言うより昨日スコールから聞かされて知っているから、リアクションを取る必要がないのだ。

 

因みにこの間の代表決定戦での実力から、普通はチェイスに恐れを抱く筈だが、チェイスは敵対しない人物に対してはぶっきらぼうながらも普通に接する為、クラスに馴染めている。

 

「あら、私の存在を危ぶんでの事かしら?」

「でも~、セッシーこないだミュー君に負けてたよね~?」

「の、布仏さん!」

 

腰に手を当てふんぞり返るセシリアに、クラスメイトの布仏本音が鋭く突っ込み、途端セシリアは慌てふためく。

 

とここでチェイスが本音に突っかかる。

 

「オイ、ミュー君とは俺の事か……?」

「うん、ミューゼルだからミュー君~」

「…………」

 

絶句したチェイスは無言で席に戻った。

 

教室には微妙な空気が漂っていた。

 

「ま、まーでも余裕でしょ!専用機を持ってるのは1組と4組だけだし!」

 

その空気を払拭すべく、クラスの女子が発言したとき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その情報、古いよ」

 

扉付近から声が聞こえ、全員(チェイス除く)が振り向くと、ツインテールの小柄な女子が扉にもたれ掛かっていた。

 

「2組も専用機持ちが代表になったの、そう簡単には優勝はさせないわよ」

 

そう言うと、1組全員を指差して、

 

「覚えておきなさい!私の名は凰鈴音!今日は宣戦布告って訳」

 

そう言ってのけると、鈴は小さい胸を大きく張った。

唖然とする中、鈴はチェイスに目を止めると、チェイスに近づいた。

 

「アンタ……何処かで一度会ってる?」

 

急にそんなことを言い出した。

騒然とする教室内。(特に箒)

 

「…………人違いだ」

 

クラス中が見守る中、チェイスはいつも通りの抑揚で返した。

 

「……そうね。急にごめんなさいね」

 

 

そう言って、鈴は自分の教室に戻っていった。

 

 

『中国代表候補生、凰鈴音……。スパイと言う感じではない、か。だが油断は禁物だな……』

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、チェイスは屋上で寝転がっていた。

食事をしようにも、箒がしつこく付きまとってくるため締め上げ、食事をする気が失せた為、こうして昼寝をして気を紛らわそうと来たのだ。

 

「…………フゥ」

 

空を見上げながらチェイスはぼんやりとしていた。

ここにいると(主に千冬関連の)ストレスが消えていくため、チェイスはここが気に入っている。

 

 

 

 

 

「あれ?ミューゼル君……どうしたんですか?」

 

と、ここで自分を呼ぶ声が聞こえた。

チェイスが目を開くと、

 

「こ、こんにちは~……」

 

自分のクラスの副担任の山田真耶がにっこりと此方を覗き込んでいた。

 

「何故アンタがここに……?」

「今日は天気が良いから、外でお弁当を食べようかな~と思いまして」

 

そう言って、真耶は弁当箱を開けた。

そこには、彩りのオカズが輝いていた。

 

チェイスは無意識に唾を飲んでいた。

 

「ミューゼル君は食べたんですか?」

「……余り食事をする気分ではない」

 

そう言うと、チェイスは真耶の反対側に顔を背けた。

あんなに美味しそうなお弁当を見ていると、空腹が刺激されてしまうから。

 

 

 

 

ぐぅー……

 

 

とここでチェイスの腹が鳴った。

どうやら胃は限界らしい。

 

「あ、ミューゼル君!もしかして食べてないんですか?」

「…………問題はない」

「あります!」

 

珍しくムッとしながら真耶はチェイスを叱る。

 

「お昼をちゃんと食べないと午後の授業について行けませんよ!だからちゃんと食べないと!ミューゼル君は成長期なんですし……」

「…………分かった」

 

溜め息を吐いて、チェイスは懐から朝に一応作ったおにぎりを取り出した。(具は昆布)

 

「作ってるじゃないですか~。折角ですから一緒に食べましょう?ね」

「……拒否権は」

「放っておいたらミューゼル君食べるか分かりません!ここでです!」

 

信用ないなと思いながら、チェイスはおにぎりを頬張る。

ただし、そっぽを向きながら。

 

「…………」

『こうして見ると、年相応なんだな~。意外と可愛い、かも……って私のバカ!相手は生徒!生徒なんだから!……でもこう言うのも、悪くないかも』

 

そんなチェイスを真耶は微笑ましく見守りながら、弁当を食べていた。

 

真耶のチェイスに対する認識が少し変わった。

 

『怖い男の子』から『怖いけど年相応な所もある男の子』へとーーー。

 

 

 

 

鈴の宣戦布告から数日後、IS学園のアリーナではクラス代表マッチが行われていた。

 

今は決勝、セシリア対鈴の試合が始まっていた。

 

どちらも一進一退の攻防を繰り広げるが、チェイスにとっては生温く感じてしまう。

 

いつも死線をくぐり抜け戦ってきたチェイスには二人の戦いぶりが子供の遊戯に見えてしまうのだ。

 

だが、そんなIS学園に震撼が走った。

 

 

 

 

 

 

 

何と試合中に謎のISがアリーナに乱入してきたのだ。

更にアリーナへの入り口及び、客席の扉がロックされ出られなくなる。

 

当然パニックに陥る客席だが、チェイスは、

 

『やはり仕掛けて来たか……亡国機業かもしくは……変身』

《Break up!》

 

 

冷静に乱入者の正体を考察しながら、魔進チェイサーに変身する。

 

 

そして、アリーナの扉を強引に叩き壊した。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、とある場所では……

 

「まさか、そんな……!?」

 

数々の機材が積み上げられたその部屋で、ある女性がモニターを見ながら驚愕していた。

 

「死神の正体が…………いっくんだったなんて……」

 

自分がよく知る人間が、ISに似たパワードスーツを纏っている姿。

 

「……これは調べてみる必要があるね」

 

元々その女性は噂の男性IS操縦者を見るためにゴーレムを送り込んだ。

 

あわよくば、殺すつもりでもあった。

 

 

 

だが、その正体が親友の弟にして、あの死神ーーー魔進チェイサーだったとは思っても見なかった。

 

「ゴメンね、いっくん……。でも、殺したりはしないから」

 

チェイスに記憶がない事を知らない彼女ーー篠ノ之束はほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 




IS ~黒き魔進~

チェイサー『この程度か……』

束「え……?」

鈴「アンタって、織斑一夏?」
 
《Tune chaser cobra!》

IS ~黒き魔進~ 『驚愕と正体』

チェイス「俺は…………」


黒き追跡者はその瞳に何を写す……?
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